
[ ブランディングデザイン ]
ブランドガイドラインとは?作り方・構成内容・運用方法と成功事例
ブランドガイドラインは、企業や商品・サービスの「ブランドらしさ」を、誰もが同じ基準で扱えるようにするものです。理念や言葉、写真、グラフィックなどの表現基準まで整理します。
ブランド接点がWEB、広告、SNS、営業資料、店舗などへ広がるほど、関係者も増えます。判断を個人に任せると表現がずれるため、守る基準と変えてよい範囲の共有が特に重要です。
本記事では、ブランドガイドラインの目的、構成内容、作り方、運用方法について、株式会社チビコ代表取締役/ブランディングディレクターの今田佳司が、実務経験をもとに解説します。
CONTENTS | 目次
ブランドガイドラインとは何か?

ブランドガイドラインとは、企業やブランドの理念、価値観、言葉、ロゴ、カラー、書体、写真などの基準をまとめ、社内外の誰が関わっても同じブランドらしさを再現するための共通ルールです。見た目を揃えるだけでなく、制作や発信の判断を支える役割があります。
ブランドの考え方と表現を共有するための共通基準
┃ ブランドガイドラインの役割は、ロゴやカラーを正しく使用することだけではありません。
CI戦略とは、企業の存在意義や価値観、目指す姿を明確にし、理念・行動・デザインを一つの方向へつなぐ取り組みです。ロゴだけを整えるのではなく、MI・BI・VIを共通の判断軸で結び、社内外のあらゆる接点で企業らしさが一貫して伝わる状態をつくることこそ重要です。また、経営判断から日々の行動まで同じ基準を共有し、企業の信頼と独自性を継続的に高めます。
■ ブランドガイドラインはなぜ必要なのか?

ブランドガイドラインが必要なのは、ブランドに関わる人や媒体が増えるほど、表現や判断のばらつきが生まれやすくなるためです。共通の基準を持つことで、社内外の制作や発信をそろえ、ブランドの信頼と価値を長期的に積み重ねることができます。
1. ブランド表現を一貫させる
顧客は、広告やWEBサイトだけで企業を判断するのではなく、営業資料、SNS、店舗、商品、採用情報など複数接点から印象を形成します。ロゴやカラー、写真、言葉遣いの基準をそろえることで、媒体が変わっても企業らしさが伝わり、ブランドとして認識されやすくなります。
2. 制作や発信の判断基準をつくる
ガイドラインがないと、色や写真、文章表現の判断が担当者ごとに変わり、経営者への確認が増えて制作や承認にも時間がかかります。共通基準を持つことで、個人の好き嫌いではなく、ブランドの考え方に合っているかという視点で判断でき、品質と業務効率の両方を高められます。
3. ブランドらしさを守る
ブランドには、営業、広報、採用、人事、商品開発、WEB担当者、制作会社、広告代理店など多くの人が関わります。ガイドラインを共通言語として持つことで、企業が大切にする価値や目指す印象を共有しやすくなり、担当者が変わっても一定の品質やブランドらしさを保てます。
4. ブランド資産を長期的に育てる
事業や市場が変化すれば、ブランド表現にも新しい要素が必要です。ただし、都度基準まで変えると、蓄積したブランド資産を失います。ガイドラインでは「残すもの」「変えるもの」「加えるもの」を見極め、変化してもブランドの核を失わない共通判断基準を持つことが重要です。
■ ブランドガイドラインには何を含めるべきか?

ブランドガイドラインには、理念やコンセプトだけでなく、ロゴ、カラー、書体、写真、グラフィック、言葉、使用例、禁止例、管理方法まで含めます。ただし項目を増やすことが目的ではなく、実際のブランド接点で判断に迷う内容を優先して整理することが重要です。
1. ブランドの理念・コンセプト
ブランドの存在意義、提供価値、目指す未来を明確にします。既存のミッションやビジョンは無理に作り直さず、現在の事業や方向性と一致しているかを確認し、表現基準へとつなげます。
現在の事業や未来像と理念・ブランドそのものに大きなズレがある場合は、ガイドラインを整える前に、ブランド全体を見直す必要性から判断します。
➤ 詳細記事:リブランディングが必要になる5つのサインと6つの判断基準
2. ロゴとブランドシンボル
ロゴは基本形だけでなく、組み合わせ、余白、最小サイズ、色、背景、モノクロ、禁止例まで定めます。横組みや縦組みなどの使用条件と、正しいロゴデータの保管場所まで明確にします。
3. ブランドカラー
ブランドカラーは、CMYK、RGB、HEX、特色など数値で正確に定義します。メイン、サブ、アクセントの役割や比率、背景との組み合わせも整理し、媒体ごとの再現性を高めます。
➤ 詳細記事:ブランドカラーとは?設定方法とロゴの配色について
4. タイポグラフィ
タイポグラフィは象徴的な書体だけでなく、社内PC、WEB、社内資料など実務で使える書体も整理します。代替フォントや用途別の指定まで定めることで、日々運用しやすくなります。
5. 写真・イラスト・グラフィック
写真は明るさなどの抽象的な指示だけでなく、被写体、光、構図、色調、距離感、表情、背景まで具体化します。イラストやアイコン、図表などについても、その判断基準を明確にします。
6. トーンオブボイス
ブランドはデザインだけでなく、言葉でも印象が決まります。専門的か親しみやすいかなど話し方を整理し、推奨表現と避けたい表現を示すことで、各媒体の言葉にも一貫性を持たせます。
7. レイアウト・アプリケーション
名刺、WEB、営業資料、広告、SNSなど代表的な媒体への展開例を示します。完成形だけでなく、配置や優先順位の考え方も共有し、新しい媒体にも応用できる基準として機能します。
8. 使用禁止事項
正しい使い方に加え、ロゴの変形、色変更、不適切な写真、過度な装飾、合わない言葉遣いなど禁止例も示します。ただし増やしすぎず、主に現場で起こりやすい問題を中心に整理します。
9. アプリケーションデザインの展開事例
名刺、会社案内、WEBサイト、営業資料、広告、SNS、サインなど、ブランドが使われる媒体への展開例を示します。各媒体で統一感を保ち、ブランドらしさを一貫して表現していきます。
■ ブランドガイドラインはどう作るべきか?

ブランドガイドラインは、デザインのルールを先に決めるのではなく、目的、利用者、ブランド資産、ブランドの核を整理した上で開発します。その後、言葉とビジュアルの基準をつくり、実際の媒体で検証し、共有方法や承認、更新体制まで決めることで実務で機能します。
STEP 1|目的・利用者・対象媒体を決める
最初に、ガイドラインを作る目的を明確にします。表現のばらつき改善、外部制作会社への指示、海外展開、CIやVIの定着など、目的と利用者、使用媒体まで整理して内容を決めます。
STEP 2|現在のブランド資産を整理する
ロゴ、カラー、書体、写真、WEBサイト、会社案内、広告、営業資料などを確認します。すべてを変えるのではなく、残す、変える、加える、なくすの視点でブランド資産を整理します。
STEP 3|ブランドの核となる考え方を明確にする
ブランドの存在意義、提供価値、目指す姿を整理します。理念やコンセプトを明確にすることで、デザインを好みではなく、ブランドとの整合性を基準に判断できる状態をつくり上げます。
STEP 4|言葉とビジュアルの基準を定める
ブランドの核を、ロゴ、カラー、書体、写真、グラフィック、言葉などへ展開します。各要素を個別に決めず、伝えたい印象や価値に矛盾がないかを確認し、全体として一貫性を整えます。
STEP 5|実際のブランド接点で検証する
決めたルールをWEB、スマートフォン、名刺、営業資料、広告、SNS、サインなどへ展開し、実際に機能するか確認します。使いにくさがあれば調整し、運用できる基準へ仕上げます。
STEP 6|使用例と禁止例を整理する
利用者が迷いやすい項目には、正しい使用例と避けるべき例を示します。禁止事項だけでなく、その理由まで伝えることで、未知の媒体でもブランドに沿って判断できる基準を共有します。
STEP 7|共有方法・承認・更新体制を決める
最後に、ガイドラインの管理者、共有方法、承認手順、問い合わせ窓口、データ保管場所、更新者を決めます。PDF化して終わりにせず、継続して使い、改訂できる運用体制を整えます。
■ ブランドガイドラインと他の資料は何が違うのか?

ブランドガイドライン、ブランドブック、ロゴガイドライン、VIガイドラインは似ていますが、目的と対象範囲が異なります。何を伝えたいのか、誰が使うのか、どこまで具体的な運用基準が必要なのかを整理し、自社の目的に合った資料として使い分けることが重要です。
ブランドガイドラインとロゴガイドラインの違い
ロゴガイドラインは、ブランドガイドラインの中でもロゴ運用に特化します。表示方法、余白、最小サイズ、カラー、背景との関係、禁止例などを定めます。一方、ブランドガイドラインは、理念、言葉、カラー、書体、写真、グラフィックなど、ブランド全体の表現基準を扱います。
ブランドガイドラインとブランドブックの違い
ブランドブックは、ブランドの背景や理念、価値観、ストーリーを伝え、社員や関係者の理解と共感を深めるための資料です。一方、ブランドガイドラインは、制作や発信の場面で何を基準に判断するかという実務ルールを重視します。両者を一冊にまとめて運用する場合もあります。
ブランドガイドラインとVIガイドラインの違い
VIガイドラインは、ロゴ、カラー、書体、写真、グラフィックなど、ブランドの視覚表現を管理するためのものです。各媒体で一貫してブランドらしさを再現できるよう使用基準を定めます。ブランドガイドラインは、理念や言葉、運用方法まで含め、ブランド全体を広く扱います。
➤ 詳細記事:VIの作り方|開発手順・構成要素・成功のポイント
■ 良いブランドガイドラインの5つの条件

良いブランドガイドラインは、ルールが多いものではなく、利用者が迷わずブランドらしい判断をできるものです。ブランドの考え方と表現がつながり、実際の媒体で再現でき、守る部分と変えてよい部分が明確で、事業や接点の変化に合わせて更新できることが重要です。
1. ブランドの考え方とルールがつながっている
ロゴや色の使い方だけでなく、なぜその表現なのかという背景まで共有します。ブランド戦略と表現ルールをつなぐことで、新しい媒体でもブランドに沿った判断ができるようになります。
2. 利用者が迷わず判断できる
専門家だけでなく、ブランド担当者、営業担当者、外部制作会社など、誰もが必要な情報へ迷わずたどり着ける構成にします。探しやすさと分かりやすさも実務で品質を左右する要素です。
3. 実際の媒体で使える
美しくまとめるだけでなく、営業資料、SNS、WEBサイトなど実際の媒体で再現できることが重要です。ガイドラインの完成度は、ブランド接点で常に機能するかどうかで判断します。
4. 守る部分と変えてよい部分が明確
すべてを固定せず、必ず守る要素、一定範囲で変えられる要素、媒体に応じて自由に表現できる要素を分けます。これにより、ブランドの一貫性と柔軟性を両立し、運用しやすくなります。
5. 更新できる仕組みになっている
事業や商品、媒体、デジタル環境は変化するため、ガイドラインも更新できる構造にします。追加や変更の判断基準、管理責任者を定め、ブランドの核を守りながら社会変化に対応します。
■ CHIBICOが考えるブランドガイドライン開発

CHIBICOでは、ブランドガイドラインを単なるデザイン規定ではなく、ブランドの考え方を日々の制作や発信へつなぐための判断基準と考えています。既存資産を評価し、残すものと変えるものを見極め、実際の接点で検証しながら、使う人が迷わない仕組みとして開発します。
ブランドの核を先に決める
CHIBICOでは、いきなりロゴやカラーの規定を作りません。まず、現在の事業、経営方針、顧客、競合、既存ブランド、目指す企業像を確認します。そのうえで、ブランドが何を大切にするのかを整理し、言葉とデザインに共通する明確な判断軸をつくり、実務へもつなげます。
既存ブランド資産を評価する
長く使われてきたロゴ、カラー、言葉、商品、企業文化には、認知や信頼が蓄積されています。新しいガイドラインだからといって、すべてを変える必要はありません。既存資産も丁寧に見直し、残す、変える、加える、なくすを判断し、未来にも価値を持つ資産として再整理します。
ブランド接点で実際に検証する
ブランドガイドラインは、ページ上で成立しているだけでは十分ではありません。名刺、会社案内、WEBサイト、広告、営業資料、SNS、サインなど、実際の媒体へ展開して検証します。問題があれば表現だけでなく、ルールそのものも見直し、実務でも機能する状態へ整えます。
制作者ではなく利用者を基準にする
ガイドラインを作った人だけが理解できる状態では運用できません。社内担当者、デザイナー、広告代理店、印刷会社など、実際に使う人が何を見れば判断できるかという視点で整理します。説明がなくても一定の判断ができる状態をつくることが、良いガイドラインの基本条件です。
■ CHIBICOが手掛けたブランドガイドライン開発実績
ブランドガイドラインは、企業ごとに必要な範囲や深さが異なります。CHIBICOでは、ブランド戦略やCI・VIの開発と連動しながら、ロゴ、カラー、書体、ステートメント、各種媒体まで展開し、企業の考え方と表現を一貫して運用できる状態へ整理しています。

NIHON MOBILITY SERVICE|事業の変化をCIへ
JAPAN OIL SERVICEからNIHON MOBILITY SERVICEへの社名変更に伴い、事業領域だけでなく、目指す企業像や役割まで整理し、CIを再構築しました。「新しい移動と技術の進化。モノを超えたサービスとしてのあり方。」をコンセプトに、事業の変化を企業の意志として可視化。社名、ブランドシンボル、コーポレートロゴタイプ、スローガン「MOBILITY IS POSSIBILITY.」、名刺、ガイドラインへ展開し、企業の進化と未来への可能性を一貫して伝えられるブランドへ刷新。新たな事業領域にふさわしい企業認知を形成し、社内外で共有できるブランド基盤を整えました。
➤ CHIBICO WORKS | NIHON MOBILITY SERVICEより

RENEWABLE JAPAN|事業の社会的意味をCIへ
RENEWABLE JAPANは、再生可能エネルギー事業そのものだけでなく、その事業を社会の中で行う意味や、企業として果たすべき役割まで掘り下げてCIを開発しました。「すべての人を、エネルギーの主人公に。」を核に、ブランド戦略、ブランドコンセプト、シンボル、ロゴタイプ、ステートメント、ガイドラインへ展開。事業内容を説明するだけではなく、なぜこの事業に取り組むのか、どのような社会を目指すのかまでを一貫して伝えられる企業像を構築。再生可能エネルギーを通じて社会にどのような価値を生み出す企業なのかを明確にし、企業の意志として社内外のブランド接点で共有できるCIへと体系化しました。
※リニューアブル・ジャパン株式会社は、2026年4月1日付で「株式会社リエネ・エナジー」へ社名変更しています。CHIBICOがRENEWABLE JAPANの名称で支援した当時のCI開発事例です。
➤ CHIBICO WORKS | RENEWABLE JAPANより

MONOCOTO|モノづくりのその先をVIへ
MONOCOTOは、ノベルティや商品開発といった「モノづくり」にとどまらず、その先にある人の暮らしや体験、幸せまでを見据えてVIを開発しました。「その先にいる人の、しあわせをつくる。」を核に、PURPOSE、VISION、MISSION、VALUES、WAY、NARRATIVEへ展開。何をつくる企業なのかだけでなく、誰のために、なぜつくるのかという企業の意志を明確にし、事業と組織をつなぐ共通の価値観として整理し、組織全体の判断軸としました。商品やサービスの提供価値だけでなく、その先に生まれる体験や関係性までをブランドとして捉え、社内外に一貫して伝わる企業像を構築しています。
■ ブランドガイドラインの成功事例
優れたブランドガイドラインは、すべてを固定するのではなく、ブランドの核を守りながら表現の幅を持たせています。Starbucks、Netflix、IBMを見ると、共通するのは、何を守り、どこを柔軟に変えられるかを明確にし、判断できる仕組みにしている点です。

Starbucks|核を守りながら表現の幅を広げる
Starbucksは公式の「Creative Expression」で、Sirenロゴ、カラー、タイポグラフィ、イラストレーション、写真、アイコン、言葉など、ブランド表現に関する考え方を公開しています。特徴的なのは、「固定された一つの見た目」を求めているわけではない点です。ブランドの核となる要素を維持しながら、顧客との接点や目的に合わせて表現を変化させています。さらに言葉についても、案内などでは機能的で明確な表現、ブランドの魅力を伝える場面ではより表現豊かな言葉と、状況に応じて使い分ける考え方を示しています。これは、一貫性とは「すべてを同じにすること」ではないと分かる好例です。
[ 出典 ] Starbucks Creative Expressionより

Netflix|公式ブランド資産を一元管理する
Netflixは公式のBrand Siteを用意し、ブランドロゴなど正規のブランド資産へアクセスできる環境を整えています。ブランド運用では、ルールそのものだけでなく、「正しいデータをどこから入手するのか」を統一することが重要です。古いロゴデータや個別に加工されたファイルが社内外へ広がると、ガイドラインがあってもブランド表現は安定しません。ブランド資産と使用基準を同じ管理環境へ集約することは、関係者が増える企業ほど重要になります。

IBM|ルールではなく判断原則まで共有する
IBM Design Languageでは、デザインに関する原則を、デザイナーだけでなくIBMを代表してデザインを作る人、承認する人にも向けて公開しています。特徴的なのは、個々のデザイン規定だけではなく、「何を基準に判断するのか」まで明確にしている点です。IBMは、継続性と創造性の両方がデザインに必要だという考え方を示しています。これは、ブランドガイドラインが単なる禁止事項集ではなく、ブランドらしい判断を行うための共通原則として機能することを示す好例です。
[ 出典 ] IBM Design Language Principlesより
■ ブランドガイドラインはどのように運用・更新するのか?

ブランドガイドラインは、完成した時点がゴールではありません。社内外へ共有し、制作や承認の場で使われ、事業や媒体の変化に合わせて更新されて初めて機能します。管理責任者、確認方法、最新版の共有、改訂履歴まで整え、同じ基準を使える状態を維持することが重要です。
1. 管理責任者を決める
ブランドガイドラインに関する最終判断者を明確にします。広報、マーケティング、ブランド部門、経営企画など担当部署は企業ごとに異なりますが、誰に確認すればよいか分からない状態をなくし、判断や相談の窓口を一本化しておくことが重要です。承認範囲まで明確に定めます。
2. 社内外へ共有・教育する
ガイドラインは配布するだけでなく、意図まで共有することが重要です。ブランド刷新時や導入時には、説明会、研修、ワークショップなどを通じて、なぜこのルールなのかまで伝えます。外部制作会社にも必要な範囲を共有し、考え方を理解した上で制作してもらうことが大切です。
➤ 詳細記事:インナーブランディングとは?その目的と進め方と成功事例
3. 承認プロセスをつくる
すべての制作物を一人で確認する方法では、ブランド接点が増えるほど運用が難しくなります。重要度や媒体ごとに確認レベルを分け、現場で判断できる範囲と、ブランド管理部門の確認が必要な範囲を整理し、効率的に運用できる体制を整えます。現場の負担軽減にもつながります。
4. 最新版を一元管理する
社内サーバー、クラウドストレージ、ブランドポータルなど、最新版を確認できる場所を一つにします。PDFだけでなく、ロゴデータ、フォント情報、写真、テンプレートなどの関連資産もまとめて管理し、実務で迷わず利用できる環境を整えます。必要な資産もすぐ確認できます。
5. 改訂履歴を残す
ガイドラインを変更した場合は、変更日、変更箇所、理由を記録します。社内外が常に最新版を確認できるようにし、事業、ブランド接点、組織、デジタル環境などに大きな変化が生じたときに見直すことで、継続的に使える状態を保ちます。変更履歴も残し、更新内容を共有します。

■ ブランドガイドラインに関するよくある質問
ブランドガイドラインが機能しているかは、内容の充実度だけでは判断できません。ブランドの考え方と表現がつながっているか、利用者が迷わず使えるか、実際の媒体で再現できるか、管理・更新の仕組みがあるかという四つの視点から確認することが重要です。
Q1. ブランドガイドラインは、なぜ必要ですか?
ブランドガイドラインは、誰が制作や発信を担当してもブランドらしさを一貫して再現できる状態をつくるために必要です。理念、言葉、デザインの判断基準を共有することで、表現のばらつきや誤用を防ぎ、社内外の各接点で信頼できるブランド体験を長期的に継続提供できます。
Q2. ブランドガイドラインには何を含めるべきですか?
ブランドガイドラインには、理念やブランドコンセプト、ロゴ、カラー、フォント、写真、グラフィック、トーンオブボイス、使用例、禁止例、運用ルールを含めます。すべてを入れるのではなく、利用者と媒体を整理し現場で判断に迷う項目から優先して定義することが重要です。
Q3. ブランドガイドラインとロゴガイドラインは何が違いますか?
ロゴガイドラインは、ロゴの表示方法や余白、最小サイズ、色、禁止例など、ロゴを正しく使うための基準です。ブランドガイドラインはより広く、理念、言葉、カラー、フォント、写真、グラフィック、運用方法も含め、ブランド全体の表現と判断基準も統一する役割があります。
Q4. ブランドガイドラインとブランドブックは何が違いますか?
ブランドブックは、ブランドの理念や背景、価値観、世界観を伝え、社員や関係者の理解と共感を深める役割が中心です。一方、ブランドガイドラインは、制作や発信の場で迷わないための具体的な表現ルールと判断基準が中心です。実務では両者を一冊に統合する場合もあります。
Q5. ブランドガイドラインはどのような手順で作りますか?
ブランドガイドラインは、最初に目的、利用者、対象媒体を決め、続いてブランドの核となる考え方と既存資産を整理します。その後、ロゴ、カラー、書体、写真、言葉などの基準を定め、実際の媒体で検証し、使用例と禁止例、共有方法、更新責任まで明確に定めて完成させます。
Q6. ブランドガイドラインは作成後どのように運用しますか?
ブランドガイドラインは、公開して終わりではなく、利用者への説明、制作物の確認、問い合わせ窓口、更新責任者を決めて運用します。事業や媒体が増えたとき、判断の迷いが増えたときは見直し、改訂履歴と最新版を一元管理し、社内外が常に同じ基準を使える状態を保ちます。

■ ブランドガイドラインに関するチェックリスト
ブランドガイドラインは作って終わりではなく、適切に整備し運用してこそ力を発揮します。ここでは、ガイドラインが機能しているかを確認するための実践的なチェックポイントをまとめました。
ブランド戦略のチェック
□ ブランドの存在意義や目指す姿が明確になっている
□ ブランドコンセプトとデザインがつながっている
□ 現在の事業内容とブランドイメージが一致している
□ 残すブランド資産と変える要素が整理されている
デザイン・表現のチェック
□ ロゴの使用方法、余白、最小サイズ、禁止例が明確になっている
□ ブランドカラーが印刷・デジタル双方の数値で定義されている
□ 使用書体と代替書体が決まっている
□ 写真・イラスト・グラフィックの判断基準がある
□ トーンオブボイスや言葉の基準がある
□ 代表的な媒体への展開例が示されている
利用者・実務のチェック
□ 社内担当者が迷わず必要な情報を見つけられる
□ 外部制作会社だけでも一定の判断ができる
□ WEBサイト、営業資料、SNSなど実際の媒体で検証されている
□ 守る要素と変えてよい要素が分かれている
□ 正しいブランドデータの取得場所が明確になっている
運用・管理のチェック
□ ブランドガイドラインの管理責任者が決まっている
□ 最新版を一元管理できている
□ 制作物の承認方法が決まっている
□ 更新方法と改訂履歴が管理されている
□ 社員や外部パートナーへ説明・共有する仕組みがある

■ まとめ
ブランドガイドラインとは、ロゴやカラーの使い方をまとめた資料ではありません。企業やブランドが何を大切にし、それをどのような言葉とデザインで表現するのかを共有し、社内外の関係者が同じ基準で判断するための仕組みです。
良いガイドラインをつくるには、最初にブランドの核と既存資産を整理し、そこからロゴ、カラー、書体、写真、グラフィック、言葉へ展開します。さらに実際のブランド接点で検証し、利用者が迷わず判断できる使用例や基準まで用意することが重要です。
そして、ブランドガイドラインは完成して終わりではありません。事業、組織、媒体が変化すれば、必要な表現も変わります。変えないブランドの核を明確にしながら、必要な部分を更新し続けることで、一貫性と柔軟性を両立したブランド運用が可能になります。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 ブランドガイドライン開発についてご相談ください 】
内容を固めてから相談する必要はありません。
企業やブランドの背景、現在の課題、既存の運用状況を確認しながら、
必要な構成と運用範囲を整理してご提案しています。
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