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VIビジュアルアイデンティティとは何か?

[ ブランディングデザイン ]

VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは何か?

VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、企業やブランドの価値を視覚的な要素を通じて効果的に伝える重要な戦略です。具体的には、ロゴマークやカラー、フォント、写真など、視覚的なデザイン要素のすべてを含み、これらを通じて消費者の心に一貫したブランドイメージを構築していきます。VIは単なるデザインの統一ではなく、ブランドの本質をいかに視覚的に表現するか、より戦略的な意味を持ちます。これを適切に開発し運用することで、市場における競争優位性を確立し、顧客の記憶に残るブランドを築くことが可能となります。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、VIの基本的な定義から実践的な役割、そしてブランドの成功への具体的な貢献について、体系的に解説していきます。


■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは

VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは

[ 画像引用 ] Toyota Brand公式サイトより

【 ブランドを視覚的に統一し伝えること 】

VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは、ブランドが持つビジョンやイメージを、視覚的要素を通じて体系的に表現する戦略的なアプローチです。これはCI(コーポレート・アイデンティティ)における重要な構成要素として位置づけられ、ロゴ、カラー、フォント、レイアウト、写真表現など、多岐にわたるデザイン要素を包含します。これらの要素を戦略的に統一することで、あらゆる接点において一貫したブランド体験を実現することが可能となります。

統一されたVIは、消費者のブランド認識を効果的に促進し、信頼性と認知度の向上に直接的な影響を与えます。具体的には、独自性のあるロゴやブランドカラーが、視覚的な連想作用を通じて、商品やサービスとブランドイメージを即座に結びつける効果を生み出します。さらに、VIは社内外のステークホルダーに対して明確なデザイン基準を提示することで、組織全体でのブランドの一貫性維持を可能にします。このように、VIの統一的な展開は、ブランド価値の向上と消費者からの信頼構築において、極めて重要な役割を果たすのです。

[ 詳細記事 ] CIとVIの違いや目的と成功事例

視覚による情報の判断

五感による知覚(情報判断)の割合

図:五感による知覚(情報判断)の割合

人間の五感による情報知覚の割合を分析すると、視覚が87%を占め、聴覚7%、嗅覚2%と続きます。このデータは極めて示唆的で、私たちの日常における情報判断が、いかに視覚に依存しているかを明確に示しています。このことから、ブランドコミュニケーションにおいて視覚的要素が果たす役割の重要性が、科学的にも裏付けられているといえるでしょう。

1.カラー(色)

カラー(色)が人間の心理に与える影響は極めて大きく、視覚情報において重要な要素となります。例えば、青色は信頼性や冷静さを想起させ、赤色は情熱や緊急性を表現し、緑色は自然との調和や安心感を醸成します。このような色彩の持つ心理的効果を戦略的に活用することで、ブランドの本質やメッセージを、より効果的に視覚伝達することが可能となります。

2.フォルム(形)

フォルム(形状)は、視覚的メッセージを端的かつ効果的に伝達する重要な要素です。円形や曲線的な形状は親和性や安定感を表現し、直線的で角張った形状は力強さや堅実性を示唆します。このような形状の持つ視覚的特性は、ロゴやアイコンのデザインにおいて戦略的に活用され、ブランドの個性や意図を明確に表現する役割を果たします。

3.配置とレイアウト

配置とレイアウトは、視覚情報を効果的に伝達する上で重要な要素となります。適切な配置戦略は、閲覧者の視線を自然に誘導し、情報の重要度を明確に提示する機能を持ちます。例えば、核となる情報を中央に配置することや、コントラストを戦略的に活用することで、視覚的な情報の伝達効率が大幅に向上します。

4.動き

動きやアニメーションは、視覚的注目度を高める効果的な要素として機能します。特に情報やメッセージの強調において、その効果は顕著です。WEBサイトや広告媒体において、戦略的に動的要素を組み込むことで、視覚的な関心を喚起し、より印象的なメッセージ伝達を実現することが可能となります。

[ 出典 ] 真鍋眼科・真鍋産婦人科サイトより

■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の目的

VI(ビジュアル・アイデンティティ)の主な5つの目的

1.ブランドを理解浸透させること

企業のあらゆる視覚的表現において、会社案内から広告、WEB、商品パッケージに至るまで、その企業の本質を的確に反映した質の高いビジュアルイメージが不可欠です。この実現には、単なるデザイントレンドや一時的な流行を追うのではなく、企業やブランドの根本的な価値観や活動理念を深く理解し、それらを効果的に最適化して、社内外に発信することが重要となります。さらに、各商品やブランドには固有の歴史とストーリーが存在します。これらを消費者の心に響く形で視覚化するVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、現代のビジネスにおいて必要不可欠な要素といえます。

2.ブランドの認知度を向上させること

VI(ビジュアル・アイデンティティ)を戦略的に統一することで、消費者のブランド認識は向上します。視覚的要素を一貫して展開することにより、ブランドの存在感が明確化され、消費者の記憶により強く定着することが可能となります。例えば、ロゴやブランドカラーを体系的に統一して展開することで、消費者はそのブランドに対して自然な親和性を感じ、選好する傾向が強まります。この結果、ブランド認知度の向上と競合との差別化が促進され、最終的には購買意欲の喚起とブランドロイヤルティの醸成につながります。

3.ブランドの差別化を図ること

VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、競合との差別化を図る上で極めて重要な戦略的ツールとして機能します。視覚的要素を通じてブランド固有の価値やメッセージを効果的に表現することで、市場における明確なポジショニングを確立することが可能となります。特に、一貫性のある独自のデザイン体系を構築することで、消費者の視点からの即時的な識別性が向上し、競合との差異が明確化されます。この視覚的な差別化は、ブランドの個性を消費者の記憶に強く刻印し、市場での優位性を確立する重要な要素となります。つまり、戦略的なVIの展開は、競争が激化する市場環境において、ブランドの存在感を際立たせ、持続的な競争優位性を構築する上で不可欠な要素といえます。

4.ブランドの視覚的な一貫性を図ること

一貫性のあるVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、ブランドのアイデンティティを統一し、消費者に一貫したメッセージを伝えるための基盤です。ロゴ、カラー、フォントなどの視覚的要素を統一することで、どの接点でも同じブランドイメージが消費者に伝わりやすくなります。この一貫性が、消費者に対してブランドの信頼性やプロフェッショナリズムを感じさせ、長期的な信頼関係の構築に寄与します。また、ブランドのアイデンティティが安定していると、消費者はそのブランドをより信頼するようになります。

5.消費者の信頼感を高めること

VI(ビジュアル・アイデンティティ)の一貫性は、強固なブランドアイデンティティを確立する上で不可欠な要素です。ロゴ、カラー、フォントといった視覚要素を戦略的に統一することで、あらゆる接点において一貫したブランドイメージを消費者に訴求することが可能となります。この視覚的統一性は、ブランドの信頼性とプロフェッショナリズムを効果的に表現し、消費者との長期的な信頼関係構築の基盤となります。さらに、安定したブランドアイデンティティの提示は、消費者の信頼醸成に直接的な影響を与えます。つまり、一貫したVIの展開は、ブランドの市場価値を向上させ、持続的な競争優位性を確立する上で極めて重要な戦略的要素として機能します。

6.ブランドのイメージを高めること

VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、ブランドの本質的価値と理念を視覚的に表現し、消費者の心理に働きかける重要な戦略的要素です。例えば、プレミアムブランドが採用する洗練された配色や、無駄を排除したスタイリッシュなデザインは、そのブランドが持つ卓越した品質と価値を効果的に表現します。この視覚的表現を通じて形成されるブランドイメージは、消費者の好感度と信頼性を向上させる重要な要因となります。結果として、市場における選好性が高まり、競争優位性の確立につながります。つまり、戦略的なVIの構築は、ブランドの本質的価値を視覚的に具現化し、市場での持続的な競争力を獲得する上で不可欠な要素といえます。

[ 関連記事 ] VI(ビジュアル・アイデンティティ)の目的と開発事例とは

■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の成功事例

AppleのVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

【 AppleのVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

シンプルでスタイリッシュなデザインで
高い評価を得ています。

AppleのVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、その名の由来である「林檎」のロゴに象徴されています。このシンプルな黒のシルエットは、製品の革新性と洗練された美意識を見事に表現し、今や世界的なブランドシンボルとなっています。Appleのデザイン戦略の特徴は、徹底した一貫性にあります。製品のUIから、パッケージング、広告、店舗デザインに至るまで、全ての接点で統一されたビジュアル体験を提供することで、強固なブランドイメージを構築しています。この戦略的なVI展開は、特定のデザインスタイル、カラー、フォントを通じて、視覚的な認知度を最大化し、製品やサービスの強力なブランド化を実現しています。その結果、Appleは独自のエコシステムを確立し、世界規模での圧倒的な支持を獲得するに至っています。これは、体系的なVIの構築と展開が、ブランドの市場価値向上に直結することを示す代表的な事例といえるでしょう。

[ VI(ビジュアル・アイデンティティ)における成功ポイント ]

⚫︎シンプルでミニマルなデザイン
Appleのデザインは「シンプルさ」を基本にしており、製品、パッケージ、広告すべてに無駄を排したミニマルなデザインを採用。これにより洗練された印象を与え、Appleらしいスタイルを強調しています。

⚫︎象徴的なロゴ
Appleのリンゴマークは、世界中で認知されているシンプルで象徴的なロゴです。文字なしでもAppleを想起させる強力なアイデンティティを持ち、どの製品にも一貫して使用されています。

⚫︎モノトーンとホワイトスペースの活用
広告や製品デザインにおいて、モノトーンやホワイトスペースを多く使用し、製品自体を際立たせています。この手法により、シンプルさとプロフェッショナリズムが表現されています。

⚫︎ユニークなフォントとタイポグラフィ
Appleは専用フォント「San Francisco」を開発し、視認性と美しさを両立。統一されたタイポグラフィにより、デジタル画面でも一貫した視覚的アイデンティティが確立されています。

⚫︎製品に合わせたパッケージデザイン
製品のパッケージもVIの一部として、シンプルで高級感のあるデザインを徹底。パッケージの開封体験を含めてAppleらしさを伝え、購入者に特別な体験を提供しています。

⚫︎店舗デザインとの統一感
Apple StoreもVIに基づいたシンプルかつ洗練された空間デザインを採用し、どの店舗でも統一されたブランドイメージが感じられるようになっています。

⚫︎広告のトーンとビジュアル
広告では、製品のデザインや機能性を前面に押し出し、言葉数を減らしながらも製品の魅力を強調するトーンが特徴です。

[ 出典 ] アップル公式サイトより

Coca-ColaのVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

【 Coca-ColaVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

赤と白の配色や独自のロゴ、
キャッチフレーズなどが特徴的です。

Coca-ColaのVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、その特徴的なスクリプトロゴに象徴されています。伝統と現代性を融合させた波打つような曲線は、ブランドの永続的な魅力を表現しています。また、鮮烈な赤と白のコントラストは、強い視覚的インパクトを生み出し、独自のブランドイメージを確立しています。このカラースキームは、広告、パッケージング、販促物に至るまで徹底して統一され、グローバルで一貫したビジュアル体験を提供しています。さらに「Taste the Feeling」というキャッチフレーズは、感情に訴求する親近感のあるメッセージとして、ブランド価値を効果的に強化しています。このような戦略的なVI展開により、Coca-Colaは世界中で愛される普遍的なブランドとしての地位を確立し、世代や文化を超えた強固な支持基盤を構築することに成功しています。これは、一貫したVIの展開が、グローバルブランドの価値向上に直結することを示す典型的な事例といえるでしょう。

[ VI(ビジュアル・アイデンティティ)における成功ポイント ]

⚫︎象徴的なロゴと筆記体のデザイン
Coca-Colaのロゴは、独自の筆記体でデザインされており、消費者に強い印象を与えます。このロゴは長い歴史の中でほとんど変更されておらず、ブランドの伝統と信頼性を表現しています。

⚫︎赤と白のブランドカラー
Coca-Colaを象徴する赤と白のカラースキームは、どの製品や広告にも一貫して使用されており、消費者に強い認知度をもたらしています。赤は「活力」や「楽しさ」を表現し、Coca-Colaのイメージと結びつけられています。

⚫︎独自のコンツアーボトル
Coca-Colaのコンツアーボトル(くびれのある独特な形状)は、ブランドの象徴であり、視覚と触覚で一貫したブランド体験を提供します。このボトルは、暗闇でも手で触るだけでCoca-Colaと認識できるほど独自性が強いデザインです。

⚫︎ハピネステーマの視覚表現
広告やプロモーション活動では「ハピネス」や「共有」のテーマが視覚的に表現されています。楽しさや爽やかさを感じさせるビジュアルが使われ、ブランドイメージが消費者に共感されやすくなっています。

⚫︎統一されたフォント
Coca-Colaの広告やプロモーションで使用されるフォントも統一されており、シンプルで親しみやすいデザインが多く、ブランドの一貫性を維持しています。

⚫︎一貫したビジュアルストーリーテリング
一貫したビジュアルストーリーテリング

⚫︎グローバルで統一されたデザインとローカライズのバランス
グローバルブランドとして統一されたデザインを維持しつつ、各国の文化や習慣に合わせてローカライズした広告展開も行っており、世界中で親しまれるブランドとして認識されています。

[ 出典 ] コカ・コーラ公式サイトより

AirbnbのVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

【 AirbnbVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

シンプルで親しみやすい
デザインが特徴的です。

AirbnbのVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、そのロゴタイプに象徴的に表現されています。小文字で表記された丸みを帯びたフォントと、家の屋根を想起させる三角形のシンボルマークは、親しみやすさと共に、「人々をつなぎ、世界をより広く深くする」というブランド理念を巧みに視覚化しています。特筆すべきは、Airbnbの視覚戦略における写真の重要性です。世界中のユニークな宿泊施設を提供するプラットフォームとして、高品質な写真を戦略的に活用し、没入感のある視覚体験を創出しています。広告やウェブサイトにおいても、この質の高い写真表現は一貫して維持されています。このように、シンプルさと親和性を基調としたVI展開により、Airbnbは独自の宿泊体験を提供するブランドとしての地位を確立し、グローバルな支持基盤の構築に成功しています。これは、明確な理念に基づいたVIの構築が、新しいビジネスモデルの価値向上に寄与することを示す代表的な事例といえるでしょう。

[ VI(ビジュアル・アイデンティティ)における成功ポイント ]

⚫︎「Bélo」シンボルの導入
2014年に「Bélo(ベロ)」と呼ばれるシンボルを導入し、「人」「場所」「愛」「A」の意味を融合。このシンボルにより、Airbnbの理念である「どこにでも居場所がある」というメッセージを視覚的に表現しています。

⚫︎親しみやすさを感じさせるロゴとフォント
ロゴと専用フォントは、柔らかい線とシンプルなデザインで親しみやすさを演出。視認性が高く、どのデバイスでも統一されたイメージを提供するため、ユーザーに一貫したブランド体験を提供します。

⚫︎一貫したカラーとトーン
Airbnbは柔らかく落ち着いたカラーパレットを採用し、視覚的な安心感と温かみを演出。特にピンクやサンドカラーが多く使用され、ユーザーに居心地の良さや信頼感を伝えています。

⚫︎ビジュアルでのコミュニティ重視の表現
Airbnbの広告やウェブサイトでは、実際のホストとゲストの写真や物語が多く使用され、ユーザー同士がつながるコミュニティを強調しています。これにより、単なる宿泊サービスではなく、「体験の共有」をブランドメッセージとして伝えています。

⚫︎地域ごとに柔軟に対応したデザイン
グローバルに統一されたVIを維持しつつ、各地域の文化や特性に合わせたローカライズ戦略も採用。これにより、世界中で親しまれながらも、各地域での親近感や適応力が高まります。

⚫︎シンプルでユーザーフレンドリーなUI/UX
WEBサイトやアプリのデザインは、直感的で操作しやすく、ユーザーが迷わず使えるよう設計されています。余分な装飾を排し、ユーザーにとってシンプルで快適な使用体験を提供しています。

⚫︎ホストのためのビジュアルガイドライン
Airbnbはホスト向けにもブランドガイドラインを提供し、物件写真の撮影やゲスト対応に一貫性を持たせることで、Airbnb全体のブランドイメージが統一されるよう配慮しています。

[ 出典 ] エアビーエンドビー公式サイトより

FedExのVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

【 FedExVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

シンプルで認識性の高いロゴと、
独自のデザインが特徴的です。

FedExのVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、その戦略的なロゴデザインに特徴が表れています。紫を基調とした文字構成は、一見シンプルでありながら、文字間に巧妙に配置された矢印のネガティブスペースが、スピードと正確性という企業価値を象徴的に表現しています。このロゴデザインの視覚的要素は、企業活動全般に一貫して展開されています。例えば、輸送車両や航空機には、コーポレートカラーである紫を効果的に使用し、側面には矢印モチーフを大胆に配置することで、迅速性と確実性というサービス品質を視覚的に強調しています。このように、シンプルさと高い認識性を基調としたVI展開により、FedExは高品質な輸送サービスプロバイダーとしての確固たる地位を確立しています。特に、ロゴに込められた視覚的な仕掛けは、ブランドの本質的価値を巧みに表現し、グローバルなビジネス領域における信頼獲得に大きく寄与しているといえるでしょう。

[ VI(ビジュアル・アイデンティティ)における成功ポイント ]

⚫︎象徴的なロゴデザインと隠れた矢印
FedExのロゴは、”E”と”X”の間に矢印が隠されており、「速さ」や「前進」という意味を暗示しています。このシンプルで洗練されたロゴは、ブランドの信頼性や迅速さを視覚的に表現しています。

⚫︎サービスごとのカラー区分
ロゴの「Ex」部分のカラーがサービスごとに異なり、FedEx Express(オレンジ)、FedEx Ground(緑)など、視覚的に各サービスを識別しやすくしています。これにより、消費者がどのサービスを利用しているかを一目で把握できるようになっています。

⚫︎一貫性のあるフォントとタイポグラフィ
FedExは一貫性のあるフォントとシンプルなデザインを採用し、視認性が高く信頼感を与えるタイポグラフィを維持しています。これにより、広告やウェブサイト、パッケージングなど、どの媒体でも統一感のあるブランド体験が提供されています。

⚫︎ビジュアルとメッセージのシンプルさ
FedExの広告やプロモーションでは、複雑さを排したシンプルなデザインとメッセージが特徴です。「The World on Time」など、明快なスローガンを用いることで、迅速で信頼できる配送サービスの価値を強調しています。

⚫︎車両や航空機へのブランディング
FedExのトラックや航空機にはロゴとブランドカラーが大きく配されており、移動する広告塔として機能しています。これにより、街中や空港での視覚的な認知度が高まり、どこにいてもFedExの存在感が際立ちます。

⚫︎社員の制服や配送センターのデザイン
FedExの従業員の制服や配送センターのデザインもVIの一環として統一されており、顧客と接するあらゆる場面でブランドの一貫性が保たれています。これにより、顧客に対して信頼感と安心感が伝わりやすくなっています。

⚫︎グローバル展開とローカライズのバランス
FedExは世界中で統一されたVIを持ちながら、地域に応じたローカライズも行っています。各国で同じFedExブランドが感じられる一方、地域のニーズに合わせたアプローチが取られています。

[ 出典 ] フェデックス公式サイトより

■ まとめ

VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、企業のブランド価値を視覚的に体系化し、展開する戦略的なフレームワークです。具体的には、シンボルやロゴマークなどのデザイン要素を明確なガイドラインのもとで統制し、広告物や印刷物などのあらゆる接点において一貫した視覚表現を実現します。これはCI(コーポレート・アイデンティティ)と共通する部分もありますが、両者は共に「企業価値のブランド化」および「商品価値のブランド化」を目的とした経営戦略の重要な構成要素として機能します。視覚的な統一性を通じて、ステークホルダー(顧客、取引先、求職者、社会)に対して、ブランドの価値を効果的に訴求することが可能となります。つまり、VIは単なるデザインの統一ではなく、企業の経営理念とブランド価値を視覚的に具現化する戦略的なマネジメントツールとして位置づけられるのです。

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

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