CHIBICO BLOG

[ ブランディングデザイン ]

ブランドブックの目的や構成と開発ポイント

ブランドブックとは、ブランドの方向性や価値観、目指すべき姿や理念などを理解・浸透させることを目的として制作し配布する社員向けの小冊子のことです。社内報や社内ポスター、社員向けブランド研修とならんで、インナーブランディング活動の場において、とても重要な役割を果たすアイテムなのです。


ブランドブックの目的と役割の変化

[ 出典 ] HALLOWEENサイトより>https://halloween1031.jp

理解浸透から社内活動へ

ブランドブックとは、全社員に向けて企業ブランドの目指すべき姿を、正しく理解・浸透させることが主な目的でした。しかし、インナーブランディングの活動が社員の意識や啓蒙だけを目的とした内容から、日常業務の中におけるブランド価値向上を目的とするものへと進化してきました。そのため、単なる理解・浸透のためのツールの役割から、事業繁栄のための業務活動促進ツールへと目的が変化しているのです。

ブランドブックの主な構成内容

[ 出典 ] BEHANCEサイトより>https://www.behance.net/gallery/44592557/Brand-Guideline-Book

7つの基本要素

● ビジョン(志・夢・目的)
● ミッション(志・夢・目的の実現に向けて実施すべき事)
● バリュー(お客様に提供する機能的・情緒的価値)
● ブランドコンセプト(ブランドの考え方)
● ブランドメッセージ(ブランドが発信する言葉)
● シンボルやロゴデザインの意味
● ブランドのガイドライン

ブランドブックの基本的な構成内容は、ブランドが提供する価値の定義であ「ビジョン」「ミッション」「バリュー」や「ブランドコンセプト」「ブランドメッセージ」、ブランドのデザイン要素である「シンボル」や「ロゴ」のデザインに込められた意味やガイドラインなどが主になります。しかし最近では、インナーブランディング活動の目的の拡大により、ブランドのビジョンを実現するために各部署や社員自身がどんな目標を持ち、どう行動すべきかを示す行動指針やクレド的な役割が強く求められるようになりました。

ブランドブック開発における3つのポイント

[ ポイント① シンプルな構成や表現にする ]

自社のブランドや事業内容を複雑な図や表ばかりで説明する、似たようなワードが大量に並ぶもの、カタカナや専門用語ばかりで読み手が考え込んでしまうようなブランドブックも多々あります。もちろん、企業活動は多岐に渡り、多様なステークホルダーがいる中で最大公約数的なまとめ方にならざるを得ず、結果的に複雑かつ難解なブランドブックが出来上がってしまうこともあります。しかし、ブランドブックは制作者の自己満足のために作るものではなく、全社員が深く理解し共感を生み行動につなげるためのものとして作られなければなりません。そして、その先にいる顧客やステークホルダーに自社のブランドのファンになってもらうことが目的なのです。そのためにはシンプルなメッセージで発信し、理解しやすいブランドブックでなければなりません。

[ ポイント② 単なるルールブックにしない ]

ブランドブックの前書きに「ブランドは顧客やステークホルダーとの約束である」という解説を見ることが多い。しかし、ブランドとは受け手の心の中で生まれるものであり、企業とステークホルダーとのコミュニケーションによって醸成されるものなのです。良好なコミュニケーションを行うためにも企業側、そしてそれを実行する社員がステークホルダーに約束をするという考え方は重要なのです。最も注意しなければならないことは、社員にとって「面倒な規則が増えた」と思わせてしまうことです。ブランドブックを手にした際にいかに「目指すべきブランドになりたい」と思わせることができるかこの差はとても大きいのです。“覚える”ことが目的ではなく “実践する”ことが目的なのです。

[ ポイント③ 横文字(カタカナ)だらけにしない ]

スローガンやビジョンなどの様々なメッセージを発信する時に、英語を始めとする外国語を利用することが多く 見られます。もちろん、外資系企業に見られるように社内での公用語が英語である場合、全世界に向けた共通のメッセージである必要があります。しかし、そのような必要がない場合に、カタカナやアルファベットを乱用することは、受け手の理解を大きく妨げることもあります。残念ながら、カッコ良いなどの理由で、安易に外国語のメッセージを使うことも少なくありません。

ブランドブックを浸透させるための手法

左図 : だだ配布する   右図 : 内容説明とともに配布する

社内での講習会・研修・ワークショップ

「わかりやすいブランドブックができたから読んでくれるに違いない」と思いがちですが、そんなに甘くありません。なぜなら世間の「活字離れ」は深刻な問題だからです。ただ配布するだけではざっと目を通してくれる程度と捉えるべきです。そこで必要になってくるのが社内での講習会やワークショップの開催などです。社内で社員の方が実施するとすれば、人事部などが主催する研修が思い浮かぶと思います。しかし、それ以外にもブランドのワークショップの機会は、いろいろな形で実現できます。実施しやすいブランド講習の形式は企業ごとの形態で異なります。本社や工場などの多くの人が集結して働く職場でしたら、定期的に全社員を集めた会議や朝礼の様な機会を利用することも可能です。しかし、支店や出張所など遠隔地で人数も少ない職場のケースだとブランド担当者がすべての拠点に出向いて説明するわけにも行かないと思います。その様な場合には、ブランドブックの内容を要約した解説書を定期的に発行し、社内のイントラに掲載するなどの工夫が必要になります。

まとめ

ブランドブックの重要な役割は、「ブランドブックの内容を、全ての社員が自分の業務に取り込むこと」です。残念なことに、ブランドブックを制作し配布することが目的化してしまっているケースも多く、このような場合は1ヶ月もすればブランドブックは書類の山に埋もれてしまい読み返されることもありません。社員が企業のブランドを正しく認知・理解し、それを行動に反映させるためには、ただ配布するのではなく講習会やワークショップを同時に開催することも必要です。ブランドブックの役割は、その内容を理解させるところまでです。業務の目的やスタイルが多様である社員の1人1人が、自らの業務にブランドの考え方を反映させるためには、自分で考え、行動し、実感し実践するというプロセスが重要なのです。自社のブランドを知ることは、ブランドを自分の行動や活動に取り込むことなのです。少なくとも、従業員に読まれないブランドブックでは、企業のブランド価値を高めていくことはできません。押し付けるのではなく、共有するという視点を持つことが、成功への1歩なのです。

【 おすすめ記事 】 ロゴガイドラインの目的や構成と開発事例
https://chibico.co.jp/blog/branding-design/logo-guidelines-019/

【 おすすめ記事 】 クレドの必要性と効果とは何か?
https://chibico.co.jp/blog/branding-design/credo-029/

関連記事

ブランドステートメントとは、企業のブランドが掲げる理念や使命を簡潔な文とし…
ブランディングにとってのデザインとは、ブランドの世界観を創造することです。…
ビール業界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブは米国内で販売する「バド…
有名ブランドのロゴデザインの多くはロゴタイプのみ(文字のみ)のシンプルなデ…
自動車ブランドにとって、シンボルのデザインはとても重要な存在です。その理由…
暮らしの中で見聞きすることが多いのブランドスローガン。しかし、そのフレーズ…
人気画像共有アプリのインスタグラム(フェイスブック傘下)は、これまでビンテ…
色には、イメージやメッセージを伝える力があります。ブランドカラーは、ユーザ…
credo design
インナーブランディングとは、企業が社員に対してブランドの方向性や目指すべき…
CI(コーポレート・アイデンティティ)という言葉を聞いたことがある。もしく…
  • CATEGORY

  • ブランディングを語る際に使用する用語集です。
    分からない用語が出てきた場合などにご活用ください。
    日々の暮らしの中の愛用品から街で見つけたデザインまで
    気まぐれに採集しています。
    弊社がブランディング開発をしてまいりました
    プロジェクトごとの実績集です。