
[ ブランディングデザイン ]
ヒットしたのは、名前が良かったからか?ネーミング開発で間違えやすい判断とは
良い名前を付ければ、商品は売れるのでしょうか?
覚えやすく、響きが良く、独自性のある名前。ネーミングには成功条件があります。しかし、すべて満たしても必ずヒットするとは限りません。名前の完成度と商品の成果は別の問題だからです。重要なのは、言葉の良さではなく、誰に何を伝え、どのような行動につなげたいのか、目的を明確にすることです。
商品の魅力が伝わらない原因は、本当に名前にあるのでしょうか。提供価値が曖昧なのか、競合との違いが見えないのか、顧客との接点に課題があるのか。原因を見誤れば、名前を変えても問題は解決しません。依頼前に確認すべきことは、名称の好みよりも、事業や商品の課題とその名前に担わせる役割です。
本記事では、ネーミングの成果の捉え方、依頼する前の確認事項、判断を誤らない進め方について、株式会社チビコ代表取締役/ブランディングディレクターの今田佳司が、実務経験をもとに解説します。
CONTENTS | 目次
■ ヒットしたのは、名前が良かったからか?

ヒットした名前に共通点があってもそれだけで売上への効果は証明できません。商品力、価格、販売経路、広告、顧客体験など、成果を左右する条件があります。CHIBICOは成功事例の語感をまねるのではなく、名前が何の課題を解決し、どの接点で機能したのかを確認します。
1. ヒット商品には名前以外の成功要因がある
有名ブランドの名前を分析すると、発音しやすさ、独自性、意味の伝わりやすさなど、多くの共通点が見つかります。しかし、共通点があることと、その特徴がヒットを生んだことは別の問題です。優れた商品力、価格設定、販売チャネル、広告、顧客体験などが組み合わさって成果が生まれます。ネーミングは、その価値を顧客に伝える重要な役割を持ちますが、すべてを解決するわけではありません。
[ 研究から分かる、名前の音と商品評価の関係 ]
YorkstonとMenon(2004年)の研究では、ブランド名を構成する音が、消費者の商品属性の推測やブランド評価に影響することが示されています。これは「音象徴」と呼ばれる現象で、名前の響きが商品の印象を左右する可能性を示しています。ただし、音だけで商品のヒットや売上が決まるわけではありません。CHIBICOでは、響きの良さに加え、商品の提供価値、顧客との適合性、競合との違いを総合的に判断することが重要だと考えています。
2. 名前が担う役割を明確にする
- 認知:顧客に存在を知ってもらう
- 理解:商品や事業の価値を伝える
- 識別:競合との違いを明確にする
- 記憶:思い出しやすくする
- 継続:長期的なブランドの発展につなげる
CHIBICOでは、名前の完成度だけを評価するのではなく、ブランドの中でどのような役割を果たすのかを確認します。すべての役割は同等ではありません。何を優先するかは、それぞれの課題によって変わります。
3. CHIBICOは名前の良さを何で判断するのか?
私が実務で重視しているのは、「なぜ、その名前でなければならないのか」を説明できることです。面白い、かっこいい、覚えやすいといった評価だけでは十分ではありません。顧客が何を理解し、競合と何を区別し、その名称によってどのような問題が解決されるのか。名前を考える前に、そこまで明確にすることが重要です。
■ 名前を考える前に、何をゴールにすべきか?

ネーミングのゴールは魅力的な言葉を完成させることではありません。認知不足、価値の伝達不足、競合との混同など、問題を明確にし、顧客にどんな変化を起こしたいかを定めることが先決です。CHIBICOは名前を成果物ではなく、課題を解決するための手段として考えます。
1. 最初に決めるのは名前ではなく、目指す状態
私はブランディングを登山に例えて考えることがあります。最初に決めるべきなのは、どのルートを登るかではなく、どの頂上を目指すのかというゴールです。ネーミング開発も同じです。名前を新しくすることではなく、顧客にどう認識され、どのような成果につなげたいのかを先に決める必要があります。
2. 同じゴールでも解決方法は一つではない
「商品の価値が伝わらない」という課題でも、名前の変更が解決策とは限りません。商品コンセプトや説明文を明確にする、パッケージを見直す、WEBの情報構成を改善するなど、方法は複数あります。原因を見極め、適切な方法を選ぶことが重要です。最初から改名を前提にすると、選択肢を見落とします。
3. ゴールによって必要な名前は変わる
例えばBtoBの専門サービスでは、顧客がサービスの役割や導入メリットを理解できることが重要になる場合があります。一方、BtoCの商品では、情緒的な魅力や利用体験を想起させることが重要になる場合があります。どちらが正しいということではありません。目的と顧客が変われば、求められる名前も変わります。
■ 最初から「これを作って」と決めるのはなぜ危険か?
最初に名称やロゴなどを指定すると、必要な解決方法を見落とす場合があります。商品の魅力が伝わらない原因は、名前ではなく、提供価値や顧客設定、説明方法にあるかもしれません。CHIBICOでは、依頼内容を尊重しながら複数の方法を比較し、適切な開発範囲を提案します。
1. 依頼内容と本当の課題は一致しないことがある
「ネーミングを新しくしたい」という依頼には、さまざまな背景があります。古い印象を変えたい、商品の魅力が伝わらない、競合との違いが分からない、新しい市場に進出したい。しかし、その問題が本当に名称に起因しているかは、別途確認する必要があります。CHIBICOでは、相談いただいた成果物をそのまま開発することだけを目的にせず、まず依頼の背景を理解することを重視しています。

2. 課題に応じて解決方法を比較する
名称が問題であればネーミングを開発し、別の部分に原因があれば、その改善を優先します。
⚫︎名前を覚えてもらえない
覚えにくい原因が、名前の長さや発音にあるのか、接触機会の少なさにあるのかを確認します。名称の短縮や表記の整理で改善できる場合もあり、改名も他の改善策と比較して判断します。
⚫︎何の商品か伝わらない
商品の用途や価値が伝わらない場合、名前だけで説明する必要はありません。商品説明やコピー、パッケージ、WEBの情報構成を見直し、名称変更の必要性や費用対効果まで比較します。
⚫︎競合との違いが不明確
競合と似て見える原因が名前にあるのか、商品自体の特徴や訴求内容にあるのかを見極めます。まず独自の提供価値を整理し、名称の変更とコンセプトや表現の改善を比較して判断します。
⚫︎古い印象を持たれている
古い印象の原因が名称なのか、ロゴやパッケージ、発信内容なのかを確認します。長年培ってきた認知や信頼を残せるなら、名前は維持し、見せ方だけを刷新する選択も十分に検討します。
⚫︎新事業を適切に表現できない
新事業と既存名称の間に、どの程度のズレがあるかを確認します。説明文やブランド体系の整理で対応できるのか、新名称が必要なのかを比較し、将来の事業展開まで見据えて判断します。
3. プロの提案を聞いてから開発範囲を決める
担当者が十分に勉強し、具体的な要望を持って相談することは重要です。ただし、事前に決めた方法だけが正解とは限りません。一度専門家の提案を聞き、複数の選択肢を比較することで、当初想定していなかった解決方法が見つかることがあります。
■ CHIBICOはネーミングの必要性をどう判断するのか?

CHIBICOは、改名の必要性を好き嫌いや新しさだけでは決めません。現在の事業内容、顧客からの認識、これから目指す姿をまず比較し、名称がその間のズレを生んでいるかを確認します。必要であれば新名称を開発し、名前を残す方が合理的なら、別の改善方法を検討します。
CHIBICOが考える3つの判断基準
① CURRENT BUSINESS|現在の事業
現在どのような事業を行い、誰に何を提供しているのかを整理します。商品の機能だけでなく、顧客が得る価値、事業の強み、競争環境まで確認し、名前が表すべき対象を明確にします。
② CURRENT BRAND|現在の立ち位置
顧客や市場からどのように認識されているかを確認します。名前に認知や信頼が蓄積されている場合、それを失うこともリスクになります。残すべき価値と、変える必要がある部分を分けて判断します。
③ FUTURE VISION|未来のビジョン
将来どの市場へ進出し、どのような価値を提供したいのかを確認します。現在の事業だけに適した名称では、今後の展開を妨げる場合があります。将来の方向性と名称の適合性を検討します。
名前を「残す・変える・加える」で判断する
この3つの視点から、CHIBICOでは次の選択肢を検討します。
- 残す:名前を維持して、蓄積された認知や信頼を活かす
- 変える:事業やブランドの方向性に合わせ、新しい名称を開発する
- 加える:名称を維持し、スローガンやVI、説明表現などを改善する
重要なのは、新しい名前を開発すること自体ではなく、ブランドの課題に合う選択をすることです。
■ 頼み方ひとつで、なぜ結果が変わるのか?

ネーミング開発の結果は、相談の仕方でも変わります。担当者が勉強することは有益ですが、手法や答えを固めすぎると、専門家の経験から生まれる別の選択肢が見えなくなります。CHIBICOは目的と違和感を率直に共有し、提案の理由を互いに確かめる対話を重視しています。
1. 知識が豊富な担当者ほど注意したいこと
25年間のブランディング経験を通じて、数多くの勉強熱心な担当者に出会いました。文献や事例を調べ、自社の課題を理解して相談する姿勢は、大きな強みです。一方、手法や結論を固定すると、別の可能性を見落とします。知識を土台にしながら、専門家の経験と実務の知見も踏まえ、解決策を探ることが重要です。
2. 素朴な疑問を率直に伝える
専門家の提案を、理解したふりをして受け入れる必要はありません。「なぜこの方法なのか」「他に選択肢はないのか」「本当に名前を変えるべきか」と問いかけてください。発注者の意向を優先するのでも、プロの意見に従うのでもありません。互いの考えと理由を確かめながら、納得できる判断を重ねます。
3. 多数決ではなく、目的に照らして判断する
ネーミング候補を選ぶ際、好みの多数決だけで決定することはおすすめしません。投票は意見を把握する手段ですが、事業課題を解決できるかどうかは判断できません。誰に向けた名前なのか、どの価値を伝えるのか、競合とどう違うのか。共有した評価基準に沿って、候補を比較し、選定することが重要です。
➤ 詳細記事:ブランディングの発注方法|依頼前の準備・ゴール設定・進め方
■ 有名ブランドは何を変えるために名称を見直したのか?
ブランドの改名は、名前の響きより、何を伝え直そうとしたかを見るべきです。Gemini、Dunkin’、HBO Maxの事例は、それぞれ技術との関係、事業の重点、既存の認知価値という異なる課題を示しています。成功を名前だけの功績と決めつけないことが重要です。

Google Gemini|名称を技術と製品の関係に合わせる
Googleは2024年2月、対話型AIサービス「Bard」を「Gemini」へ変更しました。Googleは、GeminiというAIモデル群の技術的な位置づけを製品名にも反映するため、BardをGeminiへ変更すると説明しています。この事例から分かるのは、名称を単なる言葉の印象ではなく、技術と製品の関係から判断していることです。
[ CHIBICOの視点 ]
名称は響きや印象だけで判断せず、技術と製品、ブランドの関係を整理して決めます。何を指し、どの価値を提供するのかがより明確になれば、顧客の理解と認識の一貫性につながります。
[ 出典 ] Google公式|BardからGeminiへ(2024年2月8日)

Dunkin’|事業の重点を名称に反映する
Dunkin’ Donutsは2018年に名称変更を発表し、2019年1月からブランド名を「Dunkin’」へ変更しました。これは単なる省略ではありません。企業は飲料を中心とする、手軽に利用できるブランドへの転換を理由の一つとして説明しています。一方で、ドーナツを提供するという事業の核は維持しました。
[ CHIBICOの視点 ]
名称変更では、事業の方向性を示すだけでなく、顧客に認知された価値を残す判断も重要です。変えるものと継承するものを明確にし、既存の信頼を生かしながらブランドを進化させます。
[ 出典 ] Dunkin’公式|Welcome to Dunkin’(2018年9月25日)

HBO Max|既存名称の認知価値を見直す
Warner Bros. Discoveryは2025年5月、動画配信サービス「Max」を再び「HBO Max」へ改称すると発表しました。同社は、単にコンテンツの量を増やすことではなく、質の高いコンテンツを求める顧客ニーズや事業方針を重視しています。この事例は、一度変更した名称であっても、顧客との関係やブランドの強みを踏まえ、再評価する必要があることを示しています。
[ CHIBICOの視点 ]
新しく短い名前が、必ずしもブランドの価値を高めるとは限りません。顧客に蓄積された認知や信頼、事業の強みを見直し、名称を変えるか戻すかを比較検討して判断することが重要です。
[ 出典 ] Warner Bros. Discovery公式|Max to Become HBO Max(2025年5月14日)
3つの事例に共通する判断
3つの企業が名称に求めた役割は異なります。Geminiは技術と製品の関係、Dunkin’は事業の重点、HBO Maxは既存ブランドの認知価値です。CHIBICOが重視するのも、言葉の表現だけを比較するのではなく、どの課題を解決するために、その名称を採用するのかという判断です。
■ CHIBICOのネーミング開発実績
CHIBICOの実績では、名称の由来より何を課題と捉え、何を伝える言葉を選んだのかを重視します。OPTICOはリサーチDX、MONOCOTOはモノの先にある体験、CLARTEは感謝の想いを贈る体験という価値を整理した事例です。名前と表現を一体で確認します。

OPTICO|機能の説明ではなく、提供価値を名称にする
[ 背 景 ]
上市前の商品開発に特化したマーケティングリサーチDXプラットフォームとして、サービスの役割と独自の価値を明確に伝える必要がありました。調査業務を効率化するだけでなく、生活者の視点を取り入れ、商品アイデアの最適化まで支援する価値をどう表現するかが、ネーミング開発の重要な課題でした。
[ 判 断 ]
名称をリサーチ機能の説明にとどめず、生活者の視点からアイデアを最適化する価値を中心に据えました。Optimization、Optic、Consumerの意味を組み合わせ、単なる調査ツールではなく、商品開発の意思決定を支えるサービスであることが顧客に明確に伝わる名称を目指しました。
[ ネーミングの由来 ]
OPTICOは、「Optimization(最適化)」「Optic(視点)」「Consumer(生活者)」の考え方を組み合わせた名称です。生活者を理解し、商品アイデアをより良い方向へ導くという役割を表現しました。機能を説明するだけでなく、サービスの提供価値を一語に集約しています。
[ 開発範囲 ]
ネーミング、ブランドロゴ、コーポレートロゴタイプ、名刺、UI、WEB、ロゴガイドラインなど。

MONOCOTO|モノづくりを、体験価値へ広げる
[ 背 景 ]
ソーシャルマニュファクチュアリングサービスとして、製造機能だけでなく、モノを通じて生まれる体験や人とのつながりを伝える必要がありました。製品をつくるサービスと認識されると、利用する楽しさや共創の価値が伝わりません。モノづくりの先の提供価値を、ブランドとしてどう示すかが課題でした。
[ 判 断 ]
「モノ」と「コト」を組み合わせ、製品そのものと、使うことで生まれる体験を一つのブランド価値として整理しました。製造の機能説明にとどまらず、人と人との関係や新しい楽しみまで想起できる名称を目指しました。その考え方をブランド戦略やコンセプト、シンボル、WEBへと一貫して展開しました。
[ ネーミングの由来 ]
MONOCOTOは「モノ」と「コト」を組み合わせた名称です。製品が豊富にある時代だからこそ、つくることや所有することだけでなく、使う楽しさ、経験の共有、人とのコミュニケーションに価値があると考えました。モノづくりを通じて新しい体験やつながりを生み出すブランドの姿勢を表しています。
[ 開発範囲 ]
ブランド戦略、コンセプト、ネーミング、シンボル、WEB、サービス案内、ロゴガイドラインなど。
[ 詳細 ] CHIBICO WORKS | MONOCOTOより

CLARTE|感謝という想いを、贈る体験へ変える
[ 背 景 ]
ショップの5周年を記念し、支えてくれた顧客へ感謝を伝える限定ブランドが求められました。アロマキャンドルとメッセージカードを通じ、単なる記念品ではなく、ショップが大切にしてきた想いや顧客との関係を形にすることが目的でした。贈る人と受け取る人に、温かな気持ちが残る体験を目指しました。
[ 判 断 ]
感謝や日々の小さな楽しみ、大切な人の幸せを願う想いを、「光」「輝き」を意味するフランス語のCLARTEに重ねました。名称で完結させず、アロマキャンドルの灯り、メッセージカードの言葉、パッケージまで一貫して展開。贈る行為そのものがショップの想いを伝える体験となることを重視しました。
[ ネーミングの由来 ]
CLARTEは、フランス語で「光」「輝き」を意味する「Clarté」に由来します。キャンドルが生み出す優しい灯りと、贈る相手の幸せを願う気持ちを一つの名前に重ねました。目に見える光だけでなく、感謝の言葉が人の心を明るくするという想いを込め、記念品を超えた贈る体験を表現しています。
[ 開発範囲 ]
ネーミング、シンボル、ロゴタイプ、ブランドステートメント、製品、パッケージ、メッセージカードなど。
[ 詳細 ] CHIBICO WORKS | CLARTEより
CHIBICOの事例から分かること
3つの案件では、事業や商品の性質も、名称が果たす役割も異なります。重要なのは、表現方法を先に決めていないことです。何を伝えるべきかを整理し、その答えとして名称を開発する。さらに、ロゴ、WEB、商品、各種ツールなど、実際の接点で機能するよう展開することが、CHIBICOのネーミング開発の特徴です。
■ 商品ネーミングは誰に、どこまで、どう頼むべきか?

依頼先は、名前の候補だけが必要なのか、商品の提供価値から整理する必要があるのかで変わります。言葉の開発なら専門家、課題の整理からロゴやWEBまで必要なら一貫して対応できる会社が候補です。CHIBICOでは、発注前から目的に合う進め方をまず一緒に検討します。
1. 誰に頼むかは、解決すべき課題から考える
商品コンセプトが明確で、名称候補の開発だけが必要な場合は、ネーミングやコピー開発の専門家が候補になります。一方、商品の提供価値や競合との違いから整理する場合には、ブランド戦略から名称、デザインまで一貫して検討できる会社が適しています。
➤ 詳細記事:ブランディング会社の選び方|誰に頼むか・何を比較するか・失敗を防ぐ判断基準

2. どこまで頼むかは、必要な開発範囲で決める
CHIBICOでは、最初から開発範囲を決定せず、目的や課題を確認したうえで必要な領域を検討します。
⚫︎ 名前を考えたい
商品やサービスの特徴、顧客、競合が整理できている場合は、名称候補の開発を主に依頼します。候補の比較評価に加え、商標や類似名称の確認範囲も事前に共有しておくことが重要です。
⚫︎ 名前と価値を明確にしたい
名称だけでなく、商品が誰にどのような価値を提供し、競合と何が違うかを整理する必要があります。ブランドコンセプトや訴求内容の開発も含め、名前の役割と判断基準を明確にします。
⚫︎ ブランド全体を見直したい
名称の課題がブランド全体の方向性や顧客の認識と関係する場合は、戦略から見直します。必要に応じて、コンセプト、ロゴ、パッケージ、WEBなどを含めた開発範囲を広く検討します。
3. どう相談するかが結果を変える
「このような名前を作ってください」と完成形を指定するよりも、「現在こういう課題がある」「顧客にこう認識してもらいたい」と伝える方が、解決方法を幅広く比較できます。
プロの話を十分に聞き、疑問があれば率直に伝えることが重要です。課題を共有し、理由を持って判断できる関係が、より良い開発につながります。
➤ 詳細記事:ブランディングの発注方法|依頼前の準備・ゴール設定・進め方
■ ネーミングの成果は何で評価すべきか?

ネーミングの成果は、売上だけで判定せず、名前が担う役割に沿って確認します。認知を高める目的なら想起率、理解を促すなら提供価値の伝達率、混同を減らすなら識別性が指標になります。CHIBICOは開発前に評価する項目を定め、名前以外の施策の影響も分けて考えます。
1. 目的に応じて評価指標を設定する
⚫︎ 認知を高める
商品の機能や特徴を直感的に理解してもらいたい場合に適しています。新しいカテゴリーや認知の低い商品で有効ですが、競合と似た表現になりやすいため、独自性や商標面も確認します。
⚫︎ 価値を伝える
複数の言葉を組み合わせて、新しい言葉をつくる方法です。独自の世界観や識別性を重視する商品に向きますが、意味が伝わりにくい場合もあるため、発音や記憶のしやすさを検証します。
⚫︎ 競合と区別する
商品の価値や体験を、別のものにたとえて伝える方法です。機能だけでは表せない情緒的な魅力を訴求したい場合に有効ですが、そのイメージが顧客に伝わるかを確かめる必要があります。
⚫︎ 記憶される
音や動き、感触などを言葉で表し、商品の体験を感覚的に伝える方法です。食品や日用品など、使用感が選択理由になる商品に向きますが、幼い印象や既存名との類似にも注意が必要です。
⚫︎ ブランド全体を成長させる
音や動き、感触などを言葉で表し、商品の体験を感覚的に伝える方法です。食品や日用品など、使用感が選択理由になる商品に向きますが、幼い印象や既存名との類似にも注意が必要です。
2. 開発前と公開後の変化を確認する
公開後に数字を確認するだけでなく、名称変更前やブランド公開前の状態を記録しておくことが重要です。開発前後で同じ条件の調査を行うことで、顧客の理解や認識がどの程度変化したかを把握しやすくなります。ただし、広告や商品の変更など、同時に実施した施策の影響も考慮する必要があります。
3. 名前の成果と事業全体の成果を区別する
売上が増えても、そのすべてが名前による効果とは限りません。ネーミングが果たす役割を事前に定め、その役割に適した指標を確認します。CHIBICOでは、名称の完成をゴールとするのではなく、実際の事業やブランドの接点で適切に機能しているかを重視します。
■ ネーミングを相談する前に何を準備すべきか?
相談前に必要なのは、完成した企画書や好みの名前一覧ではありません。困っていること、顧客、競合、商品やサービスの特徴、時期を共有できれば、検討を始められます。CHIBICOは決まっていないことも含めて話を伺い、課題と必要な支援範囲を整理することを重視します。
1. 相談前に共有したい5つの情報
- 現在の課題:どのような問題を解決したいのか
- 商品や事業の内容:何を、誰に提供しているのか
- 顧客と競合:誰に選ばれ、何と比較されるのか
- 目指す状態:顧客にどう認識されたいのか
- 条件と制約:公開時期、決裁体制、予算の目安など
2. 決まっていないことも、そのまま伝える
最初の相談段階で、すべての情報が整理されている必要はありません。むしろ、何が分からないのか、どの判断に迷っているのかを共有することが重要です。「名前を変える必要があるか分からない」という状態も、相談の出発点になります。

■ ネーミング開発に関するよくある質問
ネーミングの相談では、候補数、期間、費用、商標確認、既存名称の扱いなどが論点になります。ただし、どれにも一律の正解はなく、ブランドの課題と開発範囲によって答えは変わります。
Q1. ネーミングだけを依頼することはできますか?
コンセプトや提供価値が明確な場合は、名称開発に絞って依頼する方法があります。ただし、課題によってはブランド戦略やデザインも含めた方が適切な場合があります。相談時に必要な範囲を確認します。
Q2. 名前が決まっていない段階でも相談できますか?
問題ありません。何を解決したいのか、どのような商品や事業なのかを共有することから始められます。候補案を用意するよりも、現在の課題と目指す姿を伝えることが重要です。
Q3. ネーミングの候補は多いほど良いのでしょうか?
候補数だけで品質は判断できません。重要なのは、目的に合う方向性を十分に比較できることです。名前の数よりも、候補ごとの違いや採用理由を説明できることを重視します。
Q4. 社内の多数決で名前を決めてもよいのでしょうか?
多数決は意見を把握する参考にはなりますが、それだけで最終決定することはおすすめしません。顧客、競合、提供価値、将来展開など、事前に共有した判断基準に沿って評価することが重要です。
Q5. ネーミングの商標調査も必要ですか?
必要です。候補の段階から商標、類似名称、商品・役務との関係を確認します。検索で同名が見つからないことは、使用や登録の安全性を保証しません。最終的な法的判断は弁理士などの専門家と連携して行います。

■ まとめ
名前で成果を生むために最も大切なことは何か?
ネーミング開発で重要なのは、好みで選ぶのではなく、解決すべき課題と目指す成果に立ち返ることです。ゴールを決め、複数の方法を比べ、専門家と率直に対話し、理由を持って判断する。その積み重ねが、名前を単なる表現から事業に役立つブランドの接点へと変えていきます。
CHIBICOが考えるネーミング開発
ネーミングは、魅力的な言葉を考えることだけが目的ではありません。商品の価値を伝え、競合との違いを明確にし、顧客との関係を育てるための取り組みです。そのためには、最初に何を解決したいのかを定め、複数の方法を比較し、理由を持って判断することが重要です。私は25年間の実務経験から、依頼の仕方や最初の判断によって、プロジェクトの方向が大きく変わることを実感してきました。CHIBICOが大切にしているのは、見た目の完成度だけではなく、企業や商品の課題を解決することです。
[ 参考文献・一次情報 ]
- Google(2024年2月8日)BardからGeminiへの名称変更
- Dunkin’(2018年9月25日)ブランド名称変更の発表
- Warner Bros. Discovery(2025年5月14日)HBO Maxへの名称変更発表
- 特許庁|商標制度と商標検索

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 ネーミングについて、まずはご相談ください 】
新しい名前が必要なのか分からない。商品の魅力がうまく伝わっていない。
名前だけでなく、ブランド全体を見直したい。
こうした段階から、CHIBICOへご相談ください。
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