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[ ブランディングデザイン ]

ブランドステートメント開発事例⑤(製薬会社編)

ステートメントとは、日本語に訳すと発言、声明、宣言、供述、提示、報告書などといった意味になります。コーポレートステートメントやブランドステートメントは、企業やブランドが世の中に対して、その姿勢や存在価値などを、想いとともにわかりやすく端的に表現したメッセージのことです。企業における企業理念に近いものですが、文字だけのものからロゴ化されたもの、使用規定まで細かく定められたものまで様々な仕様やタイプが存在します。今回は、そんなブランドステートメントを事例を踏まえながらご紹介させていただきます。


■ ブランドステートメントとは?

ブランドステートメントとは、企業のブランドが掲げる理念や使命を簡潔な言葉として表したものです。ブランドステートメントは企業が掲げる企業理念(コーポレートステートメント)に近い存在です。企業理念は企業が根本理念とする「どう在るべきか」を示すものですが、ブランドステートメントはブランドが消費者に対して何を提供するかを表明し約束するものであるという意味合いが強いのです。企業そのものがブランドであるという点では企業理念とブランドステートメントが同じ位置づけとなることもあります。

■ ブランドステートメントの目的

暮らしの中で見聞きすることの多いのブランドステートメント。しかし、そのフレーズは覚えていても本来の意味まで理解している方は少ないはずです。では、なぜ多くの企業がブランドステートメントを開発し発信するのでしょうか?それは、企業がブランドの「理念」や「ビジョン」などをステークホルダーにイメージさせることが目的なのです。つまり、「企業がステークホルダーに伝えたいメッセージ」を直感的に伝えるための言葉なのです。

■ ブランドステートメントの開発事例

中外製薬グループ|スローガン

[ 出典 ] 中外製薬・企業理念より

● 創造で、想像を超える。

中外製薬グループでは、「すべての革新は患者さんのために」という事業哲学のもと、革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献することを目指しています。2014年12月には、新たなスローガンとして「創造で、想像を超える。」を制定しました。これまでの常識や枠組みにとらわれず、世の中の人々が待ち望むもの、そしてその期待を超えていくものを継続的に生み出すことにより、ヘルスケア産業のトップイノベーターを目指すという中外製薬の姿勢や社員の想いを込めています。

第一三共|スローガン

[ 出典 ] 第一三共・企業理念より

● イノベーションに情熱を。ひとに思いやりを。

コーポレートスローガンは、コア・バリューとコミットメントで表現されている第一三共らしさをベースに、私たちが何をどのようにして、そして誰のために取り組んでいるかを簡潔に宣言したものです。また、生命関連企業としてふさわしい高い倫理観と社会的良識をもって行動し、社会的責任を果たすことを第一三共グループ企業行動憲章に定め、企業活動を行います。

アステラス製薬|コミュニケーションスローガン

[ 出典 ] アステラス製薬・アステラスについてより

● 明日は変えられる。

この言葉は、私たちアステラスのコミュニケーションスローガンです。病気を患う人々がいる限り、私たちは絶え間ない努力を続け、病気と闘うすべての人々に明るい未来をお届けするという私たちの決意の言葉です。「明日は変えられる。」というシンプルな言葉で、私たちの特性と私たちが患者さんをはじめとするすべてのステークホルダーに提供する価値を表現しています。アステラスは、患者さんをはじめとするすべてのステークホルダーの明日をより豊かにするために活動し、社会から選ばれる企業であり続けたいと考えています。

塩野義製薬|スローガン

[ 出典 ] 塩野義製薬・会社情報より

● SONG for you !

このスローガンは、SHIONOGI のアルファベット中に「SONG」の各文字があることから浮かび上がった言葉ですが、単に形骸的なイメージにとどまらず、「歌とくすりは、どちらも人間を癒す力を持ち、人を励まし、勇気づけ、心と体を立ちなおらせることができる」という共通項があり、シオノギから消費者の皆さまに発信するメッセージに相応しい言葉であることから選ばれました。

エーザイ|企業理念の集約

[ 出典 ] エーザイ・hhcとはより

● ヒューマン・へルスケア

エーザイは、ヘルスケアの主役が患者様とそのご家族、生活者であることを明確に認識し、そのベネフィット向上を通じてビジネスを遂行することを企業理念に掲げています。この理念を一言に集約したものをhhc(ヒューマン・ヘルスケア)と呼び、社員一人ひとりが患者様の傍らに寄り添い、患者様の目線でものを考え、言葉にならない思いを感じ取ることが重要であると考えています。そして、すべての社員が就業時間の1%を患者様と共に過ごすことを推奨しています。

常盤薬品|コーポレートスローガン

[ 出典 ] 常盤薬品・企業情報より

● カラダ・ココロ”トキメキ”創造企業

常盤薬品工業は、「カラダ・ココロ”トキメキ”創造企業」をスローガンに掲げ、医薬品・医薬部外品、食品、化粧品など、必要とされ喜んでいただける商品やサービスの提供を通じて、皆様のカラダとココロに”トキメキ”をお届けします。

ロート製薬|CI(コーポレート・アイデンティティ)

[ 出典 ] ロート製薬・企業情報より

● NEVER SAY NEVER

世の中を健康にするために自分の進むべき道を見据え
どんな困難にもめげず常識の枠を超えてチャレンジし続けること。

「NEVER SAY NEVER」はロートに流れるDNAを表す言葉であり、これから私たちが挑む未来に向かう宣言でもあります。決してあきらめないこと。不可能を可能に変えていくこと。常識の枠を超えて挑み続けること。ロート製薬の歴史は、人がやらない事をやるという挑戦心を持った先人たちにより作られてきました。常識破りの商品開発や、誰もが無理だと思うほど難易度の高い課題も、「難しいからこそ、あえてやる」という精神で切り拓いてきました。そしていま、わたしたちは、ひとりひとりを、社会を、もっともっと健康にしていくために、社員一同決してあきらめない決意で常識を超えるようなユニークで新しい商品やサービスを生み出し、世界中に美と健康を届ける努力をし続けてまいります。私たちの事業とそれに込めた想いを、NEVER SAY NEVER For~に込め、ご紹介します。

■ まとめ

ブランドステートメントの具体的な開発事例について述べてきましたが、一番大切なことは、ブランドステートメントが顧客に与えるインパクトの大切さを理解し、魅力的なブランドステートメントを作らなければならないということです。ブランドステートメントを安易に考え何となく作ってしまうと、効果を期待できないだけではなく、逆にブランドイメージを低下させてしまいます。企業は、ブランドのビジョンや理念を伝えることのできるブランドステートメントをしっかりと考え掲げていくことが重要なのです。

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