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CI(コーポレート・アイデンティティ)の意味や目的と開発とは

[ ブランディングデザイン ]

CI(コーポレート・アイデンティティ)とは?意味・目的・構成要素・7つの開発手順

CI(コーポレート・アイデンティティ)は、企業が「自分たちは何者で、何を大切にし、どこを目指すのか」を明確にし、経営、行動、言葉、デザインへ一貫して結びつける仕組みです。

事業や組織が成長すると、企業が考える自社像と、社員や社会に見える企業像にはズレが生まれます。CIは、そのズレを整理し、企業の現在と未来を一つの方向へつなぐ役割を持ちます。

本記事では、CIの意味、構成、目的、範囲、進め方、運用、事例を整理し、株式会社チビコ代表取締役/ブランディングディレクターの今田佳司が、実務視点から詳しく解説します。


■ CI(コーポレート・アイデンティティ)とは何か?

CI(コーポレート・アイデンティティ)とは何か?

CIとは「Corporate Identity(コーポレート・アイデンティティ)」の略で、企業が何者で、何を大切にし、どこを目指すのかを明確にし、その考えを言葉、行動、視覚表現へ一貫して反映する考え方です。本記事では、システム開発における「Continuous Integration」ではなく、企業のアイデンティティを意味するCIについて解説します。

CIは企業の「見た目」だけでなく「あり方」を表す

CIというと、ロゴやコーポレートカラーを思い浮かべがちですが、中心にあるのは企業の「あり方」です。「なぜ存在するのか」「誰に何を提供するのか」「どこを目指すのか」を明確にし、社員の行動や表現まで一貫させます。ロゴは、考えを視覚化する重要な要素です。

CI研究でも、コーポレート・アイデンティティはロゴやハウススタイルだけではなく、企業コミュニケーションや組織のあり方を含む概念として発展してきました。つまりCIは、見た目を統一する活動ではなく、企業の考え方と行動、表現を一貫させる経営・ブランド活動として捉える必要があります。

出典:van Riel, C.B.M. & Balmer, J.M.T. (1997), “Corporate Identity: The Concept, its Measurement and Management,” European Journal of Marketing, 31(5/6), 340–355.

CIは経営とブランドをつなぐ基盤になる

企業理念が社内資料だけにあり、営業、採用、商品、WEBサイトなどに反映されていなければ、一貫した企業像は生まれません。CHIBICOではCIを、ロゴを新しくするのではなく、企業の現在地と未来像を整理し、言葉・行動・デザインへつなげる取り組みと考えています。

■ CIを構成するMI・BI・VIとは?

CIを構成するMI・BI・VIとは

CHIBICOでは、CIを企業の考え方を示すMI、行動や判断を担うBI、視覚表現を担うVIの3領域に整理しています。MIを起点にBIとVIを連動させることで、理念、行動、表現が一つにつながり、企業らしさを一貫して伝えられる重要なブランド基盤になります。

1. MI(Mind Identity)

MIは、「なぜ存在するのか」「何を大切にするのか」「どこを目指すのか」を言葉にする領域です。Purpose、Mission、Vision、Values、企業理念を整理し、経営や社員が迷ったときに立ち返れる判断や意思決定の基準として機能させることが重要です。

➤ 詳細記事 :企業理念の重要性と浸透方法

2. BI(Behavior Identity)

BIは、MIで定めた考え方を日々の行動や判断へつなげる領域です。例えば「顧客第一」を掲げるなら、営業、商品開発、問い合わせ対応などで何を優先するのかまで具体化します。理念を掲げるだけで終わらせず、社員が現場で迷わず実行できる状態をつくることが重要です。

3. VI(Visual Identity)

VIは、企業の考え方や個性を視覚的に伝える領域です。ブランドシンボル、ロゴタイプ、カラー、フォント、写真、イラストなどを整えます。目的は、見た目を統一することではなく、媒体や担当者が変わっても、その企業らしさを一貫して再現できる状態をつくることです。

➤ 詳細記事:VIとは何かを詳しく知る

■ CIは何のために必要なのか?

CIコーポレートアイデンティティの目的

CIの目的は、企業の存在意義や提供価値を明確にし、経営判断、社員の行動、顧客への発信を一つの方向へそろえることです。社内外で企業像の認識が一致すると、競合との差別化、採用、営業、信頼形成につながり、さらに長期的な企業価値を高める重要な基盤として機能します。

1. 企業の存在意義と提供価値を明確にする

事業や商品が増えるほど、「自分たちは何の会社なのか」が曖昧になりやすくなります。CIでは事業内容だけでなく、その企業だから提供できる価値まで整理します。伝え方を考える前に、自社が何を価値として提供し、社会に何を伝える企業なのかまで明確にすることが重要です。

2. 経営と社員の判断基準をそろえる

会社が大切にする考え方が共有されていなければ、部署や社員によって判断が変わります。CIによって共通の判断基準を持つことで、商品開発、営業、採用、顧客対応などを同じ方向へつなげ、組織全体が一貫した考え方で日々迷わず判断し行動できる状態をつくることが重要です。

3. 社会から見える企業像を一貫させる

顧客はWEBサイトだけでなく、営業、商品、広告、採用、SNSなど複数の接点から企業を理解します。接点ごとに言葉や表現が違えば、企業像は曖昧になります。CIによって考え方と表現をそろえ、どの接点でも一貫した企業像を伝えて、理解と信頼を積み重ねやすくなります。

4. 競合との違いを明確にする

商品やサービスの機能だけでは違いが見えにくい市場ほど、「なぜこの企業を選ぶのか」が重要になります。自社固有の歴史、技術、文化、価値観、姿勢を整理し、競合にはない企業としての価値や個性を明確にすることで、選ばれる理由をつくることもCIの重要な役割となります。

■ CIとVI・ブランディングはどう違うのか?

CIとVI・ブランディングはどう違うのか?

CIは企業全体のアイデンティティを開発する考え方で、VIはその中の視覚表現を担います。ブランディングは企業の価値を社会へ伝え、理解や信頼を蓄積する活動です。それぞれの役割を分けて理解することで、自社の課題に対して何を優先すべきか適切に判断しやすくなります。

CIとVIの違い

CIは企業の考え方、行動、視覚表現までを含む企業全体のアイデンティティです。VIは、その中の視覚表現を担います。理念や事業の方向性はそのままで、ロゴやデザインだけに課題がある場合は、CI全体ではなくVIの見直しで解決できることがあります。

➤ 詳細記事:CIとVIの違いを詳しく知る

CIとブランディングの違い

CIは「自分たちは何者か」を明確にする基盤です。ブランディングは、その価値を商品、サービス、営業、採用、広告などを通じて社会へと伝え、理解や信頼を蓄積する活動です。CIを開発しただけでブランドが完成するわけではなく、その後も継続して運用することが重要です。

CIと企業理念の違い

企業理念はCIの重要な要素ですが、理念だけでCIが成立するわけではありません。理念を社員の行動へつなぎ、ロゴ、WEBサイト、営業、採用などへ一貫して展開することで、企業の考え方が社内外に伝わり、アイデンティティとして機能するようになります。

➤ 詳細記事:企業理念の重要性と浸透させるポイント

■ CIが必要になるのはどのようなときか?

CIが必要になるのはどのようなときか?

CIが必要になるのは、事業内容、経営方針、組織、市場からの見られ方と、現在の社名・理念・ロゴ・WEBサイトなどにズレが生まれたときです。見た目が古いからではなく、企業の実態と未来像を正しく表せているかを判断基準にすることがCI検討の重要なポイントです。

➤ 詳細記事:CI見直しの背景に事業や市場の変化がある場合は、リブランディングのタイミングもあわせて確認します。

1. 事業内容と企業イメージが合わなくなった

事業は大きく変わっているのに、社名、理念、ロゴ、WEBサイトが創業時の企業像を残している場合があります。判断基準は「古く見えるか」ではなく、「現在の事業と、これから進みたい方向を正しく表せているか」です。事業の実態と未来像を確認し、必要な範囲を見直します。

2. 経営方針や企業ビジョンが変わった

経営体制の変更、事業承継、中期経営計画などによって企業の方向が変われば、CIとのズレが生まれることがあります。新しい経営方針を、理念、言葉、デザインまで一貫して反映できているかを確認します。経営の変化が社内外へ伝わる状態になっているかを見ることも重要です。

3. M&A・組織再編・事業統合が行われた

複数の企業や事業が一つになる場合、名称やロゴだけを統一しても共通の企業像は生まれません。それぞれの歴史、文化、強みを確認し、新しい組織として何を大切にするのかを明確にする必要があります。そのうえで、共通する価値観や目指す方向を言葉と行動へつなげていきます。

4. 社員によって会社の説明が違う

経営者、営業、採用担当者が、それぞれ違う言葉で会社を説明している場合は、企業の価値が十分に共有されていない可能性があります。「自分たちは何者か」を共通の言葉で説明できる状態をつくることが重要です。理念や提供価値を整理し、誰もが共通の軸で会社を語れるようにします。

5. 社会から見える企業像と実態にズレがある

自社では技術力や専門性を強みとしていても、顧客には以前の企業像のまま認識されている場合があります。自社が伝えたい姿と、実際にどう見られているか。この差が大きくなったときはCIを見直すサインです。認識の差が生まれる要因を確認し、伝え方や表現を改めて整えます。

➤ 詳細記事 :CIを変更する5つの理由とタイミング

■ CIはどこまで開発すべきなのか?

CIはどこまで開発すべきなのか?

CI開発では、すべての企業が社名、理念、ロゴ、WEBサイトまで全面的に変える必要はありません。経営課題、既存ブランド資産、使用する接点、運用体制を確認し、残すもの、変えるもの、新しく加えるものを整理した上で、自社に必要な開発範囲と優先順位を適切に決めます。

LEVEL 1|VIを中心に整える

理念や社名は現在の事業と合っているものの、ロゴや各媒体の表現にばらつきがある場合は、VIを中心に見直します。ロゴ、カラー、フォント、写真、グラフィックなどを整理し、ガイドラインを整備します。

LEVEL 2|言葉とVIを一緒に見直す

企業の価値は明確でも、理念やメッセージが伝わりにくい場合は、言葉とVIを一緒に見直します。存在意義や提供価値を整理し、その内容をデザインへ反映することで、言葉と表現のズレをなくします。

➤ 詳細記事:一貫性のあるブランドメッセージの作り方

LEVEL 3|CI全体を再定義する

事業転換、事業承継、M&Aなど企業そのものが大きく変わる場合は、社名、理念、ブランド体系、VIまで見直すことがあります。ただし、全面変更が目的ではありません。未来にも価値がある資産は残します。

➤ 詳細記事:リブランディングのタイミングと判断基準

■ CI開発では何を判断すべきか?

CHIBICOが考える4つの判断基準

CHIBICOはCI開発の範囲を何で判断するのか?

CHIBICOでは、CI開発の範囲を経営課題、既存ブランド資産、ブランド接点、運用体制の4つから判断します。何を解決するのか、何を残すのか、どこで使うのか、誰が運用するのかを整理し、制作物からではなく、企業の課題に必要な開発範囲と優先順位を明確に定めます。

1. 経営課題

「何を変えるか」より先に、「何を解決したいのか」を確認します。事業認知、採用、営業、組織統合など、CIを見直す背景を明確にします。その上で課題の優先順位を整理し、CIで対応すべき範囲と目的を定めます。目的が曖昧なままでは、途中の判断基準もぶれてしまいます。

2. 既存のブランド資産

社名、ロゴ、カラー、歴史、企業文化、顧客認知などを棚卸しします。長年の活動によって認知や信頼が蓄積されたものは重要な資産です。何を残し、何を変えるべきかを見極め、ブランドの継続性と進化を両立させます。過去から受け継ぐ価値を見極める視点も重要な判断基準です。

3. ブランド接点

WEBサイト、営業、採用、広告、SNS、商品、店舗など、社会との接点を確認します。接点の数と重要度によって必要な開発範囲は変わります。使用頻度や影響度を整理し、優先順位をつけることで、必要なVIやツールを判断します。接点ごとの役割も確認することが重要です。

4. 運用体制

担当部署、承認フロー、ガイドライン、データ管理まで確認します。完成度の高いCIでも、運用できなければ一貫性を維持できません。誰が管理し、誰が判断するのかを明確にし、社内外で継続的に使える運用体制を整えます。運用まで含めて考えることがCI定着の基本条件です。

CHIBICOが考える良いCIとは何か?

CHIBICOが考える良いCIとは何か?

CHIBICOが考える良いCIとは、現在の事業、これから目指す企業像、社会からの認識が一つの方向につながっている状態です。見た目の美しさだけではなく、企業の実態と未来像が言葉や行動、デザインに一貫して反映され、社内外で同じ企業らしさが伝わることが重要です。

1. 現在の事業とCIが一致している

良いCIは、現在の事業内容と、社名、理念、ロゴ、WEBサイトなどから伝わる企業像が一致しています。事業が変化しているのにCIが過去の企業像を残していれば、企業の価値を正しく伝えられません。現在の事業を正しく表していることが、CIの基本条件です。

2. 未来の企業像まで表現できている

良いCIは、現在だけでなく、企業がこれから目指す姿まで表現しています。「今、何をしている会社か」だけに合わせるのではなく、「これから何の会社になろうとしているのか」まで捉え、将来の事業展開や経営方針にも対応できることが重要です。

3. 社会からの認識とズレがない

良いCIは、企業が伝えたい価値と、顧客、取引先、求職者、社員などが実際に感じている企業像に大きなズレがありません。企業側の理想だけでCIをつくるのではなく、社会からどう認識されているかまで確認し、その差を埋めることが必要です。

■ CI開発はどのような手順で進めるのか?

CI開発はどのような手順で進めるのか?

CI開発は、現状把握、課題の特定、存在意義と価値の整理、ブランドコンセプト開発、VI開発、各接点への展開、ガイドラインと運用体制の整備へ進めます。デザインから始めず、経営課題から順番に判断し、戦略、言葉、表現、運用を一貫してつなぐことが重要です。

STEP 1|現状を把握する

現在の事業、経営方針、顧客、競合、社員、ブランド表現を確認します。必要に応じて社員や顧客にもヒアリングし、社内外で企業の見え方に違いがないかを把握し、課題まで整理します。

STEP 2|課題を特定する

調査結果から、現在の企業と目指す企業像の間にあるズレを整理します。ロゴやWEBサイトなど表面的な問題だけでなく、その背景にある経営課題や事業上の原因まで丁寧に確認します。

STEP 3|企業の存在意義と価値を整理する

「なぜ存在するのか」「誰に何を提供するのか」「どこを目指すのか」を明確にします。既存の理念が有効なら無理に変えず、企業の本質や将来の方向性を改めてより具体的に整理します。

STEP 4|ブランドコンセプトをつくる

企業の存在意義や提供価値を、社内外で共有できるブランドコンセプトへまとめます。判断軸を明確にすることで、デザインを好き嫌いではなく、ブランドとの整合性を軸に評価できます。

STEP 5|VIを開発する

ブランドコンセプトを基に、ブランドシンボル、ロゴタイプ、カラー、フォント、写真、グラフィックなどを開発します。要素を組み合わせて、一つの企業像として見えることが重要です。

➤ 詳細記事:VIの具体的な開発手順

STEP 6|ブランド接点へ展開する

VIをWEBサイト、営業資料、採用、広告、SNS、名刺、サインなどへ展開します。すべてを同時に変えず、使用頻度と重要度から優先順位を決め、段階的に移行する方法も有効です。

STEP 7|ガイドラインと運用体制を整える

最後に、ロゴ、カラー、フォント、写真などの基準をガイドラインにまとめます。承認者、データ管理、外部パートナーへの共有方法まで定め、公開後も品質を維持できる体制を整えます。

➤ 詳細記事:ロゴガイドラインの作り方と運用方法

■ CI開発で失敗する主な原因は何か?

CI開発で失敗する主な原因は何か?

CI開発が失敗する主な原因は、ロゴ制作から始める、既存資産をすべて捨てる、多数決で決める、社員への共有が遅い、公開を完成と考えることです。CIはデザインだけでなく、変更理由、意思決定、社内共有、運用まで一体で考え、経営課題から順序良く進める必要があります。

1. ロゴ制作から始める

「CIを変えるから、まずロゴを考える」と進めると、変更理由が曖昧なままデザインが先行します。先に経営課題、事業の変化、未来像を整理し、その後で必要な表現を慎重に考えます。

2. 既存のブランド資産をすべて捨てる

新しくすることを優先すると、長年築いた認知や信頼まで失う可能性があります。社名、ロゴ、カラー、企業文化を棚卸しし、未来にも価値があるものは重要な資産として残し活かします。

3. 多数決で方向性を決める

社員の意見を聞くことは重要ですが、最終判断まで多数決にすると無難な方向へ寄りやすくなります。意見を集める人と最終判断者を分け、意思決定の責任と役割を明確に定めておきます。

4. 社員への共有が遅い

完成直前に初めて社員へ説明すると、「会社が勝手に変わった」という印象につながります。必要な段階で背景や目的を共有し、「何が変わるか」だけでなく「なぜ変えるか」を伝えます。

5. 公開を完成と考える

新しいロゴやWEBサイトの公開は、CI開発の終了ではなく新しい運用の始まりです。営業資料や採用資料に古い表現が残らないよう、公開後の移行まで事前に計画し準備しておきます。

■ CIは公開後にどう運用すべきなのか?

CIは公開後の運用方法

CIは公開して終わりではなく、WEBサイト、営業、採用、広告、SNS、商品などへ一貫して展開し、社員や外部パートナーが正しく使える状態を整える必要があります。ガイドラインと管理体制を整え、目的に応じたKPIを設定し、理解度や認知の変化を継続的に確認します。

ブランド接点へ新しいCIを定着させる

WEBサイトだけが新しく、営業資料や採用資料に古いロゴが残れば、一貫した企業像はつくれません。各接点を洗い出し、使用頻度と重要度から新しいCIへの移行順位を決めます。さらに、担当部署や更新時期も整理し、社内外のすべての接点で段階的に表現を統一していきます。

ガイドラインとデータ管理を整える

ロゴ、カラー、余白、最小サイズ、禁止例などのルールを整理し、社員や外部パートナーが迷わず使える環境をつくります。最新版データの保管場所と管理者も明確にし、誰が使っても一定の品質を保てるよう、配布方法や更新手順まで含めて運用基準を整え、継続的に管理します。

社員への理解と浸透を進める

CIは、社員が理解して日々の仕事で使うことで定着します。社内説明会、ブランドブック、研修などを通じて、「何が変わったか」だけでなく「なぜ変えたのか」を共有します。理念や背景まで理解することで、社員一人ひとりが判断し、行動や表現へ反映できる状態をつくります。

➤ 詳細記事:インナーブランディングの進め方
➤ 詳細記事:ブランドブックの効果とは?必要な企業・導入判断・測定方法

■ CIの効果はどのように測るのか?

CIの効果測定

CIの効果は、ロゴの評価だけでは測れません。認知向上、採用強化、営業改善、理念浸透など、CIを見直した目的に合わせてKPIを設定します。公開前の状態を基準に、ブランド認知、指名検索、問い合わせ、応募者の理解、社員の理念理解などを継続して確認することが重要です。

1. 社外への効果を測る

ブランド認知、指名検索、問い合わせ、商談、採用応募、企業イメージなどを継続して確認し、CIが社外でどのような変化を生んだかを複数の指標から総合的に丁寧に評価していきます。

2. 社内への効果を測る

理念への理解度、社員の説明内容の一致、行動指針の実践状況、制作物へのCI・VI適用率などを確認し、社内への浸透度と行動変化も複数の指標から継続的かつ総合的にも評価します。

3. CI変更前後を同じ指標で比較する

CI公開前の数値や状態を基準値として記録し、公開後3か月、6か月、1年と同じ指標で比較することで、変化の方向と成果を継続的かつ定期的に把握し、今後の改善判断につなげます。

■ CHIBICOではCIをどのように開発しているのか?

CHIBICOでは、経営課題や事業の変化を整理することからCI開発を始めます。既存のブランド資産を確認し、企業の存在意義や未来像を明確にした上で、言葉とデザインへ展開します。さらに各接点での使われ方を十分検証し、ガイドラインと運用体制まで一貫して整えます。

@Interiorコーポレート・アイデンティティ

@Interior|暮らしに寄り添う企業像をCIへ

@InteriorのCI開発では、単にインテリアを提案する会社として見せるのではなく、顧客の暮らし方や働き方まで含めて、どのような価値を提供する企業なのかを整理しました。家具、内装、動線、予算、好みなどを個別に扱うのではなく、それらを総合的に捉え、「自分らしく心地よく過ごせる環境をつくる」という企業の役割をブランドの中心に据え、企業として伝えるべき価値を明確にしました。

インテリアデザインという事業は変えず、機能性や美しさだけでは伝わりにくかった企業姿勢を、言葉と視覚表現によって明確にしました。「毎日を自分らしく、心地よく〜Your room, Your Life〜」を軸に、ブランドシンボル、ロゴタイプ、ブランドステートメント、名刺、会社案内、WEBサイトへ展開。サービスだけでなく、「どのような暮らしを実現する会社なのか」まで一貫して説明できる共通軸を整えました。

➤ CHIBICO WORKS | @Interiorより

NIHON MOBILITY SERVICEコーポレート・アイデンティティ

NIHON MOBILITY SERVICE|事業の変化をCIへ

NIHON MOBILITY SERVICEのCI開発では、JAPAN OIL SERVICEという社名が、これから広がる事業領域や企業の将来像を十分に表現できなくなっていることが出発点でした。そこで、現在の商品やサービスだけを見るのではなく、企業が将来どの領域へ進もうとしているのかを整理し、「OIL」という限定された事業認識から「MOBILITY」という、より大きな企業像へ明確に捉え直しました。

既存事業を否定するのではなく、培ってきた事業基盤を踏まえながら企業を表す範囲そのものを拡張しました。「新しい移動と技術の進化。モノを超えたサービスとしてのあり方。」をブランドコンセプトに、社名、ブランドシンボル、ロゴタイプ、スローガン「MOBILITY IS POSSIBILITY.」、名刺、ロゴガイドラインまで開発。現在だけでなく、これから目指す企業像まで一貫して説明できるCIへ再構築しました。

➤ CHIBICO WORKS | NIHON MOBILITY SERVICEより

RENEWABLE JAPANコーポレート・アイデンティティ

RENEWABLE JAPAN|事業の社会的意味をCIへ

RENEWABLE JAPANのCI開発では、再生可能エネルギー事業を行うという事実だけでなく、「なぜこの事業を行うのか」「社会の中でどのような役割を担うのか」まで掘り下げました。事業領域そのものを変えるのではなく、その背景にある企業の意思と社会的な意味を整理し、事業説明を企業の存在意義へつなげることを重視しました。将来の企業像まで見据え、ブランドの核となる考え方を明確にしました。

そこから生まれた「すべての人を、エネルギーの主人公に。」という考え方には、一人ひとりがエネルギーについて考え、行動する社会を実現したいという意思を込めています。この考え方を軸に、ブランド戦略、ブランドコンセプト、シンボル、ロゴタイプ、ステートメント、名刺、封筒、ガイドラインまで展開。企業の価値観と未来像を、社内外でより具体的に共有し説明できるブランドの共通軸として整理しました。

※ 2026年4月1日付で「株式会社リエネ・エナジー」へ社名変更しています。
[ 出典 ] 社名変更およびコーポレートサイトリニューアルについて

➤ CHIBICO WORKS | RENEWABLE JAPANより

【 CHIBICOのCI開発で共通している判断 】

CHIBICOのCI開発では、既存ブランド資産をすべて新しくするのではなく、社名、理念、ロゴ、カラー、企業文化、顧客認知を確認し、「残すもの」「変えるもの」「新しく加えるもの」を整理します。蓄積された認知や信頼を活かし、事業と未来像に合う形へ再構築します。

CHIBICOでは、現在の事業だけでなく、「これからどのような企業になりたいのか」「社会にどのような価値を提供したいのか」まで確認します。その上で、経営やブランド戦略、言葉、シンボル、ロゴタイプ、VI、各種接点、ガイドラインまで必要な範囲を判断しています。

■ 外部企業のCI事例から何を学べるのか?

外部企業のCI事例では、ロゴの新しさや有名さではなく、企業の思想、既存のブランド資産、視覚表現、各接点、運用がどのようにつながっているかを見ることが重要です。成功事例からも、何を残し、何を変え、どのように企業らしさを継続しているかまで具体的に読み取ります。

IBMコーポレート・アイデンティティ

IBM|企業らしさを共通原則として体系化

IBMは「IBM Design Language」で、ブランド表現に関わる制作者や承認者が共通判断基準を持てるよう、デザイン原則を体系化しています。ロゴや色、書体など個別のルールだけでなく、IBMらしさをどう捉え、表現するかという思想まで共有。制作や承認の場面でも判断がぶれにくく、ブランド全体の一貫性を保つための共通基盤として機能しています。

特徴は、厳格な統一だけを目的にせず、共通原則のもとで創造性を発揮できる余地を残している点です。WEBサイト、製品、広告、デジタルサービスなど多様な接点でも、担当者や媒体ごとの表現差を抑えながら、IBMとして認識できる体験と視覚表現を継続的に生み出せます。ルールと思想を共有することで、変化に対応しながら企業らしさを保てるより実践的な仕組みです。

[ 出典 ] IBM Design Language「Principles」より

mastercardコーポレート・アイデンティティ

Mastercard|ブランド資産を残してデジタルへ適応

Mastercardは2016年、長年受け継いできた赤と黄色の2つの円を残しながら、デジタル環境で使いやすいブランドアイデンティティへ刷新しました。形状や色の関係を整理し、カード、WEBサイト、アプリ、広告など多様な接点で一貫して機能する、よりシンプルで認識性の高いブランド表現へ進化させています。既存の認知資産を守りながら現代性も高めています。

2019年には、多くの用途で「Mastercard」の文字を外し、2つの円だけでブランドを示す表現へ発展しました。重要なのは、歴史的な認知資産を捨てるのではなく、その価値を活かしながら時代に合わせて使い方を更新した点です。象徴性と柔軟性を両立させ、デジタル時代に適応するブランド資産へと磨き上げています。世界各地でのブランド認識も保っています。

[ 出典 ] Mastercard「ブランドの歴史」より

starbucksコーポレート・アイデンティティ

Starbucks|高いブランド認知を活かし象徴性を高めた

Starbucksは2011年、創業40周年を機にロゴから「STARBUCKS COFFEE」の文字を外し、サイレンのシンボルだけを残す形へ刷新しました。長年使い続けてきた象徴を活かしながら情報量を減らすことで、視認性と認識性を高め、世界各地でも、店舗、商品、デジタルなど幅広い接点で、より強くブランドらしさを伝えられる表現へ進化させています。

重要なのは、サイレンという既存のブランド資産を捨てず、その認知を活かしながら象徴性を高めた点です。文字や「COFFEE」というカテゴリー表記に依存しないことで、飲料や食品、グッズ、店舗体験などへ柔軟に展開しやすくなりました。ブランドの核を残しながら、将来の事業拡張にも対応できるアイデンティティへ更新した好例です。成長にも対応できる考え方です。

[ 出典 ] Starbucks公式「Multimedia / Brand Assets」より

■ CI開発を依頼する会社は、どう選ぶべきなのか?

CI開発を依頼する会社は、どう選ぶべきなのか?

CI開発の依頼先は、ロゴの制作力だけでなく、経営課題の整理、企業理念や言葉の開発、VI、WEBや各媒体への展開、ガイドライン、社内浸透まで一貫して対応できるかで選びます。完成物の見栄えではなく、判断プロセスと公開後の運用まで支援できる十分な体制が重要です。

経営課題から整理できるか

最初からロゴやWEBサイトの話だけをするのではなく、「なぜCIを見直すのか」まで掘り下げられるかを確認します。CIの背景には、事業転換、採用、事業承継、M&Aなどの経営課題があります。課題を整理し、必要な変更範囲を考えられる会社かを見極めることが大切です。

戦略・言葉・デザインをつなげられるか

CIは戦略だけでも、デザインだけでも成立しません。企業の存在意義や提供価値を整理し、言葉へ変換し、VIまで一貫して開発できることが重要です。理念やブランドコンセプトからロゴ、WEBサイト、各種ツールまで、全体を一つの企業像としてつなげられる会社を選びます。

既存ブランド資産を評価できるか

CIを変える前提ではなく、現在の社名、ロゴ、カラー、企業文化、認知などを客観的に評価できるかを確認します。「古いから変える」のではなく、「未来にも価値があるか」で判断できる会社が適しています。残すべき資産を見極め、必要な部分だけを更新できる視点も重要です。

公開後の運用まで支援できるか

CIは公開後、多くの社員や外部パートナーが使用します。ガイドライン、データ管理、媒体展開、社内共有まで支援できるかを確認します。完成時の見栄えだけでなく、数年後も正しく使えることが重要です。公開後の運用や更新まで見据え、ブランド品質を保てる体制も必要です。

完成物だけでなくプロセスを見る

依頼先の事例を見る際は、ロゴの好みだけで判断しないことが重要です。どのような課題があり、何を残し、何を変え、なぜその表現になったのか。完成までのプロセスを見ることで、自社に合う会社か判断しやすくなります。成果物だけでなく、課題への考え方や判断軸まで見ます。

➤ 詳細記事:ブランディング会社の選び方と頼み方
➤ 詳細記事:CI戦略の成否は、最初の依頼で決まる|戦略とデザインをつなぐ判断基準

FAQ-よくある質問

■ CIに関するよくある質問

CIでは、意味や目的、VIとの違い、見直す範囲、進め方、依頼先など、検討段階で生じる疑問も整理し、一般論だけでなく、実務で判断するために必要な考え方や基準まで解説します。

Q1. CIでは、ロゴを変更する必要がありますか?

CIではロゴを必ず変更する必要はありません。現在の事業や未来像にも合い、認知や信頼が蓄積されているなら残し、企業の実態とのズレを確認して必要な要素だけを適切に見直します。

Q2. CIとVIのどちらから見直すべきですか?

CIとVIのどちらから見直すかは課題の場所で判断します。事業や存在意義にズレがあればCIから、理念は明確で視覚表現だけに課題があるならまず必要に応じてVIから見直します。

Q3. CI開発には、誰が参加すべきですか?

CI開発には、経営層の参加も不可欠です。広報、マーケティング、営業、採用、人事などから必要なメンバーを選び、経営の意思と現場の実感も反映できる体制を整えることが重要です。

Q4. CI開発を依頼する会社は、どう選ぶべきですか?

CI開発の依頼先はロゴの制作力だけで選びません。経営課題の整理、理念や言葉、VI、WEB、ガイドライン、社内浸透まで一貫して対応できる会社か、公開後の支援まで確認します。

Q5. CI開発の費用は何によって決まりますか?

CI開発の費用は制作物の数だけでは決まりません。調査、ブランド戦略、理念や言葉、VI、媒体展開、ガイドライン、社内浸透まで、依頼する範囲によって、総額も大きく変わります。

Q6. CI開発にはどのくらいの期間が必要ですか?

CIの期間は見直す範囲によって異なります。VIだけの場合と、理念、社名、WEB、各種ツールまで含める場合では必要な期間が変わるため、経営判断や社内合意の時間も考慮します。

Q7. CIは何年ごとに見直すべきですか?

CIに決まった更新年数はありません。事業内容や経営方針、顧客、市場、社会からの認識と今のCIにズレが生じたときが見直す時期です。古さではなく企業の実態を基準に判断します。

Q8. 中小企業にもCIは必要ですか?

企業規模にかかわらず、事業内容や提供価値を社内外へ一貫して伝える必要があればCIは有効です。ただし大企業と同じ範囲を整える必要はなく、理念、言葉、VI、主要な顧客接点など、自社に必要な範囲から整理します。

Q9. CIとリブランディングはどう違いますか?

CIは企業の存在意義、価値観、行動、言葉、視覚表現を一貫させる仕組みです。リブランディングは、企業やブランドに対する認識や価値を見直す活動全体を指し、その手段としてCIやVIを変更する場合があります。

checklist-チェックリスト

■ CIを検討するとき、何を確認すべきか?

CIを検討するときは、事業や経営方針、社会からの認識、社内の共通理解、VIや各接点の一貫性などを確認し、ズレの大きさと影響を見極め、必要な開発範囲と優先順位を判断します。

事業・経営について

□ 創業時から事業内容が大きく変わっている
□ 新規事業や新しい顧客層が増えている
□ 経営方針や中長期ビジョンが変化している
□ 事業承継や経営体制の変更を予定している
□ 海外展開や新市場への進出を検討している

ブランドの認識について

□ 自社が伝えたい企業像と、社会からの見られ方にズレがある
□ 「何をしている会社なのか」が伝わりにくい
□ 競合企業との違いが分かりにくくなっている
□ 技術力や専門性など、本来の強みが十分に伝わっていない
□ 採用候補者や顧客に企業の魅力を説明しにくい

社内の共通認識について

□ 経営者と社員で会社の説明が異なる
□ 部署によって企業理念や提供価値の理解が違う
□ 社員が企業理念を自分の言葉で説明できない
□ Mission、Vision、Valuesなどの役割が曖昧になっている
□ 採用や営業で使うメッセージが部署ごとに異なる

VI・ブランド接点について

□ WEB、営業資料、採用資料で企業の見え方が異なる
□ 古いロゴや新しいロゴが混在している
□ カラー、書体、写真などの使用基準が決まっていない
□ 制作会社や担当者によって表現が変わる
□ デジタル媒体で現在のVIが使いにくくなっている 

運用体制について

□ 正式なブランドデータの保管場所が決まっていない
□ ブランド表現の承認者や責任者が明確でない
□ 外部パートナーへ共有するルールがない
□ ガイドラインが更新されていない

記事のまとめ

■ まとめ

CIを見直す目的は、ロゴやデザインを新しくすることではありません。企業の実態、目指す姿、社会からの認識にあるズレを整理し、経営、行動、言葉、視覚表現を一つの方向へつなげます。自社の課題を確認し、社名やロゴ、文化、顧客認知など何を残し、何を変えるか見極めることが重要です。

CI開発では、すべてを変える必要はありません。蓄積したブランド資産を確認し、残すもの、変えるもの、新しく加えるものを整理して、必要な範囲を開発します。公開後はWEB、営業、採用、広告、SNSへ展開し、ガイドラインと運用体制を整え、継続的に評価しながらブランドを育てます。

■ 参考文献・一次情報

学術研究
・ van Riel & Balmer(1997)
・van Rekom(1997)

企業一次情報
・IBM Design Language
・Mastercard公式ブランド刷新情報
・Walmart 2025公式発表

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。


chibicoロゴ

【 CI・VIの見直しについて相談する 】

事業の変化、社内外から見える企業像、既存のブランド資産を確認し、
何を残し、何を変え、何を新しく加えるべきかを整理します。
社名やロゴの変更を前提にしていなくても構いません。
CI全体かVIだけか判断できていない段階からご相談いただけます。

まずは相談する

■ おすすめ関連記事

CIをさらに理解するには、CI変更、CIとVIの違い、VIの開発方法、リブランディングなど関連テーマを合わせて確認することが効果的です。自社の課題に近い記事から読み進めることで、CIの必要性、変更範囲、進め方をより具体的に理解し、判断しやすくなります。

CIの見直しや変更を検討している方

CI(コーポレートアイデンティティ)を変更する理由

[ おすすめ記事 ] CI(コーポレート・アイデンティティ)変更の5つの理由|見直すタイミング

CIとVIの違いを詳しく知りたい方

CIとVIの違いや目的と成功事例

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VIの具体的な開発方法を知りたい方

VI(ビジュアル・アイデンティティ)の意味や目的と開発とは

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