
[ ブランディングデザイン ]
CI戦略の成否は、最初の依頼で決まる|戦略とデザインをつなぐ判断基準
CI戦略を成功させるには、最初に解決すべき経営課題と目指すゴールを明確にし、その実現に必要な開発の範囲を見極めることが重要です。ロゴやWEBサイトは、課題を解決するための手段です。目的が曖昧なまま制作を始めれば、見た目だけは変わっても、事業や組織が抱える本質的な経営課題は残ってしまいます。
「ロゴを変えたい」「企業理念を見直したい」「会社のイメージを刷新したい」。CI開発の相談には、さまざまなきっかけがあります。しかし、同じロゴ変更でも、事業転換への対応とデザインの統一では、必要な取り組みが異なります。誰に、どこまで、どう相談するか。その判断がプロジェクトの成果を左右します。
本記事では、株式会社チビコ代表取締役/ブランディングディレクターの今田佳司が、25年以上のブランディング経験をもとに、CI戦略の依頼を検討する経営者や企業担当者へ向けて、依頼先の選び方、開発範囲の判断、戦略とデザインのつなぎ方、最初に何を考えるべきかまで具体的に解説します。
CONTENTS | 目次
■ CI戦略のゴールは、何を基準に決めるべきか?

CI戦略のゴールは、制作物ではなく企業として実現したい変化から決めます。営業で価値を伝えたいのか、採用で共感を増やしたいのか、事業転換を社内外へ示したいのか。目指す頂上が違えば、調査も開発範囲も変わります。CHIBICOはまず課題と成果の基準を確認します。
1. 制作物より先に、実現したい変化を明確にする
「新しいロゴがほしい」という依頼でも、その背景には異なる経営課題が存在します。
例えば、営業先に事業内容を正しく理解されていない企業と、採用候補者に自社の魅力を伝えられない企業では、解決すべき課題も成果の判断基準も異なります。CI戦略では、現状をどう変えたいのかを言葉にします。ロゴやブランドブックの完成をゴールにすると、制作物の評価でプロジェクトが終わってしまいます。
2. ゴールまでのルートは一つとは限らない
登山に例えると、頂上を目指していてもルートは異なります。
CI開発でも、課題によって取り組みが変わります。提供価値が整理されていれば、VIの見直しで解決できる場合があります。一方、企業の目指す姿が曖昧なら、経営方針やブランドコンセプトから検討する必要があります。CHIBICOは依頼内容をそのまま開発範囲とせず、目的に応じて複数の方法を比較します。
3. ゴールを具体的な成果に置き換える
「企業イメージを良くしたい」だけでは、何をもって成功とするか判断できません。
例えば、営業先に事業の強みを理解してもらう、採用候補者に企業の方向性を伝える、事業転換に伴って社内外の認識をそろえる。こうした変化をゴールに置きます。目指す状態がより明確になれば、必要な調査や開発対象、費用の優先順位を判断でき、成果を何で評価するかも、関係者間で認識を共有しやすくなります。
■ CI戦略が必要な課題か、どう見極めるべきか?

CI戦略の目的は、企業が何者で、誰に、どのような価値を届けるのかを明確にし、その考えを社内外で共有できる状態にすることです。経営、事業、採用、営業、広報、デザインの判断を一つの軸でつなぎ、競合との違いと長期的なブランド価値を育てる重要な共通基盤になります。
【 CHIBICOが考える3つの判断基準 】
CHIBICOでは、企業の現在地と将来像を次の3つの関係から確認します。
例えば、新規事業が売上の柱に育っているのに、営業先から従来の事業しか認識されていない場合があります。この場合、CI変更は経営課題と結びつきます。一方、現在の事業と企業像に大きなズレがなく、WEBサイトだけが古くなっているなら、CI全体の変更まで必要とは限りません。重要なのは「変えたい理由」から一歩踏み込み、「変えることで、どの問題が解決するのか」を確かめることです。
1. CURRENT BUSINESS|現在の事業
現在の事業や顧客、提供価値、強み、課題、競争環境、今後事業計画を整理します。新規事業では構想や市場機会も確認し、ブランドの出発点となる事業の現在地と可能性を明確にします。
2. CURRENT BRAND|現在の立ち位置
顧客、市場、競合との関係を確認し、自社や事業がどのように見られているかを整理します。新規ブランドでは市場機会や競合との差も捉え、将来築くべき独自の立ち位置を明確にします。
3. FUTURE VISION|未来のビジョン
これからどの領域へ進み、誰にどのような価値を届け、どのような企業や事業、ブランドを目指すのかを整理します。新規・既存問わず、ブランドが目指す未来像と方向性を明確にします。
課題によって、解決方法は変わる
例えば、現在の事業と将来像は明確なのに、WEBや営業資料の表現だけが統一されていないのであれば、VIの整備が適している可能性があります。一方、企業が伝えたい価値そのものが定まっていなければ、デザインを新しくしても問題は残ります。重要なのは、表面に現れている問題と、その原因を区別することです。CHIBICOが最初に確認するのは、ロゴが古いかどうかよりも、現在のCIが企業の実態と未来像を正しく伝えているかという点です。
➤ 関連記事:CI変更は、どこまで変えるべきか?社名・ロゴ・理念を見極める判断と頼み方
■ CI戦略をどうデザインへつなげるべきか?

CI戦略をデザインへつなぐには、課題から導いた価値を、言葉と視覚表現の共通基準に変えます。コンセプトだけをまとめても、ロゴだけを美しくしても、顧客に同じ企業像は届きません。CHIBICOは表現の根拠を説明できることと、各接点でも使えることを両方確認します。
1. 戦略を、デザインの判断基準に変える
ブランド戦略で「先進性」を掲げても、それだけではロゴの形や色は決まりません。技術力なのか、社会への姿勢なのか。どの領域で先進的か、顧客にどう認識されたいかを掘り下げます。CHIBICOでは、その意味をブランドコンセプトにまとめ、視覚表現へつなげ、デザインの理由を説明できる状態を重視します。
➤ 関連記事:CIとVIの違いとは?意味・目的・関係・見直し方を比較|事例付き
2. ロジックとクリエイティビティを両立させる
理屈が通っていても、印象に残らないデザインでは役割を果たせません。一方、美しく独創的でも、企業の価値から離れていればCIとして機能しません。私が重視するのは、ロジックとセンスの両立です。企業の強みを捉える論理的な視点と、人々の心を動かす創造的な視点。その両方が、伝わるブランドをつくります。
3. 実際の使用環境で表現を検証する
ロゴの完成度だけでなく、WEBや営業資料、採用資料、商品、サインなど、実際に使う場面での見え方を確認します。BtoB企業では営業資料や展示会、採用サイト、BtoC企業では商品や店舗、パッケージが重要になることもあります。顧客との接点や使用環境に合わせて、表現と運用条件を具体的に検討します。

【 CHIBICOが考えるデザイン案を評価する4つの基準 】
1. 目的適合性:設定した経営課題とゴールに合っているか。
目的適合性では、ロゴや言葉の好みよりも、最初に定めた経営課題と目指すべき変化に応えているかを確認します。例えば、事業転換を伝えることが目的なら、新しい事業領域や将来像が正しく伝わる必要があります。何を残し、何を変えるかを明確にし、経営者と担当者が同じ基準で納得して判断できることが重要です。
2. 価値伝達性:企業固有の価値や個性が伝わるか。
価値伝達性では、企業が持つ独自の強みや考え方が、顧客に具体的に伝わるかを評価します。「信頼」「革新」などの抽象的な言葉だけでは、競合との違いが見えません。提供価値を明確にし、ブランドコンセプト、メッセージ、デザインが一貫しているかを確認します。説明を聞かなくても伝わる表現が一つの理想です。
3. 識別性:競合と区別でき、認識されやすいか。
識別性では、競合と並んだときに違いが伝わり、企業名やロゴを認識・記憶してもらえるかを確認します。独創的であることだけが目的ではありません。業界の慣習や顧客の期待も踏まえ、企業らしさが見える表現を目指します。類似した名称や色、造形がないかを慎重に調べて、実際の使用場面でも継続的に検証します。
4. 展開・運用性:主要なブランド接点で継続して使用できるか。
展開・運用性では、完成したデザインがWEB、営業資料、採用媒体、サインなどに無理なく展開できるかを確認します。小さな表示での視認性や印刷時の再現性、担当者による使いやすさも重要です。使用時の誤りも予防します。運用ルールを必要以上に複雑にせず、社内外の関係者が継続して使える状態まで考えます。
評価項目の優先順位は案件ごとに変わります。重要なのは、多数決で案を決めることではありません。共通の基準を使い、意見の違いを具体的な検討材料へ変えることです。
➤ 詳細記事:リブランディングが必要になる5つのサインと6つの判断基準
■ CI戦略は、どんな会社に依頼するべきか?

CI戦略の依頼先は、ロゴの作風よりも、経営課題の把握から戦略、言葉、デザイン、運用まで、どこまで責任を持ってつなげられるかで判断します。提案案数より重要なのは、方針を決める根拠です。CHIBICOは事例をもとに、方針の判断理由と開発範囲を具体的に示します。
1. ブランド戦略から見直す場合
事業の提供価値や競合との違い、企業が目指す姿から整理するなら、事業への理解を持ち、CI開発まで担える会社が適しています。制作実績を見るだけでなく、何を聞いて課題を発見し、なぜその方法を選んだのかを確認してください。提案の背景やその判断の過程を説明できるかが、依頼先を見極める基準になります。
2. デザインの開発が中心の場合
企業理念やブランドコンセプトが明確で、課題がVIの整備に限られる場合は、デザイン開発に強い専門会社が適しています。ただ、ロゴ、カラー、書体を別々に考えると、ブランドとしての一貫性が失われます。各要素を共通の考え方でまとめ、WEBや印刷物まで統括できるか、実績と提案内容から確認してください。
3. 戦略からデザインまで一貫して依頼する場合
経営課題の整理からブランドコンセプト、ネーミング、ロゴ、WEB、ガイドラインまで見直すなら、戦略とデザインの両方に強い会社が適しています。CHIBICOは、企業の価値を起点に、言葉から視覚表現、各媒体への展開まで一貫して開発します。分業する場合も、全体を統括する責任者と判断基準が必要です。
➤ 関連記事:ブランディング会社の選び方|誰に頼むか・何を比較するか・失敗を防ぐ判断基準
■ CI戦略は、どこまで依頼するべきか?

CIの依頼範囲は、社名、理念、ロゴ、WEBを一式で決める必要はありません。表現の不統一ならVIの整備、価値が伝わらなければコンセプトからの見直し、事業転換なら名称を含む再構築が候補です。CHIBICOは既存の資産を評価し、必要な工程と優先順位を提案します。
LEVEL 1|VIを中心に見直す
企業の方向性や提供価値は明確で、主な問題がデザインの不統一にある場合の選択肢です。ブランドシンボル、ロゴタイプ、カラー、フォント、グラフィック、ガイドラインなどが主な開発対象になります。
LEVEL 2|ブランド戦略と言葉から見直す
事業内容は伝わっていても、企業固有の価値や競合との違いが明確でない場合に検討します。ブランド戦略、コンセプト、ステートメント、スローガンなどを整理し、その内容に合わせて必要なVIを開発します。
LEVEL 3|CI全体を再構築する
事業転換、M&A、グループ再編、海外展開などによって、現在の企業像を大きく見直す場合の選択肢です。企業の存在意義、事業定義、ブランド体系、社名、言葉、VI、WEB、ガイドラインまで広く検討します。
➤ 関連記事:VIの作り方|7つの開発手順・構成要素・運用方法
変更範囲と開発範囲を分けて考える
例えば、既存ロゴを変更せずに、ブランド戦略やメッセージ、カラーの運用基準だけを見直す選択肢もあります。何を変えるかという判断と、何を新しく開発するかという判断は別です。残すべき資産がある企業ほど、変更によって失われる認知や信頼にも目を向ける必要があります。CHIBICOでは、現在のブランド資産と事業上の課題を確認し、必要な範囲を絞ることも大切な提案だと考えています。
■ CI戦略は、どのように相談すると成果につながるのか?

CI戦略の相談では、作ってほしいものだけでなく、困っている場面と実現したい結果を伝えます。担当者が十分に勉強していても、案件ごとの条件は異なります。プロの提案を聞き、素朴な疑問や違和感を率直に伝えてください。CHIBICOは適切な複数の進め方を比較します。
1. 依頼内容を最初から決めすぎない
ブランディングを学んでいる担当者の専門知識は、CI開発を進めるうえで大切です。ただし、企業ごとに成長段階や顧客、組織、蓄積したブランド資産は異なります。同じ業界でも適切な方法が同じとは限りません。「CI開発はこう進めるもの」と決めつけず、自社の事情に合った別の選択肢にも耳を傾けてください。
2. 解決したい問題を具体的に伝える
依頼するときは、欲しい制作物だけでなく、実際の現場で何に困っているかを具体的に伝えてください。「ロゴを変えたい」よりも「事業が拡大したのに、営業先から旧事業の会社と思われる」の方が課題を共有できます。原因を整理した結果、ロゴ変更より事業説明やブランド体系の見直しが優先される場合もあります。
➤ 関連記事:ブランディングの発注方法|依頼前の準備・ゴール設定・進め方
3. プロの提案を聞き、疑問を率直に伝える
依頼側と提案側が、最初から同じ考えである必要はありません。大切なのは、その判断に至った理由を互いに理解することです。「そこまで変える必要があるか」「既存のロゴを残せないか」「別の方法はないか」。率直な疑問を伝えれば、選択肢を比較する際の論点が明確になり、双方が納得できる判断につながります。
4. 意思決定の方法を共有する
CI開発には経営者、担当者、各部門など多くの人が関わります。そのため、意見を集める役割と最終判断を下す役割は分けておきます。誰が決めるのか、何を評価するのか、意見が分かれたとき何を優先するのか。最初に関係者間の共通認識をつくることで、個人の好みや多数決に流されず、目的に沿って議論できます。
■ CHIBICOはCI戦略で、どんな判断をしてきたのか?
CHIBICOは、名称変更、企業の約束の言語化、既存価値の視覚化から、課題に合う方法を選びます。NIHON MOBILITY SERVICE、RENEWABLE JAPAN、I’ROM GROUPでは、各社の課題に合わせて、戦略とデザインをつないでいます。

NIHON MOBILITY SERVICE|事業の将来像から社名とCIを見直す
[ 課 題 ]
旧社名「JAPAN OIL SERVICE」は、従来の石油関連事業を伝える名称でした。しかし、モビリティ領域への展開を見据えると、「OIL」という言葉が事業範囲や将来像を狭く印象づける懸念がありました。事業を適切に伝え、顧客や社員が企業の目指す姿を共有できる名称とCIが求められていました。
[ 判 断 ]
課題はロゴではなく、社名と事業の将来像とのずれにありました。そこで、従来の「OIL」から「MOBILITY」へ視点を広げ、企業が提供する価値を捉え直しました。この考えを軸に、社名を「NIHON MOBILITY SERVICE」へ変更し、シンボルやスローガン、ガイドラインまで開発しました。
[ 開発範囲 ]
社名、ブランドコンセプト、ブランドシンボル、ロゴタイプ、スローガン、ガイドラインなどを一貫して開発。「MOBILITY IS POSSIBILITY.」というメッセージを通じて、新しい企業像を表現しました。
[ この事例から分かること ]
社名が過去の事業を強く印象づける場合、ロゴだけを変えても企業の将来像は十分に伝わりません。まず、何が認識のずれを生んでいるかを見極め、社名を残す選択肢も含めて比較することが重要です。課題の原因から開発範囲を決めることで、言葉とデザインが同じ方向を向き、実際の事業の変化を伝えやすくなります。
➤ CHIBICO WORKS | NIHON MOBILITY SERVICEより

RENEWABLE JAPAN|事業内容を企業の存在意義へ結びつける
[ 課 題 ]
再生可能エネルギー事業の内容は明確でしたが、企業として社会にどのような価値を届け、何を実現したいのかは、事業説明だけでは伝わりません。発電やエネルギー供給という機能を超えて、生活者との関係や社会における役割を改めて明らかにし、企業の存在意義を一貫性のあるCIとして表現することが課題でした。
[ 判 断 ]
そこで、再生可能エネルギーを扱う企業という説明から、誰もがエネルギーづくりの主体となる社会を目指す企業へ視点を広げました。「すべての人を、エネルギーの主人公に。」という考え方を軸に、ブランド戦略とブランドコンセプト、ステートメント、ロゴなどの具体的な視覚表現を一貫した方向性で開発しました。
[ 開発範囲 ]
ブランド戦略、ブランドコンセプト、ブランドシンボル、ロゴタイプ、ブランドステートメント、ガイドラインなどを開発。「すべての人を、エネルギーの主人公に。」という考え方を核に、言葉とデザインを結びつけています。
[ この事例から分かること ]
事業内容が正しく伝わっていても、その企業を選ぶ理由や社会的な役割まで理解されているとは限りません。CI戦略では、何を提供する会社かに加えて、なぜその事業を行うのかを明確にすることが重要です。企業の意思を言葉とデザインで統一すれば、事業への理解をより深め、共感や信頼につながる表現になります。
※リニューアブル・ジャパン株式会社は、2026年4月1日付で「株式会社リエネ・エナジー」へ社名変更しています。CHIBICOがRENEWABLE JAPANの名称で支援した当時のCI開発事例です。
➤ CHIBICO WORKS | RENEWABLE JAPANより

I’ROM GROUP|複数事業を共通の約束でつなぐ
[ 課 題 ]
先端医療、SMO、CRO、メディカルサポートという四つの事業を展開するアイロムグループでは、それぞれの事業内容を説明するだけでは、グループ全体が何を目指す企業なのか伝わりにくくなります。多様な事業の背景にある共通の価値を明確に整理し、一つの企業グループとして認識してもらうことが課題でした。
[ 判 断 ]
4つの事業を個別に説明するのではなく、人々の希望と安心、健康に貢献するという共通の思いに着目しました。「憂いなき未来のために。」をブランドプロミスとして据え、シンボル、ロゴタイプ、ステートメント、WEBなどへ展開。異なる事業を一つの約束でつなぎ、グループ全体として方向性を明確に示しました。
[ 開発範囲 ]
ブランドシンボル、ロゴタイプ、ブランドステートメント、名刺、封筒、WEBサイトなどを開発しました。
[ この事例から分かること ]
事業が多角化すると、顧客や社員が企業グループ全体の価値を理解しにくくなる場合があります。個々の事業を無理に同じものとして見せるのではなく、それぞれが共通して目指す未来を言葉にすることが重要です。その約束をCIの軸に据えることで、事業の多様性を保ちながら、一貫した企業像を伝えやすくなります。
➤ CHIBICO WORKS | I’ROM GROUPより
【 3つの実績が示すCHIBICOの考え方 】
NMSでは社名と将来の事業像の関係、RENEWABLE JAPANでは事業と社会的な存在意義の関係、I’ROM GROUPでは複数事業を束ねる共通の思想が中心課題でした。開発内容に共通点はあっても、出発点となる課題と判断は異なります。CHIBICOが重視しているのは、決まった手順に企業を当てはめることではなく、その企業に必要な方法を見つけることです。
■ 国内外の企業事例から、どんな判断を学べるのか?
大企業のCI事例は、何を変え、何を残したかを見ると参考になります。2026年のUmios、2025年のNTT、Walmartの公表資料には、将来像とブランド資産の扱い方に異なる判断があります。CHIBICOは、その違いを自社の発注範囲を考える材料とします。

Umios|事業の将来像から企業名を変える
マルハニチロは2026年3月1日、社名を「Umios株式会社」へ変更しました。新名称には、海を起点に社会課題の解決へ取り組む企業としての意思が込められています。またパーパスとミッション、シンボルを整え、グループ各社へ展開。従来の事業イメージを超え、企業の将来像を社名とCIで表現しています。
[ CHIBICOの視点 ]
現在の社名が将来の事業領域や企業の目指す姿を十分に伝えられない場合、名称変更もCI戦略の選択肢になります。重要なのは新しい名前をつけることではなく、何を変えたいのかを明確にすることです。Umiosの事例は、社名に加え、パーパスやミッション、ブランド体系まで一体で見直す判断の参考になります。
[ 出典 ] Umios株式会社|新社名発表(2025年3月24日)
[ 出典 ] Umios株式会社|グループ各社の社名変更(2026年2月17日)

NTT|歴史あるブランド資産を継承する
NTTは2025年7月1日、商号を「NTT株式会社」に変更し、グループのCIを刷新しました。1985年に誕生した「ダイナミックループ」は残し、ロゴタイプと色彩を更新。事業の多角化や海外展開に合わせ、グループ共通の理念と行動指針も整備しました。認知を活かしながら、新たな企業像を伝えています。
[ CHIBICOの視点 ]
CI刷新では、すべてを新しくすることが正解とは限りません。NTTは長年の認知と信頼が蓄積されたシンボルを継承し、社名表記や色、グループの共通指針を更新しました。残す価値と変える表現を分けた点が重要です。既存のブランド資産を評価したうえで、事業の現状と将来像に合わせて判断する必要があります。
[ 出典 ] NTTグループ「CIの刷新について」2025年5月9日

Walmart|既存の認知を活かしながらブランドを進化させる
Walmartは2025年1月、ブランドアイデンティティの刷新を発表しました。創業者サム・ウォルトンの帽子から着想した書体を採用し、象徴的なSparkとブルー、イエローを継承。店舗だけでなく、WEBやアプリを通じた購買体験にも対応し、デジタルと店舗をつなぐ小売企業としての姿を表現しました。
[ CHIBICOの視点 ]
Walmartの刷新は、既存の認知を維持しながら、現在の事業にふさわしい表現へ進化させた事例です。ブランドの象徴を残すことで顧客とのつながりを守り、書体や表現方法を更新して新しさを伝えています。CI開発では、変化の大きさを競うのではなく、継承する価値と更新する要素を見極めることが重要です。
[ 出典 ] Walmart|ブランド刷新の公式発表(2025年1月13日)
■ CI戦略の成果は、何で判断するべきか?
CI戦略の成果は、公開日の反応だけで判断しません。目的が認識改善なら顧客の理解、営業支援なら指名問い合わせ、採用なら候補者の理解、社内浸透なら社員の説明力など、定めたゴールに合わせて指標を選びます。CHIBICOは評価方法と時期を合意することを重視します。
1. 企業イメージの改善を目的とする場合
顧客や取引先が、企業の事業内容、提供価値、強みをどの程度理解しているかを確認します。CI公開前後のヒアリングや認知調査によって、目指す企業像と実際の認識の差を把握します。
2. 営業活動の改善を目的とする場合
指名検索数、問い合わせの内容、商談時の企業理解、提案資料の活用状況などが評価対象になります。問い合わせ数だけでなく、意図する顧客層からの相談が増えているかを確認することも重要です。
3. 採用や社内浸透を目的とする場合
採用候補者が企業の方向性を理解しているか、社員が自社の価値や強みを説明できるかを確認します。面接時のヒアリングや社員アンケート、部門ごとのブランド理解度などが判断材料になります。
4. 成果評価を公開前から準備する
CIの成果指標は開発前に決め、公開前の状態を記録します。公開後も同条件で比べ、変化と課題を確認します。売上や問い合わせに他の施策も影響するため、CIの成果と断定しません。
■ CI戦略の相談前に、何を準備すればよいか?
初回相談で必要なのは、完成した企画書より、困っていることと実現したい変化です。WEBサイトや既存ロゴがあれば検討は進みますが、依頼範囲を事前に確定する必要はありません。CHIBICOでは状況を伺い、戦略から始めるか、表現の見直しで足りるかを共に整理します。
1. 現在、何に困っているのか
社名と事業内容が合わなくなっている、企業の強みが伝わらない、ブランド表現が統一されていないなど、感じている問題を共有してください。原因まで明確になっている必要はありません。
2. どのような企業を目指しているのか
今後の事業展開、顧客、市場、組織など、目指す姿を共有します。具体的な経営計画がある場合は参考になりますが、まだ方向性を検討している段階でも相談は可能です。
3. 現時点で分かっている条件は何か
希望する公開時期、予算の目安、社内の意思決定体制、既存のブランド資産などを確認します。条件がすべて決まっていなくても、現時点で分かっている範囲を共有していただければ、検討の出発点になります。

■ CI戦略に関するよくある質問
CI戦略の依頼では、費用や期間だけでなく、どこまで見直すべきか、社内で何を決めておくべきかなど、実務上の疑問が生まれます。判断に迷う点も、専門家と話すことで丁寧に整理できます。ここでは発注前によく寄せられる質問に、CHIBICOの考え方を交えて回答します。
Q1. CI戦略を相談する前に、何を決めておくべきですか?
最初に必要なのは、企業が抱える課題と実現したい変化の共有です。社名やロゴを変更するかどうかは、その内容を確認してから判断します。依頼範囲が決まっていなくても相談できます。
Q2. ロゴの変更だけでも、CI戦略から考えるべきですか?
理念や事業の方向性も明確で、視覚表現だけに課題があるなら、VIの整備から始められます。企業の価値観や将来像が伝わっていない場合は、CI戦略からの見直しを慎重に検討します。
Q3. CI戦略の開発費用と期間は、どのように決まりますか?
企業規模や開発範囲、調査の内容、関係者の人数によって費用と期間は異なります。まず優先課題を整理し、必要な工程を比較したうえで、実施範囲と進め方を共に決めることが大切です。
Q4. CI戦略は、どのような会社に頼むべきですか?
ブランド戦略とデザインを一貫して扱い、判断理由まで説明できる会社が適しています。制作実績の見た目だけでなく、課題をどう捉え、なぜその方法を選んだのかまで確認してください。
Q5. 初回相談では、どこまで資料を用意すればよいですか?
準備するのは、今の困りごとと目指す姿だけでも十分です。社内で意見が分かれている点や予算、公開時期も共有してください。相談前に制作物や解決方法を決めておく必要はありません。

■ CI戦略を検討するためのチェックリスト
CI戦略を依頼する前に、事業と企業のイメージ、将来像、顧客の認識、ブランド表現の一貫性を確認します。課題の所在を整理することで、必要な開発範囲と相談内容が明確になります。
□ 現在の事業と社名・企業イメージは一致しているか
□ 経営方針や将来像を社員が共通認識しているか
□ 顧客に自社の価値や強みが正しく伝わっているか
□ ブランド戦略とデザインの方向性は一致しているか
□ 解決したい課題とCI開発のゴールが明確になっているか

■ まとめ
最初の判断が、CI戦略の結果を変える
CI戦略で大切なのは、社名やロゴを先に決めることではなく、何を実現したいのかを明確にすることです。事業の現状、顧客からの認識、将来のビジョンを照らし合わせ、複数の方法を比較します。CHIBICOは戦略と言葉、デザインを一貫して開発し、それぞれの企業の課題に合う具体的な進め方をご提案します。
■ 自社の課題が整理できていなくても、ご相談ください
CI戦略から見直すべきか、ロゴだけの変更で足りるのか。結論が出ていない段階でも、ご相談いただけます。CHIBICOでは、現在の事業や顧客の認識、将来像を伺い、既存のブランド資産も確認します。ご要望をそのまま形にする前に、実現できる別の選択肢も比較しながら、必要な範囲と進め方をご提案します。
最初の相談では何を準備すればよいのか?
初回のご相談に、詳しい依頼書や完成イメージは必要ありません。今の事業、困っている場面、これから実現したいことをお聞かせください。予算や公開時期、社内で意見が分かれている点も大事な材料です。気になる疑問や不安も率直に共有していただき、複数の方法から無理のない納得できる進め方を一緒に考えます。
CHIBICOが大切にしていること
CHIBICOは、企業が抱える課題と将来像を見極め、ブランド戦略、コンセプト、ネーミング、CI・VI、WEB、ガイドラインまで一貫して開発します。好みだけでは判断せず、目的に合った表現を追求します。25年以上の経験を生かし、論理的な判断とデザインの力をつなぎ、永く使えるブランドを育てます。
[ 参考文献・一次情報 ]
- NTTグループ|CIの刷新について(2025年)
- Umios株式会社|新社名・新CIの公式発表(2025年)
- Walmart|ブランドアイデンティティ刷新(2025年)
- Merrilees & Miller (2008)|Principles of Corporate Rebranding

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 CI戦略・CI開発を検討されている企業の方へ 】
社名まで変えるべきか。今のロゴを残せるか。どこまで依頼すればよいか。
まだ結論が出ていない段階から、ご相談いただけます。
CHIBICOでは、課題の整理から戦略、言葉、デザインまで、一貫した視点で検討します。
まずは、現在のお悩みをお聞かせください。
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CIそのものについて詳しく知りたい方

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CI変更を具体的に検討している方


















