
[ ブランディングデザイン ]
CI戦略とは?目的・進め方・デザイン開発のポイント
CI戦略とは、企業の存在意義や価値観、目指す姿を明確にし、考えを言葉・行動・デザインへ一貫して展開する取り組みです。単にロゴやWEBサイトを新しくすることではありません。
事業の成長や市場の変化により、社会から見える姿と実際の事業にはズレが生まれます。現在の事業、既存資産、未来像を整理し、何を残し、変え、加えるかを判断することが出発点です。
本記事では、CI戦略の目的や進め方、デザイン開発、公開後の運用・評価までを、株式会社チビコ代表取締役/ブランディングディレクターの今田佳司が、実務経験をもとに解説します。
CONTENTS | 目次
■ CI戦略とは何か?

CI戦略とは、企業の存在意義や価値観、目指す姿を明確にし、理念・行動・デザインを一つの方向へつなぐ取り組みです。MI・BI・VIを共通の判断軸で結び、「自分たちは何者か」「どんな価値を届けるか」を明確にし、企業活動全体へ一貫して反映する基本的な考え方です。
┃ 一般的には、CIをMI・BI・VIの3つに分けて考えると理解しやすくなります。
MI|企業の考え方を明確にする
MIは、「なぜ存在するのか」「何を大切にするのか」「どこを目指すのか」を言葉にする領域です。Purpose、Mission、Vision、Values、企業理念を整理し、経営や社員が迷ったときに立ち返れる判断や意思決定の基準として機能させることが重要です。
BI|企業の考え方を行動へつなげる
BIは、MIで定めた考え方を日々の行動や判断へつなげる領域です。「顧客第一」を掲げるなら、営業、商品開発、問い合わせ対応などで何を優先するのかまで具体化します。理念を掲げるだけで終わらせず、社員が日々現場で迷わず確実に実行できる状態をつくることが重要です。
VI|企業の考え方を視覚化する
VIは、企業の考え方や個性を視覚的に伝える領域です。ブランドシンボル、ロゴタイプ、カラー、フォント、写真、イラストなどを整えます。目的は見た目を統一することではなく、各媒体や担当者が変わっても、その企業らしさを一貫して再現できる状態をつくることが重要です。
■ CI戦略は何のために必要なのか?

CI戦略の目的は、企業が何者で、誰に、どのような価値を届けるのかを明確にし、その考えを社内外で共有できる状態にすることです。経営、事業、採用、営業、広報、デザインの判断を一つの軸でつなぎ、競合との違いと長期的なブランド価値を育てる重要な共通基盤になります。
1. 企業の存在意義と目指す姿を明確にする
CI戦略では、企業がなぜ存在し、社会へどのような価値を提供し、将来どこを目指すのかを整理します。Purpose、Mission、Vision、Valuesなどの言葉を増やすことが目的ではなく、経営や事業、組織が迷ったときに立ち返れる共通の判断軸として機能させることが重要です。
2. 競合との違いと選ばれる理由をつくる
商品やサービスの機能だけでは差別化しにくい市場では、企業自体の価値が重要です。専門性、歴史、姿勢、価値観、独自の強みを整理し、価格や機能以外で選ばれる理由を明確にします。
3. 社内の判断と行動をそろえる
CI戦略は、顧客へ企業を伝えるだけでなく、社員が企業の価値観や目指す姿を理解する共通基準にもなります。部門を越えて認識をそろえ、組織として一貫した判断と行動につなげます。
➤ 詳細記事:インナーブランディングとは?目的と進め方と成功事例
4. 社会へ伝わる企業像を統一する
企業は、WEBだけで認識されるわけではありません。会社案内、営業資料、広告、採用、SNS、商品、店舗、社員対応など、言葉やデザインをつなぎ、企業らしさを一貫して伝えます。
5. 長期的なブランド資産を育てる
ブランドは、一度の広告やロゴ変更で完成するものではありません。同じ考え方、メッセージ、視覚表現、体験を長期的に積み重ねることで、認知や理解、信頼がブランド資産になります。
■ CI戦略では何を整理するのか?

CI戦略を考える際は、まず現在の事業、経営課題、既存のブランド資産、社会から見える企業像、これから目指す姿を整理します。そのうえで、何を残し、何を変え、何を加えるのかを判断し、デザインやメッセージを決める前に、企業として進む方向を明確にすることが重要です。
➤ 詳細記事:リブランディングが必要になる5つのサインと6つの判断基準
1. 現在の事業と経営課題
最初に確認するのは、ロゴではなく現在の事業です。商品やサービス、顧客、成長領域を整理し、事業転換、多角化、M&A、事業承継など、CIを見直す背景の経営課題まで把握します。
2. 現在のブランド資産
次に、現在の企業が持つブランド資産を確認します。社名、理念、ロゴ、カラー、商品、サービス、歴史、顧客との関係などを整理し、今後も価値を持つ資産かどうかを丁寧に見極めます。
3. 社会から見えている企業像
企業が自社をどう考えているかと、顧客や社会からどう見えているかは一致しないことがあります。競合との違いや事業内容が伝わっているかを確認し、認識のズレを具体的に把握します。
4. これから目指す企業像
CIは、現在だけを見るものではありません。5年後、10年後にどのような企業になりたいのかを考え、新規事業や市場拡大、顧客層の変化なども踏まえ、未来の企業像を明確にします。
5. 残す・変える・加えるを判断する
すべてを変えることがCI戦略ではありません。既存資産を「残す」「変える」「加える」「役割を終える」で整理し、過去の価値を活かしながら、未来へつながるCIとして開発します。
➤ 詳細記事:CI変更の5つの理由|見直すタイミング・範囲・進め方・事例
■ CI開発はどのような手順で進めるのか?

CI開発は、現状把握、課題の特定、存在意義と価値の整理、ブランドコンセプト開発、VI開発、各接点への展開、ガイドラインと運用体制の整備へ進めます。デザインから始めず、経営課題から判断し、戦略、言葉、表現、運用を一貫して結び、企業へ定着させることが重要です。
STEP 1|現状を把握する
現在の事業、経営方針、顧客、競合、社員、ブランド表現を確認します。必要に応じて社員や顧客にもヒアリングし、社内外で企業の見え方に違いがないかを把握し、課題まで整理します。
STEP 2|課題を特定する
調査結果から、現在の企業と目指す企業像の間にあるズレを整理します。ロゴやWEBサイトなど表面的な問題だけでなく、その背景にある経営課題や事業上の原因まで丁寧に確認します。
STEP 3|企業の存在意義と価値を整理する
「なぜ存在するのか」「誰に何を提供するのか」「どこを目指すのか」を明確にします。既存の理念が有効なら無理に変えず、企業の本質と将来の方向性を改めてより具体的に整理します。
STEP 4|ブランドコンセプトをつくる
企業の存在意義や提供価値を、社内外で共有できるブランドコンセプトへまとめます。判断軸を明確にすることで、デザインを好き嫌いではなく、ブランドとの整合性を基に評価できます。
STEP 5|VIを開発する
ブランドコンセプトを基に、ブランドシンボル、ロゴタイプ、カラー、フォント、写真、グラフィックなどを開発します。要素を組み合わせ、一つの企業像として見える状態をつくります。
■ CI戦略をデザイン開発へどうつなげるのか?

CI戦略をデザインへつなげるには、企業の存在意義や提供価値を言語化し、目指す印象を視覚表現へ変換します。ブランドコンセプトを起点に、ロゴ、カラー、フォント、写真、グラフィックなどを開発し、言葉とデザインが同じ企業像を伝える状態を確実につくることが重要です。
1. ブランドコンセプトを言語化する
デザインを始める前に、まず「誰に、どのような価値を、どのような企業として届けるのか」を明確にします。ブランドコンセプトを、言葉とデザインをつなぐ判断基準として整理します。
2. 目指すブランドイメージを定める
社会からどのような企業として認識されたいのかを整理します。「先進的」「信頼できる」「専門的」「親しみやすい」など、企業の価値や顧客との関係性から必要な印象を導き出します。
3. ビジュアルコンセプトへ変換する
言葉として整理したブランドコンセプトを、形、色、文字、写真、余白、レイアウトなどの視覚表現へ変換し、企業の性格や価値観をどのように見せるのかをより具体的かつ明確にします。
4. コアとなるデザイン要素を開発する
方向性が決まったら、ブランドシンボル、ロゴタイプ、カラー、フォント、写真、グラフィックなどを具体的に開発し、組み合わせた際に同じ企業らしさを感じられるか丁寧に確認します。
5. ブランド接点へ展開する
開発したVIは、WEBサイト、名刺、会社案内、営業資料、採用、広告、SNS、サインなどへ展開して検証します。異なる環境でも一貫したブランドとして成立するか十分確認します。
■ CIはどこまで開発すべきなのか?

CI開発では、すべての企業が社名、理念、ロゴ、WEBサイトまで全面的に変える必要はありません。経営課題、既存ブランド資産、使用する接点、運用体制を確認し、残すもの、変えるもの、新しく加えるものを整理した上で、自社に必要な開発範囲と優先順位を適切に決めます。
LEVEL 1|VIを中心に整える
理念や社名は現在の事業と合っているものの、ロゴや各媒体の表現にばらつきがある場合は、VIを中心に見直します。ロゴ、カラー、フォント、写真、グラフィックなどを整理して、媒体ごとの使い方や表現基準まで定めて、ブランド全体の一貫性を保つガイドラインへまとめます。
LEVEL 2|言葉とVIを一緒に見直す
企業の価値は明確でも、理念やメッセージが伝わりにくい場合は、言葉とVIを一緒に見直します。存在意義や提供価値、目指す姿を整理し、その内容をロゴ、カラー、写真などの視覚表現へ反映することで、言葉とデザインの方向性をそろえ、ブランドに対する理解をより深めます。
LEVEL 3|CI全体を再定義する
企業の価値は明確でも、理念やメッセージが伝わりにくい場合は、言葉とVIを一緒に見直します。存在意義や提供価値、目指す姿を整理し、その内容をロゴ、カラー、写真などの視覚表現へ反映することで、言葉とデザインの方向性をそろえ、ブランドに対する理解をより深めます。
■ CIでは、どこまでデザインするのか?

CIで開発する範囲は、企業ごとに異なります。社名や理念まで見直す場合もあれば、ロゴ、カラー、フォント、写真、WEB、会社案内などVIを中心に整える場合もあります。すべてを変えるのではなく、課題と既存資産を確認し、必要な範囲を優先順位で決めることが大切です。
基本デザイン|ブランドの核となる視覚要素
基本デザインは、企業のVIを支える中心要素です。ブランドシンボル、ロゴタイプ、カラー、書体、写真、レイアウトなどを整理し、少ない要素で一貫したブランドらしさをつくります。
アプリケーション|実際のブランド接点
基本デザインは名刺、会社案内、営業資料、WEBサイト、採用、SNS、広告、商品、サインなどへ展開します。接点の頻度と重要度を整理し、影響の大きな接点から優先して整えます。
ブランドガイドライン|表現の共通基準
ブランドガイドラインではロゴ、カラー、書体、写真、レイアウト、禁止例などを整理します。ルールだけでなく、どのように表現すればブランドらしくなるかという考え方を共有します。
➤ 詳細記事:ロゴガイドラインとは?目的・構成・作り方・運用方法と事例
運用ツール|CIを使いやすい状態にする
運用では、ガイドラインに加え、ロゴデータ、PowerPoint、営業資料、SNS、テンプレートも整備します。社員が迷わず使えるようにし、表現の再現性と運用効率を高めます。
■ CI戦略を成功させる6つのポイント

CI戦略を成功させるには、デザインから始めず、経営課題と目的を明確にし、既存のブランド資産を正しく評価することが重要です。さらに、意思決定の基準を共有し、実際のブランド接点で検証しながら、公開後の運用や評価まで含めて継続できる仕組みを整える必要があります。
1. デザインから始めない
最初からロゴ案を検討すると、好き嫌いという感覚的判断になりやすくなります。まずCIを見直す理由と企業として伝えたいことを整理し、デザインを評価する共通基準を明確にします。
2. 経営課題と結びつける
CIはデザイン部門だけで完結するものではありません。事業戦略、営業、採用、組織、海外展開などと結びつけて考え、経営課題との関係を明確にすることで社内の理解と合意を得ます。
3. 既存のブランド資産を捨てない
古く見えるという理由だけで、すべてを変える必要はありません。顧客に認知された色、企業文化、歴史、名称などの既存の資産を評価し、未来にも価値があるものは積極的に継承します。
4. 意思決定の基準を明確にする
CI開発には経営者、担当者、社員など多くの人が関わります。多数決や個人の好みに流れないよう、最終意思決定者、評価項目、判断基準を事前に明確に決め、全体の方向性を保ちます。
5. 実際のブランド接点で検証する
CI開発には経営者、担当者、社員など多くの人が関わります。多数決や個人の好みに流れないよう、最終意思決定者、評価項目、判断基準を事前に明確に決め、全体の方向性を保ちます。
6. 公開後の運用まで決める
CIは公開日がゴールではありません。社員への説明、ガイドライン共有、ロゴデータ管理、制作物の切り替え、ブランド評価を継続して、運用体制を整えて企業文化として定着させます。
■ CHIBICOはCI戦略をどのように考えているのか?

CHIBICOでは、CIを新しく見せるためのデザインではなく、現在の事業、外から見えているブランド、これから日指す姿の三つをつなぐ取り組みと考えています。経営課題と既存資産を整理し、残す・変える・加える要素を見極め、言葉とデザインへ一貫して展開することを重視しています。
CURRENT BUSINESS|現在の事業
まず、現在の会社が実際に何をしているのかを確認します。事業内容、顧客、提供価値、競争環境、成長領域などを整理し、「現在の企業の実態」を明確にします。現在の事業とブランドの関係を正しく把握することが、CIを考えるうえでの重要な出発点になります。
CURRENT BRAND|外から見えているブランド
次に、社名、理念、ロゴ、WEBサイト、会社案内、営業資料などから、社会へどのような企業像が伝わっているのかを確認します。事業が変化しているのに、ブランドだけが過去の企業像を残している場合、その差がCIを見直すべき重要なサインになります。
FUTURE VISION|これから日指す姿
さらに、企業がこれから何を目指すのかを整理します。新しい事業領域、顧客、市場、組織などを踏まえ、未来の企業像を明確にします。そのうえで、現在の事業と未来像をつなぎ、残す資産、変える要素、新しく加える要素を見極め、CIの方向性を決めます。
CHIBICOでは、CIを「新しくすること」ではなく、現在の事業、社会から見える姿、これから目指す姿のズレを整えることだと考えています。
■ CHIBICOはCI戦略をどのように実践しているのか?
CI戦略では、何を作ったかだけでなく、企業が抱えていた課題に対して、何を残し、何を変え、どこまで開発する必要があると判断したのかが重要です。CHIBICOでは、事業、企業理念、ブランド資産、社会からの認識、将来像を整理し、必要なCI開発の範囲を決めています。

NIHON MOBILITY SERVICE|社名変更を起点に企業像全体を再構築
[ 課 題 ]
旧社名「JAPAN OIL SERVICE」は、従来の事業を示す名称として機能していましたが、今後目指すモビリティ領域への事業拡張や将来像を十分に表現できなくなっていました。社名と実際の事業領域、これから社会へ示したい企業像との間にも大きなズレが生じていたことが大きな課題でした。
[ 判 断 ]
課題はロゴの古さや見た目だけではなく、企業の見え方にあると判断しました。そのため、ロゴだけを変更するのではなく、「これから何を提供する企業なのか」という企業像から整理し直し、社名、言葉、デザインを一体としてCI全体まで再構築し、新しい企業像を一貫して伝える必要があると考えました。
[ 開発範囲 ]
社名、ブランドコンセプト、シンボル、ロゴタイプ、スローガン、VI等を開発しました。「新しい移動と技術の進化。モノを超えたサービスとしてのあり方。」を核に社名をNIHON MOBILITY SERVICEへ変更し、「MOBILITY IS POSSIBILITY.」へ展開しました。
[ この事例から分かること ]
この事例で重要なのは、社名変更を単独で考えなかったことです。事業の変化を起点に企業像を見直し、名称、言葉、シンボル、ロゴタイプ、VIまで一貫して開発することで、現在の事業だけでなく、これから目指す事業領域や将来像まで一貫して表現できるCI全体へ更新したことに大きな意味があります。
➤ CHIBICO WORKS | NIHON MOBILITY SERVICEより

RENEWABLE JAPAN|事業内容から企業の社会的な意味まで掘り下げる
[ 課 題 ]
再生可能エネルギーという事業内容は明確である一方、それだけでは企業固有の存在意義や社会に提供する価値まで十分に伝えられません。事業カテゴリーの説明を超えて、「なぜRENEWABLE JAPANがこの事業を行うのか」を明確にし、企業として社会に示す役割まで整理する必要がありました。
[ 判 断 ]
再生可能エネルギーを扱う会社として見せるだけでは、長期的なブランド形成には不十分だと判断しました。そこで事業内容そのものではなく、その事業によって社会をどのように変えていくのかまで掘り下げ、企業の思想と言葉、デザインを一つの考え方として一貫してつなぎ、ブランド全体へ展開しました。
[ 開発範囲 ]
ブランド戦略、ブランドコンセプト、ブランドシンボル、ロゴタイプ、ブランドステートメント、VIまで一貫して開発しました。「すべての人を、エネルギーの主人公に。」という考え方を核に、企業の存在意義から言葉と視覚表現までを同じ思想から継続的に一貫して展開できるブランド像へと整えました。
[ この事例から分かること ]
この事例では、事業内容をそのままデザインへ置き換えるのではなく、企業が社会で果たす役割を定義したことがCI戦略の中心です。上位概念を明確にしたことで、ブランド戦略、言葉、シンボル、ロゴタイプ、VIまでを同じ思想から展開し、企業全体でも継続的に一貫して運用できる状態をつくりました。
※リニューアブル・ジャパン株式会社は、2026年4月1日付で「株式会社リエネ・エナジー」へ社名変更しています。CHIBICOがRENEWABLE JAPANの名称で支援した当時のCI開発事例です。
➤ CHIBICO WORKS | RENEWABLE JAPANより

I’ROM GROUP|グループの存在意義を共通の言葉へ集約
[ 課 題 ]
複数の事業や活動を展開する企業グループでは、各事業の説明だけではグループ全体として何を目指すのかが見えにくくなります。そこで、事業を横断して共有できる価値観と、社会に対してどのような姿勢を示し、どのような価値を提供する企業なのかを明確にしていくことが最重要な課題となっていました。
[ 判 断 ]
個別事業ごとの表現を整える前に、グループ全体を束ねる上位の考え方が必要だと判断しました。そこで、企業活動の背景にある思想や価値観を整理し、社員、顧客、社会に共通して伝えられる企業の約束として言語化することで、各事業を一つの方向へつなぐ共通基盤を組織全体でつくることを重視しました。
[ 開発範囲 ]
ブランド戦略、ブランドコンセプト、シンボル、ロゴタイプ、ブランドステートメント、名刺、封筒、WEBサイトまで一貫して開発しました。複数の事業に共通する思想を言葉と視覚の両面から整理し、各事業が異なる役割を持ちながらも、グループとして同じ企業像を伝えられるブランド基盤を構築しています。
[ この事例から分かること ]
この事例では、ロゴやデザインを先に変更するのではなく、企業として何を約束するのかを言葉によって明確にしました。CI戦略では、視覚表現だけでなく、企業の判断や行動、社内外のコミュニケーションの基準となる言葉を整え、それを共通の価値観として継続的かつ社内全体で共有することも重要です。
➤ CHIBICO WORKS | I’ROM GROUPより

INSIGHT FACTORY|企業独自の価値を短い言葉へ凝縮
[ 課 題 ]
企業が提供しているサービスや機能を説明するだけでは、競合との違いや、その企業ならではの考え方まで十分に伝わらないことがあります。INSIGHT FACTORYでは、事業内容の説明を超えて、企業がどのような視点で価値を生み出しているのか、その独自性を明確にすることが主な課題でした。
[ 判 断 ]
サービスの機能を並べるのではなく、「どのような視点で物事を見る企業なのか」という企業固有の姿勢を言語化することが重要だと判断しました。企業の特徴を単なる説明文ではなく、社内外のさまざまな接点で、将来にわたっても使用し続けられる、ブランドの核となる言葉へ集約することを重視しました。
[ 開発範囲 ]
ブランドコンセプト、シンボル、ロゴタイプ、ブランドステートメント、名刺、封筒、WEBサイトまで一貫して開発しました。企業独自の視点をブランドの核として明確にし、その考え方を言葉、シンボル、各種ツールへ展開することで、接点が変わっても同じ企業らしさを伝えられるブランド基盤を構築しています。
[ この事例から分かること ]
この事例で重視したのは、企業の特徴をサービス説明ではなく、独自の視点として定義したことです。短い言葉に企業の思想を集約することで、WEB、営業、採用など異なる接点でも、企業として何を大切にし、どのような視点を持つのかを一貫して伝えやすくなり、長期的なブランド形成にもつながります。
➤ CHIBICO WORKS | INSIGHT FACTORYより
【 4つの事例から分かるCI戦略の判断基準 】
4つの事例に共通するのは、最初からロゴやデザインの変更範囲を決めていないことです。まず企業が抱える課題を確認し、その原因が名称、理念、言葉、VI、運用のどこにあるのかを判断したうえで、必要な開発範囲を決めています。
NIHON MOBILITY SERVICEでは、事業領域と旧社名のズレから企業像全体を見直しました。RENEWABLE JAPANでは、事業内容の説明から社会的な存在意義まで掘り下げています。I’ROM GROUPでは企業としての約束を言葉にし、INSIGHT FACTORYでは独自の視点をブランドメッセージへ集約しました。
CI戦略で重要なのは、すべてを変えることではありません。企業ごとに異なる課題を見極め、「何を残すのか」「何を変えるのか」「何を新しく加えるのか」を判断し、必要な範囲だけを開発することです。
■ 海外企業に見るCI戦略とデザイン
海外企業のCIを見ると、ロゴだけを更新するのではなく、企業の存在意義や事業の方向性に合わせて、言葉、デザイン、体験を長期的に整えていることが分かります。重要なのは表面的な模倣ではなく、自社の価値と市場での役割を明確にし、より一貫した表現へつなげることです。

Apple|思想と体験を一貫させる
Appleは、製品、店舗、広告、WEBなどで一貫したブランド体験を築いています。2026年にはPurpose、Agency、Responsibility、Familiarity、Flexibility、Simplicity、Craft、Delightを原則として提示。見た目に加え、目的、使いやすさ、柔軟性、細部の配慮までを品質として捉え、思想を製品やサービスへ具体化しています。その思想は顧客体験の細部まで一貫して反映されます。
利用者がどの接点に触れてもAppleらしさを感じられるのは、ブランドの思想と体験の基準が共有されているからです。CIでも理念や価値観を言葉で定めるだけではなく、行動、デザイン、顧客体験へ一貫して反映し、企業らしさとして蓄積することが重要です。さらに、原則を共通の判断基準として共有することで、担当者や媒体が変わっても、常に同じ価値観からAppleらしい体験を継続して生み出せます。
[ 出典 ] Apple Developer「Principles of great design」より

Nike|ミッションと象徴を強く結びつける
Nikeは、「世界中のすべてのアスリートにインスピレーションとイノベーションをもたらす」というミッションを掲げ、Swoosh、商品、広告、店舗、デジタル体験、スポーツとの関係を長期にわたり積み重ねてきました。CIで重要なのはシンボル自体を有名にすることではなく、企業が何を信じ、誰に何の価値を提供し、それを接点全体で一貫して表現することです。Swooshは、その姿勢を象徴します。
Swooshの意味は広告だけでつくられたものではなく、製品開発、アスリートとの関係、スポーツや社会との接点を通じて長く蓄積されました。企業の思想、行動、視覚表現を継続的につなぐことで、象徴には認知だけでなく信頼や意味が加わります。その結果、Swooshを見るだけでNikeの挑戦と前進の姿勢が想起され、視覚資産と企業活動が互いにブランドの意味を強め、長期的な資産として機能します。
[ 出典 ] NIKE, Inc.「Our Mission」より

McDonald’s|世界共通のブランドと地域性を両立する
McDonald’sは、「Feed and foster communities」をPurpose、「Make delicious feel-good moments easy for everyone」をMissionに掲げ、共通の核を保ちながら、地域や市場に応じて展開しています。Golden Archesを守り、商品、店舗、広告、サービスは地域ごとに柔軟に変化させています。
企業として変えない価値や象徴と、地域や顧客に合わせて変える要素を明確に分けることが重要です。核が曖昧なまま自由度だけを高めればブランドは分散し、すべてを固定すれば地域との接点を失います。McDonald’sは、PurposeやMission、Golden Archesを共通基盤とし、地域の文化や需要に応じて表現や体験を調整することで、一貫性と柔軟性を両立するCIを示しています。
[ 出典 ] McDonald’s Corporation「Our Mission and Values」「Our Purpose & Impact」より

■ CI戦略に関するよくある質問
CI戦略では、何から始めるか、デザインとどうつなげるか、どこまで開発するかなど疑問が生まれます。企業が判断するための考え方と実務上のポイントを具体的に整理して解説します。
Q1. CI戦略とは、どのように考えればよいですか?
CI戦略とは、企業の存在意義や価値観、目指す姿を整理し、理念・行動・デザインを一貫させる方針です。MI・BI・VIを結び、社内外で同じ企業らしさを伝える基盤をつくります。
Q2. CI戦略とデザイン開発は、どう違いますか?
CI戦略は、企業が何者で何を目指すかという判断軸を定め、デザイン開発はその考え方をロゴ、カラー、書体、写真などへ変換します。戦略を先に定めれば、表現に一貫性が生まれます。
Q3. CI戦略は、何から始めるべきですか?
CI戦略は、経営課題や事業の変化、現在の企業イメージを整理することから始めます。残す資産と変える要素を見極め、存在意義、価値観、目指す姿を明確にし、経営課題から考えます。
Q4. CIでは、どこまで開発すべきですか?
CIの開発範囲は、すべてを一度に変える必要はありません。理念、メッセージ、ロゴ、カラー、書体、WEB、営業資料などから必要な範囲を選び、残す・変える・加えるを判断します。
Q5. CI戦略の成果は、どのように評価しますか?
CI戦略の成果は、公開直後の反応だけでなく、ブランド認知、指名検索、問い合わせ、採用、社員理解、表現の一貫性などで確認します。目的別にKPIを設定し、定着まで評価します。

■ CI戦略を検討するためのチェックリスト
CI戦略は、ロゴやWEBサイトを変えるかだけで判断しません。事業と企業イメージ、理念やメッセージ、ブランド表現の一貫性を確認し、今どこに課題があるかを具体的に整理します。
経営・事業
□ 5年前と比べて事業内容や顧客層が変化している
□ 今後の成長領域を現在の企業ブランドが表現できていない
□ M&A、事業承継、海外展開など大きな変化がある
□ 企業の存在意義や将来像を明確に説明できない
ブランド
□ 「何をしている会社なのか」が正しく伝わっていない
□ 競合との違いを価格や機能以外で説明できない
□ 経営者と社員で会社の強みに対する認識が違う
□ 理念やメッセージが実際の企業活動と結びついていない
デザイン
□ ロゴやWEBサイトが現在の事業と合っていない
□ 媒体ごとにカラーやフォント、写真表現が異なる
□ WEB、営業、採用で企業の印象がばらばらになっている
□ デザインを判断する共通基準がない

■ まとめ
CI戦略は、企業の存在意義や価値観を明確にし、経営、行動、言葉、デザインを一つの方向へつなぐ取り組みです。重要なのは新しく見せることではなく、事業と未来像に合う企業像を定めます。既存資産を整理し、残すもの、変えるもの、加えるものを見極め、未来へつながるCIを開発します。
CIは、完成した瞬間よりも、その後どのように運用されるかが重要です。社員や外部パートナーが共通基準を持ち、営業、採用、広告、WEBなどへ一貫して展開することで、企業らしさが社会に蓄積されます。戦略と運用をつなぎ、ブランド価値を長く育て続ける仕組みを整えることが重要です。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 CIをどう進めるか?の前にご相談ください 】
CIは、最初から社名やロゴなどの開発範囲を決めていなくても構いません。
現在の事業や経営課題を伺い、必要なCI戦略と開発範囲から一緒に整理します。
何を残し、変え、加えるべきか迷う段階でもご相談いただけます。
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CIそのものについて詳しく知りたい方

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