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リブランディングはなぜ必要?必要になる5つのサインと判断方法

[ ブランド戦略 ]

リブランディングはなぜ必要?5つのサインと6つの判断基準

リブランディングが必要になるのは、「現在の事業」「現在伝わっているブランド」「これから目指す企業像」の間に、ズレが生じたときです。そのズレが企業価値を伝わりにくくします。

事業が広がっても昔の社名や企業イメージが残り、独自の強みや将来像が十分伝わらないことがあります。重要なのは、築いてきた資産を活かしながら、事業とのズレを見極めることです。

本記事では、リブランディングが必要になる5つのサインと、自社が取り組むべきかの判断を、CHIBICOのブランディングディレクターである筆者が、実務経験をもとに解説します。


リブランディングが必要になる5つのサイン

なぜリブランディングが必要になるのか?

企業がリブランディングを検討する理由はさまざまです。しかし、実際のプロジェクトを見ていくと、必要性が高まる企業には共通する変化があります。代表的なのが、次の5つです。

1. 事業の実態とブランドイメージが合わなくなっている

事業やサービスが変化しているのに、ブランドが以前のままなら見直しが必要です。

新しい事業やサービスが増えている
顧客層や取引先が変化している
ロゴやWEBが企業の実態と合っていない

企業は進化しているのに、ブランドだけが過去の姿を伝えている状態です。この場合はデザインだけでなく、現在の事業価値をどう整理し、社会へ伝えるかから見直す必要があります。

詳細記事:ブランドイメージを高めるデザインの重要性と一貫性

2. 競合との違いが伝わらなくなっている

市場が成熟すると、「品質」「技術力」「丁寧な対応」だけでは差別化が難しくなります。

WEBサイトを見ても違いが分からない
価格やスペックだけで比較される
独自の技術や強みがブランド化されていない

重要なのは、何を提供するかだけでなく、なぜ行うのか?どんな考え方で事業をしているのか?競合にない価値は何か?まで整理することです。

3. 顧客や市場が変化している

ブランドをつくった当時と顧客や市場が変わっている場合も、見直しのタイミングです。

国内から海外市場へ進出する
法人向けから個人向けへ広げる
新しい業界や市場へ参入する

ただし、ブランドの核まで変える必要はありません。守るべき価値と、変化に合わせて更新する表現を分け、新しい顧客にも価値が正しく届く状態へ整えます。

4. 「自分たちは何の会社なのか」が共有できなくなっている

社員や部署が増えると、社内でも企業に対する認識が分かれていきます。

部署ごとに会社の強みの説明が違う
採用と企業サイトで企業像が異なる
メッセージや表現が統一されていない

ブランドは社外向けの表現だけではなく、社員が判断し行動するための共通言語です。企業として大切にする価値や目指す方向を、改めて共有できる状態へ整える必要があります。

5. 目指す企業像を、現在のブランドでは表現できない

リブランディングは、問題が起きたときでなく、次へ進むタイミングでも必要になります。

第二創業・事業承継・経営者交代
M&A・新規事業・事業領域の拡大
周年・IPO・海外進出

ブランドには、現在を説明するだけでなく「これからどこへ向かう企業なのか」を示す役割があります。企業の転換期では、未来の企業像から逆算し、何を残し、何を変えるのかを整理することが重要です。

リブランディングが必要か判断する6つの質問

リブランディングが必要か判断する6つの質問

「自社もリブランディングした方がよいのだろうか」と感じても、実際に必要なのか判断するのは簡単ではありません。そこで、まず次の6つの質問を確認してみてください。

1. 現在の事業内容と、企業イメージは一致していますか?

今は違うと感じる場合は、ブランドが事業の成長に追いついていない可能性があります。

2. 5年前と比べて、事業領域や顧客層は変わっていませんか?

変化しているにもかかわらずブランドが変わっていなければ、ギャップが生まれています。

3. 「何をしている会社なのか」が正しく伝わっていますか?

WEBや営業活動で説明しても理解されない場合、ブランドの整理が必要かもしれません。

4. 競合との違いを、価格や機能以外で説明できますか?

明確に答えられない場合、自社固有の提供価値や存在意義を見直す余地があります。

5. 経営者と社員で「会社の強み」に対する認識は一致していますか?

答えが部署や立場によって大きく違う場合は、社内のブランド認識にズレが生じています。

6. ロゴやWEBサイトは、これから目指す事業戦略に合っていますか?

単に古く見えるかではなく、今後の企業像を表現できているかで判断します。

6つの質問のうち、いくつ当てはまるかでは判断できない

チェック項目はあくまで考えるきっかけです。

1つしか当てはまらなくても、「事業の大幅な転換」のような大きな問題なら、リブランディングの必要性は高くなります。逆に複数当てはまっていても、コミュニケーションの一部を整えるだけで解決する場合もあります。重要なのは数でなく、どこに、どの程度ズレが生じているのかを見ることです。

■ リブランディングを急がない方がよい3つのケース

リブランディングを急がない方が良い3つのケース

リブランディングには時間も費用も必要です。そのため、何となく変えた方がよさそうという理由だけで始めることはおすすめしません。場合によっては、ブランドを変えるより先に取り組むべきことがあります。

1. 問題が商品やサービスそのものにある

商品品質への不満が多い。
サービスの使い勝手に問題がある。
顧客対応に大きな課題がある。

ロゴや企業メッセージだけを変えても、根本的な解決にはなりません。まず事業やサービスの課題を解決し、その変化と提供価値をブランドとして正しく伝えていく順番がとても重要です。

2. 古く感じることだけが理由になっている

ロゴのデザインが古く見える。
WEBサイトに時代遅れの印象がある。
競合企業と比べて見劣りすると感じる。

ロゴやWEBサイトが古く見えても、それだけでブランドを変える必要性はありません。長く使われたロゴやカラーには認知や信頼が蓄積され、刷新によって資産を失う可能性もあります。

3. 経営や事業の方向性が決まっていない

これから注力する事業が定まっていない。
狙う市場や顧客が明確になっていない。
どのような企業を目指すか決まっていない。

会社の方向性が定まらないままブランドを先につくるべきではありません。経営方針や事業戦略、将来像を基準に「何を変え、何を残すか」を整理してから進めることが何よりも大切です。

■ リブランディングでは何を見直すのか?

リブランディングでは何を見直すのか?

リブランディングというと、ロゴやWEBサイトを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、実際に見直す範囲は企業の課題によって異なります。大きく分けると、次の5つの領域があります。

1. 経営・企業理念

| 企業活動や経営判断の方向性を定める、上位概念となる考え方です。
Purpose・Mission・Vision
Values
企業理念・経営理念

Purposeは存在理由、Missionは使命、Visionは将来像、Valuesは価値基準を示します。理念が本質を表すなら、すべて変えず事業や社会に伝わる形に整えます。

詳細記事:企業理念の重要性と浸透させるポイント

2. ブランド戦略

| 企業として何を約束し、どのような存在として選ばれるのかを整理します。
ターゲット・提供価値
ポジショニング・ブランドプロミス
ブランドコンセプト・ブランド体系

ブランドの存在意義まで掘り下げることで、全体の軸が明確になります。リブランディングでは、「誰に、どんな価値を、どの立場から届けるのか」をまず明確に整理することが重要です。

詳細記事:ブランド戦略とデザインの密接な関係について

3. 言葉

| ブランドの考え方を社会へ伝えるための言語表現です。
社名・ブランド名・ネーミング
スローガン・ブランドステートメント
メッセージ・コピー

重要なのは、企業の伝えたいことを顧客や社会が理解できる言葉へ翻訳することです。スローガンやブランドステートメントの役割を整理し、一貫した言葉として設計します。

4. デザイン

| ブランド戦略やコンセプトを視覚化します。
ブランドシンボル・ロゴタイプ
ブランドカラー・書体
写真・グラフィック・イラストレーション
ブランドガイドライン

目的は単に新しく見せることではなく、ブランドの価値や個性、目指す方向を一目で伝えることです。さらに各媒体で表現がぶれないよう、ブランドガイドラインで運用基準まで整えます。

5. ブランド体験

| ブランドはロゴだけでつくられるものではありません。
WEBサイト・会社案内・営業資料
採用・SNS・社内コミュニケーション
店舗・オフィス
商品・パッケージ
接客・顧客対応

優れたブランド戦略やVIも、企業活動や顧客接点に反映されなければ機能しません。WEB、営業、接客、採用、商品・サービスまで一貫して展開することで、強い体験へつながります。

詳細記事:ブランドエクスペリエンスの重要性と成功事例

すべてを変える必要はない

企業によって、リブランディングの対象範囲は異なります。

社名から変更する企業もあれば、ブランド戦略は見直してもロゴは残す企業もあります。ロゴは変えず、ブランドメッセージやWEBサイトだけを再構築するケースもあります。重要なのは、何をつくるかから考えるのではなく、何を解決する必要があるかから対象範囲を決めることです。

■ CHIBICOが考えるリブランディングの必要性

CHIBICOが考えるリブランディングの必要性

私たちがリブランディングの相談を受けたとき、最初に「ロゴを変えるべきか」を判断することはありません。まず確認するのは、企業を取り巻く3つの状態です。

1. 現在の事業

現在の事業は、どのような状態にあるのか

事業内容、顧客、競合、市場、組織、経営戦略などから企業の現在地を整理します。売上や利益だけでなく、成長事業や顧客、市場環境、組織体制まで幅広く含めて実態を深く把握します。

社内の認識だけでなく、客観的な事実や市場からの評価も踏まえることが重要です。「いま何の会社なのか」を正しく捉え、ブランドとのズレや、残すものと変えるものまで明確にします。

2. 現在のブランド

現在、企業はどのように認識されているのか

顧客、社員、取引先、採用候補者などから、企業がどのように見られているのかを確認します。認知度だけでなく、強みや競合との違い、期待される価値まで具体的かつ明確に整理します。

ロゴやWEBサイトだけでなく、商品、サービス、営業、採用など、あらゆる接点からブランド全体像を捉えます。企業側と顧客側の認識のズレを可視化し、課題と方向性も明確にします。

3. 未来のビジョン

これから、どのような企業を目指すのか

5年後、10年後にどのような事業を行い、誰にどのような価値を提供する企業を目指すのかを整理します。経営戦略や市場変化、新規事業、海外進出も見据えて、未来像を具体化します。

重要なのは売上や規模だけでなく、企業としてのあり方や社会との関係まで描くことです。現在とのギャップを捉え、何を残し何を変えるかを判断する設計がリブランディングの中心です。

この3つが自然につながっていれば、
大きなリブランディングは必要ないかもしれません。

現在の事業とブランド、またはブランドと未来像の間にズレがある時、見直しが必要です。リブランディングとは、そのズレを整理し、事業・ブランド・未来像を再びつなぎ直すことです。

■ CHIBICOが手掛けたリブランディング事例

実際のプロジェクトを見ると、リブランディングが必要になる理由は企業によって異なります。ここでは、CHIBICOが携わった事例から、その背景と考え方を紹介します。

NIHONN MOBILITY SERVICEのリブランディング

NIHON MOBILITY SERVICE|事業の成長に社名とブランドが追いつかなくなった

NIHON MOBILITY SERVICEは、JAPAN OIL SERVICEからの社名変更に伴い、
コーポレート・アイデンティティを再構築したプロジェクトです。

旧社名の「OIL」は事業を象徴する要素でしたが、事業領域が拡大し一つのカテゴリーでは将来性を十分に表せなくなりました。そこで「モビリティ」の視点から企業を再定義しました。

新ブランドでは、社名、シンボル、ロゴタイプ、スローガン、VIを再構築。成長にブランドが追いつかない状況を見直し、「これから何の会社になるか」を明確にしたプロジェクトです。

[ 詳細 ] chibico WORKS | NIHON MOBILITY SERVICEより

RENEWABLE JAPANのリブランディング

RENEWABLE JAPAN(現・株式会社リエネ・エナジー)|事業内容だけでなく、社会における存在意義を明確にする

RENEWABLE JAPANのリブランディングでは、
再生可能エネルギー事業が生む社会的価値をブランドとして整理しました。

プロジェクトでは、事業内容や強み、将来への意志を整理し、「すべての人を、エネルギーの主人公に。」へ集約。ブランド戦略を起点に、シンボル、ロゴ、VIを一貫して構築しました。

重要なのは、何をしている会社かだけでなく、なぜ事業を行い、社会にどんな価値を届けるのかまで明確にした点です。その存在意義や未来像をブランドとして明確に再定義した事例です。

なお、リニューアブル・ジャパン株式会社は、2026年4月1日付で株式会社リエネ・エナジーへ商号変更しています。本事例は、RENEWABLE JAPANとして展開していた当時にCHIBICOが手掛けたリブランディングプロジェクトです。

参考:株式会社リエネ・エナジー|社名変更およびコーポレートサイトリニューアルについて

[ 詳細 ] chibico WORKS | RENEWABLE JAPANより

I'ROM GROUPのリブランディング

I’ROM GROUP|複数の事業を一つの企業ブランドとして束ねる

企業が成長し事業が多角化すると、個々の事業は理解されても、
グループ全体として何を目指す企業なのかが次第に見えにくくなります。

I’ROM GROUPでは、2022年当時の複数事業をブランドとして整理。「憂いなき未来のために。」を核に、事業を共通の意志でつなぎ、グループの存在意義を明確にしました。

この事例は、事業の多角化で企業像が分かりにくくなった際、各事業を束ねる上位概念が重要だと示します。「なぜこの企業が行うのか」を一つの思想で説明できる状態を築いた事例です。

[ 詳細 ] chibico WORKS | I’ROM GROUPより

FAQ-よくある質問

リブランディングに関するよくある質問

リブランディングは多くの企業が迷いやすい分野です。ここでは、実務でよく寄せられる質問をまとめ、具体的な考え方や進め方をわかりやすく整理しました。

Q1. リブランディングはすべての企業に必要ですか?

必要ではありません。

現在のブランドが事業の実態と合っていて、顧客にも正しく理解され、これから目指す企業像まで十分に表現できているのであれば、無理に変える必要はありません。重要なのは、定期的にブランドを変えることではなく、企業とブランドの間にズレが生じているかを確認することです。

Q2. ロゴが古く感じるだけでもリブランディングした方がよいですか?

古く見えるという理由だけでは、全面的なリブランディングが必要とは言えません。

そのロゴが現在の企業像と合っているか、顧客から認知されているか、今後の事業にも対応できるかを確認したうえで判断します。場合によっては、ロゴを残したままWEBサイトや写真、グラフィックなど周辺の表現を見直すだけで十分なケースもあります。

Q3. 業績が良い会社でもリブランディングは必要ですか?

必要になる場合があります。

むしろ、事業が成長しているときにブランドとのズレが生まれることは少なくありません。新しい事業や顧客が増え、従来の企業イメージでは全体を表現できなくなっている場合、業績が好調でも見直す必要があります。問題が起きてから変えるのではなく、次の成長に向けてブランドを整えることも大切です。

Q4. 事業内容が変わった場合はリブランディングが必要ですか?

事業の変化が大きい場合は、必要性が高くなります。

ただし、必ず社名やロゴまで変更する必要があるわけではありません。既存ブランドが新しい事業にも対応できるのであれば、ブランドメッセージやサービス体系を整理するだけで済む場合もあります。どこまで変更するかは、現在のブランドと今後の事業とのギャップによって判断します。

Q5. 社名を変えなくてもリブランディングできますか?

もちろん可能です。

社名変更はリブランディングの手段の一つに過ぎません。企業理念やブランド戦略、ブランドコンセプト、VI、WEBサイトなどを再構築しながら、既存の社名を維持するケースもあります。認知や信頼が蓄積されている社名であれば、むしろ残すことがブランド資産の継承につながる場合があります。

Q6. ブランドの一部分だけを見直すこともできますか?

もちろん可能です。

例えばブランド戦略はそのまま維持し、VIだけを整理する。企業ブランドは変えず、新規事業のサービスブランドだけを構築する。ロゴは残し、ブランドガイドラインとWEBサイトを整える、といった方法があります。すべてを変えることを前提にせず、現在の課題に必要な範囲を見極めることが大切です。

Q7. リブランディングが必要かどうかは、どのように調べますか?

● 経営者や社員へのヒアリング、顧客調査、市場・競合分析、
WEBサイトや検索データなど、複数の情報から確認します。

特に重要なのは、企業が伝えたいブランド像と、実際に顧客や社員が感じているブランド像の差を見ることです。そのうえで、今後の経営・事業戦略と照らし合わせ、現在のブランドのどこに課題があるのかを整理します。

記事のまとめ

■ リブランディングは「変えること」ではなく「ズレを整えること」

リブランディングというと、新しいロゴやWEBサイト、企業メッセージをつくることに目が向きがちです。しかし、本当に考えるべきなのは「何を新しくするか」ではありません。

現在の事業
社会に伝わっているブランド
これから目指す企業の姿

この3つが、きちんとつながっているかを見ることです。

事業は変化しているのにブランドが過去のままなら、そのズレを整える必要があります。企業が次の段階へ進む一方、現在のブランドが未来像を表せないなら、再定義する必要があります。

一方で、現在のブランドが企業の実態や未来像と合っているなら、無理に変える必要はありません。リブランディングの目的は、企業本来の価値と社会から見える姿を一致させることです。

CHIBICOでは、制作物を先に決めず、経営や事業の背景から課題やズレを丁寧に整理します。本当に今変える必要があるのかをまず考えることから、リブランディングは始まります。

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

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CI・VI、WEBサイトなど、必要な領域を整理してご提案しています。

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