
[ ブランド戦略 ]
リブランディングはなぜ必要?5つのサインと6つの判断基準
リブランディングが必要になるのは、企業やブランドを新しく見せたいときではありません。事業が変化した結果、現在の企業とブランドの間にズレが生まれ、企業活動に影響し始めたときです。
事業が広がっても昔の社名や企業イメージが残り、独自の強みや未来像が十分に伝わらないことがあります。築いてきた資産を活かしながら、事業とのズレを見極めることが特に重要です。
本記事では、リブランディングが必要になる5つのサインと主な6つの判断基準を、株式会社チビコ代表取締役/ブランディングディレクターの今田佳司が、実務経験をもとに解説します。
CONTENTS | 目次
■ リブランディングはなぜ必要なのか?

リブランディングが必要になるのは、ブランドを新しく見せたいときではありません。現在の事業、社会から見える姿、目指す未来の間にズレが生じ、営業や採用、事業成長に影響したときです。企業は成長とともに事業や顧客、組織、経営方針が変化します。一方で、社名、理念、メッセージ、ロゴは同じ速度で変わらず、実態と見え方にズレが生まれます。
┃ その結果、以下のような3つの間にズレが生まれます。
- 現在、何をしている企業なのか
- 社会から、どのような企業だと思われているのか
- これから、どのような企業になろうとしているのか
リブランディングの役割は、企業を別のものへ変えることではありません。現在の企業の実態を整理し、これまで築いてきた価値を見直し、これから目指す企業像と社会から見える姿をつなぎ直すことです。
近年の研究でも、リブランディングは単なる名称やロゴの変更ではなく、企業戦略、市場、事業特性、顧客との関係など複数の要因から捉えられています。「Sangroyaらによる2026年の研究レビュー」では、ブランドコミュニケーションや企業文化、社員の関与との整合も重要な要素として整理されています。
リブランディングは単なるロゴ変更とは違う
┃ ロゴ変更は、リブランディングにおける一つの手段にすぎません。
課題がロゴやデザイン表現にあるのであれば、VIを中心に見直せば解決できる場合があります。一方、事業そのものが変化している場合は、企業理念、提供価値、ブランドコンセプト、ブランドメッセージ、社名、VIなど、より広い範囲を確認する必要があります。重要なのは、最初から制作物を決めるのではなく、企業とブランドのどこにズレがあるのかを確認することです。
■ リブランディングが必要になる5つのサインとは?

リブランディングを検討すべきサインは、事業と企業イメージの不一致、競合との差別化不足、顧客や市場の変化、社内認識のばらつき、未来像との不整合です。重要なのは該当数ではなく、ズレが経営や事業へ与える影響を見極め、優先順位を決めることです。「何年経ったから」「ロゴが古いから」といった理由だけで判断せず、企業の内外の変化を常に捉えることが大切です。
1. 事業の実態とブランドイメージが合わなくなっている
- 新しい事業やサービスが増えている
- 顧客層や取引先が変化している
- ロゴやWEBが企業の実態と合っていない
事業やサービスが変化しているのに、ブランドが以前のままなら見直しが必要です。現在の事業価値や強みを整理し、社会へ何をどう伝えるかまで改めて整えます。企業像まで更新します。
2. 競合との違いが伝わらなくなっている
- WEBサイトを見ても他社との違いが分からない
- 価格やスペックだけで比較されている
- 独自の技術や強みがブランドとして伝わっていない
市場が成熟すると、「品質」「技術力」「丁寧な対応」だけでは差が伝わりにくくなります。なぜその事業を行うのか、どんな価値を生むのかまで掘り下げます。独自性まで明確にします。
3. 顧客や市場が変化している
- 国内市場から海外市場へ進出している
- 法人向けから個人向けへ事業を広げている
- 新しい業界や市場への参入を進めている
顧客や市場が変化している場合も、ブランドの見直しが必要です。これまで築いた価値から残すものを見極め、新しい顧客にも伝わる表現へ改めて整えます。伝わる形へ更新していきます。
4. 「自分たちは何の会社なのか」が共有できなくなっている
- 部署ごとに会社の強みの説明が違っている
- 採用サイトと企業サイトで伝える企業像が異なっている
- メッセージや表現に統一感がなくなっている
社員や部署が増えると、企業への認識は社内でも少しずつ分かれます。何を大切にし、どこを目指すのかを整理し、ブランドを社員の共通言語として整えます。社内外の認識をそろえます。
5. 目指す企業像を、現在のブランドでは表現できない
- 第二創業や事業承継、経営者交代を迎えている
- M&Aや新規事業によって事業領域が広がっている
- 周年やIPO、海外進出など大きな転換期を迎えている
リブランディングは、問題が起きたときだけに行うものではありません。未来の企業像から逆算し、何を残し、何を変えるのかを整理することが重要です。未来の成長につなげていきます。
➤ 関連記事:リブランディングのタイミングはいつ?6つのサイン・判断基準・始める時期
■ リブランディングが必要か判断する6つの質問

リブランディングの必要性は、事業、顧客、市場、競合、社内認識、ブランド資産、未来の事業戦略を確認して判断します。重要なのは該当数ではなく、ズレの大きさと経営への影響です。部分的な改善で足りるのか、ブランド全体を見直すべきかを慎重に判断します。「5つのサイン」は気付くための入口であり、実行を決める際はより深く企業の状態を見極める必要があります。
┃ CHIBICOでは、次の6つの視点から確認します。
1. 現在の事業内容と、企業イメージは一致しているか?
現在の事業内容と社名、理念、ロゴ、WEBサイトから伝わる企業イメージが一致しているか確認します。違和感がある場合、ブランドが事業の変化に追いついていない可能性があります。
2. 5年前と比べて、事業領域や顧客層は変わっていないか?
5年前と比べて事業領域、商品、サービス、顧客層、競合環境がどう変化したか確認します。企業自体が変わっているのにブランドが以前のままなら、実態とのギャップが生まれています。
3. 「何をしている会社なのか」が正しく伝わっているか?
自社が何を提供し、誰にどのような価値を届ける会社なのか、WEBや営業活動を通じて正しく伝わっているか確認します。説明しても理解されにくい場合は、ブランドの整理が必要です。
4. 競合との違いを、価格や機能以外で説明できるか?
競合との違いを、価格や機能だけでなく、自社ならではの価値や考え方として説明できるかを確認します。明確に言葉にできない場合は、提供価値や存在意義を今後見直す余地があります。
5. 経営者と社員で「会社の強み」に対する認識は一致しているか?
経営者と社員で、自社の強み、顧客への価値、目指す企業像について認識が一致しているか確認します。部署や立場によって答えが大きく異なる場合、社内でブランドの共通理解ができていない可能性があります。判断や発信のばらつきを防ぐためにも、認識を整理する必要があります。
6. ロゴやWEBサイトは、これから目指す事業戦略に合っているか?
今のロゴやWEBサイト、ブランドメッセージが、今後目指す事業戦略や企業像に合っているか確認します。単に古く見えるか、新しくしたいかではなく、今後拡大する事業や顧客、社会に対して、企業の未来や価値を正しく伝えられる表現になっているかで判断することが重要です。
【 チェック数ではなく「経営への影響」で判断する 】
┃ チェック項目はあくまで考えるきっかけです。
1つしか当てはまらなくても、「事業の大幅な転換」のような大きな問題なら、リブランディングの必要性は高くなります。逆に複数当てはまっていても、コミュニケーションの一部を整えるだけで解決する場合もあります。重要なのは数でなく、どこに、どの程度ズレが生じているのかを見ることです。
■ リブランディングでは、何を見直すべきなのか?

リブランディングというと、ロゴやWEBサイトを新しくすることを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、実際に見直す範囲は企業が抱える課題や目指す方向によって異なります。表現だけを整える場合もあれば、メッセージやVI、CI、企業そのものの定義まで見直す場合もあります。大きく分けると、検討すべき範囲は次の5つの領域に整理できます。以下で解説します。
1. 企業理念・存在意義
- Purpose・Mission・Visionを整理する
- Valuesとして大切にする価値基準を明確にする
- 企業理念や経営理念を現在の事業に合わせて見直す
経営・企業理念は、企業活動や経営判断の方向を定める考え方です。Purposeは存在理由、Missionは使命、Visionは将来像、Valuesは価値基準の軸を示します。
2. ブランド戦略
- ターゲットと提供価値を明確にする
- ポジショニングとブランドプロミスを整理する
- ブランドコンセプトやブランド体系を見直す
ブランド戦略では、誰に、どのような価値を、どの立場から届けるのかを明確にします。特徴だけでなく、なぜ価値を提供するのかまで掘り下げ、競合との差や選ばれる理由を整理します。
3. ブランドメッセージ・言葉
- 社名やブランド名、ネーミングを見直す
- スローガンやブランドステートメントを整理する
- メッセージやコピーの表現を統一する
言葉は、ブランドの考え方や価値を社会へ伝える重要な手段です。顧客や社会が理解できる言葉へ変換し、社名、スローガン、ブランドステートメント、メッセージを一貫して開発します。
4. VI・ロゴ・デザイン
- ブランドシンボルやロゴタイプを見直す
- ブランドカラーや書体を整理する
- 写真、グラフィック、イラストレーションを統一する
デザインは、ブランド戦略やコンセプトを視覚的に伝える要素です。企業の価値や個性、目指す方向を一目で伝え、媒体が変わっても常にぶれないよう、ブランドガイドラインを整えます。
5. ブランド体験
- WEBサイトや会社案内、営業資料へ展開する
- 採用、SNS、社内コミュニケーションへ反映する
- 商品やパッケージ、接客や顧客対応まで一貫させる
ブランドは、ロゴやデザインだけでつくられるものではありません。WEB、営業、採用、商品、店舗、接客など、あらゆる接点で一貫した価値や印象を届け、ブランド体験へつなげます。
【 すべてを変える必要はない 】
┃ 企業によって、リブランディングの対象範囲は異なります。
社名から変更する企業もあれば、ブランド戦略を見直してもロゴを残す企業があります。ロゴは変えず、ブランドメッセージやWEBサイトだけを再構築する場合もあります。重要なのは、何をつくるかではなく、何を解決すべきかを起点に見直す対象と範囲を決めることです。
■ リブランディングではどこまで変えるべきなのか?

リブランディングで変える範囲は、最初から社名やロゴまで決めるのではなく、課題の深さに応じて判断します。表現だけを整える場合もあれば、メッセージ、VI、CI、企業そのものの定義まで見直す場合もあります。重要なのは、すべてを新しくすることではありません。これまで築いたブランド資産を確認し、残すものと変えるものを分け、必要な範囲を見極めることです。
┃ CHIBICOでは、大きく4段階で考えています。
LEVEL 1|VIを中心に整える
- ロゴの使われ方が統一されていない
- WEBサイトと営業資料の印象が異なっている
- 写真やグラフィックに統一感がない
企業理念や事業が現在と合っていても、視覚表現がばらつく場合はVIを見直します。ブランドの核は変えず、ロゴやカラー、フォント、写真などを整理し、一貫した企業像へ統一します。
➤ 詳細記事:VIの作り方|7つの開発手順・構成要素・成功のポイント
LEVEL 2|メッセージとVIを見直す
- 企業理念が抽象的で伝わりにくい
- 事業内容は分かるが企業の特徴が伝わらない
- 営業と採用で異なる企業像を伝えている
企業が提供する価値は明確でも、説明する言葉が分かりにくい場合は、メッセージとVIを共に見直します。ブランドコンセプトを整理し、言葉とデザインが一貫した企業像へつなげます。
LEVEL 3|CI全体を再構築する
- 主力事業や事業領域が大きく変化している
- 企業理念が現在の事業や経営方針と合っていない
- 複数の事業を一つの企業像としてまとめたい
事業内容や経営方針が大きく変化している場合は、CI全体を見直します。企業理念、ブランド戦略、メッセージ、VIまでを整理し、現在の企業像とこれから目指す姿をつなぎ直します。
LEVEL 4|企業自体の再定義
- 事業転換や第二創業を迎えている
- M&Aや事業承継によって企業のあり方が変わっている
- 現在の社名や事業定義では未来の企業像を表せない
企業のあり方が変わるなら、「自分たちは何の会社なのか」から見直します。未来の事業構想を起点に、存在意義や提供価値、企業理念、社名、CIまでを整理し、企業像を再定義します。
■ リブランディングを急がない方がよいのは、どんな場合か?

リブランディングを急がない方がよいのは、商品やサービス自体に問題がある場合、古く見えることだけが理由の場合、経営や事業の方向性が定まっていない場合です。表現だけを先に変えても根本の課題は解決しません。事業側の前提条件を整え、企業として何を目指すのかを明確にすることが重要です。時期を誤ると、ブランドだけが先行し、企業の実態とのズレが広がります。
1. 問題が商品やサービスそのものにある
- 商品品質への不満が多い。
- サービスの使い勝手に問題がある。
- 顧客対応に大きな課題がある。
ロゴや企業メッセージだけを変えても根本的な解決にはなりません。まず事業やサービスの課題を解決し、その変化で生まれた価値をブランドへ反映する手順を守ることがとても重要です。
2. 「なんとなく古く感じる」ことだけが理由になっている
- ロゴのデザインが古く見える。
- WEBサイトに時代遅れの印象がある。
- 競合企業と比べて見劣りすると感じる。
ロゴやWEBサイトが古く見えてもそれだけで変える必要はありません。長く使われたロゴやカラーには認知や信頼が蓄積されています。新しさだけを求めると資産を失う恐れがあります。
3. 経営や事業の方向性が決まっていない
- これから注力する事業が定まっていない。
- 狙う市場や顧客が明確になっていない。
- どのような企業を目指すか決まっていない。
経営方針や事業戦略、将来像を明確にし、それを基準に何を残し、何を変えるのかを整理してから進めることが重要です。
■ CHIBICOは、リブランディングの必要性をどう判断しているのか?

私たちがリブランディングの相談を受けたとき、最初に「ロゴを変えるべきか」を判断することはありません。まず確認するのは、現在の事業、外から見えているブランド、これから日指す姿という3つの状態です。この3点にどのようなズレが生じているのかを整理することで、何を残し、何を変えるべきか、リブランディングで見直す範囲を判断していきます。
1. CURRENT BUSINESS|現在の事業
現在の事業がどのような状態にあるのかを、事業内容、顧客、競合、市場、組織、経営戦略などから整理します。売上や利益だけでなく、成長事業や顧客構成、市場環境、組織体制まで幅広く把握し、社内の認識だけでなく、客観的な事実や市場からの評価も確認します。「いま何の会社なのか」を正しく捉え、ブランドとのズレや、残すものと変えるものを具体的に明確にします。
2. CURRENT BRAND|外から見えているブランド
現在、企業がどのように認識されているのかを、顧客、社員、取引先、採用候補者などの視点から確認します。認知度だけでなく、強みや競合との違い、期待されている価値まで具体的に整理します。ロゴやWEBサイトだけでなく、商品、サービス、営業、採用など、あらゆる接点からブランド全体を捉え、企業側と顧客側の認識のズレを可視化し、課題と方向性を明確にします。
3. FUTURE VISION|これから日指す姿
これからどのような企業を目指すのかを、5年後、10年後の事業や顧客、提供価値から整理します。経営戦略や市場変化、新規事業、海外進出なども見据え、未来像を具体化します。重要なのは売上や規模だけでなく、企業としてのあり方や社会との関係まで描くことです。現在とのギャップを捉え、何を残し、何を変えるのかを判断することが、リブランディングの中心軸です。
┃ 3つのズレから必要性を判断する
現在の事業、外から見えるブランド、これから目指す企業像の3つが自然につながっているなら、大きなリブランディングは必要ないかもしれません。無理に変えるのではなく、今あるブランド資産を活かしながら、必要な部分だけを整えていくことが重要です。
■ CHIBICOはどのようなリブランディングを手掛けてきたのか?
CHIBICOのリブランディング事例では、事業拡大、存在意義の再定義、複数事業の統合など、必要になった理由が企業ごとに異なります。ここでは、何を作ったかではなく、なぜ部分修正では足りず、何を残し、変え、加えたのかを実際の判断と展開から、具体的に紹介します。

NIHON MOBILITY SERVICE|事業の拡大に社名と企業像が追いつかなくなった
[ 課 題 ]
JAPAN OIL SERVICEという旧社名は、従来の事業を象徴する名称でした。一方、事業拡大と将来展開を考えると、「OIL」という商品カテゴリーだけでは、これから目指す企業像や事業の可能性を十分に表せなくなっていました。課題はロゴの古さではなく、社名と未来の事業領域とのズレ自体でした。
[ 判 断 ]
既存ロゴだけを変更しても、社名に残る「OIL」と将来の事業領域とのズレは解消できません。そこで現在の事業内容ではなく、「これから何の会社になるのか」を起点に企業像を見直しました。事業をオイルではなく「モビリティ」という広い視点で捉え、社名を含むCI全体まで見直す必要性があると判断しました。
[ 残した要素 ]
リブランディングでは、JAPAN OIL SERVICEとして積み重ねてきた事業を否定せず、既存事業との連続性や移動を支えてきた事業基盤を大切なブランド資産として継承しました。その価値を残しながら、将来の事業領域まで拡張できる企業像へつなぎ直し、新しいブランドの基盤として再構築しています。
[ 変えた要素 ]
企業の将来像に合わせて、社名をNIHON MOBILITY SERVICEへ変更し、ブランドシンボル、コーポレートロゴタイプなど企業を識別する基本要素も刷新しました。名称と視覚表現を同じ方向から開発することで、事業の変化が企業ブランドとして一貫して伝わる状態を目指しました。
[ 加えた要素 ]
ブランドコンセプトとして「新しい移動と技術の進化。モノを超えたサービスとしてのあり方。」を明確にし、スローガン「MOBILITY IS POSSIBILITY.」を開発しました。現在の事業だけを説明するのではなく、モビリティの可能性へ向かう企業の意思を、継続して伝えられる言葉を加えています。
[ 開発範囲 ]
社名/ブランドコンセプト/ブランドシンボル/コーポレートロゴタイプ/ブランドスローガン/名刺/ロゴガイドライン
[ この事例から分かること ]
現在の事業が成長・拡大し、既存の社名や企業イメージでは将来の事業領域まで表現できなくなった場合、ロゴだけを変えても根本的なズレは残ります。NIHON MOBILITY SERVICEは、事業の未来に対して社名とブランドの意味が狭くなったことが、CI全体を見直す理由になった事例です。
➤ CHIBICO WORKS | NIHON MOBILITY SERVICEより

RENEWABLE JAPAN|事業内容だけでは企業の存在意義が伝わらなかった
[ 課 題 ]
RENEWABLE JAPANは再生可能エネルギー事業を展開していましたが、事業内容だけでは、なぜその事業を行うのか、社会にどのような価値を生み出したいのかまで十分には伝えられません。課題は事業自体ではなく、企業の存在意義や未来像がブランドとして明確になっていないことが本質的な課題でした。
[ 判 断 ]
ロゴやWEBサイトの表現だけを変えても、企業として何を目指すのかが曖昧なままでは、独自のブランドにはなりません。そこで事業の機能から考えるのではなく、その事業を通じてどのような社会を実現したいのかまで掘り下げ、ブランド戦略とコンセプトから見直す必要があると判断しました。
[ 残した要素 ]
リブランディングによって事業そのものを変えるのではなく、再生可能エネルギーを通じて社会へ価値を提供する事業の軸を活かしました。そのうえで、既存事業が社会にとってどんな意味を持つかを明確にし、その価値を企業の存在意義と結びつけ、長期的に伝わるブランドとして再構築しました。
[ 変えた要素 ]
企業を単に「再生可能エネルギーを扱う会社」として見せるのではなく、社会とエネルギーの新しい関係をつくる企業として再定義しました。その考え方をシンボルやロゴタイプなどのVIへ反映し、企業の存在意義と視覚表現が一貫するブランドへ刷新し、接点で企業像を伝える基盤を整えました。
[ 加えた要素 ]
「すべての人を、エネルギーの主人公に。」をブランドの核に据えました。「主人公」には、一人ひとりがエネルギーづくりの主体となり、共に考え、行動する社会を実現したいという企業の意思を込めています。ステートメントとガイドラインへ展開し、継続共有できる基準として明文化しました。
[ 開発範囲 ]
ブランド戦略/ブランドコンセプト/ブランドシンボル/ロゴタイプ/ブランドステートメント/名刺/封筒/ロゴガイドライン
[ この事例から分かること ]
事業内容は理解されていても、「なぜその事業を行うのか」「社会の中でどのような役割を担うのか」が伝わっていなければ、デザインだけを変えても問題は解決しません。RENEWABLE JAPANは、事業の機能と企業の存在意義の間にあるズレを整理し、ブランド戦略から企業像まで改めて見直した事例です。
※リニューアブル・ジャパン株式会社は、2026年4月1日付で株式会社リエネ・エナジーへ商号変更しています。本事例は、RENEWABLE JAPANとして展開していた当時にCHIBICOが手掛けたリブランディングプロジェクトです。
➤ 参考:株式会社リエネ・エナジー|社名変更およびコーポレートサイトリニューアルについて
➤ CHIBICO WORKS | RENEWABLE JAPANより

I’ROM GROUP|複数事業を束ねる企業としての共通軸が必要になった
[ 課 題 ]
CI開発当時、I’ROM GROUPは先端医療、SMO、CROなど複数事業を展開していました。事業が多角化するほど、「なぜ一つのグループとして事業を行うのか」「企業全体として何を目指すのか」を共通言語で伝える必要があり、グループ全体の企業像を明確にすることが課題でした。
[ 判 断 ]
各事業のロゴやコミュニケーションを個別に整えるだけでは、グループ全体の一貫性は生まれません。そこで、異なる事業に共通する価値や意志を掘り下げ、それらを束ねる軸を明確にする必要があると判断しました。事業ごとの違いを活かし、一つの企業ブランドとしてつなぐCIを開発しました。
[ 残した要素 ]
リブランディングによって各事業を同じものに統一するのではなく、それぞれの役割や専門性を活かしました。各事業の価値を残しながら、その上位にグループ共通の企業思想を置くことで、多様な事業を一つの企業ブランドとしてつなぎ、I’ROM GROUP全体の存在意義を明確にしました。
[ 変えた要素 ]
グループ全体の考え方を表現するため、ブランドシンボル、ブランドロゴタイプ、コーポレートロゴタイプなどを開発しました。個別事業を並列に見せるのではなく、I’ROM GROUPとして共通する価値と未来像が視覚的にも伝わるよう、企業ブランドの表現を一貫した体系へ整理しました。
[ 加えた要素 ]
ブランドの核となる「憂いなき未来のために。」を共通軸とし、人々の未来を希望、安心、健康で満たすというグループの意志を明確にしました。さらにブランドステートメントやガイドラインを整備し、異なる事業やブランド接点でも共通する企業思想を継続して共有できる状態へつなげています。
[ 開発範囲 ]
ブランドシンボル/ブランドロゴタイプ/コーポレートロゴタイプ/ブランドステートメント/名刺/封筒/WEBサイト/ロゴガイドライン
[ この事例から分かること ]
事業が多角化すると、各事業の内容は理解されても、「なぜ同じ企業がこれらの事業を行うのか」が見えにくくなることがあります。I’ROM GROUPは、個別事業の問題ではなく、複数事業を束ねる企業としての共通軸が不足していたため、グループ全体のCIから企業像を見直した事例です
※現在、アイロムグループは「SMO事業」と「先端CRDMO事業」の2領域を主軸として事業を推進しています。本事例は、CHIBICOがブランド再構築を支援した当時の事業構成をもとに紹介しています。
➤ CHIBICO WORKS | I’ROM GROUPより

■ リブランディングに関するよくある質問
リブランディングでは、必要性や変更範囲、始める時期、依頼先、公開後の運用など疑問が生まれます。企業が判断するための考え方と実務上のポイントを分かりやすく丁寧に解説します。
Q1. リブランディングは、何から始めればよいですか?
最初に行うのはロゴやWEBサイトの検討ではありません。現在の事業、顧客、市場、競合、社内認識、既存資産、目指す企業像を整理し、ズレと影響を確認して見直す範囲を判断します。
Q2. リブランディングでは、すべてを新しくする必要がありますか?
リブランディングでは、すべてを新しくする必要はありません。社名、ロゴ、カラー、理念など、今後も価値を持つ資産は残し、変えるもの、加えるもの、なくすものを丁寧に整理します。
Q3. ロゴやWEBサイトの変更から始めてもよいですか?
ロゴやWEBサイトの変更もリブランディングの一部です。ただし、事業や企業像とのズレが課題なら、表現だけでは解決しません。経営課題や提供価値を整理してVIへ順に展開します。
Q4. リブランディングは、いつ始めるべきですか?
リブランディングは、問題が深刻になる前に、事業や組織の変化が見え始めた段階で検討します。新規事業、事業承継、M&A、周年など企業の転換点を迎える前の早い段階で準備します。
Q5. リブランディングを依頼する会社は、どう選べばよいですか?
依頼先は、デザイン実績だけでなく、経営課題からブランド全体を考えられるかで選びます。ブランド戦略、CI・VI、WEB、社内合意、ガイドライン、公開後の運用まで確認します。

■ リブランディングを検討する際のチェックリスト
リブランディングは、事業、顧客、市場、競合、社内認識、ブランド資産、未来像を順番に確認します。項目数で判断せず、各課題が経営、営業、採用、組織へ与える影響まで確認します。
事業について
□ 新規事業やサービスが増えている
□ 売上構成が以前と大きく変わっている
□ 今後伸ばしたい事業を現在のブランドで表現できない
□ 社名から現在の事業内容が想像しにくい
顧客・市場について
□ 顧客層が変化している
□ 新しい市場や地域へ進出している
□ 競合との違いが伝わりにくい
□ 価格や機能だけで比較されている
未来について
□ 5年後の企業像を現在のブランドから想像できない
□ 新しい事業領域へ進出する予定がある
□ 今後の事業戦略とブランドの方向性がつながっていない
□ 現在のブランドが将来の事業拡張を制限している

■ まとめ
現在の事業、社会から認識されているブランド、これから目指す企業像を見比べ、その間にあるズレを明らかにします。事業や組織が変化しているのに、ブランドが過去の企業像を残しているなら見直しが必要です。企業の実態と社会から見える姿を一致させることが、CIを見直す重要な目的です。
CHIBICOでは制作物を先に決めるのではなく、経営や事業の背景から課題を具体的に整理し、何を残し、何を変え、何を加えるのかを判断します。ロゴやWEBの変更ありきではなく、本当に今見直す必要があるのか、どの範囲まで手を入れるべきかを慎重に見極め、最適な進め方を定めます。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 リブランディングが本当に必要か?からご相談ください 】
ロゴが古い、企業イメージが合わないだけで決める必要はありません。
現在の事業とブランドのズレを伺い、見直す必要性と範囲を整理します。
部分的なVIやWEB改善で十分か迷う段階でもご相談いただけます。
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