[ ブランディングデザイン ]
ブランドカラーとは?設定方法とロゴの配色について
ブランドカラーは、企業や製品、サービスの本質的価値を視覚的に表現するためにとても重要な要素です。これは単なる色の選択を超え、ブランドの個性と価値観を効果的に伝え消費者の記憶に強く印象づける役割を果たします。戦略的なカラーマネジメントは、ブランドの認知度向上とターゲット層への的確なメッセージ伝達を可能にします。例えば、青色は信頼性を、赤色は情熱を表現するなど、各色彩には特有の心理的効果が存在します。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、効果的なブランドカラーの設定方法、色彩の持つ心理的意味、そしてロゴデザインにおける戦略的な配色について、実践的な知見を交えながら体系的に解説していきます。
■ ブランドイメージの多くは「カラー」で記憶されている
人間の視覚情報処理において、色彩は極めて支配的な役割を果たしています。具体的には、視覚から得られる情報の80%以上が色彩に関連するものであり、この事実は色彩が持つ戦略的重要性を明確に示しています。適切に選択された色彩は肯定的な印象を形成し、一方で不適切な色彩選択は否定的な影響をもたらします。つまり、人間の記憶システムにおいて、色彩は情報を整理し、記憶を構造化する重要な要素として機能しているのです。
■ ブランドカラーの設定方法
ブランディングにおけるブランドカラーの設定は、多面的な戦略的意義を持ちますが、中でもブランドの本質的価値を視覚的に具現化する機能は極めて重要です。そのため、最も効果的なアプローチは、ブランドの核となる価値観や理念を明確に言語化し、それらを最適に表現し得るブランドカラーを戦略的に選定することです。このブランドカラーの設定プロセスは、個々のブランディング戦略や目的に応じて柔軟な対応が求められますが、基本的なフレームワークが存在します。
図:言語イメージスケール
図:ブランドカラーの選定と検証
1. キーワードの抽出
ブランドカラーの設定において、最初のステップとなるのが、ブランドの本質を表現するキーワードの体系的な抽出です。これは単なる言葉の収集ではなく、ブランドの核となる価値観や理念を明確に言語化するプロセスといえます。抽出されたキーワードは、その特性や意味的関連性に基づいて戦略的にグルーピングされ、さらにそれらを包括的に表現する形容詞によって統合されます。このプロセスを通じて、ブランドの本質的価値がより明確に構造化されます。
2. キーワードのマッピング
キーワードのマッピングは、ブランドコンセプトを視覚言語へと変換する極めて重要な戦略的ツールです。これは抽象的な言語表現を、具体的な色彩選択へと橋渡しする体系的なフレームワークとして機能します。グルーピングされた形容詞群を、このイメージスケール上に戦略的にマッピングすることで、ブランドの本質的価値を色彩として具現化する指針が得られます。このプロセスにより、感覚的な色彩選択ではなく、論理的かつ戦略的なカラー決定が可能となります。
3. ブランドカラーの抽出
ブランドカラーの構築は、言語表現と色彩を戦略的に結びつける極めて重要なプロセスです。このステップでは、各色相が持つ普遍的な心理的効果や印象を、形容詞を用いて体系的に整理し、マッピングしていきます。この配色プロセスは、単なる色彩の割り当てではなく、ブランドの本質的価値と色彩の持つ心理的影響力を戦略的に統合する作業といえます。各色相の持つ特性を明確に理解し、それをブランドの価値観と適切にマッチングすることで、効果的な視覚表現が可能となります。
4. ブランドカラーの検証と選定
ブランドカラーの最終的な選定プロセスは、戦略的かつ慎重な判断が求められます。複数の候補が抽出された段階では、「ユーザーへの本質的なメッセージ性」「商品・サービスとの整合性」といった明確な評価基準に基づいた分析が不可欠です。実践的なアプローチとして、候補となるカラーを用いた具体的なデザイン展開をシミュレーションすることが極めて重要です。これにより、各カラーの実用的な効果や視覚的インパクトを客観的に評価することが可能となり、より戦略的な意思決定を導き出すことができます。
■ ブランドカラーとブランドロゴの関係とは
グローバルブランドのロゴは、その視覚的象徴性によって即座にブランド認識を可能にします。例えば、AppleやMcDonaldのロゴを目にした瞬間、消費者は迷うことなくそのブランドの世界観や価値を想起します。これは、ブランドロゴがブランドアイデンティティを視覚的に具現化する極めて重要な戦略的要素であることを示しています。特に、ブランドカラーの選定は、ブランドイメージの形成において決定的な影響力を持ちます。企業規模が拡大するほど、このブランドカラーの戦略的重要性は増大します。例えば、Starbucksの緑色のロゴと白いカップの組み合わせは、強力な視覚的記憶として消費者の心に刻まれています。この緑色は、Starbucksのブランドアイデンティティを象徴する核心的要素として機能しています。つまり、ブランドロゴの本質的な目的は、消費者の即時的な認知と記憶を促進することにあり、これは戦略的なブランド構築において不可欠な要素として位置づけられるのです。
[ 画像引用 ] Canava公式サイトより
■ ブランドロゴから見えてくるブランドカラーの傾向
ブランドロゴにおいて、ブルーが最も広く採用される背景には、明確な戦略的根拠が存在します。ブルーは安全性、安定性、信頼性といった価値観を効果的に表現するため、特に金融機関や保険会社など、顧客からの信頼構築が不可欠な業界において、極めて重要な戦略的要素として機能します。一方、レッドは情熱や活力を象徴する強い視覚的インパクトを持つカラーです。特に食品・小売業界において頻繁に採用される理由は、消費者の感情や欲求に直接的に訴求する効果が高いためです。このように、ブランドカラーの選定は、業界特性や訴求したい価値観に基づいた戦略的判断が不可欠です。それは単なる色彩選択を超え、ブランドの本質的価値を視覚的に表現する重要な意思決定なのです。
[ 画像引用 ] Brand Colors公式サイトより
■ ロゴカラーとブランドアイデンティティの関連性
「The Journal of the Academy of Marketing Science」に掲載されたラブレックとミルンの研究は、色彩とブランドアイデンティティの密接な関係性を科学的に実証しています。彼らの分析によれば、ブランドカラーはブランド名と同様、アイデンティティの核心的要素として機能し、消費者認知における決定的な影響力を持つことが明らかになっています。彼らの論文「市場での色の差別化」は、業界特性に応じた色彩選択の傾向を明確に示しています。例えば、クレジットカード業界の75%以上がブルーを採用する一方、ファストフードチェーンでは約20%にとどまります。また、小売業界の60%以上がレッドを基調とする一方、アパレル業界ではその使用が極めて限定的です。特筆すべきは、大量の広告に晒される現代の消費者が、ロゴカラーを通じて無意識的に業界やサービス内容を判別しているという知見です。これは、戦略的なカラーマネジメントが、ブランドの市場ポジショニングにおいて極めて重要な要素であることを示唆しています。
■ イメージによる配色例
ブランドロゴの色使いにおいて、3色までという基準は長年の経験から導き出された鉄則です。4色以上を採用すると、視覚的な複雑さが増し、ブランドの即時認識を妨げる要因となります。また、カラースキームを検討する際は、色相だけでなく彩度にも細心の注意を払う必要があります。特に高彩度色は、アクセントとしては効果的ですが、広範囲での使用は画面上でのちらつきを生み、ユーザーの視覚的ストレスを引き起こす可能性があります。洗練されたロゴデザインには、色数と彩度の適切なバランスが不可欠です。
左:明るさ・知的なイメージを与える配色 右:明るさ・活発・美味しそうなイメージを与える配色
右:穏やかさ・癒やしのイメージを与える配色 左:シック・高級なイメージを与える配色
[ 画像引用 ] 配色の見本帳より
■ ブランドカラーの持つイメージと展開事例
ブランディング戦略において、カラーマネジメントは極めて重要な位置を占めています。企業のCI(コーポレート・アイデンティティ)やVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、形状、数字、言語など多様な視覚要素で構成されていますが、人間の記憶に最も強く刻まれるのは色彩要素です。この色彩が持つ影響力は、感情的側面と機能的側面の両面で顕著な効果をもたらします。具体的には、消費者の感性に直接的な影響を与えると同時に、適切な色彩選択によってブランドの視認性と記憶定着率を大幅に向上させることが可能です。このように、戦略的なカラーマネジメントは、ブランド価値を確立する上で不可欠な要素となっているのです。
[ 赤 色|レッド ]
赤色は視覚的インパクトにおいて最も強力な色彩として知られており、人間の知覚に対して顕著な影響力を持ちます。学術研究においても、赤い壁面を持つ空間では体感温度の上昇が確認されており、これは炎のイメージと直結する色彩特性によるものと分析されています。実務的な観点からも、化粧品業界や贈答品、エネルギー関連製品、セール広告など、幅広い分野で戦略的に活用されています。特筆すべきは、セールスプロモーションにおける赤色の効果で、その使用有無により売上高が20%変動するというデータも存在します。このような背景から、日本の企業ブランディングにおいて最も採用頻度の高い色彩となっているのです。
● 心理的な効果
興奮させる、闘争心を沸き立たせる、温かみを感じる、
目を引く、苛立たせる
● ポジティブなイメージ
情熱、興奮、熱狂、挑戦、元気、明るい、力強い、生命、
エネルギッシュ、鮮烈、闘争心、祝い事、幸福、暖かい
● ネガティブなイメージ
情熱、興奮、熱狂、挑戦、元気、明るい、力強い、生命、
エネルギッシュ、鮮烈、闘争心、祝い事、幸福、暖かい
● 連想するアイテム
太陽、炎、火事、血、バラ、口紅、イチゴ、りんご、
さくらんぼ、消防車、ポスト、鳥居、バーゲンセール
● 相性のよい色
白、黒、グレー、ベージュ、カーキ、緑、紺
[ 青 色|ブルー ]
青色は人間の生理的反応に顕著な鎮静効果をもたらすことが科学的に実証されています。実験データによれば、青色の空間における体温・心拍数の低下や、青色照明の導入による犯罪抑止効果が確認されています。また、この色彩は海や空を連想させることから、空間的な広がりと開放感を象徴する特性を持ちます。清涼感、清潔性、信頼性といった肯定的な印象を醸成する効果があり、これらの特性から、グローバルなブランドロゴにおいて最も採用頻度の高い色彩となっています。さらに、各種調査において日本人の嗜好色の首位を占めていることも注目に値します。
● 心理的な効果
鎮静、闘争心を鎮める、集中力を高める、睡眠の促進、
リラックスさせる、清涼感を与える、冷たさを感じる
● ポジティブなイメージ
知的、クール、かっこいい、ストイック、謙虚、神秘的、
品がある、清らか、クリーン、純粋、慎重、信頼感、誠実、
公平、広い、開放感、包み込む、忠実、安息、清涼感、
平和、眠り、若さ
● ネガティブなイメージ
寂しさ、悲しみ、孤独、不安、冷たい、病、保守的、絶望
● 連想するアイテム
水、海、空、氷、雨、ガスの炎、信号機、男性、プール、
かき氷、地球、青の洞窟、サファイヤ、ラピスラズリ、青い鳥
● 相性のよい色
白、黒、グレー、黄、ピンク
[ 黄 色|イエロー ]
黄色は有彩色において最高の輝度を持ち、視覚的刺激が極めて強い色彩として位置づけられています。周辺光量の変化に影響されず高い視認性を維持するという特性から、警告色としても広く採用されています。特に黒色との組み合わせは最も効果的なコントラストを生み出すため、道路標識、建設現場、踏切施設など、安全性が要求される場面で戦略的に使用されています。日本のブランディングにおいては、この色彩が持つ希望と活力のシンボリックな性質から、ダイナミックな企業イメージの構築に効果的に活用されているのです。
● 心理的な効果
気分が明るくなる、活動的になる、注意を促す、
判断力が上がる、緊張を和らげる、注目させる、
活力が湧いてくる
● ポジティブなイメージ
明るい、華やか、天真爛漫、無邪気、陽気、軽快、ポジティブ、
楽しさ、喜び、活発、素直、純粋、幸福、幸運、希望、
フレンドリー、ユーモアさ、躍動感、幼い
● ネガティブなイメージ
危険、緊張、軽率、イライラ、落ち着きがない、
無神経、浪費、奇抜、批判的、神経質、独善的
● 連想するアイテム
太陽、ひまわり、光、雷、信号機、金、金貨、
レモン、カレー、バナナ、マンゴー、とうもろこし、
プリン、イチョウ、道路標識、ヘルメット、
イエローカード、ひよこ、キリン、イエローキャブ
● 相性のよい色
白、黒、グレー、オレンジ、緑、青、紫
[ 緑 色|グリーン ]
緑色は色相環における中間色として、あらゆる色彩との調和性に優れた特性を有しています。その心理的効果は安定性と癒しの要素を内包しており、特に医療関連施設、衛生用品メーカー、フードサービス業、ウェルネス産業などにおいて戦略的な活用が見られます。語源学的観点からも、日本語における「瑞々しさ」、英語圏での「grow(成長)」や「grass(草)」との関連性が指摘されており、これらは共通して「フレッシュネス」という普遍的価値を示唆しています。このような多面的特性により、ブランディングにおける重要な選択肢となっているのです。
● 心理的な効果
リラックスさせる、身体と心のバランスを整える、
身体と心の緊張を和らげる、鎮静、集中力を高める
● ポジティブなイメージ
穏やか、癒やし、健康、休息、平和、安全、安息、
爽やか、生命力、成長、再生、新鮮、若さ、エコ、
環境に優しい、自然、安眠、努力、粘り強い、
豊穣、永続性
● ネガティブなイメージ
苦い、青臭い、未熟、地味、暗い、保守的、重い、優柔不断
● 連想するアイテム
森林、草、クローバー、ミント、山、公園、
カエル、カメ、わかめ、メロン、ほうれん草、
緑茶、信号機、エメラルド
● 相性のよい色
白、黒、グレー、茶色、ベージュ、黄色、赤、ピンク、紺色
[ 橙 色|オレンジ ]
オレンジは赤と黄の中間に位置する色彩で、温暖性と活力を兼ね備えた普遍的な訴求力を持つ色として評価されています。その生命力あふれる特性から、ビタミンカラーという別称も確立されています。デザイン分野においては「配色の万能解」として認知されており、その汎用性の高さは専門家の間で広く支持されています。また、心理学的見地からは、対人コミュニケーションを促進し、開放的な心理状態を誘発する効果が指摘されています。これらの特性から、エンターテインメント産業やキャリア支援サービスなど、人的交流を重視する業態での採用が顕著となっています。
● 心理的な効果
陽気な気持ちになる、親しみを感じる、
温かさを感じる、緊張を和らげる、活力を感じる、
食欲を促進する
● ポジティブなイメージ
暖かい、温もり、親しみやすい、美味しそう、
挑戦、エネルギッシュ、元気、陽気、賑やか、
喜び、健康、家庭的、幸福、カジュアル、
開かれている、ノリがいい
● ネガティブなイメージ
自惚れ、くどい、安っぽい、見栄っ張り、おせっかい、目立ちたがり屋
● 連想するアイテム
太陽、炎、暖炉、夕日、紅葉、マリーゴールド、
オレンジ、みかん、柿、マンゴー、かぼちゃ、
にんじん、ハロウィン、レンガ、室内灯
● 相性のよい色
白、黒、グレー、赤、黄色、ベージュ、茶色、紺
[ 桃 色|ピンク ]
ピンクは赤色に白色を調合した色彩であり、赤と同様の高い視認性を保持しています。その色彩特性は女性性と母性を強く象徴し、安息感を醸成すると同時に、味覚における甘味認識を促進する効果が確認されています。このため、女性向け商品や菓子製品のブランディングにおいて戦略的に採用されています。ただし、彩度管理には細心の注意が必要で、過度な強調は俗悪さやアダルトイメージを惹起する危険性があります。一方、欧米文化圏では乳幼児の肌色との連想から、親和性の高い色彩として認識されているという文化的特性も注目に値します。
● 心理的な効果
幸福を感じる、愛しい気持ちになる、安らぎを覚える、
緊張を和らげる、血行が良くなる
● ポジティブなイメージ
女性的、可愛らしい、可憐、華やか、優しい、
甘い、恋、愛情、エレガント、美しい、まろやか、
繊細、若さ、美容に効果がある、感謝
● ネガティブなイメージ
性的、妖しい、派手、下品、いやらしい、媚びる、ぶりっ子、甘え
● 連想するアイテム
女性、ハート型、春、桜、梅、バラ、ハイビスカス、
コスモス、リボン、アイドル、ヒロイン、口紅、
チーク、デート、イチゴ、フラミンゴ、ネオン、マイメロディ
● 相性のよい色
白、黒、グレー、ベージュ、青、紺、緑、カーキ
[ 紫 色|パープル ]
純色のひとつで、赤と青が混ざり合った色です。他の色以上に、見る人によって受ける印象が大きく変わる色でもあります。高貴かつ神秘的なイメージがあるため、女性向けの化粧品やファッション、デザイン、音楽、演劇などの芸術系分野の企業で採用されることが多いです。日本では、古くから、身分の高い人間が身につける高貴な色とされており、その影響から、「高貴、上品」なイメージがあります。一方、海外では、「不気味」「気持ち悪い」「下品」などマイナスイメージを持つ人が多いとされています。
● 心理的な効果
感受性が豊かになる、感覚が鋭くなる、直感が鋭くなる、
睡眠を促進する、身体の回復機能を高める
● ポジティブなイメージ
神秘的、神聖、不思議、高貴、高級、上品、美しい、
優雅、華麗、魅力的、感性がするどい、繊細、芸術、
古風、知的、中性的、思慮深い
● ネガティブなイメージ
不気味、気持ち悪い、毒々しい、不吉、下品、不安定、
プライドが高い、孤独、意地悪、欲求不満、欲望、
二面性がある、複雑、理解しがたい、近寄りがたい
● 連想するアイテム
大人の女性、占い師、魔法使い、芭蕉、アサガオ、
アジサイ、すみれ、藤、ぶどう、ブルーベリー、
紅芋、紫キャベツ、オオムラサキ、アメジスト、紫水晶
● 相性のよい色
黒、白、グレー、紺、ピンク、黄色、青
[ 灰 色|グレイ・シルバー ]
グレーは白と黒の中間に位置する無彩色であり、その特性は高い色彩調和性にあります。アクセントカラーではなく、基調色としての採用により、デザイン全体に安定感をもたらす効果が認められています。その洗練された静謐さから、教育機関、法務・会計事務所などのプロフェッショナルサービス、さらには自動車・高級時計など、プレミアム製品のブランディングにおいて戦略的な活用が見られます。特に日本市場においては、その自然調和性と均衡の取れた印象により、高い支持を獲得している色彩となっています。
● 心理的な効果
気持ちを落ち着かせる、忍耐がつく、
現実を受け入れやすくする、信頼感を持たせる、
警戒心を和らげる、もやもやした気分にさせる
● ポジティブなイメージ
上品、高級感、クール、お洒落、都会的、
洗練されている、穏やか、調和が取れている、
信頼感、安定感、知的、大人、
● ネガティブなイメージ
暗い、陰気、憂鬱、曖昧、不安、寂しい、
悲しい、無気力、地味、不透明、薄い、
不味そう、目立ちたくない、疲労感、徒労感
● 連想するアイテム
曇り、雲、煙、灰、砂、冬、コンクリート、
ビル、銀、金属、ハト、ねずみ、
ロシアンブルー、狼、ゾウ、サイ、トレーナー
● 相性のよい色
黒、白、青、赤、黄色、ピンク、紺
[ 黒 色|ブラック ]
黒色は全波長の光を吸収する無彩色として定義され、その視覚的特性は他の色彩と比較して、重量感と深淵さを強く表現します。この色彩が持つ威厳性と重厚性は、格調高いブランドイメージの構築を目指す企業において戦略的に採用されています。欧米圏では高級性と優美性を象徴する色として認識される一方、日本を含むアジア文化圏においては、死や闇との関連性から否定的な文化的含意を持つため、その使用には慎重な配慮が求められます。
● 心理的な効果
圧力を感じる、高級感がある、気分が暗くなる、
後ろ向きになる、終わりを感じさせる、
重さを感じさせる、神聖さを感じさせる、神秘性を感じさせる
● ポジティブなイメージ
高級感、威厳、重厚、クール、スタイリッシュ、
シンプル、上品、真面目、上質感、神秘的、絶対感、
強さ、中世、力がある、大人っぽい、無限の可能性
● ネガティブなイメージ
暗い、陰気、寂しい、不安、冷酷、拒絶、
孤独、恐怖、闇がある、不気味、沈黙、
絶望感、終わり、閉塞感
● 連想するアイテム
宇宙、ブラックホール、夜、夜空、影、未知、
権力者、男性、大人、黒髪、喪服、葬式、備長炭、
墨、書道、カラス、黒猫、黒豹、黒揚羽、タイヤ、悪魔
● 相性のよい色
どんな色でも可(※どの色でも黒はニュートラルです)
■ まとめ
ブランドエッセンスの表現において、カラーマネジメントは極めて重要な戦略的要素として位置づけられています。製品、サービス、デジタルプラットフォーム、広告メディアなど、あらゆる顧客接点において視覚的一貫性が求められるため、ブランドが標榜する価値観や方向性を的確に反映したカラー戦略の構築が不可欠となります。このように、ブランドカラーの選定は企業のビジュアルアイデンティティを確立する上で、極めて慎重な検討を要する課題なのです。
引用:メーカーブランドカラーが購入意向に与える影響
引用:ファッションブランドの色彩についての定量的解析と予測
株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。
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