
[ ブランディングデザイン ]
ブランドブックとは?その目的と効果
ブランドブックは、ブランド戦略の一環として制作されることが増えてきています。ではなぜ、ブランドブックが必要なのか?それは、企業や商品・サービスの機能的な価値だけでなく、情緒的な価値が付加価値として重視されるようになってきてているからです。また、就職先や働く場所を選ぶときにも、これまでの歴史や社会的な責任を果たしているか、理念やビジョンがしっかりとしているか?といった本質に重きを置く人が増えているからです。商品やサービスの質がいいのは最低条件で、+αの魅力がブランドが選ばれるポイントなのです。
■ ブランドブックとは?

ブランドブックとは、従業員にブランドの価値や目指す姿を理解させるために、ブランディング活動の中で制作される社内向けのブックです。ブランドが目指すべき方向性を正しく全従業員に浸透させることで、ブランドの価値が向上するだけでなく、日々の業務にも良い影響が与えられます。本来ブランドブックは、従業員に企業ブランドの目指す姿を、正しく理解させることが主な目的でした。しかし、インナーブランディング活動が従業員の意識付けや啓蒙だけを目的とした活動から、日常業務でのブランド価値向上への貢献活動へと進化した今日、単なる理解のためのツールから実践のためのツールへと目的が変化してきています。
参考サイト: https://capcreative.jp/book/
■ ブランドブックの目的
ブランドブックが果たす役割とは何か?
それは、ブランドの理解のためだけでなく、日々ブランドの方向性を実践していくための手段のひとつとして活用する事でブランドの魅力を伝えると言う事ではないでしょうか。商品やサービスの機能や質だけでは差別化が難しく、情緒的な価値が付加価値として注目されるようになってきました。そのため、ブランドのコンセプトやビジョンは今までよりも注目されるようになってきたのです。そこで、ブランドブックを活用してブランドの方向性を浸透させることが必要になってきたのです。ブランドブックの構成としては、ビジョン、ミッション、バリュー、ブランドコンセプト、ブランドメッセージ、シンボルやロゴなどのデザインの意味などが記載されていると伝わりやすいです。ブランドブックを制作する際には、多くの人に理解してもらえるように、シンプルでわかりやすい表現をし、聞きなれない専門用語は多用しないように読み手への配慮を心がけることが重要です。
[ 企業理念やビジョンの理解浸透 ]

企業理念やビジョンなど、日々の業務にまで浸透させたい重要な内容が載っているにもかかわらず、どこかとっつきにくい内容。そもそも従業員にとって説明される機会が少ないことも大きな課題でした。シンプルで素っ気ないデザインも見直し、会社への理解や愛着を高めるものとしてブランドブックは有効なのです。
[ 採用のためのツールとして ]

新卒採用を行う際にも学生に向けて企業理念やビジョンを端的に伝えることができます。自社の理念や哲学、事業内容、社風や労働環境などが広く認知され、ブランドイメージが確立されれば、それらに共感する人材、自社とのマッチ度が高い人たちからの応募が増加します。母集団の質が高ければ、実際に採用へと至る人材の質も高まるのです。
■ ブランドブックの目的の変化
元々ブランドブックは、従業員に企業ブランドの目指す姿を正しく理解させることが主な目的でした。しかし、インナーブランディング活動が社員の意識付けや啓蒙だけを目的とした活動から、日常業務でのブランド価値向上への貢献活動へと進化した今日、単なる理解のためのツールから、実践のためのツールへと位置付けが大きく変わってきています。
■ ブランドブックの構成内容
ブランドブックに掲載する項目は以下のようなものがあります。
- VISION ・・・ビジョン(展望、企業のあるべき姿)
- MISSION ・・・ミッション(果たすべき使命)
- VALUE ・・・バリュー(提供する価値)
- CONCEPT・・・ブランドコンセプト(ブランドの考え方、世界観)
- MESSAGE・・・ブランドメッセージ(ブランドイメージを端的に伝える)
■ 企業が抱える人に関する課題

課題の具体的な事例
① 自社の企業理念ビジョンなどが社内に浸透していない
② 将来のビジョンが浸透せず社員のモチベーションが高まらない
③ 経営統合や合併など企業環境の変化に伴い理念の再浸透が必要
④ 離職者が多く社員の意思統一を再構築する必要がある
従業員が一体となり、強いブランドを体現していくためには、企業内に潜む「人にまつわる課題」を明確化し、中長期的かつ継続的な取り組みを計画的に行い、サービスや行動を改善して行かなければなりません。企業が抱える課題は多岐に渡りますが、「人にまつわる課題」も多いのです。
■ 課題解決するためにすべきこと

① ブランドに関わる人々の意識を統一する
企業理念や企業ブランドの価値、目指す姿の理解を促し、理想とする姿の実現に向けて意識を変化させる啓蒙活動を重要視する企業活動が年々と高まってきています。(インナーブランディング)そして、社員、アルバイト、パートタイマー、派遣社員など、自社スタッフはもちろんのこと、商品運搬に関わる輸送業や倉庫業、卸売店から小売店に至るまで、商品やサービスの提供に関わる全ての人が含まれています。顧客向けのアウターブランディングやプロモーションだけでは共有しきれない、企業理念やビジョンなどの概念を共有することで事業関係者の意識変化を促し、言動やサービスを改善することでブランドの方向性と統一させていきます。
② 日々の業務にブランドを反映させる
最も重要なことは、「ブランドブックの内容を、全ての従業員が自分の業務に取り入れること」です。残念ながら、ブランドブックを制作し配布することが目的化してしまっているケースもあります。このような場合、しばらくすればブランドブックは書類の山に埋もれてしまいます。従業員が自社のブランドを認知・理解し、それを行動に反映させるためには、ブランドの体現に向けた施策を展開することが必要です。ブランドブックの役割は、従業員に自社のブランドを認知させ、その内容を理解させることです。そして、業務の目的やスタイルが多様である従業員たちが、自らの業務に自社のブランドを反映させるためには、自分で考え、行動し、実感するというプロセスが必須なのです。自社のブランドを知ることは、ブランドを自分の業務に取り込むこと(体現)の第一歩です。ブランドブックを起点とし、その内容を日常業務で意識させること、そして、実行させるための仕組み作りまでを統合的に推進することが求められます。少なくとも、従業員に読まれないブランドブックでは、自社のブランドを高めていくことはできません。押し付けるのではなく、共有するという視点を持つことが、ブランド構築の第一歩となります。
■ まとめ
ブランドブックの目的は、「ブランドブックの内容を従業員が日々の業務に取り込むこと」です。しかし、残念なことに、ブランドブックを制作し配布することが目的化してしまっているケースも多く、このような場合は1ヶ月もすればブランドブックは書類の山に埋もれてしまい読み返されることもありません。従業員がブランドを正しく認知・理解し、それを行動に反映させるためには、ただ配布するのではなく講習会やワークショップを同時に開催することも必要です。自社のブランドを理解するということは、ブランドを自分の行動や活動に取り込むことなのです。少なくとも、従業員に読まれないブランドブックでは、企業のブランド価値を高めていくことはできません。押し付けるのではなく、共有するという視点を持つことが、成功への1歩なのです。

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