[ ブランディングデザイン ]
ネーミング開発のポイントと表現方法(商品ブランド名)
商品ブランド名のネーミングは、商品の第一印象を左右するだけでなく、消費者の記憶に残り、購入を促す重要な要素です。成功するネーミングには、シンプルで覚えやすい、ブランドの価値や特徴を的確に表現していることが求められます。また、発音のしやすさや言語的な違い、ターゲット市場の文化背景も考慮する必要があります。競合との差別化や、商品が提供するメリットを反映させることもポイントです。本日は、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、ネーミング開発の具体的なポイントと、効果的な表現方法について詳しく解説します。
■ ネーミングについて
顧客は商品を選ぶ際に何を見ているのでしょうか?商品が少なく選択肢がなかった時代とは違い、今では山のようにさまざまな商品があふれていています。その中から顧客は気に入った商品を探し出し購入します。では、さまざまな商品の中から選んでもらうには一体どうすればいいのでしょうか。その手がかりの1つとなっているのがネーミング(商品ブランド名)なのです。ネーミング(商品ブランド名)は、商品の特性を一言で表したり、感覚的に良い商品と思わせる効果があります。つまり、商品価値を端的に顧客に伝える重要な要素なのです。
■ ネーミング開発の4つのポイント
① 読みやすく語感が良い
英語読みや英語による造語などが多い中、読みやすく、スムーズな語感を持ち、記憶に残り、そして、意味をダイレクトに伝え何となくイメージさせる。消費者やターゲットが容易に認知でき、識別できること。
② 個性的で独自性がある
競合や巷にあふれる企業名、商品名と識別するだけでなく、ブランドの持っている個性や特徴を引き出し、差別化を図ることで、消費者やターゲットの記憶に強く作用させること。
③ 語感がよく意味が伝わる
読みやすい、語感が良いだけでは不十分です。コミュニケーションツールの一つとして、消費者やターゲットにその意味を伝え、連想させ、商品やサービスのブランドイメージを伝えること。
④ ストレートな表現
企業名であれば、業種や業態、サービスそのものだったり、商品名やサービス名であれば、その機能や効能、特徴を端的でわかりやすく表現すること。
■ ネーミング開発の分類
● 連結型
語句を続けて並べることにより名称化したもの。通常は2つの語句の単純な加算である場合が多い。
【 メリット 】商品の特性や世界観について端的に伝えられる。
[ 引用 ]鼻セレブ特設サイトより
● 混合型
共通の文字を共用しながら名称化したもの。重複している文字の箇所で複数の語句を続けていく。
【 メリット 】平易な語句の使用でも新しい価値観を創出できる。
[ 引用 ]小林製薬・製品情報より
● 化合型
複数語句の一部分ずつを切り出して名称としたもの。3つ以上の語句を由来とすることも容易になる。
【 メリット 】リズムが整うためキャッチーで覚えやすくなる。
[ 引用 ]サントリー飲料・商品情報より
● 切抜型
1つの語句の一部を切り抜いて名称としたもの。レターの長い英単語を引用する場合などに使われる。
【 メリット 】元の語句がもつ雰囲気を異なる音で感じさせられる。
[ 引用 ]ドメストより
■ ネーミング表現の分類
ネーミングは、表現方法によって幾つかに分類することができます。企業や商品のコンセプトやビジョン、ベネフィットなどを伝える際には、どういった表現方法が相応しいかなどを考慮し、ネーミングを開発すことが重要です。
● 機能重視型
商品についての特長的な機能部分を端的に訴求したもの。またはそこから発想・派生したもの。
【 メリット 】 商品そのもの内容や機能が明確で正確に理解できる。商品の自信が感じられる。
[ 引用 ]小林製薬・製品情報より
● イメージ重視型
ベースとなる語句や音の響きで、よりよいイメージを想起させていくもの。造語である場合も多い。
【 メリット 】 使用・利用の前段階から好的な印象を与えることができる。商品の可能性や広がりが感じられる。
[ 引用 ]三菱ルームエアコンより
● オノマトペ型
商品ついて、音(おん)や感覚的(響)な言語で象徴していくもの。日本語には馴染みが良く効果がある。
【 メリット 】 感覚的な表現であるにも関わらず、商品ブランドへの親しみや共感が得られやすい。
[ 引用 ]赤城乳業・ガリガリ君より
● その他
上記の表現以外のもの。
【 メリット 】 造語の自由度が上がり、独自性が高くなる。
[ 引用 ]サントリー・ソフトドリンク一覧より
■ まとめ
ネーミングは“名前”としての単純な機能だけではなく、その商品や企業のコンセプトやビジョンなどを感じさせるという大切な機能も持っています。このことを踏まえた上で、インパクトやリズム、親しみやすさ、覚えやすさなどのテクニックが必要となってくるのです。「i」をつけるネーミングで独自のブランドを確立したApple社や、ネーミングでも徹底した機能訴求することを続ける小林製薬社など、企業の特色・社風のようなものが現れやすいのがネーミングです。もしも、特に意味はなく語感を重視した、従業員アンケートで選んだ、というようなネーミングを施している場合は、今一度ネーミングについて再度検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。
【 株式会社チビコ 】
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永く愛され続けるブランドを支援する会社
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