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食品会社10社のブランドステートメント事例と作り方

[ ブランディングデザイン ]

[必見] 食品会社10社のブランドステートメント事例と作り方

食品会社のブランドステートメントでは、品質、健康、安全性、持続可能性が重視されます。たとえば「高品質で安全な食品を通じて、健康で持続可能な未来を提供する」というステートメントは、厳格な品質管理や環境に配慮した生産プロセス、消費者の健康を重視する姿勢を示します。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、ブランドステートメントが、消費者に安心感と信頼性を与え、企業の社会的責任や持続可能な取り組みがアピールできることについて詳しく解説します。


■ 食品会社におけるブランドステートメントの重要性

食品会社におけるブランドステートメントの重要性

なぜ、食品会社にブランドステートメントが必要なのか

食品会社におけるブランドステートメントの重要性は、企業が「何を大切にし、どんな価値を提供するのか」を明確に示し、事業全体に一貫性を持たせられる点にあります。食品は品質や安全性、倫理観が深く関わる領域で、消費者も慎重に商品を選ぶため、企業の姿勢や価値観が曖昧だと信頼につながりにくいです。ブランドステートメントがあることで、商品開発やパッケージ、広告表現、販売コミュニケーションまで筋の通った判断ができ、ブランド体験も統一されます。また、社内にとってもステートメントは大切な役割を果たします。社員が迷ったときに立ち戻る基準があることで、組織の行動にブレが生まれにくく、品質や顧客対応も安定した水準を保ちやすくなります。さらに、理念に共感する人材が集まりやすくなり、組織文化の強化にもつながります。つまり、ブランドステートメントは外部へのメッセージであると同時に、企業内部を整える“芯”のような存在であり、食品会社が長く信頼されるための欠かせない基盤になります。

詳細記事:ブランドステートメント開発のメリットとは

■ 食品会社10社のブランドステートメント事例

アサヒビール : その感動を、わかちあう。

アサヒビール | その感動を、わかちあう。

アサヒビールのブランドステートメント「その感動を、わかちあう。」は、飲料を通じて生まれる感動や喜びを、さまざまな人と共有したいという思いを丁寧に示している言葉です。商品そのものの美味しさや品質に加え、飲む瞬間の心地よさや、そこで生まれるつながりといった体験そのものを大切にし、豊かな時間を届けようとする姿勢が含まれています。また、持続可能な社会に向けた取り組みや環境への配慮、地域への貢献にも積極的に取り組み、企業活動全体を通じて「感動」を広げていく意志を示しています。このステートメントは、社員が日々の行動を考える際の指針としても活用され、企業として大切にしたい価値観を共有する役割を担っています。さらに、この価値観を継続的に磨き続ける姿勢も特徴的です。

[ ポイント ]

飲料を通じて生まれる感動や喜びを多くの人と共有したいという思いを示していること。
美味しさや品質だけでなく、飲む場面や体験そのものを大切にしていること。
豊かな時間や人とのつながりを生み出すことを目指していること。
持続可能な社会づくりや環境配慮、地域貢献など、企業活動全体で感動を広げようとしていること。
社員の行動指針としても機能し、企業が大切にしている価値観を共有する役割を果たしていること。

[ 出典 ] アサヒビールグループ公式サイトより

キリンホールディングス : よろこびがつなぐ世界へ

キリンホールディングス | よろこびがつなぐ世界へ

キリンホールディングスのブランドステートメント「よろこびがつなぐ世界へ」は、飲料や医薬、健康関連事業を通じて、人々の生活に喜びや豊かさを届け、それを社会へ広くつなげていきたいという思いを表現している言葉です。商品を通じた味わいや楽しさだけでなく、健康やウェルビーイングの向上、持続可能な社会への貢献を大切な柱として位置づけています。また、このステートメントは、多様な事業領域にまたがるキリンの取り組みを一つの方向へまとめ、「人と人」「人と社会」を前向きにつなごうとする企業姿勢をわかりやすく伝えています。その結果、ブランドとしての一貫性が強まり、社会に対して提供する価値もより明確に示す役割を果たしています。さらに、未来に向けた価値創造への意欲も感じられる内容です。

[ ポイント ]

生活に喜びや豊かさを届け、それを社会へ広げていきたいという思いを表現していること。
飲料・医薬・健康関連など多様な事業を通じて価値を提供していること。
味わいや楽しさに加え、健康やウェルビーイングの向上を重視していること。
持続可能な社会づくりへの貢献を企業の重要な柱として位置づけていること。
事業全体を一つの方向にまとめ、ブランドの一貫性を高めていること。

[ 出典 ] キリン・企業方針より

サントリーグループ : 水と生きる

サントリーグループ | 水と生きる

サントリーグループのブランドステートメント「水と生きる」は、企業活動の中心に「水」という自然資源への深い敬意と、共に生きる姿勢を大切にしていることを示している言葉です。飲料事業を軸に、安心・安全で高品質な製品を届けるだけでなく、水資源の保全や森林育成などの環境保護にも丁寧に取り組んでいます。また、「水」を象徴としたこの言葉には、企業として持続可能な成長を目指しながら、社会に貢献していきたいという意志が込められています。社内外に向けた行動のよりどころとしても機能し、サントリーが大切にしたい価値観を共有する役割を果たしています。さらに、事業成長と環境保全を両立させる姿勢を継続的に高めようとする姿勢も明確に表れています。そしてその想いは広く共有されています。

[ ポイント ]

「水」への深い敬意と、自然と共に生きる姿勢を企業活動の中心に置いていること。
飲料事業を軸に、安心・安全で高品質な製品づくりに取り組んでいること。
水資源の保全や森林育成など、環境保護活動を継続的に進めていること。
持続可能な成長と社会貢献を目指す企業の意志が込められていること。
社内外の行動指針として機能し、価値観の共有や環境と事業の両立を促していること。

[ 出典 ] サントリーグループ・企業情報より

カゴメ : 自然を、おいしく、楽しく。

カゴメ | 自然を、おいしく、楽しく。

カゴメのブランドステートメント「自然を、おいしく、楽しく。」は、自然の恵みを活かした商品づくりを通じて、人々の食生活に楽しさと健康を届けるという理念を表現しています。野菜や果物の持つ本来の美味しさと栄養価を大切にし、ジュースやソース、加工食品など多彩な商品で提案しています。さらに、食育や環境保全活動にも積極的に取り組み、自然との共生と持続可能な社会の実現を目指しています。この言葉は、カゴメの企業姿勢やブランド価値をシンプルかつ親しみやすく伝える象徴的なメッセージとなっています。加えて、地域との協働や農業振興にも力を注ぎ、食と農の未来を育てる姿勢も明確に示しています。これらの活動は企業としての一貫した想いをより強く支えています。

[ ポイント ]

自然の恵みを活かし、楽しさと健康を届ける理念を示していること。
野菜や果物本来の美味しさと栄養価を重視し、多彩な商品を提供していること。
食育や環境保全に積極的に取り組み、自然との共生を目指していること。
ブランド価値をわかりやすく伝える、親しみやすいメッセージとして機能していること。
地域協働や農業振興にも力を入れ、食と農の未来を育てる姿勢を示していること。

いること。

[ 出典 ] カゴメ・企業方針より

ニチレイグループ :「おいしさ」と「新鮮」をネットワークする。

ニチレイグループ | 「おいしさ」と「新鮮」をネットワークする。

ニチレイグループのブランドステートメント「『おいしさ』と『新鮮』をネットワークする。」は、食品の美味しさと鮮度を、高品質な物流や技術力を通じてつなぎ、社会へ届けていくという思いを表現した言葉です。冷凍食品を中心に培ってきた独自のコールドチェーン網を活かし、国内外に新鮮で安心な食を安定して届けています。また、環境への配慮や食品ロス削減にも積極的に取り組み、持続可能な食の未来づくりに貢献しています。この言葉は、製造から流通、そして消費者の食卓まで、一貫した価値を届けようとする姿勢を象徴しています。さらに、食のインフラを支える企業としての責任を丁寧に示している点も特徴です。加えて、社会の変化に応じて価値提供を進化させる姿勢も感じられます。

[ ポイント ]

美味しさと鮮度を高品質な物流・技術でつなぎ、社会へ届ける姿勢を示していること。
冷凍食品で培った独自のコールドチェーン網を活かし、新鮮で安心な食を安定供給していること。
環境配慮や食品ロス削減など、持続可能な食の未来づくりに取り組んでいること。
製造から流通、食卓まで一貫した価値提供を目指す企業姿勢を象徴していること。
食のインフラを支える責任と、社会の変化に応じて価値を進化させる意欲を示していること。

[ 出典 ] ニチレイグループ・企業方針より

永谷園 : 味ひとすじ

永谷園 | 味ひとすじ

永谷園のブランドステートメント「味ひとすじ」は、創業以来一貫して「美味しさ」への飽くなき探求を追求してきた姿勢を端的に表現しています。日本の家庭の食卓に寄り添い、手軽さと本格的な味わいを両立させる商品づくりを続ける中で、変わらぬ価値観と職人精神を守り抜いています。また、この言葉は品質や素材へのこだわりだけでなく、時代やニーズに柔軟に対応しながらも「おいしさ」を軸とした企業姿勢の象徴として社内外に強く浸透しており、ブランドの信頼感と独自性を高めています。さらに、日常の食体験をより豊かにするという使命を明確に示し、企業の方向性をわかりやすく伝える役割も担っています。こうした姿勢は今後の価値創造にもつながっています。

[ ポイント ]

創業以来「美味しさ」への探求を軸に事業を続けてきた姿勢を示していること。
手軽さと本格的な味わいを両立する商品づくりで、日本の家庭の食卓に寄り添っていること。
品質・素材へのこだわりと、時代やニーズへの柔軟な対応を両立していること。
企業姿勢として「おいしさ」の価値を強く浸透させ、信頼と独自性を高めていること。
日常の食体験を豊かにする使命を明確にし、今後の価値創造につながる方向性を示していること。

[ 出典 ] 永谷園・会社情報より

ニッポンハムグループ : 人輝く、食の未来

ニッポンハムグループ | 人輝く、食の未来

ニッポンハムグループのブランドステートメント「人輝く、食の未来」は、食の力を通じて人々の暮らしをより豊かにし、一人ひとりがいきいきと輝ける社会を目指す姿勢を表現した言葉です。安全・安心で高品質な食の提供に加えて、多様な食文化やライフスタイルに寄り添う商品開発にも力を入れています。また、環境への配慮や持続可能な社会への貢献も大切な取り組みと位置づけ、食の未来を前向きに切り拓こうとする革新の精神が込められています。この言葉は、社員やパートナーが大切にしたい価値観を共有する指針としても機能しています。さらに、地域や社会とのつながりを深めながら、より良い食の循環をつくろうとする姿勢も明確に示されています。そして、その実現に向けた挑戦を続けています。

[ ポイント ]

食を通じて人々の暮らしを豊かにし、一人ひとりが輝ける社会を目指す姿勢を示していること。
安全・安心で高品質な食の提供に加え、多様な食文化に応える商品開発を進めていること。
環境配慮や持続可能な社会への貢献を重視し、未来志向の取り組みを行っていること。
社員やパートナーと価値観を共有する指針として機能し、組織の一体感を支えていること。
地域や社会とのつながりを大切にし、より良い食の循環をつくるための挑戦を続けていること。

[ 出典 ] ニッポンハムグループ・企業情報より

味の素 : Eat Well,Live Well.

味の素 | Eat Well,Live Well.

味の素のブランドステートメント「Eat Well, Live Well.」は、「より良く食べることが、より良く生きることにつながる」という考え方をシンプルに示した言葉です。単に美味しさを届けるだけではなく、栄養バランスや健康づくり、生活の質向上まで視野に入れた企業姿勢が込められています。世界各地で食品やアミノ酸事業を展開する味の素グループは、この言葉を通じて、地域や文化の違いを超えて「食」を軸にした社会貢献に取り組んでいます。また、地球環境への配慮や持続可能な取り組みを進めながら、食を通じた多様な価値を生み出そうとする挑戦も続けています。さらに、人々の毎日を支える存在としての責任を大切にし、長期的な課題にも向き合う姿勢が示されています。

[ ポイント ]

より良く食べることが、より良く生きることにつながるという基本理念を示していること。
美味しさに加えて、栄養・健康・生活の質といった広い価値を視野に入れた姿勢を示していること。
世界各地で事業を展開し、地域や文化を超えて“食”を通じた社会貢献に取り組んでいること。
地球環境への配慮や持続可能性を重視し、未来に向けた取り組みを継続していること。
人々の毎日を支える企業としての責任を意識し、長期的な課題にも向き合う姿勢を示していること。

[ 出典 ] 味の素公式サイトより

明治 : 明日をもっとおいしく

明治 | 明日をもっとおいしく

明治のブランドステートメント「明日をもっとおいしく」は、日々の食卓に「おいしさ」と「楽しさ」を届けるだけでなく、健康や安心を含めた豊かな未来づくりに貢献したいという思いを表現した言葉です。乳製品やチョコレートをはじめとする幅広い製品群を通じて、人々の暮らしを支えながら、次の世代に向けた新しい価値創造にも取り組んでいます。この言葉には、おいしさの探求にとどまらず、社会全体のウェルビーイングや持続可能な成長にも力を注いでいくという企業姿勢が込められています。さらに、日常の小さな幸せを積み重ねる存在でありたいという願いも表れており、企業の方向性をわかりやすく示すメッセージになっています。こうした想いは幅広い世代への安心感にもつながっています。

[ ポイント ]

「おいしさ」と「楽しさ」を届けながら、健康や安心まで含めた未来づくりを目指していること。
乳製品やチョコレートなど、多彩な製品群を通じて日々の暮らしを支えていること。
おいしさの追求に加え、ウェルビーイングや持続可能な社会への貢献を重視していること。
日常の小さな幸せを積み重ねる存在でありたいという願いが込められていること。
企業の方向性をわかりやすく示し、幅広い世代に安心感を届けるメッセージになっていること。

[ 出典 ] 明治公式サイトより

日清食品グループ : おいしい、の その先 へ。

日清食品グループ | おいしい、の その先 へ。

日清食品グループのブランドステートメント「おいしい、の その先 へ。」は、単なる美味しさの提供にとどまらず、食を通じて新たな価値を生み出し、社会や未来に貢献したいという思いを表現した言葉です。これまでの即席麺という枠を超え、健康や環境への配慮、持続可能な開発など、食の可能性を広げようとする姿勢がしっかり示されています。また、この言葉は、革新と挑戦を続ける企業文化を象徴し、社員やステークホルダーに向けた前向きなメッセージとしても機能しています。さらに、日々の暮らしをより豊かにするためのアイデアを探求し続ける姿勢が反映されており、未来の食のあり方を共に考えるための道しるべとしても位置づけられています。そして、この想いは長期的な価値創造へつながっています。

[ ポイント ]

美味しさの提供にとどまらず、社会や未来に貢献したいという思いを示していること。
即席麺の枠を超え、健康・環境配慮・持続可能性など食の可能性を広げる姿勢があること。
革新と挑戦を続ける企業文化を象徴し、前向きなメッセージとして機能していること。
暮らしを豊かにするアイデアを探求し、未来の食のあり方を共につくろうとしていること。
長期的な価値創造につながる企業としての意志が込められていること。

[ 出典 ] 日清食品グループ・スローガンより

■ 食品会社のブランドステートメントの作り方

食品会社のブランドステートメントの作り方

1. 企業の存在意義(パーパス)を整理する

企業の存在意義を整理することは、ブランドステートメントづくりの起点になります。食品会社の場合、「どんな思いで食を届けているのか」「社会にどんな価値を生みたいのか」といった視点を丁寧に言語化することが大切です。利益を目的にするだけではなく、自社が大切にしてきた姿勢や、創業時から受け継がれている価値観にも目を向けることで、より芯のあるパーパスにつながります。社員一人ひとりが納得できる言葉に落とし込むことで、ブランド全体の軸が定まり、その後の表現づくりも進めやすくなります。

[ ポイント ]

自社が社会に果たす意味を丁寧に言語化する
創業の思いや価値観も含めて理解する
社員が納得し、行動の軸になる内容にする

2. 食品ならではの価値を明確にする

食品会社のブランドステートメントでは、食品ならではの価値をしっかり捉えることが欠かせません。安心・安全、原材料のこだわり、自然とのつながり、味わいの良さ、健康への貢献など、食品だからこそ重要になる要素を整理します。また、商品を通じて提供する時間や体験価値にも目を向けることで、より豊かなメッセージにつながります。企業が守りたい品質基準や取り組んでいる努力を正しく反映することで、ステートメントとしての信頼性も高まります。こうした丁寧な視点が言葉の深みを支えます。

[ ポイント ]

食品ならではの価値要素を具体的に整理する
体験価値や心地よさなど情緒的価値も含める
企業の品質基準や姿勢が伝わる内容にする

3. 顧客の期待や潜在ニーズを理解する

ブランドステートメントは企業側の思いだけでなく、顧客が食品に求める価値を理解してつくることが重要です。安心感、美味しさ、健康性、簡便性、楽しさなど、消費者のニーズは多様化しています。市場調査や日々の顧客接点を通じて、「本当はどんな価値を求めているのか」を丁寧に読み取ることで、ステートメントの方向性がより明確になります。顧客が共感しやすい言葉になるほど、ブランドは生活者に寄り添った存在として認識されやすくなります。こうした姿勢は長期的な信頼づくりにもつながります。

[ ポイント ]

顧客が食品に求める価値を正しく理解する
潜在ニーズや変化の兆しまで捉える
共感されやすい方向性にまとめる

4. 企業らしさ(独自性)を明確にする

ブランドステートメントづくりでは、他社と重ならない「その企業らしさ」を見つけることが欠かせません。食品企業は同じ領域で競合しやすいため、独自の歴史、こだわり、技術、文化、商品への向き合い方などを丁寧に掘り下げることが重要です。お客様がその企業に魅力を感じる理由や、社員が誇りに思っている点も独自性のヒントになります。単なる特徴の寄せ集めではなく、企業を象徴するひと言につながる“本質的ならしさ”を見つけることで、ステートメントの強さが生まれます。企業内部と外部の視点の両方を取り入れながら抽出することで、共感性も高まります。さらに、その価値を継続的に磨く姿勢も大切です。

[ ポイント ]

競合と重ならない自社ならではの価値を見つける
歴史・文化・技術・社員の誇りなどを手がかりにする
本質的ならしさを一言に集約できるレベルまで深掘る

5. シンプルで記憶に残る言葉に落とし込む

ブランドステートメントは、短くても企業の姿勢や価値観が伝わる力強い言葉であることが求められます。そのため、アイデアを広げた後は、不要な言葉をそぎ落とし、誰が読んでも自然に理解できる表現に磨き上げるプロセスが欠かせません。食品企業の場合、食の安心感や温かみ、日常とのつながりなど、言葉から情景が浮かぶかどうかも大切な視点です。また、社内で実際に使われ続けることを考え、社員が誇りを持って口にできるかどうかも確認したいポイントです。シンプルでありながら奥行きを感じられる言葉に仕上げることで、ブランドの軸が明確になります。こうした磨き込みが説得力を高めます。

[ ポイント ]

不要な言葉を削り、自然に伝わる表現へ磨き込む
食品らしさや情景が浮かぶニュアンスを意識する
社内外で使われ続ける言葉かどうかを確認する

■ 食品業界ならではの注意点とよくある失敗例

食品業界ならではの注意点とよくある失敗例

1. 綺麗すぎて実態と乖離するケース

食品業界では「安全・安心・おいしさ」といった綺麗な言葉を並べたくなる場面が多いですが、実態と乖離した表現は逆効果になることがあります。消費者は品質や取り組みの裏付けを求めるため、言葉だけが前に出ると信頼が揺らぎます。たとえば「世界最高品質」などの過剰な表現は、期待ではなく疑念を生む可能性もあります。大切なのは、自社の取り組みや実績を正しく示し、言葉と行動がきちんと結びついていることです。誠実で具体的な言語化が、ブランドへの信頼を支える土台になります。

2. 曖昧な語句による理解不能なケース

「こだわり」「真心」「おいしさの追求」といった抽象的な語句だけで構成されたブランドステートメントは、どうしても消費者に伝わりにくくなります。内容が曖昧だと、何を約束しているのかが分かりづらく、ブランドとしての違いも見えにくくなります。具体的な行動や姿勢、提供したい価値まで含めることで、生活者が自分ごととして理解しやすい表現になります。「どのように」「なぜ」「どんな影響を与えるのか」まで丁寧に示すことで、共感と信頼につながります。こうした工夫が説得力を高めます。

3. バラつきがあり一貫性がないケース

ブランドステートメントが社内外で統一して共有されていないケースは決して少なくありません。広告、営業資料、商品パッケージなど、それぞれで異なるメッセージが発信されると、消費者や取引先に迷いを生み、ブランド価値が弱まってしまいます。社内教育やガイドラインを整えることで、言葉だけでなく「語り方」やトーン&マナーも揃えることが大切です。社員がどの場面でも自信を持って一貫したメッセージを伝えられる状態をつくることが、ブランドを強くする基盤になります。

■ ブランドステートメント開発の弊社実績

株式会社チビコは、数多くのブランドステートメント開発をしてきました。企業の歴史や価値観を丁寧に掘り下げ、生活者に伝わる言葉へと磨き上げることで、ブランドの軸づくりを一貫してサポートしています。

【 R.T.HEMMA 】
「 毎日を自分らしく、心地よく 〜 Your room, Your Life 〜 」をブランドビジョンに掲げ、インテリアデザインを通して、毎日をより自分らしく、楽しく、心地よいものにしていく企業ブランド。機能、デザイン、低価格、サステナビリティを兼ね備えたサービスをBtoB、BtoCに向けて幅広く展開。

[ 詳細 ] chobico WORKS | R.T.Hemmaより

【 INSIGHT FACTORY 】
「いかにして本音を集めるか」「集めた本音に何を見るか」を独自の知見によって提案し、クライアントと共に、来たる未来を推し量り、切り拓くこと掲げるリサーチ会社のリブランディング。ブランドシンボルは、社名の頭文字である「I」と「F」をモチーフに「どう見るか。なにを見るか。」をデザインで表現。

[ 詳細 ] chobico WORKS | INSIGHT FACTORYより

【 I’ROM GROUP 】
希望と安⼼に満ちた健やかな未来を、すべての⼈へ。アイロムグループは「憂いなき未来のために。」のブランドプロミスのもと、人々の未来が希望と安心そして健康で満ちあふれたものとなるように先端医療事業、SMO事業、CRO事業、メディカルサポート事業の4つの事業でブランドを展開しています。

[ 詳細 ] chobico WORKS | I’ROM GROUPより

【 RENEWABLE JAPAN
すべての人を、エネルギーの主人公に。「主人公」という言葉には、同じ時代を生きる一人ひとりにエネルギーづくりの主体となって活躍していただける社会を実現したいというブランドの想いを込めています。そして、共にエネルギーについて考え行動し社会の創生に寄与していく企業の姿勢を表しています。

[ 詳細 ] chobico WORKS | RENEWABLE JAPANより

FAQ-よくある質問

■ ブランドステートメントに関するよくある質問

ブランドステートメントに関する疑問は多くの企業で共通しています。ここでは、食品企業から特によく寄せられる質問をまとめ、実務に役立つポイントを分かりやすく解説します。

【 よくある質問① 】

Q :ブランドステートメントとは何ですか?
A :ブランドステートメントは、企業が社会に対して「何のために存在するのか」「どんな価値を届けたいのか」を明確に言語化したものです。食品企業においては、安全・健康・持続可能性など、生活者が共感しやすい価値を理念としてまとめ、信頼や共感を育む重要な役割を担います。

【 よくある質問② 】

Q :ステートメント作成のステップにはどんなものがありますか?
A :主に以下の3ステップです。

  1. ブランド価値の明文化。「何のために存在するのか」を明確にする。
  2. 消費者が共感するフレーズ化。抽象ではなく、具体的でリアルな表現を考える。
  3. 社内浸透と情報発信。社員やパートナーへ噛み砕いて伝え、一貫した発信設計を整える。

【 よくある質問③ 】

Q :ありがちな失敗パターンは何ですか?
A :次の3つが代表的な失敗です.

  1. 綺麗すぎる言葉で実態とズレてしまう場合。「安全」「最高品質」だけでは信頼を損なう恐れあり。
  2. 曖昧な語句ばかりで伝わらない。「こだわり」「真心」などでは具体性に欠け、共感されづらい。
  3. 社内外で発信内容がバラバラ。広告・パッケージ・営業資料などで一貫性がないと混乱を招く。

【 よくある質問④ 】

Q :食品業界でブランドステートメントが特に重要視される理由は?
A :情報過多の現代において、明確なステートメントがなければ、企業の価値観や理念が市場に埋もれ、価格競争に巻き込まれるリスクがあります。理念を言語化してブランドの差別化を図ることで、消費者に選ばれる基準になり、また社内の一体感やブランド価値の一貫性を強化します。

【 よくある質問⑤ 】

Q :ブランドステートメントを社内に浸透させるにはどうしたらいいですか?
A :社内研修やワークショップを通じて、社員やパートナーが言葉を体感し、自ら語れる状態にするのが鍵です。また、広告やパッケージ、SNSなどでトーン&マナーを整え、一貫した発信を行うことで、ブランドの世界観がぶれずに浸透します。

checklist-チェックリスト

■ ブランドステートメント開発をする前のチェックリスト

ブランドステートメントは開発前の整理が結果を大きく左右します。ここでは、食品企業が開発を進める際に押さえておきたい重要ポイントをチェックリストとしてまとめています。

【 ブランドの目的・価値の明確さのチェック 】

⬜︎ 「なぜ存在するのか」「何の価値を届けたいのか」が明文化されているか?
⬜︎ 品質・安心・安全・健康・持続可能性など、食品企業として重要な価値が明確に含まれているか?
⬜︎ ブランドステートメントが価格競争ではなく、信頼や共感による差別化を狙えているか?

【 顧客と社会への訴求のチェック 】

⬜︎ ステートメントが、消費者にとっての「選ぶ基準」となるような共感性・安心感を持っているか?
⬜︎ 社会的責任や持続可能な取組みが伝わり、企業の“人とのつながり”や“社会貢献”が表現されているか?

【 社内浸透・一貫性のチェック 】

⬜︎ 社員がその言葉を理解し、自らの行動指針として活用できるレベルに浸透しているか?
⬜︎ ブランドステートメントが、全社的なブランド価値・アイデンティティと整合しているか?

【 ビジュアル・展開のチェック 】

⬜︎ ブランドステートメントの表現が、広告・パッケージ・WEBなど全てで一貫して統一されているか?
⬜︎ ブランドのCI/VI(ロゴ・デザイン)が、理念と言語化されたステートメントと合致しているか?

記事のまとめ

■ まとめ

食品業界におけるブランドステートメントは、単なるスローガンではなく、企業の価値観や社会への姿勢を言語化し、消費者との信頼関係を育てる大切な要素です。「安全性」「健康」「持続可能性」という共通軸に自社らしさを重ね、具体的で誠実な表現にすることが求められます。一方で、実態とかけ離れた言葉や曖昧な表現、一貫性の不足はブランド価値を弱める原因になります。作成後は社内外への丁寧な浸透と一貫した発信に取り組み、ブランドの未来を支える基盤として活かしていくことが大切です。

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

株式会社チビコ

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