
[ ブランディングデザイン ]
ブランドロゴとは?意味・種類・選び方・開発手順と成功事例
ブランドロゴは、企業や商品を見分ける印ではなく、価値や思想を視覚化する重要なブランド資産です。変更時は、見た目より先に、認知や信頼、事業とのズレを確認することが重要です。
シンボルマークやロゴタイプなど種類の優劣ではなく、認知度、事業内容、接点、使用媒体、将来性で判断します。課題に応じ、ロゴか、VIやCIまで見直すかを決める必要があります。
本記事では、ブランドロゴの分類や特徴、選び方、VI・CIとの関係まで整理し、株式会社チビコ代表取締役/ブランディングディレクターの今田佳司が、実務経験をもとに解説します。
CONTENTS | 目次
- ■ ブランドロゴとは何か?
- ■ ブランドロゴは何のために必要なのか?
- ■ ブランドロゴには、どんな種類があるのか?
- ■ ブランドロゴは、どのように選べばいいのか?
- ■ 既存ブランドロゴは何を残し、何を変えるべきか?
- ■ CHIBICOが考えるよいブランドロゴとは何か?
- ■ ブランドロゴはどのように開発するのか?
- ■ ブランドロゴはどこまで用意すべきか?
- ■ ブランドロゴの効果はどのように評価するのか?
- ■ CHIBICOはブランドロゴ開発をどう考えるのか?
- ■ CHIBICOが手掛けたブランドロゴ・CI・VI開発事例
- ■ ブランドロゴ開発に関するよくある質問
- ■ ブランドロゴデザインに関するチェックリスト
- ■ まとめ
- ■ おすすめ関連記事
■ ブランドロゴとは何か?

ブランドロゴとは、企業や商品・サービスの理念、価値、個性を、文字や図形などの視覚表現へ変換し、見る人が「何者か」を識別できるようにするブランド資産です。特に重要なのは見た目の美しさよりも、事業の本質を象徴し、さまざまな接点で一貫して長く使用することです。
ブランドロゴは「企業やブランドを識別する視覚的な象徴」
ブランドロゴは、企業名や商品名を飾るためだけのものではありません。理念や価値、特徴、個性を凝縮し、顧客が短時間で企業やブランドを認識する視覚的象徴です。企業活動や顧客体験が積み重なることで、記憶を呼び戻す目印となり、意味を持つブランド資産へ育っていきます。
ブランドロゴとロゴマーク・ロゴタイプは何が違うのか?
[ シンボルマーク ] 企業やブランドを図形や記号によって象徴する視覚要素です。
[ ロゴタイプ ] 企業名やブランド名を固有の書体や文字表現として開発したものです。
[ ブランドロゴ ] シンボルマークやロゴタイプ、それらを組み合わせた表現です。
名称や分類方法には業界や企業によって違いがあります。そのため、言葉の定義そのものより、それぞれが何を伝え、どの場面でどのように機能するのかを理解することが重要です。
ブランドロゴとVIはどのような関係にあるのか?
ブランドロゴはVIを構成する主な要素で、ロゴだけでVIが完成するわけではありません。VIには、カラー、フォント、写真、グラフィック、アイコン、レイアウトなどが含まれます。ロゴがブランドを象徴する印なら、VIはブランドらしさを構築する視覚システムです。
➤ 詳細記事:VIの作り方|7つの開発手順・構成要素・成功のポイント
■ ブランドロゴは何のために必要なのか?

ブランドロゴの役割は、企業や商品を見分ける目印になるだけでなく、名前、理念、体験、信頼を一つの視覚的な記号として、記憶に蓄積することです。広告だけでなく、WEB、営業、採用、商品、空間などで同じブランドとして認識される重要な共通基盤になります。
1. ブランドを識別できる
市場には多くの企業や商品が存在します。その中から特定のブランドを見つけ、他社と区別するためにブランドロゴは機能します。重要なのは目立つことではなく、形、色、名称から同じブランドだと安定して識別できることです。さまざまな接点で認識されることがとても大切です。
2. ブランド名と視覚を結びつける
ブランドロゴは、名称と視覚的な特徴を結びつける役割を持ちます。ブランド名だけでは覚えにくくても、特徴的な形や色に繰り返し触れることで、名称と視覚情報が一つの記憶として蓄積されます。新しい企業や商品ほど、認知を段階的に継続して育てていくことが重要になります。
3. ブランド体験を思い出せる
ブランドロゴを見たときに思い出されるのは、ロゴだけではありません。商品体験、店舗での接客、WEBサイト、広告、社員とのやり取りなど、過去の体験も結びついて想起されます。そのため、ロゴだけを魅力的にしても不十分で、企業活動全体との一貫性が特に重要になります。
4. 長期的なブランド資産になる
ブランドロゴは、長く使うことで価値が蓄積される資産です。企業が培った信頼、実績、品質、顧客との関係がロゴと結びつくことで、その形や色からブランドが想起されます。見た目が古いという理由だけで変更すると蓄積してきた認知や信頼を失う可能性にも十分注意が必要です。
■ ブランドロゴには、どんな種類があるのか?

ブランドロゴには、4種の基本形と特徴があります。
ブランドロゴの分類には、世界共通で定められた絶対的な基準があるわけではありません。分類方法や呼称は、企業やデザイン会社、研究者によって異なります。CHIBICOでは、実務の中でブランドロゴの特徴や役割を比較しやすく、開発方針を判断しやすいように、シンボルマーク、ロゴタイプ、文字や図形に象徴的な要素を組み込むタイプ、シンボルと文字を組み合わせるコンビネーションの4種類に整理しています。それぞれの特徴を理解することで、自社により適した表現方法をより検討しやすくなります。

1. シンボルマーク
シンボルマークは、企業やブランドの理念、特徴、事業、文化などを、図形や記号で象徴的に表現するものです。文字を使わず認識させられるため、SNSやアプリ、商品、サインなど小さな場所でも使いやすく、言語に依存しにくい点も特徴です。新規では名称との併用が有効です。

2. ロゴタイプ・ワードマーク
ロゴタイプは、企業名やブランド名を固有の文字表現として開発する形式です。名称と視覚表現が直接結びつくため、名前を覚えてもらいたい企業や新規ブランドに向きます。一般的な書体では独自性が弱くなるため、形、太さ、文字間、構成に固有の特徴を持たせることが重要です。

3. 象徴要素を組み込んだロゴタイプ
ブランド名を基本に、文字の一部へ図形や意味のある形状を組み込む方法です。名称を伝えながら、事業内容やブランドの特徴も視覚的に表現できるため、名前とイメージを同時に記憶させやすくなります。意味を詰め込み過ぎず、一目で認識できる単純さとの両立が非常に重要です。

4. コンビネーションロゴ
コンビネーションロゴは、シンボルマークとロゴタイプを組み合わせて使用する形式です。名称と象徴を同時に伝えられるため、ブランド名の認知が十分でない段階でも、名称とシンボルを結びつけて覚えやすくなります。横組み、縦組み、シンボル単体など、使用媒体に応じた展開形を用意することも重要です。
■ ブランドロゴは、どのように選べばいいのか?

【 CHIBICOが考えるブランドロゴ┃6つの判断基準 】
どのブランドロゴが適しているかは、好みではなく、ブランド名の認知度、事業内容、顧客との接点、使用媒体、海外展開、将来の拡張性から判断します。新ブランドほど名称を伝える必要があり、認知が高まればシンボル単体で活用できる場合もあります。
1. ブランド名を覚えてもらう必要がある場合
新しい企業や事業、商品では、まずは名称も覚えてもらう必要があります。認知がない段階では、シンボル単体より、ロゴタイプやコンビネーションを基本形として使うことが適しています。
2. シンボルだけで認識されている状態の場合
ブランド認知が高まると、名称がなくてもシンボルだけで認識されます。Mastercardが名称を外せたのも、十分な認知資産があったからです。形式より、認知の蓄積が重要です。
3. どの媒体で最も使用するか
ブランドロゴは、実際使われる環境から考える必要があります。WEB、SNS、アプリ、商品、看板など接点ごとに条件は異なり、小さな画面でも安定して認識できる視認性が重要です。
4. 海外・多言語でも使用するか
海外展開では、言語が変わっても認識できるか確認します。ロゴタイプに加え、言語に依存しにくいシンボル併用も有効です。ただし、図形の意味は国や文化で異なるため確認が必要です。
5. 将来の事業拡張に対応できるか
現在の事業内容を直接表現し過ぎると、将来の事業拡大でロゴとのズレが生まれます。長期間使う資産として、現在だけでなく、企業やブランドが将来どこへ向かうかまで常に見据えます。
6. 小さな画面でも機能するか
デジタルでは、ロゴが数十ピクセルで表示されることもあります。小さくしても形や文字が認識でき、用途に応じてシンボルを柔軟に使えることが、現在のブランドロゴには特に重要です。
[ 出典 ] Mastercard公式|ブランドの歴史より
[ 出典 ] Starbucks Creative Expression|Logoより
■ 既存ブランドロゴは何を残し、何を変えるべきか?

1. 残すべきもの
顧客から認知され、企業への信頼や記憶と強く結びついている要素です。ロゴ基本形、特徴的な色、名称、象徴的なモチーフなど、将来も価値を持つブランド資産は可能な限り活かします。
2. 変えるべきもの
現在の事業内容や顧客、企業像と合わなくなった要素です。ロゴ自体ではなく、書体、カラー、プロポーション、表現方法などを適切に調整することで、課題を解決できる場合もあります。
3. 加えるべきもの
ブランドを取り巻く環境の変化で、新たに必要となった要素です。SNSアイコン、小サイズ用ロゴ、モーション、デジタル用カラーなど、増えたブランド接点へ今後対応して追加します。
4. なくすべきもの
現在では意味を持たない装飾や、ブランドの一貫性を損なっている要素です。昔から使っているという理由だけで残さず、現在でもブランドに必要な要素なのかを改めて慎重に判断します。
【 ブランドロゴだけ見直す場合 】
企業理念やブランドの方向性に大きな問題がなく、現在のロゴに視認性や再現性、デジタル対応の課題がある場合は、ロゴを中心とした調整で対応できる可能性があります。データの不統一、細部の潰れ、色の再現方法など、運用上の問題を整理し、ロゴ自体を変更する必要があるか確認します。
【 VIまで見直す場合 】
ロゴだけでなく、WEBサイト、営業資料、採用サイト、広告などで企業の見え方がばらついている場合は、VI全体の見直しが有効です。ロゴだけを新しくしても、カラー、フォント、写真、グラフィックが旧来のままでは、ブランド全体の印象は変わらず、新しいロゴとの不整合が生じる可能性があります。
【 CIから見直す場合 】
事業内容や企業の存在意義が変化している場合は、ロゴより先にCIを整理する必要があります。従来の主力事業から新領域へ事業が拡大している一方、社名、メッセージ、ロゴ、WEBサイトが以前の企業像を表している状態では、ロゴだけを変更しても、根本的なズレは残ります。
➤ 詳細記事:CIとVIの違いとは?目的・関係・見直し方・成功事例
➤ 詳細記事:VIの作り方|7つの開発手順・構成要素・成功のポイント
■ CHIBICOが考えるよいブランドロゴとは何か?

よいブランドロゴは、意味がある、識別できる、記憶に残る、再現できる、長く使えるという条件を満たします。さらに、小さな画面から大型サインまで機能し、モノクロでも崩れず、競合と混同せず、商標や運用上の問題を起こしにくいことまで必ず事前に確認する必要があります。
1. 意味性|なぜこの形なのか説明できる
ブランドロゴは、形を選ぶ理由が必要です。理念、事業、歴史、特徴の何を象徴するのかを定め、意味を詰め込み過ぎず、核となる要素を一つの形として成立させることがとても重要です。
2. 独自性|競合と混同しない
同業他社と似た形、色、書体では、ブランドを識別する力が弱まります。市場での表現も確認し、その企業だから成立する理由を見つけることが大切です。独自性は奇抜さではありません。
3. 識別性|短時間で見分けられる
ブランドロゴは、じっくり鑑賞されるとは限りません。WEB、広告、商品、サインなどで一瞬しか見られなくても、短時間で輪郭や特徴を認識でき、他社と混同しにくいことが重要です。
➤ 参考記事:Distinctive Assets(識別資産)について
4. 視認性|小さくしても読める
名刺やスマートフォンでは、ロゴは小さなサイズで表示されます。縮小して線が消える、文字が潰れる、形が分からなくなる場合は不十分です。実際の使用サイズで必ず確認し調整します。
5. 再現性|媒体が変わっても使用できる
ブランドロゴは、WEBだけでなく、印刷、刺繍、サイン、商品、ユニフォーム、車両でも使われます。カラーだけに頼らず、モノクロや単色でも識別できるかを確認することが重要です。
6. 拡張性|ブランドの成長に対応できる
企業は将来、事業、商品、地域、顧客を広げる可能性があります。現在の商品だけを直接表現したロゴでは、事業拡大に合わない場合もあります。将来の展開を制限しないことが重要です。
7. 普遍性|長く使用できる
ブランドロゴは、短期間で変更するものではありません。流行だけを追うと数年後に古く見える可能性があります。現在の感覚に対応し、ブランド固有の考え方を軸にすることが重要です。
■ ブランドロゴはどのように開発するのか?

ブランドロゴ開発は、いきなりデザイン案を描くのではなく、目的、事業、顧客、競合、既存資産を整理し、目指す認識を言語化してから視覚表現へ変換します。その後、複数媒体で検証し、商標確認、バリエーション、使用ルールまで整えて初めて実務で安定して正しく機能します。
STEP 1|課題と目的を整理する
最初に、ブランドロゴを開発する目的を明確にします。新会社設立、新規事業、社名変更、事業拡大、認知改善などの背景を整理し、現在の課題と、何を改善すべきかを具体的に定めます。
STEP 2|既存ブランド資産を確認する
既存企業では、ロゴ、カラー、名称、書体、写真、企業文化などに蓄積された価値を確認します。その上で、残す・変える・加える・なくすを判断し、将来へ継承すべき資産を見極めます。
STEP 3|顧客・市場・競合を確認する
企業がどう見せたいかだけでなく、顧客からどう認識されているか、市場にどんなブランドが存在するかを調査します。市場での共通表現を理解し、自社ならではの独自性を明確にします。
STEP 4|ブランドの考え方を言語化する
ロゴ開発の前に、自分たちは何者か、何を大切にし、どんな価値を提供し、どう認識されたいかを整理します。ブランドコンセプトや言葉を整え、デザインを評価する基準を明確にします。
STEP 5|ブランドロゴを開発する
整理した考え方をもとに、シンボル、ロゴタイプ、カラーなどの方向性を検討します。案の数ではなく、なぜこの形か、何を象徴し、ブランドの何を伝えるかを説明できることが重要です。
STEP 6|実際のブランド接点で検証する
ロゴ単体ではなく、WEB、名刺、営業資料、商品、看板、スマートフォンなど実際の使用環境で検証します。視認性、再現性、ブランドらしさを確認し、各接点で機能するか判断します。
STEP 7|商標・データ・使用ルールを整える
ブランドロゴは長期間使用するため、商標確認も必要です。J-PlatPatで既存の出願・登録商標を調べ、重要案件は検索の限界も踏まえ、弁理士など専門家への確認も検討します。
■ ブランドロゴはどこまで用意すべきか?

ブランドロゴは完成形一つだけでは運用できません。基本形に加え、横組み・縦組み、シンボル単体、モノクロ、反転、小サイズ用など、使用環境に応じた体系が必要です。また、データ形式、最小サイズ、余白、禁止例まで整えることで、担当者や媒体が変わっても品質を保てます。
1. 基本形だけでなくバリエーションを用意する
- 基本形
- 横組み・縦組み
- シンボル単体・ロゴタイプ単体
- カラー版・モノクロ版
- 白抜き版
ブランドロゴには、基本形以外にも使用環境に合わせたバリエーションが必要です。すべてを作ればよいわけではありません。ブランドが実際に使用する媒体を確認し、必要なバリエーションを決めます。
2. 必要なロゴデータを整理する
担当者が変わっても同じロゴを使えるよう、印刷用、WEB用、Office用など用途別にデータを整理し、どのデータを何に使うかを明確に定め、社内で一元管理することが重要です。
3. 最小サイズとアイソレーションを決める
ブランドロゴの視認性と独立性を保つため、周囲に必要な余白であるアイソレーションを設定し、あわせて視認性を維持できる最小使用サイズも明確に定め適切に運用することが重要です。
4. 禁止事項を決める
ロゴの品質を守るには、正しい使い方だけでなく禁止例も明確にします。縦横比の変更、指定外の色、影、回転、低コントラストなどの誤用を具体的に示し社内で共有することが重要です。
【 ロゴガイドラインはいつ必要か?】
複数の担当者や制作会社がロゴを使う場合は、ロゴガイドラインが有効です。基本形、カラー、余白、最小サイズ、禁止例を文書化し、正しい運用方法を誰でも確認できる状態に整えます。
➤ 詳細記事 :ロゴガイドラインとは?目的・構成・作り方・運用方法と事例
➤ 詳細記事 :ブランドカラーとは?設定方法とロゴの配色について
■ ブランドロゴの効果はどのように評価するのか?

ブランドロゴの効果は、好感度だけでなく、認知、識別、運用の3つの視点で確認します。指名検索や名称想起、競合との混同、媒体ごとの表現差、誤使用、制作時間など、開発目的に合った指標を事前に決めることで、変更後の成果と改善点を継続的かつ具体的に客観評価できます。
認知│ブランドを覚えてもらえているか
- ブランド名の認知率
- ロゴやシンボルの認知率
- 指名検索数
- ブランド名の想起
- 広告接触後の認知
ブランドロゴの目的が認知向上なら、このような変化を確認します。「ロゴが好評だった」という感想だけでは、ブランド資産として機能しているかは判断できません。
識別│競合と見分けられているか
ブランドロゴには、競合と区別できることも求められます。顧客がロゴを見たときに正しくブランド名を想起できるか、競合ブランドと混同していないかを確認します。ロゴ単体だけでなく、カラーや写真などを含むブランド接点全体として評価することも重要です。
運用│正しく使い続けられているか
- ロゴの誤使用件数
- 媒体ごとの表現差
- 制作担当者からの問い合わせ数
- データを探す時間
- 制作や確認に必要な時間
ブランドロゴは、公開した時点で完成ではありません。このような運用状況も確認します。誤使用が多い場合、ロゴそのものではなく、ルールやデータ管理方法に問題がある可能性があります。
【 評価指標はブランドロゴ開発前に決める 】
評価項目を公開後に考えるのではなく、ブランドロゴ開発を始める段階で決めることが重要です。「何を改善するためのプロジェクトなのか」が明確であれば、必要以上に成果物を増やすことも防げます。認知向上が目的なのか、VIの統一が目的なのか、運用効率の改善なのかによって、見るべき成果は変わります。
■ CHIBICOはブランドロゴ開発をどう考えるのか?

CHIBICOは、ブランドロゴを単独の造形物ではなく、企業や事業の考え方を社会へ伝える最小単位のブランド資産と捉えます。新しく見せることを目的にせず、残す価値と変える理由を整理し、VIと各ブランド接点まで見据えて、長く機能する形へ開発することを重視します。
ロゴをつくる前に「何を解決するのか」を整理する
CHIBICOでは、最初からロゴの形を考えることはありません。企業やブランドがどのような課題を抱えているのか、事業がどこへ向かっているのか、誰にどのような企業として認識されたいのかを整理します。その結果、ロゴ変更が必要ないという判断になる場合もあります。
これまで蓄積されたブランド資産を簡単に捨てない
長く使われてきた形や色には、企業自身が気づいていない価値が蓄積されている場合があります。すべてを新しくするのではなく、「残す・変える・加える・なくす」という視点で既存資産を評価し、過去の価値とこれからの方向をつなぐことが、リブランディングでは特に重要です。
実際のブランド接点で検証する
ブランドロゴは、デザインデータだけを見て評価せず、WEB、SNS、名刺、営業資料、サイン、商品など、実際に使用されるブランド接点へ配置して検証します。媒体によってサイズ、背景、表示時間、視認距離が異なるため、完成前に実環境で機能するか確認することが重要です。
納品後も正しく運用できる状態まで開発する
ブランドロゴは、完成した瞬間より、その後何年、何十年と使われる時間の方が長くなります。そのため、ロゴデータ、使用ルール、バリエーション、管理方法まで含めて考える必要があります。担当者や制作会社が変わっても同じ品質を維持できる状態をつくることが、ブランドロゴ開発の重要な成果です。
■ CHIBICOが手掛けたブランドロゴ・CI・VI開発事例

JAPANITURE|日本発の家具ブランドを海外へ伝えるVI開発
JAPANITUREは、日本の伝統と革新的な家具を発信し、新市場を開拓するために生まれたブランドです。「JAPAN」と「FURNITURE」を組み合わせ、「日出ずる国の家具」というコンセプトを軸に、海外で理解される現代的なブランドロゴとVIへ展開しました。
[ 課 題 ]
日本の家具を海外へ展開するうえで、単に「日本製」であることを伝えるだけでは、ブランドとしての独自性は生まれません。日本の伝統、美意識、ものづくりの背景を活かしながら、現代の暮らしや海外市場にも受け入れられる価値を視覚的に分かりやすく伝える必要がありました。
[ 判 断 ]
個々の家具デザインだけでは、ブランド全体の共通認識をつくることはできません。そこで、ブランドの考え方を定め、シンボル、ロゴタイプ、ブランドステートメント、カラーを共通のVIとして体系化し、媒体が変わってもJAPANITUREとして認識できる状態にしました。
[ 残した要素 ]
新規ブランドのため、既存のブランドロゴを継承する案件ではありません。そこで、日本の伝統、美意識、ものづくりの文化といった背景そのものを、ブランドの核となる資産として活用しました。過去の様式を再現せず、日本発の家具が持つ価値として現代の表現へつなげています。
[ 変えた要素 ]
既存ロゴの変更ではなく、「日本らしさ」の見せ方を変えました。伝統的な装飾や和風の表現へ寄せるのではなく、日本の美意識が持つ簡潔さや普遍性を現代的な視覚表現へ置き換え、海外市場においても特定の様式に限定されず広く受け入れられるブランドイメージへ整理しました。
[ 加えた要素 ]
ブランドシンボル、ロゴタイプ、ブランドステートメントを開発し、JAPANITUREとしての考え方と視覚的な識別性を加えました。ロゴガイドラインを整備し、名刺、封筒、WEBサイト、広告、ポスター、トートバッグなどでも一貫した表現ができるVIへ展開しています。
[ 開発範囲 ]
ブランドシンボル/ロゴタイプ/ブランドステートメント/ロゴガイドライン/名刺/封筒/WEBサイト/広告/ポスター/トートバッグまで開発しました。ブランドロゴだけでなく、海外市場でブランドとして認識されるために必要な各接点を、一つのVIとして体系化しました。
[ この事例から分かること ]
新しいブランドでは、最初からロゴの形を考えるのではなく、「何をブランド資産として育てるのか」を明確にすることが重要です。JAPANITUREでは、日本の文化やものづくりの背景を核として活かしながら、海外市場に適したブランドロゴとVIへ変換しました。新規ブランドだからこそ、ロゴだけではなく、その後の展開まで見据えて共通する視覚表現を開発する必要があります。
➤ CHIBICO WORKS | JAPANITUREより

MONOCOTO|ものづくりの価値を再定義するブランド開発
MONOCOTOは、リアルソーシングを特徴とするソーシャルマニュファクチュアリングサービスです。モノがあふれる時代に、単に製品をつくるのではなく、その先の体験や楽しみ、人とのコミュニケーションまでも提供するブランドとして、一貫したブランド開発を進めました。
[ 課 題 ]
MONOCOTOは、モノをつくるだけでなく、その先に生まれる体験や楽しみ、人とのつながりまで価値として届けるブランドです。リアルソーシングという強みを基盤に戦略、コンセプト、ネーミング、ブランドシンボル、VIまで一貫して開発し、ブランド全体へ展開しました。
[ 判 断 ]
課題はロゴの見え方ではなく、新しい事業の価値そのものをどのように定義し、伝えるかにありました。そのため、最初からロゴを開発せず、ブランド戦略とコンセプトを整理し、ネーミング、ブランドシンボル、WEBサイト、各営業ツールまで一貫してつなげる必要がありました。
[ 残した要素 ]
母体となる事業が培ってきた、ものづくりの知見やリアルソーシングという強みは、新しいブランドの基盤として活かしました。製造する力を否定せず、その価値を「モノをつくること」から「モノを通じて新しい体験や関係を生み出すこと」へ広げ、重要なブランドの核としました。
[ 変えた要素 ]
従来のものづくりを、製造や機能だけで語る考え方から、その先に生まれる体験や社会との関係まで含めて捉えるブランドへ転換しました。企業側の「何をつくれるか」ではなく、利用する人に「どのようなコトが生まれるか」を起点に、新たな事業価値を伝える表現へ変えています。
[ 加えた要素 ]
「MONOCOTO」というブランドネーミング、ブランド戦略、ブランドコンセプト、ブランドシンボルを新たに開発しました。さらにWEBサイト、サービスガイド、ロゴガイドラインを整備し、事業の考え方から具体的なブランド接点まで一貫して伝えられる資産を加えました。
[ 開発範囲 ]
ブランド戦略/ブランドコンセプト/ブランドネーミング/ブランドシンボル/WEBサイト/サービスガイド/ロゴガイドラインまで開発しました。ブランドロゴ単独ではなく、事業価値を定義する上位の考え方から、顧客へ伝える具体的なブランド接点まで一貫して開発しました。
[ この事例から分かること ]
新規事業では、ロゴを先につくっても、事業の価値が整理されていなければ強いブランドにはなりません。MONOCOTOでは、「何をつくるか」ではなく「その先にどのような価値を生み出すか」を整理したことで、ブランド戦略、コンセプト、ネーミング、ロゴを一つの考え方でつなげました。ロゴ開発の前に、何を社会へ伝えるブランドなのかを明確にすることが重要です。

NIHON MOBILITY SERVICE|事業の未来からブランドロゴとCIを再構築
JAPAN OIL SERVICEからNIHON MOBILITY SERVICEへの社名変更を機に、事業と将来像を整理し、CI・VIを再構築しました。社名・ロゴの刷新にとどまらず、築いてきた信頼を継承しモビリティ領域へ広がる企業像を一貫して表現しました。
[ 課 題 ]
従来の「JAPAN OIL SERVICE」という社名は、これまでの事業を表す一方、今後の領域や企業の将来像を十分に表現しにくくなっていました。「OIL」から想起される企業像と、これから目指すモビリティ領域の企業像との間にズレが生じていたことが課題でした。
[ 判 断 ]
ロゴだけを変更しても、企業に対する認識のズレは解消できません。そこで現在の事業ではなく、「これから何の会社になろうとしているのか」を起点に企業像を整理し、社名を含めたCIから見直す必要があると判断しました。事業の変化を名称、言葉、視覚表現へつなげています。
[ 残した要素 ]
既存事業を通じて築いてきた企業としての信頼、実績、顧客との関係は、新しいブランドへ継承しました。リブランディングは、これまでの企業活動を否定してすべてを新しくすることではありません。蓄積された価値を残し、現在の事業と将来像へつなげることを基本としています。
[ 変えた要素 ]
社名をJAPAN OIL SERVICEからNIHON MOBILITY SERVICEへ変更し、「OIL」から想起される限定的な企業像を「MOBILITY」という広い企業像へ転換しました。シンボルとロゴタイプも事業領域と将来像に合わせて再構築しています。
[ 加えた要素 ]
企業像を伝えるため「新しい移動と技術の進化。モノを超えたサービスとしてのあり方。」というブランドコンセプトを設定しました。ブランドスローガン「MOBILITY IS POSSIBILITY.」を開発し、モビリティの可能性と企業の意志を言葉として加えました。
[ 開発範囲 ]
社名/ブランドコンセプト/ブランドシンボル/コーポレートロゴタイプ/ブランドスローガン/名刺/ロゴガイドラインまで一貫して開発しました。ロゴ単体ではなく、企業への認識をつくる上位の考え方から整理し、実際の各接点で使用できるCI・VIとして体系化しています。
[ この事例から分かること ]
事業領域や将来像が変わったとき、ロゴだけを変更することが最適とは限りません。現在の企業像と、これから目指す企業像に大きなズレがある場合は、社名、ブランドコンセプト、メッセージ、VIまで含めて見直す必要があります。一方で、既存の信頼や顧客との関係まで捨てる必要はありません。重要なのは、ブランド資産を「残す・変える・加える」に分け、企業の未来へつながる形に再構築することです。
➤ CHIBICO WORKS | NIHON MOBILITY SERVICEより

I’ROM GROUP|複数事業を一つの企業思想でつなぐCI・VI開発
I’ROM GROUPは、先端医療、SMO、CRO、メディカルサポートなどの事業を展開しています。各事業を一つのブランドとしてつなぐため、「憂いなき未来のために。」を核に、ブランドシンボル、ロゴタイプ、ステートメント、各ツールまでCI・VIを開発しました。
[ 課 題 ]
複数の事業を展開するなかで、それぞれの役割を説明できても、「なぜ一つのグループとして事業を行うのか」「企業全体として社会へどのような価値を提供するのか」を共通する企業像として伝える必要がありました。事業が多角化するほど、全体を束ねる考え方が重要になります。
[ 判 断 ]
各事業のロゴやコミュニケーションを個別に整えるだけでは、グループ全体として一貫した企業像は生まれません。そこで、異なる事業に共通する価値や意志を整理し、それらを束ねるブランドプロミスを明確にしたうえで、CI・VIへ一貫して展開する必要があると判断しました。
[ 残した要素 ]
先端医療、SMO、CRO、メディカルサポートなど、各事業が培ってきた専門性や役割は維持しました。すべてを同じものへ統一せず、それぞれの違いを活かしながら、人々の健康と未来に向き合うという共通する企業思想のもと、一つのグループとしてつなぐことを重視しました。
[ 変えた要素 ]
事業ごとに個別の活動として見えやすかったブランド表現を、I’ROM GROUP全体の企業像が伝わる体系へ整理しました。ブランドシンボル、ブランドロゴタイプ、コーポレートロゴタイプを整え、各事業が異なっても共通する思想を感じられるCI・VIへつなげています。
[ 加えた要素 ]
「憂いなき未来のために。」というブランドプロミスを企業活動の共通軸として明確にしました。さらに、ブランドステートメント、ブランドシンボル、ブランドロゴタイプ、コーポレートロゴタイプ、ロゴガイドラインを開発し、言葉と視覚で共有するブランド資産を加えています。
[ 開発範囲 ]
ブランドシンボル/ブランドロゴタイプ/コーポレートロゴタイプ/ブランドステートメント/ロゴガイドライン/名刺/封筒/WEBサイトまで開発しました。企業の考え方をブランド表現へ落とし込み、日常のブランド接点まで一貫し展開できるCI・VIとして体系化しました。
[ この事例から分かること ]
複数の事業を持つ企業では、ロゴを統一するだけではブランド全体の一貫性は生まれません。重要なのは、それぞれの事業が持つ専門性を残しながら、その上位に共通する企業思想を明確にすることです。I’ROM GROUPでは、ブランドプロミスを共通軸として言葉と視覚表現をつなぎ、異なる事業を一つの企業ブランドとして認識できるCI・VIへ展開しました。
➤ CHIBICO WORKS | I’ROM GROUPより

■ ブランドロゴ開発に関するよくある質問
ブランドロゴでは、種類の違いだけでなく、ロゴを変えるべき時期、費用、商標確認、制作期間、既存ロゴの活用、VIとの関係など、実務上の疑問が多く生まれます。判断に迷いやすい論点を質問形式で整理し、自社内で検討すべき範囲を実務上、具体的に確認できるようにします。
Q1. シンボルマークは必ず必要ですか?
必ずしも必要ではありません。ブランド名に独自性があり、名称認知を優先するならロゴタイプだけでも成立します。SNSやアプリなど小面積や多言語表示ではシンボルも特に有効です。
Q2. ブランドロゴだけ変更してもよいですか?
理念や方向性に問題がなく、ロゴの視認性や再現性だけが課題ならロゴ中心で対応できます。企業像が接点ごとに異なる場合はVI、存在意義まで変わる場合はCIから丁寧に見直します。
Q3. ブランドロゴ開発では商標確認が必要ですか?
長期間使用するブランドロゴでは商標確認が重要です。J-PlatPatで文字、称呼、図形を確認できますが、重要な企業名や商品名、シンボルは必要に応じて弁理士にも相談します。
Q4. ロゴガイドラインも一緒に作る必要がありますか?
複数の社員や制作会社、代理店がブランドロゴを使う場合は、ロゴガイドラインが有効です。基本形、色、余白、最小サイズ、禁止例、データ形式を共有し、常に一貫した運用を支えます。
Q5. ブランドロゴ開発の費用は何で決まりますか?
ブランドロゴ開発の費用は、ロゴ単体かVIまで含むか、調査、戦略、商標確認、バリエーション、ガイドライン、展開ツールなど必要範囲で変わります。課題から適切な範囲を決めます。

■ ブランドロゴデザインに関するチェックリスト
ブランドロゴは、戦略から実務、法務まできちんと機能しているかを確認しておくことが大切です。以下のチェックリストを使い、タイプ選定から運用面までを丁寧に見直すための参考にしてください。
[ ロゴタイプ選定のチェック ]
⬜︎ 自社ブランドの性格や展開に応じて、どのブランドロゴが最適か選定できているか?
⬜︎ 国際展開や多言語展開を想定し、言語を超えて伝わるデザインの検討を行っているか?
[ ブランドコンセプトのチェック ]
⬜︎ ブランドの世界観や理念がロゴに視覚的に反映されているか?
⬜︎ 初見でも印象に残る独自の特徴があり、記憶に残しやすい設計になっているか?
[ 実用性と適応性のチェック ]
⬜︎ 様々な媒体・サイズ(Web、名刺、看板など)で使用しても一貫した視認性が保てるか?
⬜︎ 商標登録およびブランド運用で問題が起きないよう、法務的視点まで整備されているか?

■ まとめ
ブランドロゴ開発で最も重要なのは、見た目を新しくすることではなく、何を残し、何を変え、何を象徴するのかを明確にすることです。事業、顧客、認知、使用環境、将来像を踏まえて判断し、VIや運用までつなげることで、より長く価値を蓄積できる企業固有の確かなブランド資産になります。
ブランドロゴは完成した瞬間に価値が決まるものではありません。まず自分たちは何者で、何を社会へ伝え、何を残し、どこへ向かうのかを整理します。ロゴだけでなくVIやCIまで見直す範囲を判断し、短期的な新しさではなく、長期的に価値を受け止め育てる器として開発することが重要です。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 ブランドロゴだけでよいか?からご相談ください 】
ロゴを新しくするか、既存ロゴを活かすか決まっていなくても構いません。
現在の事業やブランド資産を伺い、残すものと見直す範囲を整理します。
ロゴだけか、VI・CIまで必要か迷う段階でもご相談いただけます。
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ブランドロゴを検討するときは、ロゴ単体だけでなく、VI、CI、ブランドカラー、ロゴガイドライン、リブランディングとの関係も理解すると判断しやすくなります。課題の範囲に応じて関連情報を確認し、自社がどこまで見直すべきかを整理するために実務で活用してください。
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