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企業ブランドと商品ブランド

[ ブランド戦略 ]

企業ブランドと商品ブランドの関係性がもたらす効果とは?

企業ブランドと商品ブランドは、相互に影響し合う関係性があります。企業ブランドは、その企業全体の価値観やイメージを表し、商品ブランドは、その企業が提供する製品やサービスを表しています。企業ブランドのイメージが高ければ消費者はその企業の商品やサービスに対しても良い印象を持ちやすくなります。同様に、商品ブランドが高い評価を受けると、その企業全体のイメージ向上につながることになります。


企業ブランドと商品ブランドの関係性

企業ブランドと商品ブランドの関係性

企業ブランドと商品ブランドは、それぞれ異なる意味を持ち、独自の役割を果たしています。企業ブランドは、企業自体のイメージや価値観、信頼性を表すものであり、商品ブランドは、企業が製造・販売する商品やサービスを特定するためのブランドです。企業ブランドは、顧客が企業全体に対して持つ印象を形成し、企業の信頼性や価値観に基づいて商品を選択することができます。一方、商品ブランドは、企業が提供する商品やサービスに対する印象を形成し、顧客が商品を選択する際の決定要因の一つになります。

企業ブランドが商品ブランドに与える影響

商品ブランドが企業ブランドに与える影響

● 品質や信頼性を高める

企業ブランドが確立されている場合、商品ブランドもそれに伴って信頼性が高まり、品質の高さをアピールすることができます。

ブランドイメージを共有する

企業ブランドと商品ブランドのイメージが一致する場合、商品ブランドの認知度や信頼度が上がり、ブランド価値が向上します。

競合との差別化を図る

企業ブランドが強い場合、商品ブランドもそれに沿った差別化が可能になります。競合との差別化ができることで、消費者の記憶に残りやすくなります。

商品ラインナップの拡大を促進する

企業ブランドのイメージが強い場合、新しい商品ラインナップを導入する際にもそのイメージを共有することで、消費者にアピールしやすくなります。

マーケティング効果を高める

企業ブランドが確立されている場合、商品ブランドも認知度が高まるため、マーケティング効果が上がります。特に、企業ブランドが良好な評価を受けている場合は、商品ブランドも好感度が高まります。

以上のように、企業ブランドは商品ブランドに大きな影響を与えることができます。企業ブランドが強く、消費者に認知されている場合、商品ブランドもよりアピールしやすくなります。

商品ブランドが企業ブランドに与える影響

商品ブランドが企業ブランドに与える影響

企業ブランドの価値向上

優れた商品ブランドを持つ企業は、その商品を通じて高い評価を得ることができます。この評価は、企業ブランドの価値向上につながります。

企業ブランドのイメージ形成

商品ブランドのイメージが良い場合、そのイメージは企業ブランドにも反映されます。逆に、商品ブランドのイメージが悪い場合は、企業ブランドにも悪影響を及ぼす可能性があります。

企業ブランドの信頼性向上

優れた商品ブランドを持つ企業は、その商品の品質や信頼性が高いと認知されます。この認知は、企業ブランドの信頼性向上につながります。

企業ブランドの認知度向上

商品ブランドが知名度が高い場合、それによって企業ブランドの認知度も向上する場合があります。

企業ブランドの支持者増加

良い商品ブランドを持つ企業は、その商品に対する支持者も多いため、その支持者を企業ブランドにもつなげることができます。

商品ブランドと企業ブランドは密接に関連しているため、商品ブランドの成功は企業ブランドの成功につながり、逆に商品ブランドの失敗は企業ブランドにも悪影響を与える可能性があります。

■ 企業ブランドと商品ブランドの関係性を考慮した戦略の重要性

企業ブランドと商品ブランドは互いに影響し合う関係にあります。商品ブランドは企業ブランドの信頼性や認知度を高め、企業ブランドは商品ブランドのイメージを形成します。そのため、企業ブランドと商品ブランドを統合的に捉えたブランド戦略を立てることが重要です。

企業ブランドと商品ブランドの統合戦略

[ 企業ブランドと商品ブランドの統合戦略 ]

企業ブランドと商品ブランドの統合戦略とは、企業が持つ複数の商品ブランドを、一つの企業ブランドの下に統合することで、統一感を出し、ブランド価値を高める戦略のことを指します。例えば、アップルは、iPhone、iPad、Macなどの商品ブランドを、アップルの企業ブランドの下で統合し、一つのアップルの世界観を作り出しました。企業ブランドと商品ブランドを統合することで、商品ブランドが相互に補完し合い、顧客が企業ブランドに対して抱く信頼感が高まり、ブランドイメージを一層向上させることができます。また、商品ブランドを統合することで、企業ブランドのイメージが広がり、多様な商品を提供できる企業イメージを構築することができます。

これにより、新しい商品を投入する際にも、既存の商品ブランドから独立した新しいブランドを作る必要がなく、企業ブランドの下に位置づけることで、商品開発にかかる費用を抑えることができます。しかし、企業ブランドと商品ブランドの統合は、失敗することもあります。商品ブランド同士が重複している場合や、消費者の嗜好に合わない商品ブランドを含んでいる場合、企業ブランドの信頼感を損なうことがあります。また、商品ブランドが強い個性を持っている場合、統合することでその個性を失い、消費者からの支持を失う可能性があります。企業ブランドと商品ブランドを統合する場合は、企業のビジョンや戦略、商品ラインナップを考慮し、統合のメリットとデメリットをよく分析し適切な戦略を立てることが重要です。

企業ブランドと商品ブランドの分離戦略

[ 企業ブランドと商品ブランドの分離戦略 ]

企業ブランドと商品ブランドの分離戦略とは、企業が商品ブランドと企業ブランドを切り離し、それぞれを独立したブランドとして扱う戦略のことです。つまり、企業が複数の商品ブランドを所有している場合に、それらの商品ブランドを個別のブランドとして独立させ、企業ブランドとは別にマーケティングを行うことを指します。分離戦略は、企業ブランドが商品ブランドに与える影響を最小限に抑えることができます。企業ブランドが商品ブランドのイメージを乗っ取ってしまうと、商品ブランドが独自のブランドイメージを確立することが難しくなります。

このため、商品ブランドが独自のブランドイメージを構築し、消費者から認知されやすくするために、分離戦略が採用されることがあります。一方で、分離戦略によって、企業ブランドと商品ブランドのシナジー効果が低下するという問題があります。企業ブランドと商品ブランドが同じ名前であれば、企業ブランドの知名度が高いことが商品ブランドにもプラスに働くことがあります。また、商品ブランドの成功によって、企業ブランドにも良い影響が及ぶことがあります。このため、分離戦略を採用する場合は、注意が必要です。

■ 企業ブランドと商品ブランドの成功事例

TOYOTAブランディング

TOYOTA|ブランディング

[ 製品ブランド・一部抜粋 ]

  • CROWN
  • COROLLA
  • PRIUS
  • LAND CRUISER

トヨタ自動車は、企業ブランドとして「品質、信頼性、革新性、環境保全」を掲げ、製品ブランドとして「カローラ」「プリウス」「レクサス」など多くの車種を展開しています。これらのブランド戦略により、トヨタは自動車業界での成功を収めています。

トヨタは、企業ブランドとして長年にわたって品質の高さをアピールしてきました。そのため、トヨタ車は「信頼性が高く、故障が少ない」というイメージを持つことが一般的であり、企業ブランドとしての信頼性を確立しています。また、トヨタはエコカーの先駆者として、環境保護にも力を入れています。トヨタの製品ブランドの中には、燃費が良く、排出ガスが少ない「プリウス」や、水素燃料電池車「ミライ」など、環境に優しい車種があります。これらの商品ブランドを展開することで、トヨタは環境保護に取り組む企業としてのイメージを構築しました。

また、トヨタは製品ブランドの1つである「レクサス」において、高級車市場に進出しました。レクサスは、高品質でありながら、上質で洗練されたデザインを持ち合わせています。これにより、トヨタは高級車市場においても成功を収め、企業ブランドの範疇を超えて、トップクラスの自動車メーカーとして認知されています。トヨタは、企業ブランドと製品ブランドの両方に注力することで、世界的な自動車メーカーとしての地位を確立し、成功を収めました。

[ 出典 ] TOYOTAグローバルサイトより

SAMSUNGブランディング

SAMSUNG|ブランディング

[ 製品ブランド・一部抜粋 ]

  • GALAXY
  • GALAXY NOTE
  • GALAXY BOOK
  • SMART THINGS

Samsungは、韓国の多国籍企業であり、電子製品、家電製品、半導体、通信機器など多岐にわたる製品を手がける企業である。同社は、企業ブランドと製品ブランドの両方において成功した例とされている。まず、企業ブランドについては、Samsungは「Innovation」というブランド価値を持っていることが知られている。同社は革新的であり、技術の進歩をリードすることで知られている。このブランド価値は、多様な製品ラインナップを通じて表現されており、テレビ、スマートフォン、タブレットなど、多くの分野で革新的な製品を生み出している。

また、製品ブランドについても、Samsungは成功した例として挙げられる。Samsungは、製品ごとにブランドを設定しており、スマートフォンではGalaxy、タブレットではGalaxy Tab、テレビではQLED、OLEDなど、それぞれの製品ラインナップごとにブランドを設けている。このブランド戦略は、消費者が製品を識別しやすくするだけでなく、それぞれの製品に特化したブランディングを行うことで、競合他社との差別化を図っている。以上のように、Samsungは、企業ブランドと製品ブランドの両方において成功した例である。同社は、技術の進歩をリードし、消費者が識別しやすい製品ラインナップを提供することで、強いブランドイメージを築いている。

[ 出典 ] SAMSUNG公式サイトより

Procter&Gambleブランディング

Procter & Gamble|ブランディング

[ 商品ブランド・一部抜粋 ]

  • DOWNY
  • FEBREZE
  • GILLETTE
  • PAMPERS

Procter & Gamble (P&G)は、世界中の家庭で利用される多くのハウスホールド製品を提供するグローバル企業です。P&Gは、企業ブランドと商品ブランドをうまく統合することで、強力なブランドポートフォリオを構築しました。P&Gは、企業ブランドとしての「Procter & Gamble」の下で、多様な商品ブランドを展開しています。P&Gの商品ブランドの中でも、特に有名なブランドとしては、Tide、Pampers、Gillette、Crest、そしてBountyがあります。それぞれのブランドは、単独でも有名であり、ブランドロイヤルティが非常に高いとされています。

P&Gは、商品ブランドごとに異なるマーケティング戦略を採用し、消費者に商品の違いを訴求しています。また、P&Gは企業ブランドの一部であることを積極的にアピールし、商品ブランドが企業ブランドの信頼性や品質に基づいていることを示唆することで、消費者に安心感を与えています。さらに、P&Gは商品ブランドごとに異なる価値観を強調することで、商品ブランドをより鮮明にし、消費者に訴求しています。たとえば、Pampersは子育てに対する情熱を表し、Tideは洗濯に対する情熱を表します。これらのブランドは、消費者に強い共感を呼び起こし、商品ブランドとしてのロイヤルティを高めることにつながっています。P&Gは、商品ブランドの構築に力を入れることで、企業ブランドの強化につながり、顧客ロイヤルティの向上や市場シェアの拡大に成功しました。

[ 出典 ] Procter & Gambleグローバルサイトより

NESTLEブランデング

NESTLE|ブランディング

[ 商品ブランド・一部抜粋 ]

  • KITKAT
  • NESCAFE
  • AERO
  • Häagen-Dazs

ネスレ(Nestle)は、スイスに本社を置く総合食品・飲料メーカーであり、コーヒー、水、チョコレート、乳製品、健康食品などの製品を展開しています。ネスレのブランド戦略は、強力な企業ブランドと、その下に広がる多数の商品ブランドからなります。ネスレの企業ブランドは、高品質・信頼性・安全性の象徴として認知されており、企業ブランドとしての価値を高めることで、多数の商品ブランドの信頼性を確立しています。一方、商品ブランド戦略は、カテゴリーや市場ごとに特化し、地域に密着したマーケティングを展開することで、顧客のニーズに合わせた製品を提供しています。

また、ネスレは多様な商品ラインナップとともに、継続的なブランド戦略の改善に力を注いでおり、商品ブランドのポートフォリオを定期的に見直すことで、市場の変化に対応しています。例えば、日本市場においては、子ども向けのジュースブランド「キッズモード」や、カフェインレスコーヒーブランド「ネスカフェ デカフェ」を展開し、消費者の健康志向に合わせた製品ラインナップを拡大しました。ネスレの成功には、企業ブランドと商品ブランドのバランスの良い統合が大きく寄与しています。企業ブランドの価値を高めることで、商品ブランドの信頼性を確立し、地域に密着したマーケティングを通じて、市場のニーズに合わせた製品を提供することで、顧客の信頼を獲得しています。

[ 出典 ] NESTLEグローバルサイトより

UNILEVERブランディング

UNILEVER|ブランディング

製品ブランド(一部抜粋)

  • DOVE
  • KNORR
  • LIPTON
  • BEN&JERRYS

Unileverは、多数のブランドを有する世界的な企業であり、世界中で数十億人の消費者に製品を提供しています。同社は、企業ブランドと商品ブランドの統合戦略を採用し、世界中で数多くの成功を収めています。Unileverの主要な商品ブランドの1つである「Dove」は、長年にわたり女性向けの美容製品として認知されていました。しかし、同社は、より多様な視点から美しさを見つめ直すことを目指し、2017年に「Dove Real Beauty」というキャンペーンを開始しました。このキャンペーンでは、標準的な美の定義を拡張するため、様々なボディタイプ、肌の色、年齢の女性が登場し、それらを受け入れることを呼びかけました。このキャンペーンは、社会的メディア上で話題となり、多くの肯定的な反応を呼び起こしました。Unileverは、企業ブランドと商品ブランドの統合を促進するために、企業ブランドである「Unilever」の名前を使用し、「Unilever Dove」のように使用することもあります。

また、Unileverは、企業ブランドと商品ブランドの分離戦略を採用することもあります。同社の「Knorr」ブランドは、多様な調味料やスープ製品を展開していますが、そのマーケティング戦略は、個々の商品ブランドに焦点を当てることにあります。Knorrは、消費者に向けた個別のキャンペーンを展開し、個々の商品によって異なるバリュープロポジションを提供しています。これにより、Knorrは、多様な消費者に対して、さまざまな美味しさの選択肢を提供しています。Unileverは、企業ブランドと商品ブランドの統合戦略と分離戦略の両方を採用しており、それぞれのブランド戦略が異なるブランドのニーズを満たすように調整されています。この柔軟性のあるブランド戦略は、同社が世界的な市場で競争力を維持するのに役立っています。

[ 出典 ] Unileverグローバルサイトより

■ まとめ

企業ブランドと商品ブランドは密接に関係し、相互に影響しあう重要な要素です。企業ブランドは商品ブランドに影響を与えることで、商品に対する顧客の認知や信頼性を高めることができ、商品ブランドは企業ブランドに影響を与えることで、企業のイメージを広め、ブランドの価値を高めることができる。そのため、企業は両者を総合的に考えたブランド戦略を構築することが重要である。企業ブランドと商品ブランドを統合させることで、一貫性のあるブランドイメージを構築することができる。一方、企業ブランドと商品ブランドを分離することで、商品ブランドが多角化した場合でも、ブランドの強さを維持することができる。

また、成功事例からは、ブランドの一貫性や明確なコンセプトを持つことが重要であることが示されている。今後は、グローバル化やデジタル化、サステナビリティなどの課題に対応するため、より戦略的なブランド戦略が求められる。企業は、顧客のニーズに合わせたブランドを構築することで、顧客のロイヤルティを獲得し、長期的な競争力を確保することができる。企業ブランドと商品ブランドを統合・分離させることで、企業は自社のブランド戦略を明確にし、市場競争に勝ち抜くための戦略的な手段を持つことができる。

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