
[ ブランド戦略 ]
技術ブランディングの目的と展開事例
「技術」は目には見えにくく、分かりにくい場合が多いものです。それを可視化し展開するのが技術ブランディングです。例えば、「ヒートテック」は繊維による調温技術、「プラズマクラスター」は除菌技術の技術ブランドなのです。「技術力」があるにも関わらずそれが認知されず評価されていないと感じているものづくり企業にとって技術のブランディングは有効な手段であり戦略と言えます。
■ 技術ブランディングとは?
商品を売るためのブランド戦略
技術ブランディングとは、企業や製品が持つ技術力や技術的な強みを、ブランド価値として訴求し、差別化や競争優位性を生み出すためのブランディング手法です。
企業や製品が持つ技術力や技術的な強みは、顧客にとって重要な価値となる場合があります。技術力に優れた企業や製品は、市場において競争優位性を持つことができ、顧客からの信頼や評価を得ることができます。しかし、技術力や技術的な強みは、一般的に顧客にとっては見えにくく、認知されにくいものです。
技術ブランディングは、このような技術力や技術的な強みを、ブランド価値として訴求することで、顧客に訴える手法です。例えば、企業が開発した独自の技術や特許技術を、商品やサービスのブランド名と一緒にPRすることで、その企業や商品が技術力に優れていることをアピールすることができます。
また、技術ブランディングは、企業のマーケティング戦略において、継続的な技術革新や開発に向けた意識を高め、技術力を維持・強化することにもつながります。技術力に強い企業や製品は、市場において高い評価を得られるため、技術ブランディングによって企業価値を向上させることができます。
■ 技術ブランディングの展開事例
ユニクロ|ヒートテック
[ 出典 ] UNIQLO公式サイトより
ユニクロの「ヒートテック」とは、肌に着けるインナーウェアの一種で、保温性・吸湿性・速乾性に優れた機能性素材を使用しています。寒い時期に、厚手の衣服を着用せずに、薄手の衣服だけで防寒対策ができるという特徴があります。ヒートテックは、開発当初から「機能性」「コストパフォーマンス」「デザイン性」の三つの要素を重視し、商品化されました。商品ラインナップも、男女兼用やキッズ向けなど幅広く展開され、リーズナブルな価格設定も魅力の一つです。また、ユニクロは「ヒートテック」を強力にブランディングし、テレビCMなどの広告宣伝活動や、有名人とのコラボレーションによるプロモーションなどで商品の認知度を高め、大きなヒット商品となりました。現在では、ヒートテックの商品ラインナップは拡大し、帽子や手袋などの小物類まで展開されています。
ゴアテックス
[ 出典 ] GORE-TEX公式サイトより引用
ゴア・テックスは、防水性、透湿性に優れた高性能素材であり、アウトドア用品や衣料品などに使われることがあります。素材は、PTFE(テフロン)という素材から作られ、微細な孔を通じて水蒸気を透過し、同時に液体の侵入を防ぐことができます。また、耐久性が高く、長期間使用することができます。
シャープ|プラズマクラスター
[ 出典 ] プラズマクラスターポータルサイトより
シャープのプラズマクラスターは、空気中に浮遊するウイルスや細菌、カビ、花粉などを分解し、除菌・脱臭する空気清浄技術です。プラズマクラスターは、プラズマ放電によって、空気中の水分子と窒素酸素を分解し、プラズマイオンという浮遊粒子を発生させます。これが、ウイルスや細菌などの微生物や、ニオイの元となる有機物質を分解する効果を発揮します。そのため、花粉症やアレルギーなどで悩まされる方にも、快適な空間を提供することができます。
インテル|プロセッサー
[ 出典 ] INTEL公式サイトより
インテルのプロセッサーは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデジタル機器で動作する中央演算処理装置(CPU)です。高い演算性能と電力効率を両立することが特徴であり、さまざまな用途に適した製品ラインナップを有しています。主に、コンピュータの起動やプログラムの処理、画像処理や音声処理、人工知能や機械学習など、高度な計算処理を必要とする場面で使用されます。また、セキュリティ機能も強化されており、機密情報の保護にも貢献しています。
■ 技術ブランディングの目的とは?
技術ブランディングの目的は、製品やサービスに使用される技術を特定のブランドイメージと結びつけ、その技術がもつ付加価値を最大限に引き出し、市場競争力を高めることにあります。

具体的には、技術ブランディングによって、以下のような目的が達成されます。
⚫︎ 製品やサービスの差別化
技術ブランディングによって、以下のような目的が達成されます。
⚫︎ 技術力のアピール
同じ技術を使っている製品でも、
ブランド力によって差別化することで、
競合他社との差をつけることができます。
⚫︎ 企業イメージの向上
技術力をアピールすることで、
企業イメージが向上し、
ブランドの信頼性が高まることで、売上向上につながります。
⚫︎ ライセンス収入の獲得
技術力をアピールすることで、
他社とのライセンス契約がしやすくなり、
新たな収入源を確保することができます。
以上のような理由から、技術ブランディングは、企業が市場競争に勝ち残るために不可欠な戦略の一つとなっています。
■ まとめ
日本の中小企業には世界に誇る技術力を持つ会社が多い。そのような会社には大抵、職人気質の技術系の経営者がいます。彼らの多くは「技術力」にこだわり、それをブランドとして確立するという発想に辿り着いていないところが多いのではないでしょうか?「ブランド」を単なる程度の低いものを高く見せかける宣伝広告にしか思っていない人もいるのでしょう。技術のブランディングは、顧客を満足させる「素晴らしい技術」があることが大前提です。しかし、「技術」はそのままでは見えにくく特に一般の人には分かりにくいものです。それを分かりやすく可視化することが技術のブランディングなのです。 「技術力」には自信があるものの、なかなかそれが社会で評価されないと感じているものづくり企業にとって、技術のブランド化はとても効果的な戦略なのです。
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