
[ ブランド戦略 ]
リブランディングの必要性と重要性とは?
市場環境が変化すると、消費者の嗜好やニーズも変化してしまいます。企業がその変化に対応できなければ、競合他社に取って代わられることがあります。また、時代の流れや社会の価値観の変化によって、従来のブランドイメージが受け入れられなくなることもあります。そこで、リブランディングを行うことで、企業は新しい市場環境に対応し、消費者の嗜好やニーズに合わせたブランドイメージやメッセージを打ち出すことができます。これによって、ブランド価値を向上させ、市場での競争力を維持し、成長を促すことができるのです。
■ 現状のブランドを知ることが重要
リブランディングを行うためには、まず現状のブランドを正確に把握することが重要です。
現状のブランドを知ることで、企業の強みや弱み、課題、改善点などを明確にすることができます。
また、顧客や競合他社の分析を行い、市場環境やトレンドなども把握することができます。
リブランディングにおける3つの「Re」

① Research|リサーチ
まず、現状のブランドを正確に把握するために、市場調査や顧客分析などを行い、データを収集します。これにより、ブランドの強みや弱み、顧客のニーズや要望、競合他社の動向などを把握することができます。
② Rebrand|リブランド
次に、収集したデータをもとに、ブランドの再定義を行います。これは、ブランドのビジョンやミッション、ブランドイメージ、ブランドストーリー、ブランドマーケティングなどを再構築することです。ここで行うのは、ブランドの方向性を決めることです。
③ Release|リリース
最後に、再定義したブランドを市場にリリースします。これには、ブランドアイデンティティの更新やロゴやパッケージなどのデザイン変更、コミュニケーション戦略の再構築などが含まれます。また、リリース後も定期的なフォローアップや改善を行うことが重要です。
以上が、リブランディングにおける「3つのRe」です。リブランディングを行うにあたり、これらのプロセスを順番に実施することで、成功する可能性が高まります。
■ リブランディングが必要な5つの要因

① 競合の成長と環境の変化
もともと小さなビジネスだったところに大手企業が参入してくるケースもあれば、全く思いもよらないカテゴリーが突如として競合になる可能性もあります。
② 新技術の登場による陳腐化
自動車や家電などテクノロジーをベースにした技術開発における急激な進化。
③ 新ジャンルの登場による衰退
その商品やブランドというよりは、ジャンル全体が衰退してしまうケースです。
例えばワープロやいわゆる携帯電話“ガラケー”のような例。
④ 時代や価値観の変化
日本では「お金より生きがい」という考え方が広がり続けています。また、若い世代を中心に広がる、物質的なモノは身の周りに必要最低限でよいと考える「ミニマリスト」の考え方。
⑤ 社会構造の変化
少子高齢化、ホワイトカラーの失業、グローバル化、現代はこうした大きな変化の中にあります。構造の変化に伴い、人々の価値観も変わっていきます。
■ リブランディングの成功事例
虎屋グループ

出典:「 虎屋グループ」「 SAN N・AD」 「丹青社」より
虎屋グループは、長年にわたってお茶菓子や和菓子を中心に事業を展開してきた老舗企業です。2019年には、従来のイメージを一新する大規模なリブランディングを行いました。
[ ロゴデザインの変更 ]

従来の「虎屋」のロゴを一新し、新しいシンボルマークを制定しました。このシンボルマークは、「和」をモチーフにしたものでありながら、新しさと洗練さも感じさせるデザインに仕上がっています。
[ ブランドアイデンティティの再構築 ]

まず、虎屋グループのブランドアイデンティティを再構築しました。これにより、従来のイメージを一新し、新しいコンセプトやストーリーを持ったブランドに生まれ変わりました。
[ 商品のリニューアル ]

新しいブランドコンセプトに合わせ、商品のラインナップやパッケージデザインも一新しました。特に、若い世代を中心とした新しい顧客層にアピールするために、新しいフレーバーやパッケージデザインを導入しました。
[ コミュニケーション戦略の再構築 ]

最後に、リブランディングに合わせた新しいコミュニケーション戦略を策定しました。新しいブランドコンセプトや商品の魅力を伝えるために、SNSを活用したキャンペーンやイベントなどを実施し、若い世代を中心とした新しい顧客層の獲得に成功しました。
以上が、虎屋グループのリブランディングの取り組みです。成功の要因としては、従来のイメージを一新し、新しいコンセプトやストーリーを持ったブランドに生まれ変わったこと、若い世代を中心とした新しい顧客層にアピールするための取り組みを行ったこと、そして新しい商品やパッケージデザインを導入することで、顧客の関心を引き、ブランドの価値を高めたことが挙げられます。また、リブランディングの成功には、ブランドの長年の歴史と伝統を継承しつつ、新しいアイデアや取り組みを積極的に取り入れたことが大きな要因となったと言えます。
一方で、リブランディングによって一部の顧客層から支持を失った可能性もあります。伝統的な和菓子を求める顧客層からは、新しい商品やパッケージデザインに違和感を覚える場合があるかもしれません。しかし、虎屋グループは、新しい顧客層の獲得に重点を置き、長期的な視野での事業拡大を目指した取り組みと言えます。
リブランディングは、時代の変化や市場の変化に合わせて、ブランドを再構築するための重要な戦略です。ただし、過度な変化や無理な新規開拓は、逆にブランド価値の低下につながる可能性もあるため、リブランディングの際には慎重な検討が必要です。
■ リブランディングは好調なうちに
リブランディングは、ブランドが不調になってから行うものと思われがちですが、望ましいタイミングは「好調なとき」です。売上が減少し何かテコ入れが必要だとなる前に少し先の未来を見据えて新しいものに挑戦するということもリブランディングの動機として重要なことです。リブランディングを必要になった原因から「ブランドの理想像」を導き出し、その実現のための戦略こそがリブランディングなのです。
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