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[ ブランド戦略 ]

ブランドバリュー(企業価値)の定義と設定

ブランドバリュー(企業価値)という言葉もまた、企業ブランディングについて説明されている書籍などで実にさまざまな解釈がされています。確かにブランドバリューという言葉はスマートな響きをもっています。しかし、その意味内容について考えてみると、一転、とても曖昧なものに感じてきます。“バリュー”という語句はブランディングやマーケティングでは高い頻度で使われるため、こうしたことを引き起こしているものと考えられます。今回のブログでは、ブランドビジョン(企業理念)およびブランドミッション(企業使命)との関係性を踏まえながら、ブランドバリューの定義と設定する際に必要となるポイントについてご説明させていただきます。。


ブランディングの構造について

図:ブランド構造の概念図

このブログにおいては主に企業ブランディングについて記述をしており、企業ブランディングについて、なるべく体系的に整理していきたいと考えています。その理解を深めるために、企業ブランディングのコア部分を段階構造で捉え、頂点にブランドビジョン(企業理念)を据え、次いでブランドミッション(企業使命)、ブランドバリュー(企業価値)と裾野を広げ、それをブランドプリンシプル(従業員の行動原理)で下支えするという『ピラミッド+基盤』の構造を便宜上のベースとしていきます。しかしこれは上意下達のような一方通行の関係ではなく、互いに関与していく双方向の関係を持つものであることが大切です。この関係性が崩れてしまっている企業ブランドは、多くの場合、期待するほどの効果が得られません。企業の意図するところが、正しく伝わらないからです。そうした企業で働く従業員の心持ちも容易に推知することができます。それはやがて、商品やサービスのクオリティにも影響してしまうなど、企業ブランディングは戦略をもって開発を進めて行く必要があります。

ブランドバリュー(企業価値)の定義とは?

数ある企業の特長の中から、
ブランドミッション実行のキーファクターとなるものがブランドバリュー

さまざまな解釈をされるブランドバリューですが、「企業が顧客や社会に対して提供している価値」、「企業が有する、ブランドミッションを可能にするその企業ならではの特長」と解釈すると理解がしやすいのではないかと思えてきます。ブランドバリューは有形と無形とを問われることはありません。独占的に使用できる“技術”のような具体的なものから、安心感や信頼感といった“感情”のような観念的なものまで含まれるとされています。ただし実際には、ブランドバリューに後者を用いることはあまり推奨できません。多くの場合、どれだけの共感を得られるかは人それぞれの匙加減となってしまうため、ブランドミッションの履行を確実にすることができないことが少なくないからです。また、ブランドバリューは資産価値を意味しますが、それを羅列するだけでは、まだブランドバリューとしては不十分です。ブランドバリューとするには、ブランドミッションの“根拠”となるものであることが必要です。ブランドバリューは、企業としての輪郭をより明確にすることにつながります。

ブランドバリューは誰が決める?

ブランドバリューは、企業の成長を牽引するもの。
その決定者は、中長期の成長計画とともに企業トップに委ねられている

実際の企業ブランディングプロジェクトでは、このブランドバリューの設定に最も時間を要することがあります。実際に、「自社が提供している価値とは?」と考えると、なかなか出てこないとおっしゃるのです。自らが“これが当社の価値です”と表明するのは抵抗がある、“企業の価値とはお客様や社会から見い出していただくものではないのか”とおっしゃるかたもいらっしゃいました。しかし、このブランドバリューの選定と決定は、企業自身で決めるべきものです。ブランドバリューは、『企業の成長戦略』とほぼ同義であるからです。企業そのものが、あるいは、提供している商品やサービスが、社会全体にどのような影響を及ぼしているかという視点で、その企業の価値を推し量ることは確かに可能ではあります。しかしながら、その視点で見いだされた利便性と、企業の成長戦略としてのバリューとが、常に合致するとは限りません。ブランドバリューとは企業自らが認識している、自社を自社たらしめている事実、とも言い換えられるかもしれません。

「 機能的 」な側面から設定する

同じブランドビジョンを据えても、ブランドミッションは業種・業態によって変わる

では、実際にブランドバリューを設定する場合には、どのように進めていくのがよいのでしょうか。それにはまず、ブランドバリューが2つの側面で語られることが多いということと、それぞれの意味を知っておくことが必要です。次項と合わせてご紹介していきます。1つ目は『機能的価値』と言われているものです。言い換えれば、「ブランドミッション(企業理念)の裏付けとなる事実(ファクト)」、あるいは「ブランドミッションを掲げるに相応しい、自社の技術・機能・資産」といっことになります。例えば、ブランドミッションを『栄養価の高い、リーズナブルで、安心・安全な食品を供給する』としようとしている企業では、「有機栽培の自社農園を運営」や「法律や条例よりも厳格な独自の衛生基準を遵守」などといったものが検討できるでしょう。このように、機能的価値は客観的な指標であるという特長を持っています。ブランドバリューを機能的価値で設定できれば企業ブランドの信頼性は高まり、より具体的なイメージをもって、生活者や顧客とコミュニケーションできることになるでしょう。

「 情緒的 」な側面から設定する

情緒的価値は、享受者が心情的に体験する感覚的な価値のこと

ブランドバリューがもつ側面の2つ目は、『情緒的価値』です。こちらは、「ブランドミッションを成立させている、人々の内面にある感情や感覚」、または、「ブランドミッションの根底にある、人々の感慨や心地」といったことであると捉えると理解しやすいかも知れません。前項と同じブランドミッションで考えてみるならば、「食の、大切さ・美味しさ・安寧さを追求する」といったものや、「食べることの幸せを提供する」といった案、「つねに食べる人の立場で考える」などのカスタマーセントリックの思考をブランドバリューで展開するならば、これも情緒的価値にカテゴライズできそうです。このように、情緒的価値は絶対値として認識しにくいために成否の判定が不安定となるため、即時の企業ブランドに対する信頼性の向上は期待できないというのが実際のところではないかと思われます。しかしながら、顧客がその企業ブランドに抱く、憧憬や高揚感、充足感、満足感などの情緒性要素は、企業ブランディング活動において重要な要素の一つであり軽視することはできません。情緒的価値を上手く織り込むことができれば、他社の追随を許さないブランドバリューとなるはずです。

「 価値観 」という考え方

ブランディングにおける価値観とは、企業が価値あるもの認めている判断基準や習慣をさす

多分野にわたる事業を展開するグループ企業や、あまたの商材を取り扱う総合商社、または、社会通念上の理由などの理由から、機能的価値だけでブランドバリューを設定できないケースもあります。そのような場合に用いられるのが、自社の価値観(Our Values)をブランドバリューに代えるという方法です。この場合の価値観とは、「自社が対峙している事象や環境などについての基本的な考え」や「企業として貫く、信念・矜持」といったものとなるでしょうか。こちらについても同様に考えてみると、「生産者・お客さま・わたしたちの“三方良し”」や、「真摯さこそ、正義。革新こそ、伝統。」、あるいは「Nature,Cultuer,Futuer」のようなものも考えられるでしょう。いずれも機能的価値ほど客観的な判断はつきませんが、企業としての意志が強い分、情緒的価値よりも透明性は出てきます。ブランドバリューも、ブランドミッションやブランドビジョンと密接な関係を持つものです。大切なのは、ミッションやビジョンと相まって、自社の“らしさ”を正しく示せているかであることを忘れてはなりません。

まとめ

ブランドバリューの設定に際しては、機能的価値は後発企業に真似されやすく差別化(らしさ)しにくいため、真似されにくい情緒的価値を優先するべきという考えを耳にします。しかし、そもそも後発企業に容易くコピーされてしまうようなものは、機能的価値としても設定するには不十分なものであると考えられます。むしろ、人の感情に訴求する情緒的価値の方が、他社との類似傾向は強まるのではないでしょうか。どんな企業にも、その企業にしかない、胸を張れる機能的価値はあるだと考えます。企業の成長は、しっかりと時間をかけて自社の価値と向き合うことから始まるようにも思います。今回のブログがそのきっかけの一つになれば幸いです。

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