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[ ブランド戦略 ]

行動指針(プリンシプル)の目的と効果とは

企業ブランディング活動における行動指針は、企業が「法人」としての視点で自らの行動について規定するものと、企業やグループに属する従業員の人々のために行動を規定するものとがあります。前者の場合は、企業が掲げるブランドビジョン(企業理念)やブランドミッション(企業使命)の理解を促すために、ビジョンやミッションを行動面に移したものを明示するものです。後者は企業の、いわゆるインナーブランディングの入り口とも言えるもので、従業員に向けた「とるべき行動」、または「してはならない行動」を規定するものです。前者の形式をとっていても、実際には後者の意味合いとして運用されてると考えて良いでしょう。今回のブログでは、企業ブランディング全体の機能性を考慮し、様々なメリットが期待できる行動指針について考察していきます。

行動指針(プリンシプル)とは何か?

⎮ 企業ブランディングを支える土台として機能する

このブログにおいては主に企業ブランディングについて記述をしており、企業ブランディングについて、なるべく体系的に整理していきたいと考えています。その理解を深めるために、企業ブランディングのコア部分を段階構造で捉え、頂点にブランドビジョン(企業理念)を据え、次いでブランドミッション(企業使命)、ブランドバリュー(企業価値)と裾野を広げ、それをブランドプリンシプル(従業員の行動原理)で下支えするという『ピラミッド+基盤』の構造を便宜上のベースとしていきます。しかしこれは上意下達のような一方通行の関係ではなく、互いに関与していく双方向の関係を持つものであることが大切です。この関係性が崩れてしまっている企業ブランドは、多くの場合、期待するほどの効果が得られません。企業の意図するところが、正しく伝わらないからです。そうした企業で働く従業員の心持ちも容易に推知することができます。それはやがて、商品やサービスのクオリティにも影響してしまうなど、企業ブランディングは戦略をもって開発を進めて行く必要があります。

行動指針(プリンシプル)の開発目的について

⎮ 約束を具体的に定め守っていくことが、企業ブランディングの基盤となる

企業ブランディングを体系的に捉えると、この行動指針はブランドビジョンやブランドミッション、ブランドバリューを支える“台座”のようなものとして位置づけられています。ビジョンは概念的で抽象性も高く、ミッション、バリューと徐々に具体性を持ち合わせていくわけですが、このことは顧客や一般の生活者の視点からっは良いイメージをもって企業を捉えることができるものの、従業員の視点にはどう映るでしょうか。多くの場合、従業員には「素晴らしい内容ではあるが、だから???」という感想になるのではないでしょうか。企業のブランディング活動は、顧客や生活者や社会と“約束”を交わすものだとも言えます。そして、それを実行するのは、誰であろう従業員一人ひとりに他なりません。自社のビジョンやミッションが、どこか他人事になってしまっている状態では、ブランドビジョンの実現は難しいでしょう。このようなことからも、行動指針を定める目的は、具体的な方法や意識を定めることで、ブランドビジョンをはじめとした企業としての考えかたを、社内の隅々まで浸透させていくためのものと捉えるべきでしょう。

行動指針(プリンシプル)の開発のポイント

⎮ どの職種・職能をもつ従業員にも響くものが理想の行動指針

統計ではなく経験的なものでしかないのですが、企業ブランドや経営トップの考えかたが社内に今ひとつ浸透していないという企業の多くは、この行動指針の定めかたで解決の糸口がみつかることが多いようにも感じます。行動指針の開発は、企業ブランディング活動の成否の大きな鍵を握るものだと言えるでしょう。開発の要点にもいくつか留意しなければなりません。まず欠かすことのできないことは、ブランドミッション、ビジョン、バリューとの関係性です。行動指針はしばしば、企業トップの“従業員への、こうあってもらいたいというリクエスト”に終始してしまうことがあります。創業時時代からお持ちの矜持をそのまま掲げてしまうのは、従業員を混乱させることが多いのが実情です。また、企業にはさまざまなセクションがあります。特定の職域の従業員にのみ向けられた行動指針はできるだけ避けるべきでしょう。すべての従業員が、自らの職域の中で行動指針を遂行することがブランドビジョンやビジョン、バリューにつながるのだと意識できるものになることが理想だと言えるでしょう。

行動指針(プリンシプル)に期待できる効果とは

⎮ 開示することにより、様々なステークホルダーにより深くコミュニケーションできる

多くの企業のトップは、自社の従業員により自律的にいてほしいと考えているでしょう。戦略的な行動指針の開発は、従業員を自律的にすることに役立つと言われています。それは従業員の行動に枠をつくることを意味しません。行動指針は、経営トップからの上意下達ではありません。むしろその逆で、従業員の行動に大きな自由を約束することです。従業員には、自分の職域で迷いが生じたとき上長からの指示を待つのではなく、この行動指針を道しるべとして自らプランを上長へと諮ることをスタンダードにするものです。社内の部署間で起こりがちなさまざまな齟齬も、行動指針やブランドビジョンに照らし合わせることで、全員を前向きにしながら解決することなどが期待できます。行動指針は、従業員や部署を跨るような大きなプロジェクトに自助作用を促進するものであり、同時にこの習慣化と定着化がブランドバリューやブランドミッション、ブランドミッションの実現につながり、企業ブランディングを盤石にしていくものであると言えます。

行動指針(プリンシプル)は社外に周知するべきか?

⎮ 社外へ開示しないことにより、社内用語や更に強い表現で実直な行動を促せる

自社のWebサイトや会社案内などで企業指針を載せている企業があります。前述の通り、行動指針は従業員の積極的な自律を促すことに有効なものです。そうであるならば、企業理念を社外の人々の目に触れさせることにはどのような意味を見出すことができるのでしょうか。1つは、企業としての志を伝えるとともに従業員の業務に対する考えかたを明示するという、行動指針までをも企業ブランドの一つと捉えている場合です。行動指針は企業のレベルを反映しやすいという特色があります。顧客や協力会社などビジネスパートナーに行動指針がレベルの高いもに感じられれば、その絆は一層強固なものとなるでしょう。もう1つは、リクルート面での効果です。行動指針は、企業が従業員に期待する業務への対応についてまとめられているものです。つまり、エントリーの前に、入社後に求めていく業務に対する姿勢について周知させることができるのです。結果、人材登用に関するミスマッチを減らすことにも繋がり、優れた人材の雇用へとつながっていきます。

行動指針(プリンシプル)のない会社があるのは何故?

行動指針について社外に開示する企業がある反面、行動指針については掲載を見送る戦略をとっている企業があることも確かです。これは幅の広い事業を手掛けている大企業や、M&Aの実施から間もない企業などのブランディングでしばしば見受けられます。幅広い事業を展開する企業では、すべての従業員が共有できる行動指針とするためにはどうしても高い抽象性が必要になるためです。合併などにより現状の規模となってからまだ社歴の浅い企業では、いわゆる社会通念上では当たり前とされるような事項から、足並みをそろえて共有する必要があり、社外の人々には魅力的に映らないため、あえて開示をしないという決定を行います。どちらも戦略的な判断が下されていることに注目する必要があります。開示されていな企業にも、行動指針は設定されているものと考えておいたほうが良いでしょう。行動指針を開発することは、社内的にはプラスの効果が大きく期待できます。開示するか否かは最終的に判断するとして、行動指針の開発も企業ブランディング活動には必須の項目として考えておくべきだと考えられます。まって、自社の“らしさ”を正しく示せているかであることを忘れてはなりません。

まとめ

行動指針は、経営トップが従業員の行動を雁字搦めにするものではなく、従業員の自律を促すことを期待して開発するものであることがお分かりいただけたかと思います。そして同時に現場を預かる従業員にとっては、行動指針を日々貫くことが、経営トップが設定する“目指すゴール”の達成につながる規範のようなものであり、より一層の業務クオリティの向上と企業へのロイヤルティ醸成につながることもイメージしていただけたでしょうか。また、行動指針そのものの開示の可否やタイミングなどについては戦略的な要素があり、企業ブランディング活動の中で慎重な判断が必要であるとも言えます。

【 おすすめ記事 】 行動指針(プリンシプル)の参考にしたい開発事例
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