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ブランドエクスペリエンス

[ ブランド戦略 ]

ブランドエクスペリエンスの重要性とは?

ブランドエクスペリエンスは、消費者が製品やサービスを使用する中で感じる全体的な印象や経験のことを指し、消費者に与える感情や価値観、ブランドイメージなどを含めた体験全体が重要な要素となる。消費者が製品やサービスを選ぶ際に、機能や性能だけでなく、その製品やサービスが与えるブランドエクスペリエンスを重視する傾向がある。ブランドエクスペリエンスは、消費者のブランドロイヤルティを向上させるためにも重要であり、製品やサービスの品質だけでなく、マーケティングや顧客サポート、店舗デザインなども考慮する必要がある。つまり、ブランドエクスペリエンスは、製品やサービスを提供するだけでなく、ブランドの価値を伝え、ブランドロイヤルティを高めるために非常に重要な要素となる。


■ ブランドエクスペリエンスとは何か?

[ 図 ]一方が欠けると健全なブランドは育たない

ブランドエクスペリエンス(Brand Experience)をシンプルに説明すると、「(ブランドからターゲットとされている)生活者が持つブランドとの接点、またはその接触によって得られること」となります。しばしば「ブランド体験」とも表記されることもあり、ブランディングについて興味のあるかたは既にご存知の語句であるかも知れません。しかしこのブランドエクスペリエンスは、一般的に考えられているよりも実は複雑です。原因の一つは、語句の主体が“生活者”であることです。そのためブランドエクスペリエンスを、いわゆる「顧客目線」や「顧客ファースト」という考えかたのみで克服しようとするのは無理があります。

ブランドエクスペリエンスは、生活者に試用という体験をさせることではありません。生活者との接触を増やすということでもありません。具体的なベネフィットや、ブランドの中心にあるストーリーなどへの共感を、実際の体験を通じて“体感していただくこと”がブランドエクスペリエンスの本来的な意味です。さらに言えば、生活者が顧客となってからもブランドエクスペリエンスは発生するものであり、新たな気づきや価値を都度にあわせて提供し続けて行くことが求められます。ブランドとブランドエクスペリエンスは両輪の関係にあると言えます。

■ ブランドエクスペリエンスが重要視される理由

[ 図 ]ブランドの考えや思いを伝えることが重要

ブランドエクスペリエンスが重要視される理由はいくつかあります。まず、消費者が製品やサービスを選ぶ際に、機能や性能だけでなく、その製品やサービスが与えるブランドエクスペリエンスを重視する傾向があるため、企業はブランドエクスペリエンスを提供することで、消費者の選択肢に選ばれやすくなります。また、ブランドエクスペリエンスは、消費者のブランドロイヤルティを向上させるためにも重要です。消費者にとって良い体験を提供することで、ブランドに対する信頼感や愛着が高まり、リピート購入や口コミにつながる可能性があります。

さらに、製品やサービスの品質だけでなく、マーケティングや顧客サポート、店舗デザインなど、あらゆる接点でブランドエクスペリエンスを提供することで、ブランドイメージを強化することができます。つまり、ブランドエクスペリエンスは、製品やサービスを提供するだけでなく、ブランドの価値を伝え、ブランドロイヤルティを高めるために非常に重要な要素となります。

■ カスタマージャーニーを見誤らないことが大切

ブランドエクスペリエンスを考えていくとき、たびたび同時に検討すべきものとされるのが「カスタマージャーニー」です。これは顧客が店舗を目指すところから、入店し、商品を認知し、購入、退店、さらにリピートで購入しようとするまでの一連の過程を1回の旅(ジャーニー)になぞらえ、企業や商品との接点および関係性を明らかにすることでブランドとの関係性を高めようというものです。

しかし注意も必要です。カスタマージャーニーはあくまでも顧客の視点はどこを見ているか、顧客のたどる導線はどのようなものかを洗い出し、つど都度における適切なコミュニケーションについて探ることに注力されがちです。ブランドエクスペリエンスを考えるうえでのカスタマージャーニーであるならば、それだけでは不十分です。ブランドエクスペリエンスの要点は、顧客の視線や動向を把握した上で、自ブランドの真意を理解してもらうためには、どのようなことを体感をしてもらうべきなのかを検討することです。

店舗の最も目立つ場所にブランドのストーリーをしたためたポスターを掲示するというようなことは、ブランドエクスペリエンスとしてはさして意味をなしません。どんなに優れていようとも、顧客にとってはブランドを体験したことにはならないからです。

■ メディアの多様化とブランドエクスペリエンス

近年、メディアの多様化が進んでおり、テレビや新聞だけでなく、インターネットやSNS、スマートフォンなど、様々なメディアが存在します。これに伴い、企業はそれぞれのメディアに合わせたブランドエクスペリエンスを提供する必要があります。

例えば、テレビCMや新聞広告では、製品やサービスの特徴や利点を訴求することが多いですが、インターネットやSNSでは、消費者とのコミュニケーションを重視したマーケティングが求められます。このように、メディアによって消費者が求めるブランドエクスペリエンスは異なるため、企業はそれぞれのメディアに合わせたマーケティング戦略を策定し、ブランドエクスペリエンスを提供する必要があります。

また、メディアの多様化に伴い、消費者はブランドエクスペリエンスを求める傾向があります。例えば、SNS上でのブランドとのコミュニケーションや、インフルエンサーが紹介する製品やサービスなど、消費者がより身近に感じられるブランドエクスペリエンスを提供することが求められます。これにより、消費者はブランドにより親近感を感じ、ブランドロイヤルティを高めることができます。

したがって、メディアの多様化に対応し、それぞれのメディアに合わせたブランドエクスペリエンスを提供することが、企業にとって重要な課題であるといえます。

■ ブランドエクスペリエンスの事例

INTER SECT BY LEXUS

[ 引用 ]INTERSECT BY LEXUSWEBサイトより

【 レクサス 】 Intersect by LEXUS

Intersect by LEXUSは、自動車メーカーのレクサスが展開するライフスタイル空間のブランドです。レクサスのクルマに関するブランディングや広告をすることが目的ではなく、レクサスが提供するブランドエクスペリエンスを、様々な分野で体験できる場所として展開されています。

Intersect by LEXUSは、カフェ、レストラン、イベントスペース、アートギャラリーなど、多様なコンテンツが用意されています。これらは、レクサスのブランドコンセプトである「Experience Amazing(驚きの体験)」を具現化し、ライフスタイルに対する新しい価値を提供することを目的としています。

Intersect by LEXUSは、東京、ドバイ、ニューヨークなど、世界各地に展開されています。また、Intersect by LEXUS Tokyoでは、レクサスが開発した新しいプロダクトやコンセプトカーを展示するスペースも用意されています。これにより、レクサスの製品に興味を持っている人々は、自然な形でレクサスの世界観を体験することができます。

Intersect by LEXUSは、レクサスが提供するブランドエクスペリエンスを多角的に体験できる場所として、レクサスのブランド価値を高めるとともに、新しいカスタマーエクスペリエンスの創造に取り組んでいることから注目されています。

The Snow Peak Way

[ 引用 ]スノーピークWEBサイトより

【 スノーピーク 】 Snow Peak Experience

Snow Peak Experienceは、日本発祥のアウトドアブランドであるSnow Peakが、アウトドアライフスタイルを提供するコミュニティスペースのブランドです。Snow Peakが提唱するライフスタイル「Life with Fire(火とともに生きる)」を体験できる場所として、キャンプ、アウトドア、料理、アートなど、様々なコンテンツが用意されています。

Snow Peak Experienceには、カフェ、レストラン、ショップ、宿泊施設、アートギャラリー、イベントスペースなど、多様なコンテンツがあります。これらのコンテンツは、Snow Peakのブランドコンセプトである「Redefine(再定義する)」を体現し、アウトドアライフスタイルに対する新しい価値を提供することを目的としています。

Snow Peak Experienceは、新宿、表参道、大阪、札幌、福岡など、日本国内に複数の店舗を展開しています。また、Snow Peakの商品やテント、コトヒラなど、アウトドアに必要なアイテムをレンタルすることもできます。これにより、アウトドアライフスタイルに興味を持っている人々は、自然な形でSnow Peakの世界観を体験することができます。

Snow Peak Experienceは、アウトドアライフスタイルを提供するコミュニティスペースとして、Snow Peakのブランド価値を高めるとともに、新しいカスタマーエクスペリエンスの創造に取り組んでいることから注目されています。

Nike By You ナイキ

[ 引用 ]https://www.nike.com/jp/nike-by-youより

【 ナイキ 】Nike By You

Nike By You(旧称NikeiD)は、2000年にNikeが立ち上げたプログラムで、顧客が自分の好みに合わせて靴をカスタマイズできるようにすることを目的としています。このプログラムは、オンライン上で利用することができ、顧客が自分で靴のデザインをカスタマイズすることができます。

顧客は、自分の好みに合わせて、靴の素材、カラー、ロゴの配置、アウトソールのデザインなどを選択することができます。顧客は、自分だけのオリジナルの靴を作り上げることができ、自分のスタイルに合わせた一点物の靴を手に入れることができます。

Nike By Youは、顧客とブランドの関係性をより強固なものにするために、Nikeが提供するサービスの一つです。このプログラムにより、顧客はNikeとのエンゲージメントを高めることができ、自分自身がデザイナーになったような感覚を味わうことができます。また、このプログラムは、新しい顧客を獲得し、既存の顧客を維持することにもつながります。

スターバックス Starbucks Reserve Roastery

[ 引用 ]https://www.starbucks.co.jp/reserve/roastery/より

【 スターバックス 】Starbucks Reserve Roastery

Starbucks Reserve Roasteryは、スターバックスが展開する高級店舗で、コーヒーの焙煎、抽出、提供までを一貫して行うことを目的としたコンセプトショップです。

Starbucks Reserve Roasteryは、世界各地に展開されており、一つのロースタリーには、数千平方メートルの広大な空間が設けられています。ここでは、新鮮なコーヒー豆を焙煎し、そのコーヒーを専用の器具で抽出し、顧客に提供することができます。また、顧客は、スターバックスの従来店舗では提供されないような、限定メニューのコーヒーを楽しむことができます。

Starbucks Reserve Roasteryは、スターバックスのコーヒービジネスにおいて、高級感とエクスクルーシブ感を演出することを目的としています。ロースタリーの内装は、高級感あふれるものになっており、美しいインテリアやデザインによって、顧客に独自のブランドエクスペリエンスを提供しています。また、限定メニューや、レアなコーヒー豆を扱うことにより、顧客に独特なコーヒー体験を提供することができます。

■ まとめ

ブランドエクスペリエンスについて、その本来的な意味について事例を交えながらご紹介しました。ブランドを体験するということは、商品を試したり、展示会などの説明の機会をもつものではないこと、生活者の行動の導線に自ブランドの考え方を“乗せる”仕組みをつくることであるこということがお分かりいただければ幸いです。厳しい市況が続く中、ブランドエクスペリエンスについて考えていくことは様々な事情からも難しいことは想像に難しくありません。しかし、そうした状況の中からブランドを救うのもまた、ブランドエクスペリエンスを提供していくことであることも確かです。このブログを機会に、御社のブランドエクスペリエンスについて再度ご検討してみてはいかがでしょうか。

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