[ ブランド戦略 ]
ブランドサイトの目的と構築方法とは?
ブランドサイトは、企業や商品の魅力を効果的に伝え、ブランド価値を高めるための重要なプラットフォームです。消費者がブランドと初めて接触する場となることも多く、ブランドの世界観やメッセージを視覚的かつ一貫して伝える役割を果たします。ブランドサイトの主な目的は、ブランド認知の向上、消費者との関係構築、そして信頼性を高めることです。さらに、商品やサービスの詳細情報を提供することで、購買行動にも直接つながります。ブランドサイトを構築する際には、ターゲットユーザーの理解、ブランドメッセージの明確化、デザインとユーザビリティの両立が重要です。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、ブランドサイトの目的を深掘りし、その効果的な構築方法について詳しく解説します。
■ ブランドサイトの4つの目的
ブランドサイトの主な目的は、企業やブランドのイメージを向上させ、顧客や潜在顧客との関係を強化することです。具体的には、ブランドアイデンティティの確立、製品やサービスの紹介、コンテンツ提供、顧客サポート、コミュニケーションの促進、SEO対策などが挙げられます。
【 1.ブランドを認知してもらう 】
ニーズがあるにも関わらず、特定のブランドを知らないユーザーは、商品やサービスについて検索する可能性があります。これらのユーザーとブランドサイトを繋ぐことで、ブランドを認知させることができます。
【 2.ブランドのベネフィットを理解してもらう 】
ブランド名は知っていても、理解していないユーザーにはブランドのベネフィットを伝える必要があります。そのためには、ブランドの検索や広告などの流入からブランドサイトを閲覧いただく必要があります。
【 3.ブランドを安心し信頼してもらう 】
ブランドが提供するベネフィットに納得していても、そのブランドを信頼していないユーザーには、安心でき、買わない理由を払拭する情報を発信する必要があります。
【 4.ブランドへのロイヤルティを向上させる 】
ブランドの商品やサービスなどを購入したユーザーには、ベネフィットを実感・共有できる体験を提供し、ロイヤルティを向上させることができます。
[ 引用 ] 日産公式ブランドサイトより
[ 引用 ] GREEN GUM公式ブランドサイトより
■ ブランドサイトとコーポレートサイトの目的の違い
左:ブランドサイト 右:コーポレートサイト
どちらも企業のサイトなのですが、目的が異なるために区別する場合が多いのです。コーポレートサイトはどんな企業なのかを示すのが主な目的です。もちろん商品やサービスの紹介などマーケティングの要素が含まれる場合もありますが、一般的には企業の認知度の向上や、IR情報や採用情報などさまざまな情報を開示することで信頼感や安心感を与えることが目的です。一方、ブランドサイトは消費者にブランドや商品・サービスのベネフィットを伝えること、同時にブランディングによって企業や組織としての価値を高めたり、市場におけるポジショニングを確立したりするのが目的となります。
[ 引用 ] DENSO公式コーポレートサイトより
■ ブランドサイトとECサイトの目的の違い
ECサイトはオンライン販売やEC事業など、オンライン上で自社の商品やサービスを販売することで利益を得ることが目的です。最近ではブランドサイトとECサイトを統合することも多くなり、消費者が興味を持てば時間や場所を問わずに商品を購入できる導線が作られることも少なくありません。ブランドサイトとECサイトを統合することのメリットとしては、同じドメイン上でページが構築できること、適切なリンクの配置やLPの設置などWebマーケティングに利用しやすく、SEOに良い影響を与えやすいということがあります。その他にもブランドサイトは自社の商品やサービスのベネフィットを伝えるための文章や画像、デザインをすることから、商品やサービスを購入できる仕組みを持つECサイトと組み合わせることの相乗効果によって収益化や利益の最大化が期待できます。
[ 引用 ] 資生堂公式ブランドサイトより
[ 引用 ] 資生堂ECサイトより
■ ブランドサイトの構築方法
ブランドサイトの開発は目的を明確にしましょう。なぜなら、ブランドサイトは「作れば良い」というものではなく、カスタマージャーニーを意識して開発する必要があります。ブランドサイトはさまざまな役割を持たせることができることから、最終的な利益を意識せず、単なる集客や広告の一部のような感覚、または明確な目的を持たず曖昧な状態で構築が進む可能性があります。効果的なブランドサイトを構築するためには、ブランディングの一環として構築することが重要です。
【 ターゲットの明確化 】
ターゲットやペルソナを設定することで、より効果的なブランドサイトを構築できます。もちろん、不特定多数の潜在的な顧客層へのリーチも大切ですが、ターゲット像を絞り込まなければ効果が薄いマーケティング施策になってしまう可能性があるからです。逆に言えばターゲット像を明確にした上でブランドサイトを構築できれば、認知から興味関心、理解や購入までの導線が描きやすくなります。同時にターゲット像が明確になればなるほど、その他のWebマーケティング施策とも組み合わせやすくなり、集客するためのWeb広告なども活用しやすくなります。
【 カスタマージャーニーの設定 】
ターゲットを明確にしたら、次に考えるべきはカスタマージャーニーです。カスタマージャーニーとは消費者が商品の購入やサービスの利用に至るまでの体験を意味し、AIDMAやAISASといったフレームワークに当てはめられます。AIDMAとAISASは大まかな流れは同じですが、後者にはShare(共有)というソーシャルメディアなどを利用した第三者の情報共有も含まれるのが特徴です。いずれにせよ、このような消費者行動の中でブランドサイトがどのような役割を担うのかを明確にしコンテンツや仕組みを作り上げていくことが、効果的なブランドサイトの構築に繋がります。
【 ブランドイメージの決定 】
ブランドとしてどのように感じてもらいたいか、または既存のイメージをどのように成長や変化させたいかを明確にし、ブランドサイトの表現に活かしていきます。ブランドイメージを固めるためには自社内の意見もまとめつつ、顧客へのヒアリングや競合他社や市場調査などを行うことも必要です。第三者からの目線や意見・データに基づき現時点で消費者がどんなブランドイメージを持っているのかを見極めたうえで、自社の魅力をどのようにアピールしていくのか、どのようなイメージを発信していくのかを明確にすることが重要です。
[ 関連記事 ] ブランドイメージを高めるためのデザインとは?
【 コンテンツとデザインの作成 】
次に決定したブランドイメージに合わせて、ブランドサイトのビジュアルやコンテンツを作成する段階に入ります。ブランドのイメージカラー、ロゴ、商品やサービスのデザインなど、どのように感じてもらいたいのか、ブランドのイメージがブレたり、崩れたりしないかを意識しましょう。同時にデザインやコンテンツにおいて競合他社と明確に差別化されているか、ブランドサイトに持たせる役割を果たしているのかも考えておく必要があります。
【 サイトの管理と運用 】
ブランドサイトは完成して終わりというものではありません。アナリティクスやアクセス解析、またはマーケティングツールによる分析を行いながら情報の蓄積を行い、より効果的なブランドサイトとなるよう改善、改修する必要があります。むしろ、ブランドサイトのリリースが運用の始まりとも言えます。どうすればさらに潜在的な顧客層にリーチするのか、興味関心を惹けるのか、または理解してもらえるのか模索しつづけましょう。また、データが蓄積されればされるほど、ブランドサイトそのものが情報資産としての価値を持つようになり、最初に
定めた役割以外の集客効果や広告効果、または収益の最大化につながるようになります。ブランドサイトは企業の「単なるお飾り」ではなく、Web施策の一部であること、同時にマーケティング戦略の一部であることを意識して、利益につながる導線として常に改善し続けることが大切です。
■ まとめ
コーポレートサイトやECサイトとブランドサイトの違いや目的、構築のステップ、そしてブランドサイトの事例をご紹介させていただきました。ブランドサイトとは、まずは消費者に知ってもらうこと、理解してもらうためにどのように伝えるべきか工夫することが大切です。何よりも自己アピールをして満足するのではなく、収益化や利益の確保、売上の最大化など、企業活動における最終目標につながる導線やその入り口となるよう活用してみてください。また、ブランドサイトは「ブランドらしさを伝えられる場」でもあります。だからこそ、どのようなブランドイメージを持って欲しいのか、それに対してブランドサイトを閲覧した人がどのように感じるのか、定期的に効果測定しながら適宜改善することをおすすめします。
株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。
【 株式会社チビコ 】
ブランド戦略とデザインの力でブランド価値を最大化し
永く愛され続けるブランドを支援する会社
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