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VIビジュアルアイデンティティとは何か効果と成功事例

[ ブランディングデザイン ]

VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは何か?効果と成功事例

VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、企業やブランドの価値を視覚表現を通じてわかりやすく伝えるための重要な仕組みです。ロゴ、カラー、フォント、写真表現など、あらゆるデザイン要素が含まれ、これらが一貫して機能することで、ブランドの印象がより確かなものになります。VIは単なる見た目の統一ではなく、ブランドの本質をどう視覚化するかという、より戦略的な意味を持った取り組みです。適切に設計し運用すれば、市場での存在感を高め、記憶されやすいブランドを築く助けになります。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、VIの基本から実務での役割、ブランド成長への具体的な貢献まで、分かりやすく整理して詳しく解説します。


■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは?

VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは?

[ 画像引用 ] Toyota Brand公式サイトより

ブランドを視覚的に統一し伝えること

VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、ブランドの考え方や価値を「見た目」でわかりやすく伝えるための仕組みです。ロゴ、色づかい、フォント、写真やグラフィックのトーンなど、視覚要素をそろえてデザインすることで、どんな場面でも同じ世界観や印象を感じてもらいやすくなります。これにより、ブランドへの信頼や共感も育ちます。たとえば、Appleのシンプルな佇まいや、スターバックスの緑のロゴのように、見ただけでそのブランドを思い浮かべてもらえる状態がひとつの理想です。VIは単なる“見た目の統一”ではなく、ブランドのビジョンや理念を視覚的に表現する重要な手法で、言葉がなくてもブランドらしさを自然に伝える役割を担っています。その意味で、企業活動の土台を支える存在でもあります。

詳細記事:CIとVIの違いや目的と成功事例

■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の目的

VI(ビジュアル・アイデンティティ)の目的

1. 統一された印象による信頼の獲得

VIを導入すると、ブランドの見た目が整い、自然と信頼感のある印象が生まれます。ロゴや色、トーンが揃うことで「きちんとしている」「安心できそう」と感じてもらいやすくなり、ブランドの信頼性を高めます。特に新規顧客との最初の接点では、視覚の一貫性が信頼を左右する大きな要素です。統一されたビジュアルは企業の姿勢をそのまま映し出し、ブランド価値を支える基盤になります。

[ ポイント ]

一貫したデザインが信頼を形成
ブランドの印象を安定化
初見時の信頼獲得につながる

詳細記事:一貫性のあるブランドメッセージの作り方

2. 記憶に残るブランドイメージの形成

VIによって視覚的な特徴が定まると、見るたびに同じ印象が積み重なり、ブランドが記憶に残りやすくなります。顧客は無意識のうちに色や形、フォントからブランドを思い出すようになり、混同されにくくなります。こうした繰り返しの体験が「そのブランドらしさ」を強め、認知や想起の向上につながります。

[ ポイント ]

視覚的特徴が記憶に残る
繰り返し接触で想起率が上がる
ブランドの識別力を強化

詳細記事:ブランド認知度を高める3つの方法

3. ブランドの価値伝達力を高める

VIは、ブランドが大切にしている価値観や姿勢を視覚的に伝える手段でもあります。理念をデザインに落とし込むことで、顧客は言葉より早くブランドの方向性を感じ取れます。ビジュアルがメッセージと揃っていることで説得力が増し、ブランドへの理解も自然と深まっていきます。

[ ポイント ]

価値観や理念を視覚で伝達
言葉に頼らず理解を促せる
メッセージの信頼性が高まる

4. 社内外の意識を統一する

VIは外に向けた印象づくりだけでなく、社内の足並みをそろえるためにも役立ちます。ガイドラインを共有することで、社員や外部パートナーが同じ基準で制作・発信できるようになり、ブランド体験の質が安定します。組織全体で「ブランドらしさ」を共有できることは、長期的な成長にもつながります。

[ ポイント ]

社内外で共通の理解を育てる
制作物の質をそろえやすい
ブランド運用の効率化

5. 長期的なブランド資産の構築

一貫したVIは、時間をかけてブランドを資産として積み上げる役割を持ちます。ロゴやカラーを継続的に使うことで記憶に残りやすくなり、安心感や愛着として蓄積されていきます。短期的な流行に流されず、継続して運用することで、強く安定したブランドが育ちます。

[ ポイント ]

継続運用で価値を積み上げる
流行に左右されない強さを育てる
信頼を生むブランド資産を形成する

詳細記事:ブランドエクスペリエンスの重要性と成功事例

■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の効果

VI(ビジュアル・アイデンティティ)の効果

1. ブランドの一貫性を保つこと

VIは、ブランドのビジュアル要素を統一し、一貫性を保つための仕組みです。ロゴや色、フォントなどをそろえることで、どの接点でも同じ印象を届けられるようになります。これによって信頼が生まれ、ブランドも明確になります。逆に統一が取れていないと印象が揺らぎ、信頼を損ねることにもつながります。共通のデザインルールは社内外での理解を深めるきっかけにもなり、長く信頼を育てていく土台になります。

[ ポイント ]

ロゴ・カラー・フォントなどの統一化
信頼性と安心感の確立
社内外でのブランド理解の共有

詳細記事:一貫性のあるブランドメッセージの作り方

2. ブランド認知を高めること

人は視覚情報を素早く記憶します。VIは「ひと目でわかる」状態をつくることで、ブランド認知を強めます。ロゴやカラーが繰り返し目に入ることで自然と記憶に残り、広告・店舗・SNSなどどの場所でも同じブランドとして思い出してもらいやすくなります。統一された視覚表現は、認知から想起へ、そして信頼へとつながるプロセスを支える大切な役割を持っていて、長期的な効果も期待できます。

[ ポイント ]

一目で識別できるデザイン設計
多様な接点での一貫した露出
認知から想起へつながる記憶形成

詳細記事:ブランド認知度を高める3つの方法

3. ブランドの世界観を伝える

VIは、ブランドの理念や価値観を視覚で表現する手段です。誠実さを大切にするなら落ち着いたトーンに、革新性を伝えたいなら大胆なデザインにするなど、世界観を視覚の言語で伝えます。デザインは飾りではなく、ブランドのストーリーを感じ取ってもらうための大事な要素です。世界観に共感する人が増えることで、ブランドの人格が見えてきて、関係性もゆっくり育っていきます。

[ ポイント ]

世界観や価値観をデザインで表現
感情に訴えるトーン設計
ブランドの人格と共感を形成

4. 差別化を図ること

市場の中でブランドを際立たせるのもVIの役割です。独自の色使いや構図、ビジュアルルールを持つことで、他との違いが視覚的に明確になります。その個性は「選ばれる理由」をつくり、模倣されにくいブランド資産にもなります。デザインの独自性は商品やサービスの価値を引き立てるだけでなく、ブランドの存在意義をわかりやすく示し、価格競争に巻き込まれにくくする効果もあります。

[ ポイント ]

独自性のあるビジュアル構築
ブランドの強みを視覚的に強調
模倣されにくい差別化資産の形成

5. ブランド体験を築くこと

VIは、ブランドに触れるすべての体験を整えるための仕組みです。ウェブ、SNS、パッケージなど、どこで触れても同じ世界観を感じられることが重要です。この一貫した体験が、信頼や愛着につながります。デザインを通して価値を自然に感じ取ってもらえることで、体験の質が高まり、長く続く関係を築けます。こうした体験の積み重ねが、ブランドを生活の中に少しずつ根づかせ、人間味や温度を育てていきます。

[ ポイント ]

すべての接点で統一された体験を提供
デザインを通じた感情的な共鳴
体験から信頼・愛着への発展

詳細記事:ブランドエクスペリエンスの重要性と成功事例

視覚による情報の判断

視覚による情報の判断

人間の五感による情報知覚の割合を分析すると、視覚が87%を占め、聴覚7%、嗅覚2%と続きます。この数字は、私たちが日常の判断をどれだけ視覚に頼っているかを端的に示しています。つまり、ブランドコミュニケーションにおいて視覚的な要素が重要視されるのは当然のことで、その効果にはしっかりした根拠があると言えます。

[ 出典 ] 真鍋眼科・真鍋産婦人科サイトより

1. カラー(色)

カラーは、人の心理に強く働きかける要素です。たとえば青は信頼や落ち着きを、赤は情熱や緊急性を、緑は安心感や自然との調和をイメージさせます。こうした色の持つ印象を踏まえて選ぶことで、ブランドの方向性や伝えたいメッセージをより自然に届けられます。また、色の組み合わせ方によっても印象は大きく変わるため、全体の調和やコントラストも大切なポイントになります。

詳細記事:ブランドカラーとは?設定方法とロゴの配色について

2. フォルム(形)

フォルムは、視覚的なメッセージをシンプルかつ分かりやすく伝える力があります。丸みのある形は親しみやすさや柔らかさを、直線的で角のある形は力強さや真面目な印象を与えます。ロゴやアイコンのデザインに形の特徴をうまく取り入れることで、ブランドの個性や意図がより伝わりやすくなります。さらに、形の比率やバランスも印象づけに影響するため、慎重な設計が求められます。

3. 配置とレイアウト

配置やレイアウトは、情報をどう見せるかを左右する重要な要素です。視線の流れを考えながら配置を工夫することで、見てもらいたい情報に自然と注意を向けてもらえます。たとえば重要な要素を中央に置いたり、コントラストを活かしてメリハリをつけたりすることで、理解しやすく効果的なデザインになります。これにより、全体の一貫性と伝わりやすさがさらに向上します。

4. 動き

動きやアニメーションは視線を引きつけるのにとても有効です。WEBサイトや広告で動きのある要素を使うと、情報がより印象に残りやすくなります。また、動きの速度やリズムを工夫することで、感情的な共感や体験としての心地よさも生まれます。必要以上に派手にしなくても、適切な動きが加わるだけで表現の幅は大きく広がり、伝えたい意図もより自然に届きやすくなります。

■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の成功事例

AppleのVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

Apple | VIの成功事例

シンプルでスタイリッシュなデザインで高い評価を得ています。

AppleのVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、象徴的な「リンゴ」のロゴに集約されています。このシンプルな黒のシルエットは、同社の革新性や美意識を自然に物語り、今では世界中で認知されるブランドシンボルとなりました。Appleの特徴は、どの接点でも一貫した体験をつくる姿勢にあります。製品のUI、パッケージ、広告、店舗デザインまで統一したビジュアルを徹底することで、揺るぎないブランドイメージを築いてきました。特定のカラーやフォント、デザインスタイルを丁寧に使い続けることで視覚的な認知度を高め、製品やサービスそのものをブランドとして強く印象づけています。こうした積み重ねが、Appleの大きな支持とエコシステムの形成につながっており、VIが市場価値向上に直結する好例といえるでしょう。

[ VIにおける成功ポイント ]

シンプルでミニマルなデザイン
Appleのデザインは余計な装飾を排し、製品から広告までミニマルさを徹底。無駄のない佇まいがAppleらしさを印象づけ、洗練された印象を自然に伝えています。

象徴的なロゴ
リンゴマークは文字がなくても認識されるほどの存在で、すべての製品に一貫して使われています。シンプルながら強い個性を持ち、見るだけでブランドの世界観を思い出してもらえる力があります。

モノトーンとホワイトスペースの活用
広告や製品の表現で余白とモノトーンを多く使い、製品そのものを引き立てながら、清潔感とプロらしさを感じさせています。こうした設計がAppleらしい雰囲気を自然につくり出しています。

ユニークなフォントとタイポグラフィ
独自フォント「San Francisco」によって、高い視認性と美しさを両立し、どのデジタル環境でも統一した表情をつくっています。その結果、細部まで一貫した体験が保たれます。

製品に合わせたパッケージデザイン
パッケージもシンプルで上品な仕上がりで、開封体験そのものがAppleらしさを伝える設計になっています。細部まで一貫したデザインが、購入の瞬間からブランド体験を心地よく積み重ねていきます。

店舗デザインとの統一感
Apple Storeはどの店舗でも同じ空気感を感じられるよう丁寧に整えられていて、訪れた瞬間からAppleらしい体験が自然と始まる設計になっています。

広告のトーンとビジュアル
広告は言葉を抑えつつ製品のデザインや機能を端的に見せ、Appleらしい佇まいをそのまま伝えています。その静かなトーンが製品の魅力をより際立たせ、ブランド全体の世界観とも自然に調和しています。

[ 出典 ] アップル公式サイトより

Coca-ColaのVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

Coca-Cola | VIの成功事例 】

赤と白の配色や独自のロゴ、キャッチフレーズが特徴的です

Coca-ColaのVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、象徴的なスクリプトロゴが中心にあります。流れるような筆記体はブランドの長い歴史を想起させつつ、今の時代にも馴染む柔らかさを持っています。また、赤と白の強いコントラストは視覚的なインパクトが強く、世界中で瞬時に認識されるブランドカラーとして定着しています。これらの色やロゴは広告、パッケージ、販促物まで一貫して使われ、どの国でも同じ体験を提供する基盤になっています。さらに「Taste the Feeling」に代表されるメッセージは、人の気持ちに寄り添うトーンで、ブランドが大切にしてきた価値をわかりやすく伝えています。こうした積み重ねにより、Coca-Colaは世代や文化を超えて受け入れられる存在となり、普遍的なブランドとしての地位を築いてきました。一貫したVIの運用が、ブランド価値の向上に直結することを示す代表的な事例といえます。

[ VIにおける成功ポイント ]

象徴的なロゴと筆記体のデザイン
独自の筆記体ロゴは長年ほとんど変わらず使われ続けており、Coca-Colaの伝統や信頼感を自然に伝えています。長い歴史の中で積み重ねられた印象がそのまま現在のブランド価値にもつながっています。

赤と白のブランドカラー
ブランドを象徴する赤と白は、どの媒体でも一貫して使われ、強い認知につながっています。赤は活気や楽しさを感じさせ、Coca-Colaの世界観を支える色として大きな役割を果たしています。

独自のコンツアーボトル
くびれのある独特のボトル形状は、見ても触ってもすぐにCoca-Colaとわかるほどの個性を持っています。視覚と触覚の両方でブランド体験を成立させる特徴的なデザインです。

ハピネステーマの視覚表現
広告では「ハピネス」や「共有」をテーマにしたビジュアルが多く、楽しさや爽やかさが直感的に伝わる表現で統一されています。こうした一貫性が、ブランドへの親しみをさらに高めています。

統一されたフォント
広告やパッケージで使われるフォントも親しみやすいトーンで統一されており、ブランド全体のまとまりを自然につくり出す役割を担っています。また、媒体が変わっても同じ雰囲気で伝わるため、印象のブレを抑える効果もあります。

一貫したビジュアルストーリーテリング
ブランドのストーリーを視覚で伝える手法が統一されており、世界観をわかりやすく共有できるよう設計されています。さらに、どの国や媒体でも同じトーンで伝わるよう工夫され、ブランド体験に一貫性を持たせています。

グローバルで統一されたデザインとローカライズのバランス
世界中で同じブランドイメージを保ちながら、各国の文化に合わせて表現を調整することで、幅広い地域で親しまれています。その柔軟さがCoca-Colaらしさを支えています。

[ 出典 ] コカ・コーラ公式サイトより

AirbnbのVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

Airbnbの | VIの成功事例 】

シンプルで親しみやすいデザインが特徴的です。

AirbnbのVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、そのロゴタイプとシンボルに明確に表れています。小文字で構成された丸みのあるフォントと、家の屋根を思わせる三角形のシンボルは、親しみやすさを感じさせながら、「人と場所をつなぐ」というブランド理念を視覚的に表現しています。また、Airbnbは写真のクオリティを非常に重視しており、世界中の宿泊施設を魅力的に見せるための高品質な写真が、広告やWEB上で一貫して使われています。こうしたシンプルで温度感のあるVI展開によって、Airbnbは独自の宿泊体験を提供するブランドとして位置づけられ、グローバルでの支持を着実に広げています。理念に基づいたVIの構築が、新しいビジネスモデルの価値向上に直結する好例といえるでしょう。

[ VIにおける成功ポイント ]

Béloシンボルの導入
2014年に「Bélo」と呼ばれるシンボルを導入し、「人」「場所」「愛」「A」をを表現。Airbnbが掲げる「どこにでも居場所がある」という理念を、わかりやすく視覚化したものになっています。

親しみやすさを感じさせるロゴとフォント
ロゴと専用フォントは、柔らかなラインとシンプルな造形で親しみやすさを意識した設計です。視認性が高く、どのデバイスでも同じ印象を保てるため、ユーザーに一貫したブランド体験を届けられます。

一貫したカラーとトーン
Airbnbはやわらかく落ち着いた色調を使用し、安心感やあたたかさを感じられるトーンを維持しています。特にピンクやサンドカラーが象徴的で、ユーザーに心地よい印象を与えています。

ビジュアルでのコミュニティ重視の表現
広告やWEBでは、実際のホストやゲストの写真が多く使われ、ユーザー同士のつながりを自然に伝えています。宿泊サービスだけでなく、「体験を共有する場」であるというメッセージが視覚的に伝わります。

地域ごとに柔軟に対応したデザイン
グローバルなVIを保ちながら、各地域の文化や習慣に寄り添うローカライズも行われています。世界共通のブランド価値を維持しつつ、どの地域でも親しみやすい表現に調整されています。

シンプルでユーザーフレンドリーなUI/UX
Webサイトやアプリは、迷わず操作できるようシンプルに設計されています。余計な装飾を排し、スムーズに使える体験を優先することで、ブランド全体の印象をより良いものにしています。

ホストのためのビジュアルガイドライン
Airbnbはホスト向けにもガイドラインを提供し、写真表現やコミュニケーションの基準を整えています。これにより、全体としてばらつきの少ないブランド体験が保たれています。

[ 出典 ] エアビーエンドビー公式サイトより

FedExのVI(ビジュアル・アイデンティティ)成功事例

FedEx | VIの成功事例 】

シンプルで認識性の高いロゴとデザインが特徴的です。

FedExのVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、その戦略的なロゴデザインに特徴が表れています。紫を基調としたシンプルな構成の中に、“E”と“X”の間に矢印を仕込んだデザインは、スピードと正確性といった企業が大切にしている価値を視覚的に示しています。このロゴは輸送車両や航空機にも一貫して使われ、紫のコーポレートカラーと組み合わせることで、サービスの迅速さや確実性が自然と伝わるよう工夫されています。こうした統一されたVI展開によって、FedExは高品質な輸送サービスを提供する企業として広く認知されてきました。ロゴに込められた視覚的な仕掛けも、ブランドの本質をわかりやすく伝える役割を果たし、グローバルな市場で信頼を獲得する後押しとなっています。

[ VIにおける成功ポイント ]

象徴的なロゴデザインと隠れた矢印
FedExのロゴは“E”と“X”の間に矢印が隠されており、「速さ」や「前進」を表す仕掛けが施されています。ミニマルな構成ながら、ブランドの特徴をしっかり伝えるデザインです。

サービスごとのカラー区分
ロゴの「Ex」の色がサービス別に異なり、Expressはオレンジ、Groundは緑など、どのサービスかがひと目で判断できます。利用者にとってもわかりやすい設計です。

一貫性のあるフォントとタイポグラフィ
視認性の高いフォントとシンプルなレイアウトが採用され、広告・WEB・パッケージなどあらゆる媒体で統一感が保たれています。安心感につながる要素になっています。

ビジュアルとメッセージのシンプルさ
「The World on Time」のように、短く明快なスローガンを用いることで、FedExが重視する“迅速で正確な配送”という価値をわかりやすく伝えています。

車両や航空機へのブランディング
トラックや航空機にはロゴとブランドカラーを配置し、遠目からでもひと目でわかる視認性を確保しています。街中や空港で自然と目に入り、移動しながらブランドを認知してもらえる仕組みになっています。

社員の制服や配送センターのデザイン
社員の制服や施設のデザインにもVIが反映されており、顧客が接するあらゆる場面で同じ印象を感じられるよう整えられています。こうした統一は安心感にもつながり、サービス全体の信頼性を支えています。

グローバル展開とローカライズのバランス
世界共通のVIを維持しながら、地域ごとの差異にも配慮しています。どこにいてもFedExらしさを感じられつつ、地域のニーズに合わせた柔軟さも持たせています。

[ 出典 ] フェデックス公式サイトより

■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の弊社開発実績

株式会社チビコは、企業やブランドの“らしさ”を視覚で正しく伝えるために、VI(ビジュアル・アイデンティティ)の開発を数多く支援してきました。ロゴやカラー設計はもちろん、写真トーンやレイアウトルールまで丁寧に整理し、一貫した世界観をつくることを重視しています。

 詳細記事 : 株式会社チビコ・ブランディング実績一覧

[ JAPANITURE ]
日本発の家具ブランド「JAPANITURE」の海外展開」。JAPANITUREとは、JAPANとFURNITUREの造語に由来し、ブランドコンセプトは「日出ずる国の家具」。日本の伝統と革新的でモダンなデザイン家具を海外に広く発信し新規マーケットを開拓することを目的とするブランドです。

[ 詳細 ] chobico WORKS | JAPANITUREより

[ MONOCOTO ]
MONOCOTOは、リアルソーシングを特徴とするソーシャルマニュファクチュアリングサービスです。モノが溢れ余る社会において「モノの先にあるコトの価値」が求められています。単にモノを作るという発想から、その先にあるモノを使う楽しみや経験、人とのコミュニケーションを提案するブランドです。

[ 詳細 ] chobico WORKS | MONOCOTOより

[ ASBO STAY HOTEL ]
ASBO STAY HOTELは、沖縄県金武町の豊かな自然が残る東海岸に佇む、全室オーシャンビューのリゾートホテル。澄みわたった空気と、清らかな海辺。五感のすべてに響いてくるのは、大自然からのメッセージ。精神と身体を解放することの素晴らしさを知ることのできるホテルです。

[ 詳細 ] chobico WORKS | ASBO STAY HOTELより

[ DOME ATHLETE HOUSE ]
ドームアスリートハウスは、最新の専門的かつ科学的な情報を提供し、日本のトップアスリートをソフト面から支える、世界最高水準のパフォーマンス開発機関です。日本のスポーツ全体を世界トップレベルへと引き上げ、活性化させることで豊かで活気のある社会づくりに貢献していくことを掲げるブランドです。

[ 詳細 ] chobico WORKS |DOME ATHLETE HOUSEより

FAQよくある質問

■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)開発に関するよくある質問

これまで多くのVI開発を支援する中で、企業が抱えやすい疑問や誤解を整理してきました。ここでは、VI開発で特に相談の多いポイントをわかりやすくまとめています。

[ よくある質問① ]

Q :VIとCIの違いは何ですか?
A :CI(コーポレート・アイデンティティ)は、企業の理念・価値観・存在意義を包括的に定義するブランドの「核」です。一方、VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、その理念を視覚要素(ロゴ、カラー、フォント、レイアウトなど)によって具現化し、社会に伝えるための「表現手段」です。

[ よくある質問② ]

Q :VI開発は何のために必要ですか?
A :一言でいえば、消費者に「一貫したブランドイメージを即座に伝え、記憶に残す」ためです。視覚情報が支配的な現代において、VIは認知・信頼・差別化のすべてを支える基盤であり、ブランドの印象を決定づける重要な要素となります。

[ よくある質問③ ]

Q :VIに含まれる要素は何がありますか?
A :ロゴ、カラー、フォント、写真表現、レイアウト、アイコン、シンボルなど、あらゆる視覚的要素が該当します。強いVIを構築するには、これらの要素を戦略的かつ一貫性のある設計思想のもとで組み合わせることが欠かせません。

[ よくある質問④ ]

Q :VIを統一することで得られる効果とは?
A :主に以下の5つの効果が得られます。
① ブランド理解の浸透
② 認知度の向上
③ 他社との差別化
④ 視覚的一貫性の確立
⑤ 消費者の信頼感向上

[ よくある質問⑤ ]

Q :成功事例にはどんなものがありますか?
A :以下のような、世界におけるVI成功事例が挙げられます。
① Apple:ミニマルに統一されたロゴ・フォント・空間・開封体験により、洗練された世界観を創出。
② Coca-Cola:赤と白の象徴的カラーと筆記体ロゴ、ボトル形状で普遍的なブランドアイコンを確立。
③ Airbnb:シンボルマークBéloで理念「居場所」を視覚化し、温もりのある写真体験で共感を拡張。
④ FedEx:ロゴの矢印で「速さ・正確さ」を象徴し、カラーによるサービス区分で視覚的識別を実現。

checklistチェックリスト

■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)に関するチェックリスト

VI開発を支援する中で強く感じるのは、見た目を揃えること以上に「らしさ」を表現することです。ここでは、その確認に役立つ実践的なチェック項目を整理しました。

[ VIの定義と本質を抑えるチェック ]

⬜︎ VI(ロゴ、カラー、フォント、写真など)が企業の理念や価値観を視覚的に正確に表現しているか?
⬜︎ 視覚要素(色、形など)が意図するメッセージ(例:信頼、革新、親近感)を適切に伝えているか?

[ 認知と差別化を促進するチェック ]

⬜︎ VIが統一されており、すべての接点(広告、Web、店舗など)でブランド認知が促進されているか?
⬜︎ 競合との差別化を視覚的に行えているか?視覚から「独自性」を即座に感じられるか?

[ 一貫性と信頼のあるブランド体験のチェック ]

⬜︎ ブランド全体で使用する視覚的表現(フォント、カラー、写真スタイルなど)が統一されているか?
⬜︎ VIが消費者に安心感を与え、ブランドに対する信頼やロイヤルティの構築に貢献しているか?

記事のまとめ

■ まとめ

VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、ブランドの価値や理念をロゴ、色、フォント、写真表現などの視覚要素を通じて伝えるための仕組みです。単なるデザインの統一ではなく、直感的にブランドらしさを感じてもらい、認知や信頼を育てる役割があります。視覚情報が判断の87%を占めるという事実からも、その重要性は明らかです。統一されたVIは印象を深め、差別化や長期的なファンづくりにもつながります。また、社内外の関係者と共通認識を持つことで、一貫したブランド体験を支える土台にもなります。Apple、Coca-Cola、Airbnb、FedExなどの事例が示すように、明快で統一されたビジュアルはブランド価値の向上に大きく貢献します。VIは、ブランド戦略の中で欠かせない要素といえるでしょう。

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

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