[ ブランディングデザイン ]
CI(コーポレート・アイデンティティ)の意味や目的と開発とは
CI(コーポレート・アイデンティティは企業の「顔」とも言えます。これは単なるロゴやデザインの枠を超えて、企業の本質を表現するために重要です。企業が掲げる理念や価値観、そして日々の行動指針まで、すべてに一貫性を持って伝えていくための戦略です。企業がどのような存在でありたいのか、何を大切にしているのかを、視覚的な要素と合わせて表現することで、顧客や取引先、そして従業員との間に強い信頼関係を築いていきます。特に競争の激しい市場では、他社との差別化が重要になってきます。そんな中で、しっかりとしたCIは企業の強みとなり、ブランドの認知度向上にも大きく貢献します。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、CIの基本的な意味と目的、そしてその開発のステップについて詳しく解説します。
■ CI(コーポレート・アイデンティティ)の意味
企業の魅力を伝え、信頼を築くために重要な戦略がCI(コーポレート・アイデンティティ)です。単に企業の外見を整えるだけではなく、その企業が持つビジョンや価値観、そして他社にはない独自性を、統一された形で表現していきます。CIには、重要な要素としてロゴやカラー、フォント選びなどがあります。しかし、それ以上に大切なのが、企業理念や伝えたいメッセージ、そしてコミュニケーションです。これらすべての要素が調和することで、企業の一貫したイメージが構築できます。しっかりとしたCIは、お客様に安心感と信頼感を与え、「この企業を選び続けたい」という気持ちにさせます。同時に、社員一人ひとりにも企業の進むべき方向性を示し、誇りを持って仕事に取り組める環境を作り出します。このように、CIは企業の「今」と「未来」をつなぎ、持続的な成長を支える重要な基盤となります。
■ CI(コーポレート・アイデンティティ)の目的
CI(コーポレート・アイデンティティ)を開発する最大の目的は、独自の個性を確立し、多くの人々に認識してもらうためです。でも、それだけではありません。CIには、組織全体を一つにまとめ上げる力があるのです。古くは戦国時代、武将たちは家紋を旗印として掲げました。これは単に味方を見分けるためだけでなく、その旗の下に集う兵たちの結束を強め、誇りを持たせる効果がありました。現代でも同じことが言えます。例えば、佐川急便の青い横縞のユニフォーム。着ている人を見かければ、誰もが一目で「佐川急便の社員だ」と分かります。そして、このユニフォームを着る社員自身も、自分が会社の「顔」であることを意識し、自然と良いマナーを心がけるようになります。
1. 認知の向上
認知度を高める企業の存在感を市場で際立たせるため、CI(コーポレート・アイデンティティ)は重要な役割を果たします。統一されたロゴやメッセージは、消費者の記憶に残りやすく、企業の価値を効果的に伝えることができます。これにより、ブランドへの関心が高まり、市場での競争力も向上していきます。
2. アイデンティティの確立
企業の「らしさ」を明確に打ち出すことは、ブランドづくりの基本です。まず、企業のビジョンや価値観を明確に表現します。これによって、お客様や従業員の共感を得て、企業文化が根付いていきます。その結果、より深い信頼関係が築かれ、ブランドへの愛着も強まっていくのです。
3. 組織の統制
CI(コーポレート・アイデンティティ)は世界中の消費者に向けて、一貫したブランドイメージを届ける重要な役割を担っています。各地域の文化や価値観を尊重しながらも、ブランドの核となる部分はしっかりと保ち続けることで、より幅広い顧客層との絆を築くことができます。
■ CI(コーポレート・アイデンティティ)を構成する3つの要素
MI(マインド・アイデンティティ)
企業は何のために存在し、何を目指しているのか。MI(マインド・アイデンティティ)は、そんな企業の根本的な価値観や存在意義を表すものです。この「企業の心」とも言えるMIがしっかりと定まることで、社員一人ひとりが目標に共感し、独自の企業文化が育まれていきます。また、企業全体でこの理念を共有することで、ブランドとしての一貫性も保たれていきます。
BI(ビヘイビア・アイデンティティ)
企業理念を掲げるだけでは意味がありません。BI(ビヘイビア・アイデンティティ)は、その理念を日々の行動に具体的に落とし込むための指針となります。社員一人ひとりの行動が企業の価値観と結びつくことで、お客様や社会との間に確かな信頼関係が築かれていきます。言わば、企業理念を「形」にする役割を担っているのです。
VI(ビジュアル・アイデンティティ)
企業の個性を視覚的に表現するのが、VI(ビジュアル・アイデンティティ)の役割です。ロゴマークやブランドカラー、使用するフォントなど、目に見える要素を通じて、企業の魅力を伝えていきます。統一感のあるデザインは、お客様の記憶に残りやすく、他社との違いを際立たせる効果もあります。これにより、ブランドの認知度が高まり、企業の存在感も強まっていくのです。
[ 詳細記事 ] VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは何か?
■ CI(コーポレート・アイデンティティ)開発のプロセス
1. 現状調査と分析
CI(コーポレート・アイデンティティ)開発の第一歩は、企業の現状を深く理解するための調査と分析です。企業の強み・弱み、ビジョン、経営方針、組織文化などを把握し、CI戦略の基盤を築きます。また、競合他社のCIやブランドの特徴を調査し、自社のポジションを明確化します。ターゲット顧客のニーズや価値観も調べ、企業がどのような価値を提供できるかを確認します。こうしたデータは、企業のアイデンティティを表現するためのコンセプトを策定する際に必要な基礎情報となります。
2. ブランドコンセプトの策定
企業の調査結果をもとに、CI(コーポレート・アイデンティティ)の根幹となるブランドコンセプトを策定します。ブランドコンセプトは、企業が顧客に提供したい価値や、社会に果たすべき役割を明確にするためのものです。これにより、企業の理念や方向性が具体的な言葉で表現されます。企業の目指すビジョンと一致したコンセプトを持つことで、CI戦略全体の一貫性が高まります。また、社員や顧客の共感を得やすく、社内外でのメッセージの共有がスムーズに行われます。
3. デザイン開発
ブランドコンセプトを視覚的に表現するためのデザイン開発を行います。企業のイメージにふさわしいロゴ、ブランドカラー、フォントなどを決定し、視覚的なアイデンティティを開発します。デザイン要素は一貫性が重要で、ガイドラインに沿ってロゴやカラー、タイポグラフィなどが整理します。WEBサイト、名刺、会社案内、広告などのあらゆるデザインに統一感をもたらすことで、企業イメージが視覚的に定着しやすくなります。
4. コミュニケーション方針の策定
CI(コーポレート・アイデンティティ)の効果を最大限に発揮するには、社内外での効果的なコミュニケーションが不可欠です。企業理念やブランドコンセプトを社員全体に浸透させるための研修やイベントを企画し、CIに対する共感と理解を深めます。対外的には、顧客やパートナー企業に向けた発信方法を整備し、メディアを通じて効果的に企業の価値を伝える体制を築きます。これにより、社内外でのCIの一貫性が確保され、信頼性が高まります。
5. 実行計画の立案
CI(コーポレート・アイデンティティ)導入に向けスケジュールと予算を設定し、実行計画を立案します。ブランドコンセプトやデザインの適用範囲を具体的に決め、CIを導入するための段階的な施策を設計します。また、各部門の役割や責任を明確化し、必要なリソースを配分します。この計画に基づき、CIの浸透が段階的かつ効果的に進むように進行管理が行われ、CIの全社的な実施がスムーズに行われます。
6. 実行と浸透活動
計画に沿ってCI(コーポレート・アイデンティティ)を実行し、企業内外で浸透を図ります。CIガイドラインに基づき、ウェブサイト、名刺、商品パッケージ、広告などにCIを反映させ、企業イメージの統一感を持たせます。また、社内教育を通じて社員にCIの意義を浸透させ、企業全体が同じ価値観を共有する体制を整えます。これにより、CIの効果が企業全体に反映され、ブランディングの力が強化されます。
■ CI(コーポレート・アイデンティティ)開発の構成要素
1. ロゴデザイン
ロゴデザインは、企業やブランドの「顔」として、その存在や価値を一目で伝える重要な役割を担っています。CI(コーポレート・アイデンティティ)の中でも特に重要な要素で、色使いやフォントの選び方一つで、企業の印象は大きく変わります。フォントの種類によって「信頼感」や「親しみやすさ」、「革新性」といった異なる印象を与えることができ、色の組み合わせによっても企業の個性を効果的に表現できます。現代のロゴデザインは、単体で使用されるだけでなく、企業のキャッチフレーズ(タグライン)やスマートフォンのアプリアイコンなど、様々な形で展開されることを想定して作られています。このように、ロゴは企業のブランドイメージを凝縮した象徴として活躍しているのです。
[ 詳細記事 ] ブランドロゴとシンボルデザイン開発のポイントとは
2. カラーパレット
カラーパレットは、企業のブランドイメージを統一的に表現するCI(コーポレート・アイデンティティ)の重要な要素です。慎重に選ばれた色づかいには、そのブランドならではの個性や価値観が反映されており、見る人の心に様々な印象を与えることができます。例えば、青色を見ると安心感や信頼性を感じ、赤色からは情熱的なエネルギーが伝わってきます。このように、綿密に計画されたカラーパレットは、ブランドの認知度を高め、顧客との強い結びつきを生み出すことができます。さらに、このカラーパレットをロゴや商品のデザインにも一貫して取り入れることで、ブランド全体に統一感が生まれるのです。
3. フォント
フォントは、企業のブランドイメージを形作るCI(コーポレート・アイデンティティ)において、重要な役割を担っています。フォントの種類、大きさ、色使いなどを、ブランドの持つ雰囲気やスタイルに合わせて選ぶことで、より印象的なブランドイメージを作り出すことができます。例として、モダンでシンプルな印象を大切にするブランドでは、すっきりとした読みやすいフォントを選ぶことが多いでしょう。対照的に、歴史や伝統を重んじるブランドでは、優美で装飾的な文字を好んで使う傾向にあります。さらに、より独自性を追求するブランドでは、自社だけのオリジナルフォントを開発することで、他にはない個性を表現することもあるのです。
4. 写真イメージ
CI(コーポレート・アイデンティティ)において、写真は企業や商品の魅力を伝える重要な表現手段です。写真には、製品やサービスの特徴を視覚的に分かりやすく伝える力があり、それによって消費者の心に深く響き、ブランドの存在感を高めることができます。そのため、企業や商品の個性が最も効果的に表現できるよう、撮影方法や編集技術にもこだわりが必要です。適切に選ばれた写真は、ブランドの印象をより鮮やかに印象付けることができるのです。特にSNSやWebサイトでの活用に優れており、見る人の記憶に残る魅力的なデザインを作り出すことができます。
■ CI(コーポレート・アイデンティティ)の基本デザイン開発
1. ネーミング開発
ネーミング開発は、そのブランドの第一印象を左右する大切な要素となります。ネーミングには、その企業が大切にしている考えや価値観、そして業界での独自の立ち位置が映し出されます。良いネーミングとは、お客様に覚えていただきやすく、親しみを感じてもらえるものです。さらに、スムーズに発音でき、世界のどの市場でも通用する名前であることが望ましく、そのためにはターゲットとなる地域の文化や言葉の特徴もしっかりと考慮する必要があります。
2. 企業理念開発
企業理念とは、その会社が何のために存在し、何を大切にし、どんな未来を目指しているのかを言葉にしたものです。これは社内の人々にも、外部の方々にも、会社の進むべき道を示す道標となります。明確な企業理念があることで、従業員全員が同じ目標に向かって歩みを進めることができ、お客様にもその企業の想いが伝わりやすくなります。さらに、企業理念は会社独自の文化を育み、組織全体が一つの方向性を保ちながら成長していくための土台となります。
3. ロゴデザイン開発
ロゴデザインは、企業の顔とも言える大切な視覚的シンボルであり、会社の大切にしている想いや目指す未来への願いが込められています。良いロゴデザインは、シンプルな形でありながらも、その企業ならではの個性が光り、見る人の心に自然と刻まれるようなデザインを持っています。そして、名刺や封筒、WEBサイトなど、どんな場所で使われても魅力的に見えるよう、その形や色使いは入念に検討します。
[ 詳細記事 ] ブランドロゴとシンボルデザイン開発のポイントとは
4. 正式社名ロゴタイプデザイン開発
正式社名ロゴタイプとは、企業の名前を印象的に魅せる特別なフォントデザインのことです。企業のイメージを統一的に表現しつつ、他の企業とは一線を画すため、その会社らしさが感じられる独自の文字デザインを生み出します。そこには、誰もが読みやすく親しみやすい要素を残しながら、その企業ならではの個性や魅力を巧みに表現することが求められます。
5. 指定書体の選定
指定書体は、企業が発信する様々な文章やメッセージに統一感を持たせるために選ばれたフォントです。文字の形や雰囲気が企業のイメージにぴったりと合うものを選ぶことで、どんな言葉にもその企業らしさが自然と表れます。また、社内での書類から対外的な広告まで、幅広い場面で使われることを考え、読みやすさはもちろん、デジタル画面での見え方にも気を配って選定します。
6. ブランドカラーの選定
ブランドカラーは、企業の個性や伝えたい想いを色を通して表現する大切な要素です。色には私たちの心に働きかける力があり、企業らしさやメッセージをより印象的に伝えるため、慎重に選ばれています。たとえば、青色からは信頼感や知的な印象が、赤色からは熱意や力強さが感じられるものです。そして、一度選ばれたブランドカラーは、ロゴや店舗のデザイン、広告など、様々な場面で統一して使われます。
[ 詳細記事 ] ブランドカラーとは?設定方法とロゴの配色について
7. ブランドステートメント開発
ブランドステートメントは、企業がお客様に対して「何を大切に」「どんな価値を」お届けしたいのかを表現した大切なメッセージです。そこには、そのブランドならではの特徴や果たすべき使命が、分かりやすい言葉で込められており、お客様にとってそのブランドがどんな存在でありたいのかが示されています。このメッセージは広告や様々な企業活動の中で一貫して使われます。
8. ロゴガイドライン開発
ロゴガイドラインは、企業のシンボルであるブランドロゴを正しく美しく使うための大切な規定です。ロゴの大きさや配置の仕方、色使い、背景との組み合わせなど、細かな使用ルールを明確に定めることで、どんな場面でも統一された印象を保つことができます。このガイドラインがあることで、ロゴが不適切に使われることを防ぎ、ブランドの価値を守りながら、一貫したイメージを築いていくことができます。
■ CI(コーポレート・アイデンティティ)の各種アプリケーションデザイン開発
1. ステーショナリーデザイン(名刺・封筒・レターヘッドなど)
ステーショナリーデザインは、名刺や封筒、レターヘッドといった基本的な文具類に、企業らしさを統一感を持って表現することで、会社の信頼性とブランドの魅力を効果的に伝えるものです。これらの文具に会社のロゴや決められた色を一貫して使用することで、お客様との出会いの場面で良い印象を残し、企業の存在感を高めることができます。こうした細やかな配慮が、会社の専門性を印象づけ、長く愛されるブランドづくりにつながっていくのです。
2. サインデザイン計画(パネル・広告看板・標識・案内表示など)
サインデザイン計画とは、様々な案内板や看板、標識などのデザインに統一感を持たせ、誰もが見やすく分かりやすいものにする取り組みです。ブランドカラーやロゴを効果的に取り入れることで、建物や施設全体に一貫した雰囲気を生み出すことができます。そして、案内表示や広告看板に至るまで、このような配慮の行き届いたデザインを通じて、お客様からの信頼を深め、企業の印象をより魅力的なものにします。
3. 各種印刷物デザイン(会社案内・プレスリリース・商品カタログなど)
印刷物デザインは、会社の案内資料やプレスリリース、商品カタログなどを通して、企業の魅力を伝える重要な役割を担っています。これらのデザインには、企業らしさを一貫して表現しながらも、読む人にとって分かりやすく、必要な情報が伝わることが大切です。このように、企業の想いや商品の特徴を印象的に伝えることで、ブランドの価値を高め、お客様に繰り返し選んでいただけるような関係づくりに繋がります。
4. WEBサイトデザイン(コーポレートサイト・ブランドサイト・採用サイトなど)
WEBサイトは、インターネットでの企業の顔として、見る人に最初の印象を決める大切な存在です。企業の目指す未来や伝えたいメッセージを、統一感のあるデザインで表現し、誰もが使いやすい画面構成を提供することで、お客様からの信頼と興味を得ることができます。さらに、魅力的なコンテンツや便利な機能を適切に取り入れることで、企業とお客様との絆を深め、ブランドの価値を高めていくことができます。
5. ユニフォームデザイン(服・帽子・腕章・名札・ワッペンなど)
ユニフォームデザインは、従業員の服装やアイテムを通してブランドイメージを表現できます。統一されたデザインが、チームの連帯感を生み、顧客に対して一貫した印象を与えます。ロゴやカラーの一貫性により、従業員は企業ブランドの一員として、ブランドの個性を視覚的に強化します。
6. 車輌デザイン(営業車両・輸送車両・船舶・航空機など)
車輌デザインは、営業車や配送車などに企業のロゴや特徴的な色使いを施すことで、街中を走りながらブランドの存在感を広めていく役割を担っています。人目を引く色の組み合わせやデザインを工夫することで、より多くの地域の方々に企業の印象を届けることができます。このように、企業の確かな信頼性とプロとしての誇りを車両のデザインに込めることで、走る広告として効果的にブランドの魅力を伝えられます。
■ CI(コーポレート・アイデンティティ)開発の成功事例
【 AppleのCI(コーポレート・アイデンティティ)開発 】
【 シンプルでスタイリッシュなデザインで高い評価を得ています 】
Appleは、自社のコンピューターが新鮮で革新的な存在であることを表現するため、ロゴに林檎の形を選びました。そのロゴは洗練された黒一色で描かれ、高い美意識を感じさせるデザインとなっています。Appleのビジュアル・アイデンティティの特徴は、熱心なファンを生み出すことを意識した、シンプルで統一感のあるデザインにあります。製品のインターフェースやパッケージ、広告、店舗づくりなど、あらゆる場面で一貫したデザインの体験を提供することで、Appleならではのブランドイメージを築いているのです。特別に選ばれたデザインの様式や色使い、文字のスタイルを通じて、視覚的な認知度を高め、製品やサービスのブランド力を強化しています。このような取り組みにより、Appleは独自の世界観を創り上げ、世界中のお客様から強い支持を得ているのです。
【 CI(コーポレート・アイデンティティ)開発の成功ポイント 】
⚫︎シンプルで洗練されたデザイン
AppleのCI(コーポレート・アイデンティティ)は、「シンプルであること」を何よりも大切にしています。製品はもちろん、パッケージや広告、店舗に至るまで、無駄を削ぎ落とした洗練されたデザインで統一されているのです。このように一貫した美意識で作り上げられたAppleの世界観は、見る人の心に深く印象づけられています。
⚫︎ロゴの象徴性と認知度
Appleのリンゴのマークは、シンプルながらも印象的なデザインで、世界中の人々の心に刻まれています。このマークは文字を必要とせずとも、見た人が自然と「Apple」を思い浮かべるほどの高い認知度を持ち、それがブランドの強い個性となっているのです。
⚫︎Think Differentのコーポレートメッセージ
Appleは1997年、「Think Different」という力強いメッセージを掲げ、独創性と革新を大切にする企業としての姿勢を鮮やかに打ち出しました。このメッセージにより、新しいことに挑戦し、自由な発想を大切にするブランドとしてのイメージが人々の心に根付き、他のどの企業とも違う存在として認められるようになったのです。
⚫︎統一感のあるユーザー体験
Appleは製品の使いやすさやデザイン、そしてApple Storeでの接客に至るまで、すべてにおいて統一された世界観を徹底しています。シンプルで感覚的に使える操作性を追求することで、お客様がどの製品を手に取っても、Appleならではの心地よい体験ができるよう、細やかな配慮が施されているのです。
⚫︎店舗デザインによるブランド体験
Apple Storeは、Appleが大切にする世界観を忠実に表現した空間として設計されており、店内のすみずみにまでAppleらしさが息づいています。お客様はこの特別な空間で、Appleの世界観を肌で感じることができ、それによってブランドへの信頼と愛着がより一層深まっていくのです。
⚫︎サステナビリティの取り組み
Appleは、環境に優しい製品づくりやリサイクルの取り組みを通じて、企業としての大切な考えを形にしています。このように地球環境を大切にする姿勢は、ブランドとしての価値をより高めており、現代を生きる私たちの心に深く響いているのです。
[ 出典 ] アップル公式サイトより
【 Coca-ColaのCI(コーポレート・アイデンティティ)開発 】
【 赤と白の配色や独自のロゴキャッチフレーズなどが特徴的です 】
コカ・コーラのロゴは、優雅な波のような曲線を描き、懐かしさと新しさが見事に調和したデザインとなっています。印象的な赤と白の組み合わせは、見る人の心に鮮やかに焼き付き、コカ・コーラならではのブランドイメージを作り出しています。この赤と白の世界観は、広告やパッケージ、ポスターなど、あらゆる場面で一貫して使われ、コカ・コーラらしさを感じられる体験を提供し続けています。「Taste the Feeling」というキャッチフレーズには、誰もが親しみやすく、心が温かくなるような想いが込められており、ブランドの魅力をより一層引き立てています。コカ・コーラのビジュアル・アイデンティティには、世界中の人々から愛され、親しまれるブランドになりたいという願いが込められています。そして実際に、コカ・コーラは世界で最も愛されている飲み物の一つとなり、多くの人々から支持され続けているのです。
【 CI(コーポレート・アイデンティティ)開発の成功ポイント 】
⚫︎象徴的なロゴとブランドカラー
コカ・コーラのロゴは、独自の筆記体と、赤と白という鮮やかな色の組み合わせにより、一目見ただけで誰もが分かる強い個性を持っています。このシンプルながらも印象的なデザインは、見る人の心に変わらないイメージを刻み、世界中でコカ・コーラを代表する象徴となっています。
⚫︎一貫したボトルデザイン
コカ・コーラは、1915年に生まれた「コンツアーボトル」という特別なデザインによって、商品そのものに独自の個性を与えています。このなめらかな曲線を描くボトルは、見た目だけでなく手に取った感触でもコカ・コーラらしさを感じられるよう工夫されており、他にはない魅力を生み出しています。
⚫︎Happiness(ハピネス)のブランドメッセージ
コカ・コーラは、「幸せ」や「爽やかさ」をテーマに、楽しい瞬間や前向きな体験を大切にするメッセージを届け続けています。このブレることのない想いは、広告活動から製品を味わう時まで、すべてに一貫して込められており、多くの人々の心に響いています。
⚫︎グローバル展開とローカライズ
コカ・コーラは、世界共通のブランドイメージを大切にしながらも、それぞれの国の文化に寄り添ったメッセージや広告を展開しています。このように、世界で一つの顔を持ちながら、地域ごとの特色を活かした表現を取り入れることで、より多くの人々に親しみを感じてもらえるよう工夫しています。
⚫︎サステナビリティと社会貢献活動
コカ・コーラは、リサイクルの推進や環境を守る活動を通じて、持続可能な社会づくりに真剣に取り組んでいます。このような誠実な姿勢は、現代を生きる私たちの共感を呼び、ブランドとしての信頼感をより一層高めることにつながっています。
⚫︎シンプルで共通性のある広告
コカ・コーラは、「Share a Coke(コカ・コーラを誰かと分かち合おう)」といった、シンプルで心に響くメッセージを世界中で展開し、同じ想いで人々の心とつながっています。このように分かりやすい広告活動を通じて、ブランドらしさを印象づけ、お客様との深い絆を育んでいます。
[ 出典 ] コカ・コーラ公式サイトより
【 AirbnbのCI(コーポレート・アイデンティティ)開発 】
【 シンプルで親しみやすいデザインが特徴的です 】
Airbnbのロゴは、優しい丸みを帯びた小文字で「airbnb」と表され、その右上には家の屋根を思わせる三角形のマークが添えられています。このシンプルで親しみやすいデザインには、「人と人をつなぎ、世界をより広く深く体験してほしい」というAirbnbの想いが込められています。Airbnbのブランドイメージづくりでは、写真が特に重要な役割を果たしています。世界中にある個性豊かな宿泊施設の魅力を伝えるため、質の高い写真を通じて、その場所ならではの雰囲気や特別な体験を印象的に紹介しています。広告やWEBサイトでも魅力的な写真を使用することで、見る人の心を引きつける視覚体験を提供しているのです。このように、シンプルで親しみやすく、かつ明確なメッセージを持つビジュアル・アイデンティティにより、Airbnbは独自の宿泊体験を提供するブランドとして、世界中の旅行者から愛されているのです。
【 CI(コーポレート・アイデンティティ)開発の成功ポイント 】
⚫︎ロゴと象徴的なシンボルの導入
Airbnbは2014年、「ベロ」と名付けた新しいロゴを生み出しました。このシンボルには「人」「場所」「愛」、そしてAirbnbの「A」という4つの意味が一つに溶け込んでおり、温かな親しみやすさと、みんなで作り上げるコミュニティの絆が表現されています。このシンボルは一目で分かりやすく、Airbnbが大切にする想いを象徴する印として、多くの人々の心に深く刻まれました。
⚫︎Belong Anywhereのブランドメッセージ
Airbnbは「Belong Anywhere(どこにでも居場所がある)」という心温まるメッセージを掲げ、旅先でも我が家のようにくつろげる特別な体験を提供しています。この想いを通じて、単に泊まる場所を提供するだけでなく、「誰もが自分の居場所を見つけられる」という大切な価値観を伝え、多くの人々の共感を集めています。
⚫︎一貫したVI(ビジュアルアイデンティティ)
Airbnbは、WEBサイトやアプリ、広告、ホストへの案内など、あらゆる場面で統一された視覚的なデザインを取り入れ、どこでもAirbnbらしい雰囲気が感じられるよう心がけています。このシンプルで親しみやすいデザインは、利用する人々に温かな親近感と確かな信頼感を与え、ブランドとしての一貫性を大切にしています。
⚫︎グローバルなブランドイメージとローカライズ戦略
Airbnbは、共通のロゴやメッセージを持ちながらも、それぞれの地域の文化や人々のニーズに合わせた広告や伝え方を大切にしています。このように世界で一つの顔を持ちつつ、各国の文化や価値観に寄り添ったアプローチを取ることで、地域の人々との親しみを深め、世界中で信頼されるブランドとなっています。
⚫︎ユーザー生成コンテンツとコミュニティの強化
Airbnbは、実際に利用した人々のレビューや写真、心温まるエピソードを大切な宝物として活かし、みんなで作り上げるブランドづくりを進めています。こうして共有される体験を通じて、利用者同士の絆が深まり、Airbnbが大切にする「どこでも居場所があり、人とつながれる」という想いが、多くの人々の心に自然と届いています。
⚫︎サステナビリティと多様性への取り組み
Airbnbは、環境に優しい観光のあり方や、様々な文化や個性を認め合うことの大切さを積極的に発信しています。このような社会的な価値を大切にする姿勢は、現代を生きる私たちの共感を呼び、ブランドへの信頼と愛着をより一層深めることにつながっています。
[ 出典 ] エアビーエンドビー公式サイトより
【 FedExのCI(コーポレート・アイデンティティ)開発 】
【 シンプルで認識性の高いロゴと独自のデザインが特徴的です 】
FedExのロゴは、紫色の文字で「FedEx」と表現され、文字と文字の間に絶妙な空間を設けることで、全体が一つの形として調和しています。一見シンプルなこのロゴには、文字の形に巧みな工夫が施されており、見る人の記憶に鮮やかに残るデザインとなっています。実は、このロゴの中には2つの矢印が隠されているのですが、これはFedExのサービスが持つスピードと正確さを表現しているのです。FedExのビジュアル・アイデンティティは、このロゴデザインの特徴を活かした独自の世界観が特徴です。例えば、配送トラックや飛行機には、ロゴと同じ紫色が印象的に使われ、トラックの側面には矢印のデザインが大きく描かれています。こうした視覚的な表現を通じて、FedExは輸送サービスの迅速さと確実性を伝え、お客様からの信頼を築いています。このように、シンプルながら認識性が高く、ロゴの特徴を巧みに活用したデザインにより、FedExは質の高い輸送サービスのイメージを確立し、世界中のビジネスパーソンから厚い信頼を得ているのです。
【 CI(コーポレート・アイデンティティ)開発の成功ポイント 】
⚫︎シンプルで象徴的なロゴデザイン
FedExのロゴは、白い背景に紫とオレンジの文字を組み合わせたシンプルなデザインですが、その中に巧みな工夫が施されています。「E」と「X」の間に隠された矢印には、「前に進む力」「スピーディーさ」「確かな信頼性」という企業の想いが込められており、見る人の心に自然とメッセージが伝わるような絶妙なデザインとなっています。
⚫︎ブランドカラーによるサービス区分
FedExは、ロゴの「Ex」部分の色を変更することで、さまざまなサービス(Express、Ground、Freightなど)を識別しやすくしています。このカラーシステムにより、顧客が各サービスを一目で識別でき、ブランドの統一感を保ちながら多様なサービス展開を可能にしました。
⚫︎The World on Timeのブランドメッセージ
FedExは「The World on Time(世界を、時間通りに)」というスローガンを通じて、確かな信頼性とスピーディーさを何よりも大切にする姿勢を表現しています。このメッセージにより、「正確で素早い配送」というFedExの変わらぬ想いが人々の心に響き、企業としての信頼をより一層深めることができました。
⚫︎一貫したビジュアルアイデンティティ
FedExは、配送車や飛行機、スタッフの制服、配送施設に至るまで、すべてにロゴと決められた色使いを統一して取り入れています。このように、お客様との出会いのすべての場面で変わることのないブランドの姿を見せることで、世界のどこでも同じ信頼感とFedExらしさを感じていただけるよう心がけています。
⚫︎グローバル展開とローカライズ戦略の調和
FedExは、世界共通のブランドイメージを大切に守りながらも、それぞれの地域の文化や人々のニーズに合わせたきめ細かな対応を心がけています。このように、世界で一つの顔を持ちながら、地域ごとの特色を活かしたサービスを提供することで、どの国のお客様からも安心して選んでいただける企業として認められています。
⚫︎サステナビリティと効率的な物流への取り組み
FedExは、環境を大切にする姿勢を形にするため、電気で走る車両や自然の力を活かしたエネルギーの活用に積極的に取り組んでいます。このような地球環境への真摯な配慮は、未来を見据えた企業としての評価を高め、ブランドとしての価値をより一層輝かせることにつながっています。
[ 出典 ] FedEx公式サイトより
■ まとめ
CI(コーポレート・アイデンティティ)は、企業のシンボルマークやロゴ、キャッチフレーズ、様々なデザインだけでなく、企業から生み出されるすべてのものに宿る大切な要素なのです。企業が発信するあらゆるものに一貫した企業らしさを込めることで、強いブランドの土台が築かれ、お客様にとってもその企業の個性や魅力が分かりやすくなります。もし「これまであまりCIを意識してこなかった」という場合は、企業から送り出される一つ一つの成果物が、本当に企業の想いや個性を映し出せているかを、丁寧に確認してみることが大切です。
株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。
【 ご質問、お打合せ希望など、お気軽にお問合わせください。】
– ブランド戦略からデザイン開発まで –
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