
[ ブランディングデザイン ]
ブランドスローガンの特徴と成功事例6選
ブランドスローガンは、企業や製品の個性や価値を消費者に強く印象付ける、短くてインパクトのあるフレーズです。スローガンは、ブランドのメッセージを簡潔に伝え、顧客の記憶に残ることで、企業の認知度やロイヤルティを高める役割を果たします。成功するブランドスローガンには、シンプルで覚えやすいだけでなく、ブランドの理念や感情的価値を反映し、顧客に共感を与える要素が含まれています。Nike「Just Do It」やMcDonald’s「I’m Lovin’ It」といった例は、単なるフレーズを超えて、消費者との感情的なつながりを強化しています。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、ブランドスローガンの特徴と、成功を収めた事例を紹介し、その背後にある要素や戦略について詳しく解説します。
■ ブランドスローガンの特徴

【 短く覚えやすいフレーズ 】
短くて覚えやすいスローガンは、消費者に強い印象を与え続けます。近年の成功事例として、Netflixの「See What’s Next」が挙げられます。このフレーズは、ユーザーに新しいコンテンツを楽しみにさせるシンプルなメッセージを伝えます。また、Spotifyの「Music for Everyone」は、音楽がすべての人に開かれていることを表現し、広範なユーザー層にリーチしています。短いフレーズは、ブランドの認知度を高め、日常的に使われることでブランド価値を維持します。
【 ブランド価値を伝えるメッセージ 】
ブランドスローガンは、そのブランドの核となる価値や提供するものを明確に伝えるメッセージが求められます。最近の例では、Teslaの「Accelerating the World’s Transition to Sustainable Energy」が挙げられます。このスローガンは、Teslaが推進する持続可能なエネルギーへの移行という企業ミッションを強力に表現しています。また、Patagoniaの「We’re in Business to Save Our Home Planet」も、ブランドの環境保護に対するコミットメントを直接的に伝え、消費者の共感を得ています。
【 エモーショナルな訴求力 】
エモーショナルな訴求力を持つスローガンは、消費者との深い感情的なつながりを築くために重要です。たとえば、Airbnbの「Belong Anywhere」は、ユーザーにどこにいても「居場所」を感じさせるという強い感情的なメッセージを提供しています。さらに、Doveの「Real Beauty」は、美の多様性を称賛し、消費者の自己肯定感を高めるメッセージとして非常に効果的です。感情に響くスローガンは、ブランドとの結びつきを強化し、消費者の記憶に長く残ります。
▶︎ 詳細記事:エモーショナルブランディングとは?[ 感情に訴えかける手法 ]
■ 成功するブランドスローガンの条件

1. 一貫性と長期的な使用
成功するブランドスローガンには一貫性があり、長期間にわたって使用し続けることが重要です。一貫したメッセージは、消費者に対して信頼感を与え、ブランドとの強固な関係を築く基盤となります。例えば、コカ・コーラのスローガンは時代を超えて愛され続け、ブランドのアイデンティティを強化しています。
2. 時代に合わせた柔軟性
時代やトレンドの変化に合わせてスローガンを柔軟に調整する能力も重要です。成功するブランドは、基本的なメッセージを保ちながらも、適応力を持って市場のニーズに応えます。例えば、マクドナルドは「I’m Lovin’ It」を基本としつつ、地域ごとに異なるプロモーションを展開しています。このセクションでは、時代に合わせた柔軟性がもたらす利点について説明します。
3. ユニークさと独自性
競合が多い市場において、ユニークで独自性のあるスローガンは、ブランドを際立たせる重要な要素です。独自性のあるスローガンは、消費者の心に深く刻まれ、他ブランドとの差別化を図る手段となります。例えば、De Beersの「A Diamond is Forever」は、ダイヤモンドの価値を永遠のものとして位置付け、ブランドの強みを際立たせました。
■ ブランドスローガンの成功事例

【 資生堂のブランドスローガン成功事例 】
「 一瞬も一生も美しく 」
資生堂のスローガン「一瞬も一生も美しく」は、女性の美に対する瞬間的な満足感と長期的な美しさを同時に提供するというブランドの理念を体現しています。このメッセージは、化粧品の一時的な効果だけでなく、長く続く美しさをサポートすることを強調しています。消費者に対して一貫した美の追求を訴えかけ、ブランドに対する信頼感を高めるとともに、幅広い層に強く支持されています。
[ 出典 ] 資生堂公式サイトより
[ 出典 ] 広告辞典・編集部より

【 ユニクロのブランドスローガン成功事例 】
「 Life Wear 」
ユニクロのスローガン「Life Wear」は、日常生活に密着した衣服を提供するというブランドコンセプトを表現しています。この言葉は、単なるファッションアイテムではなく、機能性と快適さを兼ね備えた「生活の一部」としての服を意味しています。シンプルかつ実用的でありながら、デザイン性も兼ね備えた製品が、幅広い年齢層から支持されており、ユニクロのブランド価値を高めています。
[ 出典 ] 株式会社 ファーストリテイリング公式サイトより
[ 出典 ] ユニクロ公式サイトより

【 リクルートのブランドスローガン成功事例 】
「 まだ、ここにない、出会い。 」
リクルートのスローガン「まだ、ここにない、出会い。」は、新しい機会や可能性を提供するという企業の使命を強く表現しています。このメッセージは、消費者に対して未知の出会いや挑戦を促し、リクルートが常に新しい価値を創出する存在であることを印象づけます。これにより、ユーザーの期待感を高め、リクルートが提供するサービスの信頼性を強化しています。

【 カゴメのブランドスローガン成功事例 】
「 自然を、おいしく、楽しく。 」
カゴメのスローガン「自然を、おいしく、楽しく。」は、自然の恵みを最大限に生かした食品作りを目指すブランドの姿勢を表しています。このメッセージは、健康的でおいしい食品を提供するだけでなく、食事の楽しさや喜びも重視しています。消費者に自然の味わいを楽しんでもらうことを訴求し、カゴメの製品が持つ安心感や信頼性をさらに高める役割を果たしています。

【 ニトリのブランドスローガン成功事例 】
「 お、ねだん以上。 」
ニトリのスローガン「お、ねだん以上。」は、価格以上の価値を提供するというブランドの約束をシンプルに伝えています。このメッセージは、手頃な価格でありながら、品質やデザインに妥協しないという姿勢を強調しています。消費者に対して「お得感」と「満足感」を提供し、ニトリが多くの家庭で選ばれる理由を明確にしています。価格以上の価値が消費者に支持され、広く認知されています。

【 味の素のブランドスローガン成功事例 】
「 Eat Well, Live Well. 」
味の素のスローガン「Eat Well, Live Well.」は、食を通じて豊かな生活を実現するというブランド理念を象徴しています。このメッセージは、栄養バランスの取れた「良い食事」が、健康で充実した生活をもたらすという考え方を強調しています。グローバルな視点から見ても、シンプルで覚えやすいこのフレーズは、消費者に対して味の素が提供する「おいしさ」と「健康」の価値を強く訴え、信頼感を高める役割を果たしています。
■ 弊社のブランドスローガン開発実績

【 R.T.HEMMA 】
「 毎日を自分らしく、心地よく 〜 Your room, Your Life 〜 」をブランドビジョンに掲げ、インテリアデザインを通して、毎日をより自分らしく、楽しく、心地よいものにしていく企業ブランド。機能、デザイン、低価格、サステナビリティを兼ね備えたサービスをBtoB、BtoCに向けて幅広く展開。
[ 詳細 ] chobico WORKS | R.T.Hemmaより

【 INSIGHT FACTORY 】
「いかにして本音を集めるか」「集めた本音に何を見るか」を独自の知見によって提案し、クライアントと共に、来たる未来を推し量り、切り拓くこと掲げるリサーチ会社のリブランディング。ブランドシンボルは、社名の頭文字である「I」と「F」をモチーフに「どう見るか。なにを見るか。」をデザインで表現。
[ 詳細 ] chobico WORKS | INSIGHT FACTORYより

【 I’ROM GROUP 】
希望と安⼼に満ちた健やかな未来を、すべての⼈へ。アイロムグループは「憂いなき未来のために。」のブランドプロミスのもと、人々の未来が希望と安心そして健康で満ちあふれたものとなるように先端医療事業、SMO事業、CRO事業、メディカルサポート事業の4つの事業でブランドを展開しています。
[ 詳細 ] chobico WORKS | I’ROM GROUPより

【 RENEWABLE JAPAN 】
すべての人を、エネルギーの主人公に。「主人公」という言葉には、同じ時代を生きる一人ひとりにエネルギーづくりの主体となって活躍していただける社会を実現したいというブランドの想いを込めています。そして、共にエネルギーについて考え行動し社会の創生に寄与していく企業の姿勢を表しています。
[ 詳細 ] chobico WORKS | RENEWABLE JAPANより

■ ブランドスローガンに関するよくある質問
【 よくある質問① 】
Q :ブランドスローガンをつくるとき、最も大切なポイントは?
A :ブランドの理念や価値観を短く、わかりやすい言葉で表現することです。ターゲットに共感され、記憶に残るフレーズであるかが重要です。
【 よくある質問② 】
Q :キャッチコピーとブランドスローガンの違いは?
A :キャッチコピーは広告やキャンペーンごとに使う短期的な訴求ワードで、ブランドスローガンは企業やブランド全体の理念を伝える長期的なメッセージです。
【 よくある質問③ 】
Q :スローガンをつくる際、顧客目線で考えるコツは?
A :自社が伝えたいことではなく、「顧客が共感しやすい言葉」になっているかを重視することです。顧客の課題や価値観に寄り添った表現を意識しましょう。
【 よくある質問④ 】
Q :長く使えるスローガンにするための工夫は?
A :流行語や一時的なブームに依存せず、ブランドの本質を軸にした普遍的な言葉を選ぶことです。時代が変わっても通用するメッセージ開発が大切です。
【 よくある質問⑤ 】
Q :成功するブランドスローガンの共通点は?
A :シンプルで覚えやすく、ブランド価値を的確に表現し、ターゲットに強く響くことです。また、企業のビジョンと一貫性があることも欠かせません。

■ ブランドスローガン開発をする前のチェックリスト
【 メッセージの本質性のチェック 】
⬜︎ スローガンがブランドの理念や価値観を端的に表現しているか?
⬜︎ ターゲットに響く感情的な訴求力(エモーショナルな共感)があるか?
【 記憶に残る表現のチェック 】
⬜︎ 短く、覚えやすいフレーズになっているか?
⬜︎ 印象的な言葉選びで、第一印象に残るか?
【 差別化と独自性のチェック 】
⬜︎ 他社とは一線を画すユニークさがあるか?
⬜︎ 普遍性があり、時代の流行に左右されず長期使用に耐えられるか?
【 一貫性と柔軟性のチェック 】
⬜︎ ブランド活動やコミュニケーション全体と整合性が取れているか?
⬜︎ 市場や時代の変化に合わせて調整・応用できる柔軟性があるか?

■ まとめ
ヒット商品を生み出すネーミングは、商品の成否を左右する重要な要素です。インパクトのある名前、ターゲットに刺さる名前、そして独自性を持たせた名前が、消費者に選ばれる商品を作り上げます。リサーチとクリエイティブな発想を組み合わせ、成功事例から学ぶことで、効果的なネーミングを開発し、商品の成功に結びつけることができるでしょう。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 ご質問、お打合せ希望など、お気軽にお問合わせください。】
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