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シンボルデザインとロゴデザインの種類と名称について

[ ブランディングデザイン ]

ブランドロゴをデザインする前に知っておくべき基礎知識

シンボルマークやロゴデザインは、企業やブランドのアイデンティティを視覚的に伝えるうえで欠かせない存在です。これらのデザインは、消費者の記憶に強く残り、競合との差別化を生む強力な武器となります。一口にロゴと言っても、文字で構成されたワードマーク、図形を主体としたシンボルマーク、文字と図形を組み合わせたコンビネーションマークなど、複数のタイプが存在します。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、各ブランドロゴの特徴と活用シーンを体系的に解説。ブランドの現状にふさわしいロゴを選ぶための視点について詳しく解説していきます。



■ ブランドロゴの分類と特徴

ブランドロゴには、シンボルマーク、ワードマーク、エレメントロゴ、コンビネーションロゴの4つの基本タイプがあります。それぞれに役割と強みがあり、ブランドの性格や展開方法に応じて適切に選ぶことで、視認性や印象の強さ、媒体での活用度に大きな差が出ます。適切なロゴ設計は、ブランド戦略の基盤となる重要な要素です。

シンボルマーク

1. シンボルマーク

言葉を超えて伝わる普遍的なアイコン

シンボルマークとは、文字情報を一切含まず、図形やアイコンのみで構成されたロゴのことを指します。その最大の特徴は「視覚だけでブランドの世界観や価値を伝えられる」点にあります。たとえばAppleの“かじられたリンゴ”は、社名を読まなくても一目で誰のものかわかります。これは極めて高い“記号化”に成功した象徴の好例です。

シンボルマークが効果的なブランドの特徴

・視覚的な印象を強く残したい業種:IT、アパレル、エンターテインメントなど
・グローバル展開を想定している企業:文字に頼らないため、言語の壁を超えやすい
・感性や価値観を直感で伝えたいブランド:コンセプチュアルなブランド哲学を象徴できる

メリットと注意点

[ メリット ]
・国境や言語を超えた認知力を持つ
・ブランドの“世界観”をビジュアルで表現できる
・SNSやアプリアイコンなど、小さな面積でも効果的
[ 注意点 ]
・ロゴ単体で認知されるまで時間がかかる
・スタートアップや無名ブランドには不向きな場合も
・商標登録の難易度が高いケースがある

[ 引用 ] AT&T公式サイトより
[ 引用 ] スターバックス公式サイトより
[ 引用 ] Apple公式サイトより
[ 引用 ] ロレックス公式サイトより

ワードマーク・ロゴタイプ

2. ワードマーク(ロゴタイプ)

文字だけで印象を残す潔いスタイル

ワードマーク(ロゴタイプ)は、ブランド名そのものを文字でロゴ化したスタイルです。図形やアイコンに頼らず、「言葉の力」で認知を広げることに主眼を置いたデザインです。使われるフォント、文字間、ウェイト(太さ)などの調整が、ブランドの個性や雰囲気をダイレクトに反映します。「奇をてらわない美学」ともいえるこの手法は、ブランドネーム自体に信頼性や独自性がある場合に非常に効果を発揮します。

ワードマークが効果的なブランドの特徴

・ブランド名に認知力や意味性がある:長年の積み重ねや明快なネーミングがある場合に有効
・言語的な信頼感を大切にする業種:メディア、出版、法律、BtoBなど
・シンプルさを追求するブランディング:余計な装飾を排除し、ブランド名そのもので勝負したいケース

メリットと注意点

[ メリット ]
・ブランド名をそのまま覚えてもらえる
・認知と同時に「正確な表記」が広まりやすい
・タイポグラフィの工夫で世界観を表現できる
[ 注意点 ]
・視覚的な強さ(アイコン的印象)には欠けることも
・名前自体に魅力や独自性がないと埋もれやすい
・海外展開時に言語の壁がネックになる可能性あり

[ 引用 ] ソニー株式会社公式サイトより
[ 引用 ] ZARA公式サイトより
[ 引用 ] Google企業公式サイトより
[ 引用 ] ORACLE公式サイトより

エレメントロゴ

3. エレメントロゴ

文字の中に隠された「意味」や「ひねり」

エレメントロゴとは、文字ベースのロゴに装飾や意味を込めたデザインです。一見シンプルなワードマークに見えますが、その中に図像的な要素やストーリーを織り込むことで、見る者の印象に深く残ります。「気づいたときにハッとする」。そんな“仕掛け”がブランド体験の一部となる、粋で知的なロゴタイプです。

エレメントロゴが効果的なブランドの特徴

・ストーリーや世界観を繊細に伝えたいブランド:想いを込めたいパーソナルブランドやD2Cに最適
・再発見・気づきの喜びを演出したい:一度でなく何度も見てもらいたい商品・サービス
・感性や遊び心を大切にする:クラフト性、クリエイティビティを重視するカテゴリ

メリットと注意点

[ メリット ]
・ディテールでブランドストーリーを語れる
・一見シンプルだが、印象に残りやすい
・繰り返し見ることで“気づき”を生み、愛着につながる
[ 注意点 ]
・あまりに複雑な仕掛けは伝わりづらくなる
・フォント選びや配置のバランスが難しい
・スマホ表示や極小サイズで視認性が下がるリスクあり

[ 引用 ] Amazon公式サイトより
[ 引用 ] Google公式サイトより
[ 引用 ] city公式サイトより
[ 引用 ] FEDEX公式サイトより

コンビネーションロゴ

4. コンビネーションロゴ

言葉と象徴、両方の力を持つ万能型

コンビネーションロゴは、シンボルマークとワードマークを組み合わせたロゴタイプです。視覚的インパクトとブランド名の可読性を両立できる点が最大の強みです。どちらか片方では伝えきれないメッセージを、視覚と文字で補完し合う形で伝えることで、幅広いユーザー層に認知されやすくなります。

コンビネーションロゴが効果的なブランドの特徴

・複数のチャネル(Web・紙・SNS)でロゴを使う企業
・まだ認知度が低いが、象徴性も育てたいブランド
・事業領域が広く、柔軟性が求められる企業

メリットと注意点

[ メリット ]
・視覚記号と名称を同時に覚えてもらえる
・各パーツを分離して使用でき、運用性が高い
・様々なブランドフェーズに対応できる
[ 注意点 ]
・デザインバランスが難しく、要素が多くなりがち
・縮小時に複雑になると視認性が落ちる
・部分使用時に一貫性が失われない工夫が必要

[ 引用 ] ペプシ公式サイトより
[ 引用 ] Microsoft公式サイトより
[ 引用 ] MercedesBenz公式サイトより
[ 引用 ] Audi公式サイトより

■ 実例で学ぶ!ロゴに込められた意味

シンボルデザインとロゴデザインには、企業やブランドの想いやストーリーが込められています。そのため、一見すると単なるデザインに見えるものでも、深い意味が隠されている場合があります。ここでは、代表的な企業やブランドのシンボルデザインとロゴデザインに込められた想いを紹介します。

[ Coca Cola|ロゴデザイン ]

Coca Colaロゴデザイン

「楽しさ」「クリスマス」といったイメージが込められています。
赤と白の配色は、クリスマスをイメージしたもので、シンプルかつ親しみやすいデザインが特徴です。

[ Amazon|ロゴデザイン ]

Amazonロゴデザイン

AからZまでのすべての商品を揃えることを表して、矢印がAからZに向かって描かれています。このデザインには、「何でも揃う」というAmazonのコンセプトが込められています。

[ FedEx|ロゴデザイン ]

FedExロゴデザイン

FedExのロゴには、Eとxの間に微妙に隠れた矢印が描かれています。
この矢印は、FedExが輸送や配送の分野で前進していることを表現しています。

[ Apple|シンボルデザイン ]

Appleシンボルデザイン

Appleのロゴには、創業者のスティーブ・ジョブズが、人間の脳が認識しやすいデザインを求めて、林檎の形を採用したと言われています。また、1998年にデザインが変更された際には、Appleが「人生を変える革新性」を目指すという思いが込められています。

[ Airbnb|シンボルデザイン ]

Airbnbシンボルデザイン

Airbnbのロゴには、頭文字の「A」の中に、人が立っているように見える意匠が描かれています。この意匠は、人々がAirbnbを通じて新しい場所を探索し、体験することを象徴しています。

このように、企業やブランドのシンボルデザインとロゴデザインには、単にデザインだけでなく、その背景にあるストーリーや想いが大きな役割を果たしています。消費者にとっても、商品やサービスを選ぶ際には、その企業やブランドの価値観や理念が重要なファクターとなっているため、シンボルデザインとロゴデザインは非常に重要な意味を持つものと言えます。

■ タイプ別チェックリスト:あなたに最適なロゴは?

ブランド戦略を進めるうえで、「どのロゴタイプが最も効果的か?」という問いに明確に答えるのは簡単ではありません。下記のチェックリストは、目的や展開方法に応じて適切なロゴタイプを選ぶためのヒントになります。以下の項目に「はい」と答えるものが多いロゴタイプを優先的に検討してみてください。

タイプ別チェックリスト

【 チェック項目の補足解説 】

⬜︎ ブランド名を覚えてほしい
新規事業やネーミングを浸透させたい場合は、文字そのものを強調するワードマークが効果的です

⬜︎ 世界観を象徴で伝えたい
ジョン・ミッションなど抽象的な価値観を視覚的に表現したい場合、シンボルマークが力を発揮します。

⬜︎ ユーモアや意味を込めたい
細部に意味を仕込みブランドの興味を高めたい場合、エレメントやアクセントロゴが適しています。

⬜︎ 幅広い媒体に対応したい
名刺・Web・SNSなど多様な場面で柔軟に使うなら、コンビネーションロゴの運用性が役立ちます。

⬜︎ グローバル展開を考えている
言語に依存せず認知させたいときは、文字に頼らず意味を伝えるシンボルや、コンビ型が安心です。

■ まとめ

ロゴは、ブランドの価値や信頼、世界観を一目で伝える強力なビジュアル資産です。4つのロゴタイプにはそれぞれ明確な特徴と適性があり、どれを選ぶかでブランドの印象や展開力が大きく左右されます。自社の事業フェーズ、媒体展開、グローバル展開の有無を踏まえ、ロゴの「見た目」だけでなく「意味」と「使いやすさ」まで考慮した設計が不可欠です。正しく設計されたロゴは、単なるマークではなく、ブランドの未来そのものを支える核となります。

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

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