[ ブランディングデザイン ]
ヒット商品を生み出すネーミング開発とは?
商品名は、消費者に商品を記憶させ、購入を促すための重要な要素です。ヒット商品を生み出すためには、単にわかりやすい名前をつけるだけではなく、商品が持つ特性やブランドメッセージを的確に反映したネーミングが求められます。成功する商品名は、短く覚えやすいだけでなく、消費者の感情に響く要素を持ち、購買意欲を刺激します。また、ネーミングには競合との差別化、文化や言語の違いに配慮した国際的な視点も欠かせません。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、ヒット商品を生み出すためのネーミング開発のポイントや、そのプロセスについて詳しく解説し、具体的な成功事例について詳しく解説します。
■ ヒット商品を生むネーミング開発とは
【 インパクトのあるネーミング 】
インパクトのあるネーミングは、消費者の心に強く残り、商品の認知度を高めるカギとなります。例えば、短くて覚えやすい名前や、ユニークな音の響きは、商品を他と差別化しやすく、消費者の記憶に刻まれやすいです。また、ネーミングがもたらす第一印象は、購買意欲を左右する要因となるため、インパクトを持たせることがヒット商品の成功につながります。
【 ターゲットに刺さるネーミング 】
ターゲット市場に刺さるネーミングを作ることは、商品の成功に直結します。消費者が求める価値観やライフスタイルに共感できる名前を選ぶことで、商品の魅力を最大限に引き出します。例えば、若年層をターゲットにした場合、トレンド感や親しみやすさが重視される一方で、高級感を求める層にはエレガントで洗練された名前が効果的です。
【 成功事例を研究したネーミング 】
成功した商品には、消費者に強くアピールするネーミングがあります。例えば、「iPhone」はシンプルながらもブランドと製品の特徴を表現し、世界的な成功を収めました。成功事例を分析することで、選ばれるネーミングには共通するパターンがあることがわかります。これらの事例から学ぶことで、自社の商品に最適なネーミングの方向性を見つけ出すヒントが得られます。
■ ヒット商品を生むネーミング開発のポイント
1. 心に響く言葉選びのテクニック
言葉には力があります。消費者の心に響く言葉を選ぶことで、ネーミングがただの名前以上の意味を持つようになります。感情を喚起する言葉、リズム感のある言葉、ポジティブな印象を与える言葉などを取り入れることで、消費者に強い印象を与えることができます。特に、商品が提供する価値や利点を端的に伝える言葉選びが重要です。
2. シンプルで覚えやすい名前が良い理由
シンプルさは、消費者に覚えてもらうための大きな武器です。複雑で長い名前よりも、シンプルで覚えやすい名前は、消費者の記憶に残りやすく、再度購入してもらいやすくなります。さらに、シンプルな名前は発音しやすく、口に出しやすいため、口コミでの広がりも期待できます。短くても強力なインパクトを持つ名前が、商品の成功を後押しします。
3. 独自性と差別化で市場を制する
市場には多くの競合が存在しますが、独自性を持たせることで、商品が際立つことができます。競合製品と似たような名前ではなく、ユニークで独自性のある名前をつけることで、消費者に選ばれやすくなります。また、差別化されたネーミングは、消費者に「これは他とは違う」という印象を与え、商品の価値を高める役割を果たします。
■ ネーミング開発の8つのステップ
1. 目的とコンセプトの明確化
ネーミング開発の起点として、提供する製品やサービスの価値や目指すブランドの方向性を明確にします。この段階でターゲット層や市場環境も確認し、名前に求められるイメージを把握することで、ネーミングに一貫性が生まれます。ブランドの方向性がブレないためにも、初期のコンセプト定義が非常に重要です。
2. ターゲットの調査
ターゲット層の年齢層、趣味、生活習慣、価値観などを詳細に調査し、どのような名前が受け入れられやすいかを把握します。顧客に共感される名前を選定するためには、ターゲットのニーズや感情を考慮したアプローチが欠かせません。特にインパクトや親近感が求められる場合、ユーザーの好みに合致する要素を取り入れる必要があります。
3. アイデア出し
チーム内で自由にアイデアを出し、ユニークで記憶に残る名前の候補をたくさん作成します。このプロセスでは、創造的な発想を活かし、ブランドの方向性に沿った名前が出てくるようブレインストーミングやワークショップなどを活用し、たくさんの候補を生成します。
4. コンセプトに基づいた絞り込み
アイデア出しで得た候補から、ブランドの価値観や目標、ターゲットのニーズに最も適合する名前を絞り込みます。ここでは、音の響きや、視覚的なインパクトなども含めて、ブランドに最もふさわしい名前を慎重に選んでいきます。
5. 法的リサーチと確認
商標や知的財産権に関する調査を行い、商標登録可能かを確認することで、競合との法的な問題を避けます。商標登録が可能か、また国内外での使用が制限されないかなど、リスクを回避することが重要です。
6. テストとフィードバック
選定した候補名をターゲットや社内で評価し、アンケートやフォーカスグループを通じて反応を確認します。名前が実際に受け入れられ、共感を得られるかを確かめるため、テストとフィードバックは重要です。
7. 最終選定とロゴデザイン
最終候補となった名前に対し、ロゴやビジュアルアイデンティティも併せて作成し、ブランドイメージを一貫させることが求められます。視覚的なブランド要素を加えることで、名前の印象がより強化されます。
8. 商標登録と発表準備
選定された名前の商標登録を行い、正式な発表に向けて準備を進めます。商標登録を完了させ、発表に向けたマーケティング戦略やキャンペーンを計画することで、ブランドとしての展開が始まります。
■ ネーミング開発によるヒット商品
【 Snickers(スニッカーズ)のネーミング開発 】
Snickers(スニッカーズ)は、その名前とコンセプトで成功したスナック菓子です。1930年にアメリカで誕生したこのチョコレートバーは、キャラメルやナッツ、ヌガーをチョコレートで包んだ特徴的な味わいと満足感で、エネルギー補給に理想的な商品として広がりました。また、広告キャンペーンでは「お腹が空いたときのスニッカーズ」というメッセージを打ち出し、消費者に「満足感」を提供するブランドイメージを確立しています。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎音の響きと覚えやすさ
“Snickers”は短くてリズミカルで、語感も良いため覚えやすいです。発音も簡単で、どの言語でも口にしやすいネーミングとなっており、消費者にとって記憶に残る要素になっています。
⚫︎ユニークなネーミングによる差別化
他の菓子商品と差別化できる個性的な名前により、消費者に特別な印象を与えます。独特の響きは興味を引き、他のブランドと混同されにくい特徴を生み出しています。
⚫︎ポジティブな連想を喚起
英語の”snicker”(忍び笑い)に近い発音が、楽しいイメージを連想させます。このようなポジティブな印象は、消費者が商品を手に取る際の気分にも影響を与えています。
⚫︎普遍的な訴求力
世界中で意味を持たせすぎず、簡単に認識される名前であり、地域や文化を問わず普遍的にアピールできるため、グローバル展開に大きく貢献しました。
[ 出典 ] SNICKERS Official Websiteより
【 Pocky(ポッキー)のネーミング開発 】
Pocky(ポッキー)は、日本の菓子メーカー江崎グリコによって開発されたスティック状のチョコレート菓子で、その独自の形状と名前がヒットしました。「ポキッ」と折れる食感を名前に取り入れたことで、名前が商品の特徴とリンクしやすく、覚えやすさも向上しました。国際的にも多くのバリエーションが展開され、ポッキーの「軽く食べられる楽しさ」と「手を汚さずに食べられる利便性」は、幅広い世代に親しまれるポイントです。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎音の楽しさと覚えやすさ
「ポッキー」という名前は軽快な響きで、発音しやすく覚えやすく、食べたときの「ポキッ」という音に由来しており、ネーミングが製品の体験そのものとつながっているため、消費者の記憶に残りやすいです。
⚫︎独自のネーミングで個性を強調
他のお菓子にはない独特な名前で、消費者に新鮮な印象を与えています。簡潔で特徴的な名前が、Pockyの独自性を際立たせ、競合との差別化に成功しています。
⚫︎グローバル展開への適応性
「Pocky」という名前は短く、発音も簡単で、どの国の消費者にとっても親しみやすいです。異なる言語圏でも受け入れられやすい点が、Pockyがグローバルに成功した要因のひとつです。
⚫︎購買意欲を引き出す親しみやすさ
簡単で可愛らしいネーミングが、幅広い年齢層に親しまれ、気軽に手に取って楽しめるお菓子としての印象を高めています。
[ 出典 ] 江崎グリコ公式サイトより
【 Fanta(ファンタ)のネーミング開発 】
Fanta(ファンタ)は、コカ・コーラ社によって1940年代にドイツで開発された炭酸飲料です。その名前は「ファンタジー(Fantasy)」に由来し、消費者に自由で楽しいイメージを与えるよう設計されています。鮮やかなカラフルなパッケージデザインと、さまざまなフルーツフレーバーを展開している点が特徴です。子供から大人まで幅広い層に親しまれ、世界中で人気のあるブランドとして確立されています。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎想像力を刺激する名前
「Fanta」は「ファンタジー」から着想を得ており、消費者に楽しいイメージやワクワク感を与えています。名前自体が商品体験に対する期待感を高め、ファンタの楽しいブランドイメージに貢献しています。
⚫︎シンプルで記憶に残る響き
短くて音の響きもよいため、子どもから大人まで幅広い層に覚えやすい名前となっています。また、発音のしやすさも親しみを持たれやすい要因です。
⚫︎グローバル展開への適応性
Fantaは発音が簡単で、さまざまな言語や文化圏でも受け入れられやすい名前です。これがグローバルブランドとしての成長に寄与し、世界各国で成功する要因のひとつとなっています。
⚫︎カラフルで楽しいブランドの象徴
名前が示唆するファンタジー感とカラフルなパッケージが組み合わさり、子どもにも大人にも選ばれる明るいイメージを築いています。
[ 出典 ] 日本コカ・コーラ公式サイトより
【 Nespresso(ネスプレッソ)のネーミング開発 】
Nespresso(ネスプレッソ)は、ネスレが手がけるカプセル式コーヒーブランドで、特にシンプルで本格的なエスプレッソ体験を提供するために開発されました。ネーミングは「Nestlé」と「Espresso」を組み合わせたもので、ブランドの特徴であるカプセル式コーヒーマシンを通じて、カフェのような高品質のコーヒーを家庭で簡単に楽しめることを伝えています。高いデザイン性と豊富なフレーバー展開も魅力となり、世界中で多くのファンを獲得しています。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎NestléとEspressoの組み合わせ
「Nestlé」の「Ne」と「Espresso」の「spresso」を組み合わせた名前は、ブランドの親会社であるネスレとコーヒーのイメージを巧妙に結びつけています。これにより、ネスプレッソのコーヒー専門性とプレミアムな印象を強調しています。
⚫︎高級感とエレガントな響き
「Nespresso」という名前は、短く洗練された響きがあり、消費者に高級で特別な製品であるというイメージを伝えます。これにより、家庭でもカフェ品質のコーヒーを楽しめるブランド価値を高めています。
⚫︎覚えやすくグローバルに通じる名前
発音が簡単で覚えやすいため、さまざまな言語や文化圏で受け入れられやすく、国際市場での拡大に貢献しました。
[ 出典 ] ネスプレッソ公式サイトより
【 Post-it(ポストイット)のネーミング開発 】
Post-it (ポストイット)は3Mが開発した、付箋紙の代名詞ともいえる製品で、アイデアの書き留めやタスク管理に便利なアイテムです。この製品は偶然の発見から生まれました。3Mの研究者が失敗作として開発した粘着剤を活用し、繰り返し貼ってはがせる特徴を持つ付箋として商品化されました。「Post-it」という名称は、簡単に「ポスト(貼る)」してメモを残せる機能性を表し、シンプルで記憶に残りやすいネーミングが成功の理由の一つです。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎わかりやすく機能を表現する名前
「Post-it」という名前は、商品の機能である「貼り付けて使う」ことを直感的に表現しています。名前が機能を直接伝えることで、消費者に使い方が分かりやすく、すぐに理解される商品名として成功しました。
⚫︎短くて覚えやすい
短い言葉でシンプルなため、誰でも覚えやすく、発音しやすいのがポイントです。これにより、消費者が商品を繰り返し使うことを促し、日常的な消費財としての地位を確立しました。
⚫︎用途の多様性を伝える
「Post-it」は、メモやタスク管理だけでなく、アイデア共有やコミュニケーションにも活用できることを表しています。特定の用途に限定されず、幅広い使い方があるという印象を与え、個人やビジネス両方での利用を促進しました。
[ 出典 ] ポスト・イット公式サイトより
【 Ziploc(ジップロック)のネーミング開発 】
Ziploc(ジップロック)は、密閉性と使い勝手に優れた保存袋のブランドで、食品の保存や整理整頓に広く利用されています。ブランド名の「ジップロック」は、ジッパーのように簡単に開閉でき、中身をしっかりと密閉できるという特徴を強調しています。シンプルで機能的なネーミングにより、ユーザーに安全性と信頼感を与え、多用途に利用できるため、家庭や業務用としても世界的に愛用されています。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎機能を直感的に伝える名前
「Ziploc」という名前は、袋を密閉する「ジッパー」と「ロック」機能を直接伝えています。これにより、消費者は商品名だけでその使用目的を理解でき、食品保存のための優れた密閉性能をイメージさせることができました。
⚫︎覚えやすい響き
「Ziploc」は短く、耳に残る音で、誰でも覚えやすいのが特長です。このわかりやすい発音と覚えやすさにより、家庭用品の必需品として広く浸透し、類似商品の一般名称としても認識されています。
⚫︎機能性と信頼感を訴求
「Ziploc」は、密閉と保存に特化した機能を前面に出し、消費者に信頼と安心を与えています。この名前は密閉性と使いやすさを想起させ、信頼性の高い食品保存袋としてのブランド価値を確立するための大きな役割を果たしました。
[ 出典 ] 旭化成ホームプロダクツ公式サイトより
【 Pampers(パンパース)のネーミング開発 】
Pampers(パンパース)は、P&Gが1961年に開発したベビーディオーパーのブランドで、世界中で高い支持を集めています。その名前は「pamper(大切にする、甘やかす)」という英語に由来し、赤ちゃんに快適で安全な環境を提供するというブランドの理念を反映しています。パンパースは、吸収力やフィット感、通気性など、赤ちゃんの肌に優しい機能性を重視して開発されており、親が子供に安心して使える信頼性を伝えています。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎優しさを感じさせる響き
「Pampers」という名前は、赤ちゃんを優しく包み込む「pamper(甘やかす、可愛がる)」という意味を持ち、保護者に優しさと愛情を想起させます。この響きは赤ちゃんの世話を安心感と結びつけ、親の心を惹きつける効果を生みました。
⚫︎簡潔で覚えやすい名前
「Pampers」は短く、親しみやすい音から成り立ち、誰でも覚えやすい名前になっています。発音しやすいだけでなく、柔らかさと親しみが感じられる響きで、赤ちゃんの用品としてふさわしいブランドイメージを形成しました。
⚫︎グローバルに通用する普遍的な名称
「Pampers」は、英語圏のみならず多くの国で容易に発音でき、意味も広く理解される名前です。これはグローバル展開を目指すブランドにとって大きな利点であり、世界中で赤ちゃん用品ブランドとして認知される基盤を提供しました。
[ 出典 ] P&Gジャパン公式サイトより
【 Febreze(ファブリーズ)のネーミング開発 】
Febreze(ファブリーズ)は、Procter & Gamble(P&G)が展開する消臭・芳香剤ブランドで、1998年に市場投入されました。そのネーミングは「fabric(布)」と「breeze(そよ風)」の組み合わせから生まれ、布に爽やかな香りを吹き込むイメージを伝えています。消臭機能の高さと香りの良さが特徴で、布や空間に使える多用途性が支持を集め、日常生活の一部として多くの家庭に定着しました。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎「新鮮さ」を連想させる音と響き
「Febreze」という名前は、「fresh(新鮮)」と「breeze(そよ風)」から派生し、使用後に空間が清々しくなるイメージを持たせています。これにより、消費者に対して直感的に「リフレッシュ効果」を伝え、快適な環境を提供する製品と認識されやすくしました。
⚫︎簡潔で覚えやすいネーミング
短くて覚えやすい「Febreze」という名称は、一度聞くと印象に残りやすく、家庭用品として日常生活に溶け込みやすいのが特徴です。響きが軽やかでポジティブなイメージを引き出し、繰り返し購入しやすい親しみを提供しています。
⚫︎グローバルに通用する普遍的な名称
「Febreze」は英語以外の言語でも発音しやすく、国を問わず理解できる響きを持っています。多様な文化圏で使用される製品にとって、どの地域でも認識しやすい名前はブランドの浸透に役立ち、グローバル展開を加速させる一助となりました。
[ 出典 ] Febreze公式サイトより
【 Kleenex(クリネックス)のネーミング開発 】
Kleenex(クリネックス)は、Kimberly-Clark社が販売するティッシュペーパーで、1924年に米国で登場しました。もともとはメイク落とし用として開発されましたが、消費者が風邪やアレルギー時の鼻かみ用に使い始めたことから、使い捨てティッシュとして認知が広がりました。その名前は「clean(清潔)」と「ex」とを組み合わせた造語で、清潔感と柔らかさのイメージを的確に伝え、広く愛されています。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎簡潔で記憶に残る名称
「Kleenex」は、短く親しみやすい音のため、消費者の記憶に残りやすく、一度覚えると忘れにくい特徴があります。シンプルな響きが、人々の日常生活に溶け込み、ティッシュペーパーの代名詞としても使われるようになりました。
⚫︎「清潔感」を連想させるブランドネーム
「Kleenex」の「Kleen」の部分は、「clean(清潔)」を想起させる工夫がされています。これにより、商品が衛生的で安心して使用できるイメージが自然と消費者に伝わり、ブランドの信頼性が向上しています。
⚫︎製品カテゴリの代名詞となる汎用性
使いやすい名称で、一般名称としても定着し、「Kleenex」という言葉が「ティッシュペーパー」そのものを指すような代名詞的な存在となりました。これは、ブランドが市場での強力な存在感を確立し、競争を優位に進めるための大きな要因となっています。
[ 出典 ] NIPPON PAPER CRECIA公式より
【 Lego(レゴ)のネーミング開発 】
Lego(レゴ)は、1932年にデンマークで設立され、元は木製玩具メーカーとしてスタートしました。1958年に現在のプラスチック製ブロックのデザインが完成し、精密な組み合わせが可能なこのブロックは、自由な創造性と組み合わせの無限性から、世界中で愛されています。「Lego」はデンマーク語の「Leg godt(よく遊ぶ)」に由来しており、遊びを通じて学びと楽しさを提供するブランド理念が込められています。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎簡潔で覚えやすい名称
「Lego」は短く、発音しやすいため記憶に残りやすく、多くの国で発音が変わらない点が特徴です。これはグローバル展開に適し、子どもから大人まで幅広く浸透しやすい名称となっています。
⚫︎ブランドのビジョンに沿った由来
「Lego」はデンマーク語で「よく遊べ」を意味する「Leg Godt」に由来し、ブランドの楽しさや創造性を反映しています。このポジティブな意味が、長年にわたり愛され続ける要因となっています。
⚫︎想像力と創造性を想起させる名称
Legoという名前自体が組み立て遊びを想像させ、子どもたちの創造力を引き出すことを想像させます。遊びながら学び、創造することがブランドイメージと一致しており、消費者の間で高い共感を呼んでいます。
[ 出典 ] レゴジャパン公式サイトより
【 Roomba(ルンバ)のネーミング開発 】
Roomba(ルンバ)は、アイロボット社が開発した自動掃除機で、Room(部屋)とRoomba(独自の造語)を組み合わせた名前です。部屋を自動で掃除するという製品の機能をそのまま反映したシンプルなネーミングが、消費者に製品の用途を直感的に伝えます。ユニークで覚えやすい名前が、ロボット掃除機市場での地位を確立するのに貢献しました。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎音の響きで清掃ロボットとして親しみやすさを演出
「ルンバ」という名前はリズミカルで、スペイン語の「踊る」を連想させ、掃除機の動きが軽快に動くイメージを与えます。この音感により、機械的な印象を和らげ、家庭での親しみやすさが向上しました。
⚫︎簡潔で覚えやすいネーミング
ルンバは短く、発音しやすい名前で、世界中の消費者に覚えられやすいことが特徴です。シンプルなネーミングは、製品を他の家電製品と差別化しやすく、ブランド認知度を高める要素となっています。
⚫︎製品の機能を連想させる
「ルンバ」という名前は、部屋を隅々まで踊るように動き回りながら掃除するイメージを想起させます。これにより、消費者が製品の機能を即座に理解し、家庭内でどのように役立つかがわかりやすくなり、購入意欲を促進しました。
[ 出典 ] iRobot公式サイトより
【 GoPro(ゴープロ)のネーミング開発 】
GoPro(ゴープロ)は、アクションカメラブランドで、Go Professional(プロになろう)という意味を込めて名付けられました。名前が示す通り、ユーザーが自身の冒険やスポーツ活動をプロフェッショナルのように記録できるというコンセプトを伝えています。簡潔で力強いネーミングが、アウトドアやスポーツ愛好者に広く支持され、ブランドの認知度向上に寄与しています。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎短く記憶に残る名前で、多用途性を示唆
「GoPro」という名前は短く覚えやすく、プロフェッショナルな映像や写真を簡単に撮影できるという多用途性を示唆しています。日常の中で「プロ級」の撮影ができると感じさせ、幅広い消費者層にアピールできる点が人気の理由です。
⚫︎冒険心や挑戦のイメージを連想させる
「Go」という動的な単語に「Pro」を組み合わせることで、冒険や挑戦の精神を表現。アウトドアやアクションシーンでの使用を推奨するイメージが強まり、消費者に使用シーンを連想させる効果があります。
⚫︎シンプルで直感的なネーミング
「GoPro」のシンプルな構造は、消費者が一目で製品の目的を理解できる利便性を提供します。冒険やアクション映像を求める人々にとって、「どこへでも行き、プロのような映像を撮る」という直感的なメッセージを伝え、消費者の心を掴みました。
[ 出典 ] GoPro公式サイトより
【 Play Station(プレイステーション)のネーミング開発 】
PlayStation(プレイステーション)は、Sonyが開発した家庭用ゲーム機の名前で、Play(遊び)とStation(場所)を組み合わせたものです。このネーミングは、家庭で遊びの中心となる場所を提供するというコンセプトを示しており、シンプルかつ直感的に製品の用途を伝えます。世界中で成功を収めたゲーム機として、広く認知されるブランド名となりました。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎普遍的な名称で幅広い層にアピール
「PlayStation」という名称は、ゲームをする場所や空間を表す普遍的な言葉で、年代を問わず多くの人々に親しまれています。子供から大人まで、あらゆる世代に「ゲームを楽しむ空間」としてのイメージを直感的に伝えることができ、幅広いユーザー層にリーチできたのが成功の要因です。
⚫︎「遊び」と「技術」を融合させたネーミング
「Play(遊び)」と「Station(場所)」を組み合わせたことで、遊びと技術の融合を表現。これは、エンターテインメントとしてのゲームを提供しつつも、ソニーのテクノロジーの力を感じさせ、ゲームを超えた高い価値を示しています。名前が持つコンセプトが、製品の方向性やイメージに一貫性を持たせています。
⚫︎認識しやすく覚えやすい音の響き
「PlayStation」という言葉は短く、リズミカルで覚えやすい響きが特徴です。発音が容易で、リズム感の良さが製品名として認識しやすく、長年にわたって浸透している点がその成功要因の一つです。シンプルながらも、ユーザーに強い印象を残す名称です。
[ 出典 ] PlayStation公式サイトより
【 Nintendo Switch(任天堂スイッチ)のネーミング開発 】
Nintendo Switch(任天堂スイッチ)は、任天堂が開発した家庭用ゲーム機で、Switch(切り替え)という名前が特徴です。この名前は、据え置き型と携帯型の間を「スイッチ」する機能を直接的に表現しており、ユーザーに製品の特徴をわかりやすく伝えています。シンプルで覚えやすい名前が、ゲーム機市場での大成功を後押しし、多くのゲーマーに支持されています。
[ ネーミング開発の成功ポイント ]
⚫︎「Switch」が示す多様な機能と使い方
「Switch」という名前は、テレビにつなぐ据え置き型と、持ち運べる携帯型として切り替えが可能である特性を象徴しています。ユーザーにとってシンプルで理解しやすく、製品の特長をひと目でイメージさせることに成功しています。
⚫︎ユニバーサルで覚えやすいネーミング
短く発音しやすい「Switch」という単語は、世界共通で使いやすく覚えやすい単語です。ゲーム体験の新しいスタイルを提供するという革新性を体現し、幅広いユーザーに認知されやすい名前になりました。
⚫︎シンプルかつ印象的なマーケティング効果
「Switch」という言葉自体に動きと変化の意味が含まれ、コンセプトの理解とともに、ユーザーに新しい体験への期待感を持たせる効果があります。製品名として印象に残りやすく、ブランドイメージと一貫性が取れたネーミングとなっています。
[ 出典 ] 任天堂公式サイトより
■ まとめ
ヒット商品を生み出すネーミングは、商品の成否を左右する重要な要素です。インパクトのある名前、ターゲットに刺さる名前、そして独自性を持たせた名前が、消費者に選ばれる商品を作り上げます。リサーチとクリエイティブな発想を組み合わせ、成功事例から学ぶことで、効果的なネーミングを開発し、商品の成功に結びつけることができるでしょう。
株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。
【 ご質問、お打合せ希望など、お気軽にお問合わせください。】
– ブランド戦略からデザイン開発まで –
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