
[ ブランディングデザイン ]
ロゴデザイン開発の定番フォント10選と展開事例
ロゴデザインにおいてフォント選びは、ブランドの個性やメッセージを視覚的に伝える重要な要素です。適切なフォントを選ぶことで、ロゴがブランドの価値観を強調し、消費者に強く印象付けることができます。太字でモダンなフォントは力強さや信頼感を表現し、優雅なセリフフォントは高級感や伝統を感じさせます。定番のフォントには、視認性や汎用性に優れたものが多く、さまざまな業界で活用されています。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、ロゴデザインに使用される定番フォント10選を紹介し、それぞれのフォントがどのようにブランドに展開され、成功しているかの事例について詳しく解説します。
CONTENTS | 目次
■ ロゴデザイン開発の定番フォントとは

ロゴデザイン開発において「定番フォント」とは、時代に左右されず使われ続けている信頼性の高い書体を指します。どんな業種にも合わせやすく、読みやすさや品格、再現性に優れている点が特徴です。サンセリフ系では「Helvetica」「Futura」「Avenir」「Gotham」などが代表的で、現代的でクリアな印象を与えます。セリフ系では「Times New Roman」「Garamond」「Baskerville」などが定番で、落ち着きや伝統、知性を感じさせます。和文書体では「ヒラギノ角ゴ」「游ゴシック」「AXIS」などが多くのブランドで採用されています。フォントは単なる見た目ではなく、ブランドの“らしさ”を表す要素です。どんなトーンで伝えたいのかを意識して選ぶことで、ブランドの個性を伝えられるようになります。
➤ 詳細記事:ロゴデザインに重要なフォントとリニューアル事例
■ 定番フォント10選と展開事例


1. Helvetica
Helveticaは、1957年にスイスのマックス・ミーディンガーとエドゥアルト・ホフマンによって生まれたサンセリフ体で、今も世界中で愛用されている代表的なフォントのひとつです。特徴は、無駄をそぎ落としたシンプルな構造と、高い読みやすさ、そしてどんな環境にもなじむ汎用性にあります。縦横のストロークが均一で、癖のない形が安定感を生み、紙でもデジタルでも見やすいデザインとして評価されています。企業ロゴや駅の案内表示、製品パッケージなど幅広い場面で使われており、特に「誠実」「中立」「清潔」といった印象を与えたいブランドには相性の良い書体です。AppleやBMWなど、世界的ブランドが長年Helveticaを採用しているのも納得できる理由があります。その一方で、整いすぎた構造ゆえにやや無個性になりやすい面もあるため、文字間の調整や色づかいなどでブランドらしさを添える工夫が大切です。Helveticaは、静かに信頼感を支える“ベーシックな強さ”を持ったフォントと言えます。
[ 特徴まとめ ]
- シンプルで整った構造により、どんな媒体でも読みやすく安定している。
- 中立で誠実な印象を与え、幅広いブランド表現に対応できる。
- 無個性になりやすいため、調整やデザイン要素で個性を加える工夫が必要。
[ 引用 ] wikiペディアより


2. Futura
Futuraは、1927年にドイツのパウル・レナーによって設計されたサンセリフ体で、幾何学的な美しさとモダンな印象を兼ね備えたフォントです。円や三角形、直線といった基本図形をもとに構成されており、合理的で無駄のないデザインが特徴です。そのため、科学的・未来的・革新的といったイメージを表現するブランドに適しています。特に文字のフォルムがシャープで整っているため、印刷物でもデジタルでも高い視認性を保ちます。モダニズム建築やバウハウスの思想に通じる「機能と美の調和」が体現されており、シンプルでありながらも強い存在感を持つ点がFuturaの魅力です。NASAが宇宙開発関連の資料に採用したことでも知られ、無限の可能性や前進のイメージを象徴するフォントとして愛されています。一方で、構造が幾何学的すぎるため、温かみを出したいブランドにはやや硬い印象を与えることもあります。バランスの取れたレイアウトや柔らかい色づかいと組み合わせることで、より親しみのある印象に整えることができます。
[ 特徴まとめ ]
- 幾何学的構造が生むモダンで洗練された印象が特徴。
- 科学的・革新的・未来志向のブランドに相性が良い。
- 無機質になりすぎないよう、色や余白で温かみを補うと効果的。
[ 引用 ] wikiペディアより


3. DIN
DINは、1930年代にドイツの工業規格「Deutsches Institut für Normung(DIN)」に基づいて設計されたサンセリフ体で、機能性と視認性を重視した実用的なフォントです。もともとは道路標識や工業用途のために作られた書体で、均一な線幅とシンプルな構造が特徴です。過度な装飾を排除したデザインは、明快で読み間違えにくく、スピード感や精度といった印象を与えます。そのため、テクノロジー、モビリティ、エンジニアリング系のブランドに特に適しています。現代では、洗練された無機質さが評価され、アパレルやデジタルプロダクトなど幅広い分野で使われるようになりました。DINは、信頼性と機能性を視覚的に伝えたいときに効果的で、ブランドを引き締めるような安定感があります。一方で、やや冷たい印象を与える場合もあるため、写真やカラー、トーンなどで感情的な温度を補うと、より人に届く表現になります。
[ 特徴まとめ ]
- 工業規格由来のフォントで、精度と機能美を感じさせる構造が特徴。
- 読みやすく誤読が少ないため、信頼性や合理性を重視するブランドに向く。
- クールな印象になりやすいため、温かみのある要素と組み合わせると効果的。
[ 引用 ] wikiペディアより


4. Frutiger
Frutigerは、1976年にスイスのタイプデザイナー、エイドリアン・フルティガーによって設計されたサンセリフ体で、「人が読むための書体」として高く評価されています。もともとは空港のサイン用に開発されたフォントで、遠くからでも判読しやすく、印刷・デジタルいずれの環境でも高い視認性を保ちます。幾何学的すぎず、人の手の温かみを感じる有機的なフォルムが特徴で、読みやすさと親しみやすさを両立しています。そのため、公共機関や医療、教育、金融など、誠実さと信頼感を重視するブランドによく採用されています。Helveticaのような中立性を持ちながらも、より柔らかく自然な印象を与える点がFrutigerの魅力です。シンプルでありながらも人間味があり、ブランドの“やさしい理性”を表現するフォントと言えます。一方で、過度な個性を求めるブランドにはやや落ち着きすぎる印象を与えることもありますが、穏やかで安心感のある世界観をつくりたい場合には非常に有効です。
[ 特徴まとめ ]
- 視認性と読みやすさに優れ、人の感覚に寄り添う設計が特徴。
- 信頼性や誠実さを重視する公共・医療・教育系ブランドに向く。
- 中立的ながら柔らかく、温かみのある印象を与えられるフォント。
[ 引用 ] wikiペディアより


5. Avenir
Avenirは、1988年にスイスのタイプデザイナー、エイドリアン・フルティガーによって設計されたサンセリフ体で、幾何学的な美しさと人間的な温かみを両立したフォントです。名前の「Avenir」はフランス語で“未来”を意味し、モダンでありながらも永く使える普遍性を意識してデザインされています。幾何学的構造を持ちながらも、文字の曲線や太さのバランスに柔らかさがあり、読みやすく、どんなサイズでも美しく機能します。そのため、テクノロジー、教育、ファッション、行政など、幅広い分野のブランドに採用されています。Frutigerよりも洗練され、Helveticaよりも温かみがあり、機能性とデザイン性のちょうど中間に位置する存在です。シンプルなのにどこか人の感情を感じさせるフォントであり、誠実さ・知性・先進性を穏やかに伝えたいブランドに向いています。どんな媒体でも自然に溶け込み、長期的なブランド運用にも適したバランスの良さが魅力です。
[ 特徴まとめ ]
- 幾何学的構造と人間味のある曲線が調和したデザイン。
- 現代性と普遍性を併せ持ち、幅広い業種で使いやすい。
- 知性や先進性を穏やかに伝える、洗練された印象を与えるフォント。
[ 引用 ] フォントブログより


6. Gotham
Gothamは、2000年にアメリカのタイプデザイナー、トバイアス・フレア=ジョーンズによって設計されたサンセリフ体で、現代的で力強い印象を持ちながらも、親しみやすさを兼ね備えたフォントです。もともとはニューヨークの建築物に刻まれたレタリングを参考にデザインされており、都市的で洗練された雰囲気が特徴です。幾何学的な構造を持ちながらも角のとれた柔らかさがあり、誠実でフレンドリーな印象を与えます。バランスの取れた文字幅と美しい比率は、見出しでも本文でも高い視認性を発揮し、ブランドロゴやキャンペーンなど幅広い用途で使われています。特に、オバマ元大統領の選挙キャンペーンで使用されたことで世界的に注目され、「信頼」「希望」「前進」といったポジティブな印象を象徴するフォントとして認知が広がりました。Gothamは、堅実さと親近感を両立させたいブランドに適しており、社会的メッセージ性を持つデザインにもよく用いられます。
[ 特徴まとめ ]
- 都市的でモダンな印象を持ちながら、柔らかく親しみやすい構造。
- 信頼感や前向きさを表現するブランドや社会的メッセージに適している。
- 読みやすく、見出しから本文まで幅広く使える汎用性の高いフォント。
[ 参考書籍 ] 欧文書体―その背景と使い方 : 小林 章 著 / 美術出版社


7. Trajan
Trajanは、1989年にアメリカのタイプデザイナー、キャロル・トゥイムブルによって設計されたセリフ体で、古代ローマの碑文に刻まれた文字をもとにデザインされたフォントです。石碑に彫られた文字の美しさを現代に再構築しており、荘厳さと品格を兼ね備えたクラシックな印象が特徴です。セリフの細部や文字のバランスに緊張感があり、歴史や伝統、威厳を感じさせるデザインに適しています。そのため、映画のタイトルや大学、金融、公共機関など、格式や信頼を重んじる領域で多く使われています。大文字のみで構成されている点も特徴で、重厚感と安定感を際立たせます。Trajanは派手さではなく、「永続性」と「信頼感」を静かに伝えるフォントです。時代や流行に左右されず、長くブランドを支える力を持っています。一方で、カジュアルさや柔軟性を求めるブランドにはやや硬い印象を与えるため、用途に応じた慎重な使い分けが必要です。
[ 特徴まとめ ]
- ローマ碑文を起源とする、格式と威厳を感じさせるクラシックな書体。
- 歴史・伝統・信頼を重視するブランドや大学・映画タイトルなどに最適。
- 大文字のみで構成され、重厚感と安定感を強く印象づけるフォント。
[ 参考文献 ] 欧文書体―その背景と使い方 : 小林 章 著 / 美術出版社


8. Copperplate Gothic
Copperplate Gothicは、1901年にアメリカのタイプデザイナー、フレデリック・W・ガウディによって設計されたセリフ体で、クラシックさとモダンさを併せ持つ独特な存在感を持つフォントです。特徴的なのは、小さなセリフ(突起)を持ちながらも全体的に角張った構造で、大文字中心のデザインとなっている点です。これにより、格式のある印象とシャープで洗練された印象が同時に生まれます。もともとは印刷物や名刺、看板などでよく使われており、重厚感と信頼感を与えるフォントとして長く愛されています。銀行や法律事務所、高級ブランドなど、信頼性と品格を強調したい場面によく用いられます。また、映画のタイトルやホテルのロゴなど、落ち着きの中に力強さを感じさせるデザインにも適しています。一方で、小文字がない構造のため、長文や本文向きではなく、短い言葉で印象を強く残す用途に向いています。
[ 特徴まとめ ]
- 小さなセリフと角張った構造が生む、格式とモダンさを併せ持つデザイン。
- 高級感・信頼感・重厚さを表現したいブランドや企業に適している。
- 大文字主体のため、タイトルやロゴなど短い表現に効果を発揮するフォント。
[ 参考文献 ] 欧文書体―その背景と使い方:小林 章 著/美術出版社


9. Gillsans
Gill Sansは、1928年にイギリスのデザイナー、エリック・ギルによって設計されたサンセリフ体で、英国デザインを象徴するフォントのひとつです。幾何学的な構造を持ちながらも、やわらかな曲線と自然なリズムがあり、機能性と人間味のバランスが取れたデザインが特徴です。硬さのない優しい印象を与えるため、ビジネス用途から文化的なブランドまで幅広く使われています。イギリス国鉄(British Rail)やBBCなどの公共機関が採用したことで、「誠実」「信頼」「親しみやすさ」を感じさせるフォントとして定着しました。HelveticaやFuturaよりもやや有機的で、ナチュラルな温かみがある点も魅力です。そのため、ブランドに知性や品を保ちながらも、堅すぎない印象を与えたい場合に特に適しています。どんな媒体にもなじみやすく、読みやすさと表情の柔らかさを両立した万能なフォントです。
[ 特徴まとめ ]
- 幾何学的でありながら、人間味と温かみを感じさせるデザイン。
- 誠実さと親しみを両立でき、公共性の高いブランドに向いている。
- 知的で上品な印象を与えながら、堅苦しさを感じさせないフォント。
[ 参考文献 ]
Jan Tschichold公益財団法人DNP文化新興財団
Penguin By Design: A Cover Story 1935 To 2005 Phill Baines


10. Bodoni
Bodoniは、18世紀後半にイタリアのタイプデザイナー、ジャンバッティスタ・ボドニによって設計されたセリフ体で、モダン・ローマン体(Modern Roman)の代表格として知られています。特徴は、極端な太細のコントラストと、精密で整然とした造形にあります。細いヘアラインと太いストロークの対比が美しく、繊細さと力強さが同居するエレガントな印象を与えます。そのため、ファッション、ラグジュアリー、アート関連のブランドなど、洗練された世界観を表現したい場面で多く使われています。印刷媒体では特に美しく映える一方で、小さな文字サイズやデジタル環境ではやや読みづらくなることもあるため、使いどころを見極めることが大切です。Bodoniは、上品さとクラシックな強さを併せ持つフォントであり、ブランドに格調と存在感を与える書体といえます。
[ 特徴まとめ ]
- 太細のコントラストが強く、エレガントで印象的なデザイン。
- ファッションや高級ブランドなど、上質さを表現する場面に適している。
- 印刷では美しく映えるが、デジタル環境では可読性に注意が必要。
[ 引用 ] wikiペディアより
■ ロゴデザイン開発におけるフォントの選び方

1. ブランドの特性に合わせて選ぶ
フォントは単なる文字ではなく、ブランドの人格や価値観を視覚化する「声」のような存在です。ブランドが誠実さを大切にするのか、革新性を打ち出したいのか、それとも上質さを表現したいのか。その方向性によって適したフォントはまったく異なります。例えば、信頼感を重視する金融系では整然としたサンセリフ体、創造性を求めるスタートアップでは幾何学的でモダンな書体、高級ブランドでは繊細でコントラストのあるセリフ体が選ばれやすい傾向にあります。大切なのは、フォントが「見た目の好み」で選ばれていないかを見極めることです。デザイン全体との整合性を考え、ロゴ・VI・トーン&マナーが一貫して伝わることが理想です。
● ブランドの人格や世界観を「フォントで語る」意識を持つ。
● 感覚的な好みではなく、理念や目的に基づいて選定する。
● ロゴやVI全体との調和を重視し、一貫した印象を設計する。
2. 視認性と再現性を重視する
フォント選びにおいて最も重要なのが、「どんな環境でも読めること」と「どんな媒体でも崩れないこと」です。ロゴは名刺やWebサイトだけでなく、屋外看板、アプリ、映像、パッケージなど、さまざまな場面で使われます。そのため、サイズを極端に小さくしても文字が潰れないこと、遠くから見ても判別できること、色の反転にも対応できることが必須条件です。特に、細いストロークのセリフ体やデジタル非対応のフォントは、環境によって再現性に差が出やすいため注意が必要です。また、印刷やディスプレイの仕様によって文字の見え方が変わることも考慮し、試験的な出力検証を行うのが理想です。フォントは表現であると同時に「機能」でもあります。
● 小サイズや遠距離でも視認できるフォントを選ぶ。
● 媒体や環境に応じて崩れない再現性を確認する。
● 美しさと機能性を両立させた“使えるフォント”を選定する。
3. 業界・文化的文脈を考慮する
フォントは単にデザインの一部ではなく、社会や文化と密接に関わるコミュニケーションツールです。そのため、業界ごとの慣習や文化的背景を踏まえて選定することが欠かせません。例えば、ラグジュアリーブランドではBodoniのようなコントラストの強いセリフ体が多く使われ、モダンなテック業界ではHelveticaやAvenirなどのサンセリフ体が主流です。教育や行政の分野では、FrutigerやGill Sansのように「読みやすく、誠実な印象」を与えるフォントが適しています。また、海外展開を見据える場合、言語や文化圏によって文字の印象が異なる点にも注意が必要です。英語圏で洗練されたフォントが、日本語環境では硬く感じられることもあります。
● 業界や文化に根ざした“文脈的な選定”を意識する。
● 海外展開を見据え、言語による印象の違いを考慮する。
● フォントが社会的背景やブランド領域と調和しているか確認する。
4. トレンドより普遍性を優先する
ロゴは数年で変えるものではなく、長期的にブランドを支える資産です。そのため、フォントを選ぶ際には一時的なトレンドよりも、時代を超えて通用する普遍性を優先すべきです。流行のデザインは瞬間的なインパクトがありますが、すぐに古さを感じさせるリスクがあります。BodoniやHelveticaが長く愛されるのは、形がシンプルで構造が論理的だからです。普遍的なフォントはどんな媒体や時代でも安定して機能し、ブランドの軸をぶらさずに育てていくことができます。また、「今っぽさ」を出したい場合は、フォントそのものを変えるのではなく、余白やカーニング、カラーの工夫で時代感を調整するのが効果的です。永く使えるデザインは、普遍性の中に柔軟さを持っているものです。
● 流行ではなく「長く使える構造的な美しさ」を重視する。
● フォント自体を変えずに、デザイン要素で時代感を調整する。
● 普遍性と柔軟性の両立が“育つブランド”を支える。
5. ライセンスと運用性を確認する
見落とされがちですが、フォントのライセンスと運用性の確認は極めて重要です。商用利用が認められていないフォントをロゴに使用すると、後に法的トラブルを招く可能性があります。特に、無料フォントや個人制作フォントを使う場合は、利用範囲(印刷・Web・商標登録など)を必ず確認しておく必要があります。また、社内外で運用する際に、同一フォントがすべての環境で再現できるかどうかも大切です。代替フォントの設定や共有ライセンスの管理を怠ると、ブランドイメージの一貫性が崩れます。さらに、今後の拡張や海外展開を見据え、ライセンスの持続性や多言語対応の有無も考慮しておくと安心です。フォントは資産であり、デザインの“持続可能性”を支える要素でもあります。
● 商用利用範囲やライセンス条件を必ず確認する。
● 環境ごとに同一フォントが再現できる運用体制を整える。
● 長期的運用を見据え、ライセンスの持続性も考慮する。
■ 欧文フォントのつくりと名称について

⚫︎ アセンダライン(iなどの最上部に位置する基本ライン)
⚫︎ キャップライン(大文字の最上部に位置する基本ライン)
⚫︎ ミーンライン(小文字の最上部に位置する基本ライン)
⚫︎ ベースライン(全ての文字の基本ライン)
⚫︎ ディセンダライン(gなどのベースラインより下の基本ライン)
欧文フォントはベースラインという水平のラインに揃えられて設計されています。大文字と小文字、文字によって高さに違いがあるため、ベースラインに基いてアセンダライン、キャップライン、ミーンライン、ディセンダラインが揃えられています。文字によって天地の高さに差があるため、行間も注意しなければいけません。また、フォント幅は文字や種類によって変わります。そのため字面間に不均等な空白が生じ、カーニングが必要となります。
■ 欧文フォントの分類について
フォントはセリフ(ひげ)と呼ばれる飾りのある「セリフ体」と、飾りのない「サンセリフ体」の2種類に大きく分類されます。セリフ体/明朝体は文字が細く、読み手に負担を与えないのが最大の特長です。読みやすさを重視したい場合は、こちらを選択するといいでしょう。長文での使用にも向いています。一方でサンセリフ体/ゴシック体は視認性を重視する場合には有効です。重要な単語や見出しなど、文字を目立たせたい場合などにはに向いています。
セリフ体(明朝体)

欧文フォントは、先端の装飾の有無で「セリフ体」と「サンセリフ体」に分けられます。セリフとは文字の先端にある小さな飾りのことで、セリフを持つフォントのことをセリフ体といいます。和文フォントの明朝体と同様、縦線・横線の幅が異なりメリハリのある作りです。セリフ体は装飾性が高く古風なイメージから、伝統的でクラシカルな雰囲気を演出したい場合に使用されています。また、定番フォントであるTimes New RomanやGaramondは可読性に優れており、長文でも目が疲れにくい特徴から多くの新聞で採用されています。
サンセリフ体(ゴシック体)

サンセリフ体は先端に装飾がないタイプのフォントのことです。サンセリフは「sans-serif」と書き、フランス語で「セリフがない」という意味になります。セリフ体とは違い、縦線・横線の太さもほぼ均等です。サンセリフ体は、シンプルで新鮮なイメージ、親しみやすくカジュアルな印象にしたい場合に使用します。Helveticaはサンセリフ体のなかでも、特に定番といわれるフォントです。Futuraは、フォルクスワーゲンやルイ・ヴィトンのロゴデザイン等にも使用されています。近年の傾向としては、モバイルデバイスでの視認性が高いことから、リブランディングするハイブランドの新ロゴデザインに、サンセリフを採用する事例が増えてきています。
■ 弊社のロゴデザイン開発実績
弊社では、多様な業種・規模のクライアント様に対して、ブランド戦略、ロゴデザイン開発、ブランドステートメント策定、名刺・封筒・Webサイトなどのデザイン開発を一貫して手がけています。ネーミングやパッケージ、サインデザインなども包括的に開発しブランドの統一感と差別化を実現しています。




【 各種ロゴデザイン 】
弊社が手掛けたブランドロゴ開発実績は、シンボルマーク・ワードマーク・エレメント・コンビネーションという4つのロゴタイプになります。戦略的観点から整理し、各タイプの特徴と活用場面を想定し開発しました。ブランドの個性を的確に表現し、視認性と記憶定着を高めるロゴデザインを実現しています。

■ ロゴデザイン開発とフォントに関するよくある質問
ロゴデザイン開発の現場では、「どんなフォントを使えばいいのか?」という質問をよく受けます。多くのブランドに関わってきた経験から感じるのは、フォント選びこそがロゴの印象を決める最も重要な工程だということです。
[ よくある質問① ]
Q :ロゴデザイン制作において、どんなフォントが定番として選ばれているの?
A :定番フォントには、Helvetica(汎用性と読みやすさ)、Futura(幾何学的なモダンさ)、Garamond(伝統的な高級感)、Bodoni(ファッション的エレガンス)などがあり、ブランド性や業界との整合性を意識して使い分けられます。
[ よくある質問② ]
Q :なぜ、Helveticaが定番として選ばれているの?
A :Helveticaはシンプルでクセがなく読みやすいため非常に汎用性が高く、「世界で最も使用されている書体」とも言われ、ブランドを中立的に表現する際に最適です。
[ よくある質問③ ]
Q :FuturaやDINのような幾何学フォントは、どんなブランドに向いていますか?
A : Futuraは未来感や高級感を、DINは公共性や交通標識で培われた判読性を活かしたクールな印象を与える設計に適しています。
[ よくある質問④ ]
Q :高級感や伝統的な印象を与えるのにおすすめのフォントは?
A :GaramondやBodoniはその繊細かつエレガントな形状から、格式や歴史・高級感を演出できる定番セリフ体として多く採用されています。
[ よくある質問⑤ ]
Q :ロゴデザインでフォントを選ぶときの基本的な視点は何ですか?
A :ブランドの理念やターゲットとの共鳴を軸に、「視認性」「汎用性」「個性」の三点を天秤にかけて判断するのが基本です。定番フォントをベースにしつつ、ブランドの特性に合わせた選定が求められます。

■ ロゴデザイン開発とフォントに関するチェックリスト
多くのロゴデザイン開発をしてきて感じるのは、フォント選定の精度がロゴの完成度を大きく左右するということです。ここでは、実際のプロジェクトで意識している確認ポイントをまとめました。
[ フォント選定の妥当性チェック ]
⬜︎ ブランドが目指す印象(信頼性、モダンさ、高級感など)をフォントが正確に表現できているか?
⬜︎ スクリーン表示や紙媒体など、実際の使用環境で視認性と可読性を確保できているか?
⬜︎ 選定したフォントが商用フォントで、ライセンス上の問題がないかどうか確認済みか?
[ ブランド一貫性のチェック ]
⬜︎ フォントが既存ロゴ・VI要素との視覚的一貫性を保っているか?
⬜︎ 業界やターゲットに応じたフォント特性を考慮して選定されているか?
⬜︎ 教育や手順により、社内・外部関係者にもフォント使用ルールが運用される態勢が整っているか?

■ まとめ
ブランドロゴにおけるフォント選びは、文字を通じてブランドの個性や世界観を伝え、視覚的な信頼や印象を形づくる重要な要素です。この記事では、ロゴで使われる定番フォント10選として、Helvetica、Futura、DIN、Gotham、Avenirなどが挙げられており、それぞれがもつ雰囲気や特長を具体的な企業ロゴと共に紹介しています。例えば、Futuraは幾何学的な造形による高級感と現代性、DINは公共性とクールさ、Helveticaは汎用性と中立性で幅広い業界に適応します。さらに、フォントは単体で使われることは少なく、企業やブランドのトーンに合わせて文字間・太さ・スタイルが微調整されることで、唯一無二のロゴとして完成します。フォントには歴史的背景があり、その背景を理解することによりデザインの意図や魅力を深く理解できるのも奥深いポイントです。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 ご質問、お打合せ希望など、お気軽にお問合わせください。】
– ブランド戦略からデザイン開発まで –
■ おすすめ関連記事

[ おすすめ記事 ] ロゴデザインに重要なフォントとリニューアル事例

[ おすすめ記事 ] ブランドロゴの開発ポイントとは





















