CHIBICO BLOG

CI(コーポレート・アイデンティティ)を変更する5つの理由|見直すタイミングと注意点

[ ブランド戦略 ]

CI変更の5つの理由|見直すタイミング・範囲・進め方・事例

CI変更の目的は、企業の実態と社会から見える姿、これから目指す未来のズレを整えることです。ロゴや社名を新しくすることが目的ではなく、企業の変化を伝えるための取り組みです。

事業や経営方針、組織、市場環境が変われば、伝える価値や社内で共有する企業像も変わります。CIは全面的に変えるのではなく、必要な範囲を見極めて、適切に見直すことが重要です。

CI変更の理由、判断基準、変更範囲、進め方、国内外の事例まで、株式会社チビコ代表取締役/ブランディングディレクターの今田佳司が、実務視点から詳しく解説します。


■ CI変更とは、何を変える取り組みなのか?

CIを構成するMI・BI・VIとは

CI変更とは、ロゴや社名を新しくすることではなく、企業の実態と社会から見える姿、これから目指す未来のズレを整える取り組みです。企業理念、事業、行動、言葉、視覚表現を確認し、何を残し、何を変えるかを判断して、企業全体の一貫したアイデンティティを再構築します。

➤ 詳細記事:CIそのものについて詳しく知りたい方

CIを構成するMI・BI・VIとは

一般的にCIは、MI・BI・VIの3つの領域からできています。

┃ MI(Mind Identity)
企業理念、Purpose、Mission、Vision、Valuesなど、
企業が何を信じ、何を目指すのかを示す領域です。

┃ BI(Behavior Identity)
社員の行動、顧客対応、サービス、組織文化など、
企業の思想を実際の行動へつなげる領域です。

┃ VI(Visual Identity)
ブランドシンボル、ロゴタイプ、カラー、フォント、
写真、グラフィックなど、企業の思想を視覚的に伝える領域です。

CI変更では、この3つを必ずすべて変更する必要はありません。重要なのは、問題やズレがどこにあるのかを見極め、必要な領域だけを選び、目的に合わせてより適切に見直すことです。

CI変更とロゴ変更・VI刷新は何が違うのか?

ロゴ変更は、企業やブランドを象徴するシンボルやロゴタイプを変更する取り組みです。VI刷新は、ロゴに加えてカラー、フォント、写真、グラフィックなど、視覚表現全体までを見直します。一方、CI変更はさらに上位の取り組みで、企業理念や存在意義、事業の捉え方、社員の行動、ブランドメッセージまで含め、必要に応じて企業全体のあり方を再定義する場合があります。

CHIBICOでは、最初からロゴやCIを変えると決めず、経営・事業課題を確認します。次に、ズレがどこにあるかを整理し、必要な変更範囲を見極め、必要な領域だけを見直します。

■ CI変更は、どのタイミングで必要になるのか?

CIを変更する5つの理由

CI変更が必要になるのは、事業や経営方針、組織、市場環境が変化し、企業像と社会からの認識にズレが生じたときです。年数やロゴの古さではなく、事業の実態と未来像を正しく伝えられているかを基準に、M&Aや事業転換、事業承継など企業が大きく変わる節目で見直します。

➤ 詳細記事:リブランディングのタイミングを詳しく知る

1. 事業内容と現在のCIが合わなくなった

創業時から事業内容が大きく変わっても、社名や企業メッセージ、ロゴ、WEBサイトに以前の企業像が残ることがあります。CHIBICOでは、「説明しなければ現在の会社像が伝わらない状態か」を、事業とCIのズレを見極める実務上でも重要な判断基準の一つとしています。

2. 経営方針や企業ビジョンが変わった

中期経営計画の変更、経営者交代、事業承継、上場、海外展開などで企業の方向性が変わっても、理念やメッセージ、ロゴ、WEBサイトが以前のままでは変化は伝わりません。CI変更では、新たな経営方針を、社員や顧客が十分に理解できる企業像へ変換していくことが重要です。

3. M&Aや事業統合が行われた

M&Aやグループ再編では、名称やロゴの統一だけでなく、異なる企業文化や価値観をどう一つにまとめるかが課題です。旧会社の資産を残すのか、新しいブランドへ統合するのかを整理し、「新しい組織として何を共通の価値にするか」を明確に定めることがCI変更では重要です。

4. 社会から見える企業像と実態にズレがある

企業が考える強みと、顧客や社会から見える印象が一致しているとは限りません。技術力が伝わらない、高付加価値でも価格で比較されるなど、認識の差が生まれます。CI変更では、顧客、社員、求職者などからもどう見られているかを確認し、そのズレを把握することが重要です。

5. 社内で「何の会社なのか」を共有できない

事業や組織が成長すると、部署や拠点ごとに会社の説明が異なり、企業として共通する価値が見えにくくなることがあります。営業は商品機能、採用は企業文化、経営層は将来像というように説明が分かれている場合、CIを見直し、企業として共有する軸を整理する必要があります。

■ CHIBICOは、CI変更の必要性をどう判断するのか?

CIコーポレートアイデンティティ

CHIBICOでは、CI変更の必要性を、現在の事業、現在のCI、これから目指す企業像、残すべきブランド資産の4つから判断します。制作物を先に決めず、企業の実態、社会からの認識、未来の方向性を比較し、どこにズレがあるかを確認して必要な変更範囲まで見極めます。

➤ 詳細記事:リブランディングが必要になる5つのサインと6つの判断基準

判断基準 1|現在の事業はどうなっているか

現在の売上を支える事業だけでなく、今後伸ばしたい事業、新規事業、撤退する事業まで確認します。企業の実態が変化しているのに、社名やブランドメッセージが過去の事業だけを表している場合、現在と未来の事業像にズレがないかを確認し、CIを見直していく必要があります。

判断基準 2|現在のCIは何を伝えているか

企業理念、社名、ロゴ、WEBサイト、会社案内、採用資料、営業資料などを確認し、現在どのような企業として見えるのかを整理します。企業側がどう見せているかではなく、初めて接する人がどう理解するかという視点で確認することが重要です。社外からの見え方で判断します。

判断基準 3|これからどのような企業を目指すのか

CIは現在だけを表すものではありません。5年後、10年後に、どの事業領域で、誰に、どのような価値を提供する企業になりたいのかを考えます。現在だけに合わせるのではなく、未来の事業構想まで含めて企業像を定義することが重要です。中長期の視点まで含めて定義します。

判断基準 4|残すべきブランド資産は何か

長く使われてきた社名、ロゴ、カラー、商品名、企業文化には、認知や信頼が蓄積されています。CI変更は、古いものをすべて捨てることではありません。未来にも意味を持つブランド資産を見極め、新しいCIへどう継承するかを考えることが重要です。資産の継承も重視します。

■ CI変更では、どこまで変えるべきなのか?

CIの変更範囲とレベル

CI変更では、すべてを変える必要はありません。企業理念や事業に問題がなければVIの調整だけで十分な場合もあり、事業転換やM&AではCI全体の再構築が必要な場合もあります。制作物の数ではなく、課題がどの階層にあるかを基準に、必要な変更範囲を適切に判断します。

LEVEL 1|VIの調整

企業理念や事業戦略に大きな問題はなく、ロゴ、カラー、フォント、WEBサイトなどの視覚表現が古くなっている場合です。この段階では、企業の本質や認知資産を残しながら、VIを現在のデジタル環境や新しい媒体でも使いやすい表現へ最適化して更新していく重要な段階です。

LEVEL 2|メッセージとVIの再整理

企業理念そのものは変えなくても、社会への伝え方が現在の事業や市場に合わなくなる場合があります。この段階では、ブランドコンセプト、スローガン、ステートメントなどを整理し、それに合わせてVIを開発し、企業本来の価値を継承しながらコミュニケーションを更新します。

➤ 詳細記事:ブランドメッセージの作り方

LEVEL 3|CI全体の再構築

事業の多角化、経営方針の変更、M&Aなどにより、「自分たちは何者か」から見直す必要がある場合です。この段階では、Purpose、Mission、Vision、Valuesなどの企業理念、ブランドコンセプト、行動指針、VIを横断して定義し、企業像を整えます。

LEVEL 4|企業自体の再定義

既存の社名や事業カテゴリーでは、これから目指す企業像を十分に表現できない場合です。この段階では、社名、事業定義、ブランド体系、企業理念、ブランドメッセージ、VIまでを大きく見直し、企業が「何の会社になるのか」を再定義する経営プロジェクトとして取り組みます。

■ CI変更では、何を残し、何を変えるべきなのか?

CI変更で重要なブランド資産

CI変更で重要なのは、過去のブランド資産をすべて捨てることではありません。社名、理念、ロゴ、カラー、文化、信頼などを棚卸しし、残す、変える、加える、なくすの4つに整理します。新しさではなく、未来にも価値を持つ資産かどうかを基準にし、継承と変更を判断します。

1. 残すもの=理念やブランド資産

長年の使用によって認知や信頼が蓄積され、未来の企業像とも矛盾しない資産です。企業名、ブランドシンボル、特定のカラー、創業から受け継がれた思想などが該当します。見た目が古いという理由だけで捨てず、企業らしさを支える価値として将来へ長く継承することが重要です。

2. 変えるもの=古い表現や仕組み

価値は残っていても、現在の事業や媒体に十分対応できていない資産です。ロゴの細部、カラー体系、フォント、ブランドメッセージなどを見直します。これまで蓄積した認知や信頼を活かしながら、現在の環境や多様なブランド接点に適した表現へ適切に更新していくのが重要です。

3. 加えるもの=新しい価値や要素

事業やブランド接点が増えたことで、新たに必要になった要素です。ブランドスローガン、写真表現、グラフィック、モーション、デジタル上の使用基準などが該当します。従来のCIだけでは不足する要素を追加し、多様な接点でも一貫した企業らしさを伝えられる状態を整えます。

4. 無くすもの=不要な表現やルール

現在の企業像と矛盾し、将来も価値を持たない要素は整理する必要があります。旧事業に依存した表現、複数存在する古いロゴデータ、使われないブランド、意味を失ったルールなどが対象です。不要な資産を残さず、今後の運用時に迷いや混乱が生まれない状態へ整理していきます。

■ CI変更を始める前に、何を確認すべきなのか?

CI変更の前に必要な条件整理

CI変更を始める前には、目的、経営課題、既存のブランド資産、社内外の認識、意思決定者、対象となる接点、移行時期を整理します。ロゴやWEBサイトなど制作物から考えるのではなく、何を解決する変更なのかを明確にし、関係者全員が共通の判断基準を持つことが重要です。

1. 何を解決するためのCI変更なのか

「ロゴが古い」「WEBサイトを新しくしたい」だけでは、CI変更の目的として十分ではありません。事業の変化が伝わらない、採用で魅力が届かない、グループに一体感がない、海外展開に名称が適さないなど、経営や事業上の課題までさらに掘り下げて整理することが重要です。

2. 現在どのようなブランド資産があるのか

ロゴ、社名、カラー、ブランドメッセージだけでなく、商品名、企業の歴史や文化、顧客からの信頼、社員が大切にしている価値まで確認します。CI変更では、新しくつくるものだけに目を向けず、これまで築いてきた資産から、未来にも残す価値をまずは見つけることが重要です。

3. 社内外からどのように認識されているのか

経営層だけで企業像を判断すると、実際の市場認識とズレることがあります。顧客、取引先、社員、求職者などへのヒアリングや調査を通じて、企業側が考える自社像と、外部から実際に認識されている企業像を比較し、その差がどこにあるのかを具体的にも確認することが重要です。

4. 誰が最終的に意思決定するのか

CIは経営と深く関わるため、多くの意見を集めることと、多数決で決めることは分けて考えます。社員や関係者の意見を聞くことは重要ですが、最終判断を誰が行うのかを明確にしておかなければ、方向性や判断基準が曖昧になり、プロジェクト全体がぶれやすくなってしまいます。

5. どのブランド接点まで変更するのか

WEBサイト、会社案内、営業資料、採用資料、SNS、広告、商品、パッケージ、店舗、サイン、制服、車両など、企業でブランド接点は異なります。CI変更では、それらを一覧化し、同時に変更するもの、段階的に変更するもの、変更しないものを整理し、優先順位を決めます。

6. いつ、どのように新CIへ移行するのか

新しいCIを公開しても、翌日からすべての媒体を切り替えられるとは限りません。名刺や印刷物の在庫、店舗サイン、製品パッケージ、契約書類などを確認し、無駄な廃棄や混乱を防ぐためにも、変更時期と移行期間、旧CIを使用できる期限まで事前に決めておくことが重要です。

■ CI変更は、どのような手順で進めるべきなのか?

CI変更の7つのステップ

CI変更は、ロゴ制作から始めず、目的と経営課題の整理、現状調査、認識ギャップの把握、CI戦略の再定義、言葉とVIの開発、ブランド接点への展開、ガイドラインと運用体制の整備へと進めます。戦略から表現、公開後の運用まで順序立ててつなぐことが特に重要です。

STEP 1|目的と経営課題を整理する

なぜCIを変更するのか、どのような経営・事業課題を解決したいのかを十分に明確にします。目的が曖昧なまま進むと、デザインの好みだけで判断しやすくなります。経営課題と変更目的を最初の段階で丁寧に整理し、関係者が共通の判断基準を持てる状態をつくることが重要です。

STEP 2|現在のCIとブランド資産を調査する

社名、理念、ロゴ、カラー、メッセージ、WEBサイト、営業資料などを棚卸しします。さらに、企業の歴史や顧客からの認知、社員が大切にしてきた価値など、目に見えないブランド資産も確認し、何を残し、何を見直すべきかを整理することが重要です。優先課題を明確にします。

STEP 3|社内外の認識ギャップを把握する

経営層、社員、顧客などの認識を確認し、「企業が伝えたい姿」と「実際に伝わっている姿」の差を整理します。社内外の認識を比較することで、どこにズレがあり、何を優先して見直すべきかを明確にし、CI変更で解決すべき課題を具体化していきます。優先順位も明確にします。

STEP 4|CI戦略を再定義する

企業の存在意義、目指す未来、提供価値、ブランドの個性などを整理し、新しいCIの核を定めます。経営や事業の方向性とつながる言葉に落とし込み、社員や顧客が理解できる企業像へ変換することで、その後のデザインやコミュニケーションの判断軸をつくります。基準とします。

STEP 5|言葉とVIへ変換する

ブランドコンセプト、スローガン、ステートメントなどの言語表現と、ブランドシンボル、ロゴタイプ、カラー、フォントなどの視覚表現を開発します。個別に考えるのではなく、戦略を共通の軸として言葉とデザインをつなぎ、一貫したブランド表現として体系的に整えていきます。

➤ 詳細記事:VIの具体的な開発方法

STEP 6|ブランド接点へ展開する

WEBサイト、名刺、会社案内、営業資料、採用、広告、SNS、商品、サインなどへ展開します。重要なのは、媒体ごとに表現を変えることではなく、どの接点でも同じ企業像が伝わることです。優先順位を決めながら、ブランド体験全体に一貫性を持たせながら展開していきます。

STEP 7|ガイドラインと運用体制を整える

ロゴ、カラー、フォント、写真、レイアウトなどの使用基準をガイドラインにまとめます。同時に、データの管理方法、承認者、更新方法、外部制作会社への共有方法まで明確にします。誰が制作しても一定の品質を維持し、CIを継続的に運用できる仕組みを整えることが重要です。

➤ 詳細記事:ロゴガイドラインの作り方と運用方法

■ CI変更で失敗するのは、なぜなのか?

CI変更で失敗する主な原因

CI変更が失敗する主な原因は、デザインから始める、過去の資産をすべて捨てる、多数決で決める、経営戦略と切り離す、社員への共有が遅れる、公開をゴールにすることです。変更理由と判断基準を明確にし、経営、社内共有、公開後の運用までを一貫して進める必要があります。

1. ロゴやデザインから始めてしまう

「新しいロゴを作りたい」から始めると、何を解決するための変更なのかが曖昧になります。先に整理すべきなのは、事業、経営方針、社会からの認識、未来の企業像です。それらを定めたうえで、課題解決につながる最適な視覚表現を開発することが重要です。

2. 過去のブランド資産を全て捨てる

CI変更を「新しくすること」と考えすぎると、それまで蓄積してきた認知や信頼まで失う可能性があります。残すべき資産があるなら、新しいCIの中で再解釈して活用し、企業らしさやブランドとしての連続性を保ちながら更新することが重要です。

3. 多数決で方向性を決める

CIは多くの社員が使用するため、社内の意見を聞くことは重要です。ただし、ロゴや企業理念を多数決で決めるべきではありません。ヒアリングは課題や認識を把握するために行い、最終的な方向性は経営戦略とブランド戦略に基づいて判断する必要があります。

4. 経営戦略とブランドを分けて考える

CI変更を広報部門やデザイン部門だけの仕事にすると、事業戦略とのズレが生じやすくなります。社名、企業理念、事業定義まで関わる場合は、経営層がプロジェクトに参加し、経営の方向性とブランドの方向性を一致させて進めることが重要です。

5. 社員への説明を公開直前まで行わない

新しいCIが完成してから社員へ伝えるだけでは、「会社が勝手に変わった」という印象になりかねません。必要な段階でヒアリングや共有を行い、なぜ変えるのか、何を目指すのかを理解できるプロセスを設計し、社内の理解を深めることが重要です。

6. 公開をゴールにしてしまう

ロゴやWEBサイトを公開した日は、CI変更の完成日ではなく、新しい企業ブランドの運用開始日です。その後も営業資料、採用、広告、SNS、商品、社内資料などへ継続的に展開し、表現のばらつきや形骸化を防ぐための運用体制を整えることが重要です。

➤ 詳細記事:リブランディング成功の6つのポイント

■ CI変更後は、何を運用・評価すべきなのか?

CI変更後は、何を運用・評価すべきなのか?

CI変更後は、ロゴやWEBサイトを公開して終わりではありません。営業、採用、広告、SNS、商品など接点へ新CIを展開し、ガイドライン、管理体制、社内理解を整えます。変更目的に応じたKPIを設定し、新しい企業像が理解され、使われているかを継続的に確認します。

ブランド接点へ新CIを定着させる

WEBサイトだけが新しく、営業資料や採用資料に旧ロゴが残っている状態では、一貫した企業像をつくれません。頻度と重要度が高い各接点から優先順位を決め、WEBサイト、営業、採用、SNSなどを計画的に新CIへ移行し、ブランド表現を段階的に統一することが重要です。

ガイドラインと管理体制を運用する

ガイドラインは制作して終わりではありません。新しい媒体やサービスが増えれば、その都度新たな判断が必要になります。誰がロゴデータを管理するのか、例外使用を誰が承認するのか、ガイドラインをいつ更新するのかまで決め、継続的に運用できる体制を整えることが重要です。

変更目的に合わせてKPIを決める

CI変更の効果は、一つの指標だけでは測れません。認知改善ならブランド認知や指名検索、営業課題なら問い合わせや商談での反応、採用なら応募者の理解や共感、インナーブランディングなら社員の理念理解など、設定した目的に合わせてKPIを決め、必ず継続して確認します。

■ CHIBICOのCI変更事例から、何が分かるのか?

CHIBICOのCI変更事例に共通するのは、見た目を変える前に、企業がこれから何の会社を目指すのかを整理している点です。事業の変化や社会的役割、企業の思想を起点にCIを再定義し、社名、言葉、ロゴ、各媒体へ展開することで、企業の未来像を一貫して伝えています。

NIHONN MOBILITY SERVICEのCI変更事例

NIHON MOBILITY SERVICE|事業の未来から企業像を再定義

NIHON MOBILITY SERVICEは、JAPAN OIL SERVICEからの社名変更に伴い、コーポレート・アイデンティティを開発した事例です。従来の「OIL」という商品カテゴリーに限定された企業イメージを見直し、「MOBILITY」という広い視点から、事業の可能性とこれからの企業像を再定義し、企業の未来像まで明確にしました。

ブランドコンセプトは「新しい移動と技術の進化。モノを超えたサービスとしてのあり方。」。ブランドシンボル、コーポレートロゴタイプ、ブランドスローガン、名刺、ロゴガイドラインなどへ展開。この事例で重要なのは、現在の事業説明ではなく、これから何の会社になろうとしているのかを先に定義した点です。企業の未来像を起点に、表現全体を一貫して開発しています。

➤ CHIBICO WORKS | NIHON MOBILITY SERVICEより

RENEWABLE JAPANのCI変更事例

RENEWABLE JAPAN|事業の社会的意味を企業のCIへ

RENEWABLE JAPANでは、再生可能エネルギーという事業内容だけでなく、企業が社会の中で何を実現したいのかをブランドとして整理しました。ブランドの中心に据えた考え方は「すべての人を、エネルギーの主人公に。」事業そのものだけでなく、その先にある社会的な役割や存在意義まで明確にし、企業として目指す方向を言葉とブランドへ落とし込みました。

ブランド戦略、ブランドコンセプト、ブランドシンボル、ロゴタイプ、ブランドステートメント、名刺、封筒、ロゴガイドラインまで一貫して開発しました。この事例から分かるのは、CIは「何をしている会社か」を説明するだけでなく、なぜその事業を行うのか、どんな社会を目指すのかまで伝える役割を持つということです。企業の意思を社会へ示すCIとして開発しました。

※リニューアブル・ジャパン株式会社は、2026年4月1日付で「株式会社リエネ・エナジー」へ社名変更しています。CHIBICOがRENEWABLE JAPANの名称で支援した当時のCI開発事例です。

➤ CHIBICO WORKS | RENEWABLE JAPANより

I'ROM GROUPのCI変更事例

I’ROM GROUP|複数事業を一つの企業思想で束ねる

I’ROM GROUPでは、先端医療、SMO、CRO、メディカルサポートという異なる事業領域を、共通する企業思想によって束ねるCIを開発しました。ブランドプロミスは「憂いなき未来のために。」事業ごとに異なる役割を持ちながらも、グループ全体を一つの思想でつなぎ、企業として目指す方向と社会へ提供する価値を明確にし、企業像まで整えました。

ブランドシンボル、ブランドロゴタイプ、コーポレートロゴタイプ、ブランドステートメント、名刺、封筒、WEBサイト、ロゴガイドラインなどへ展開しています。事業が多角化すると、それぞれのサービスは理解されても、なぜ同じ企業が行うのかが見えにくくなります。この事例は、複数事業を一つの思想で結び、グループ全体の企業像を明確にしたケースの代表例です。

➤ CHIBICO WORKS | I’ROM GROUPより

■ 国内外のCI変更事例から、何を学べるのか?

国内外のCI変更事例から学べるのは、成功企業ほど既存のブランド資産を無条件に捨てていないことです。認知や信頼が蓄積した要素を再評価し、環境の変化に合わせて役割や表現を更新しています。ロゴの新しさではなく、何を残し、なぜ変えるのかを慎重に見ることが重要です。

NASAのCI(コーポレート・アイデンティティ)変更事例

NASA|歴史的なブランド資産を再活用する

NASAには、青い円形のInsignia、通称「Meatball」と1975年に導入されたLogotype、通称「Worm」というブランド資産があります。Wormは1976年から1992年まで公式ロゴとして使用され、2020年に選択的な用途へ復活しました。現在も資産として活用され、NASAの視覚的アイデンティティを補完する役割を担っています。

現在のNASA Brand Guidelinesでは、Meatballを公式識別要素としながら、Wormを用途に応じて補完的に使用する考え方が示されています。この事例が示すのは、過去のブランド資産は「古いから捨てる」のではなく、現在でも価値があるなら、その意味や役割を見直しながら再活用できるということで、ブランド資産の継承方法を示す例です。

[ 出典 ] NASA公式サイトNASA Brand Guidelinesより

MastercardのCI(コーポレート・アイデンティティ)変更事例

Mastercard|認知資産を残してデジタルへ適応する

Mastercardは2016年、赤と黄色の2つの円という長年のブランド資産を残しながら、ブランド・アイデンティティを刷新しました。従来の認知を維持しつつ、形状やタイポグラフィを整理し、よりシンプルで現代的な表現へ更新。カードやWEB、アプリなど、デジタル環境を含む多様な接点でも機能する柔軟なブランドシステムへ進化させました。

さらに2019年には、多くの用途でブランドマークから「Mastercard」の文字を外し、赤と黄色の2つの円だけでもブランドを表現できるシンボルブランドへ進化させました。重要なのは、認知度の高い資産を捨てず、環境の変化に合わせて役割や使い方を更新した点です。ブランド資産を継承しながら、時代に適応させた代表的な事例といえます。

[ 出典 ] Mastercard公式Mastercard Evolves Its Brand Mark by Dropping Its Nameより

StarbucksのCI(コーポレート・アイデンティティ)変更事例

Starbucks|高いブランド認知を活かし象徴性を高めた

Starbucksは2011年、創業40周年を機にロゴを刷新しました。従来の「STARBUCKS COFFEE」という文字を外し、ブランドを象徴するサイレンだけを残した、よりシンプルなデザインへ変更。長年蓄積してきたサイレンの高い認知度を活かしながら、ブランドを象徴する視覚資産としての役割をさらに強め、象徴性をさらに高めました。

この刷新によって、Starbucksはコーヒーという特定の商品カテゴリーに縛られず、より幅広い事業や商品展開にも対応できるブランドへ進化しました。重要なのは、象徴的なサイレンを捨てるのではなく、認知資産として残しながら、文字情報を減らすことで象徴性と拡張性を高めた点です。既存資産を活かし、ブランドの可能性をさらに広げた代表的な事例といえます。

[ 出典 ] Starbucks公式Starbucks Creative Expressionより

湖池屋のCI(コーポレート・アイデンティティ)変更事例

湖池屋|CI変更を商品と事業の変化までつなげる

湖池屋は2016年、コーポレートブランド統合を機に新CIロゴを採用しました。新しい六角形のロゴには、従来の「親しみ」「安心」「楽しさ」に、「本格」「健康」「社会貢献」を加えた6つのコアバリューが込められています。企業として大切にする価値を、ロゴという視覚表現へ集約し、新生・湖池屋の方向性を明確に示したCI刷新の事例です。

また湖池屋は2017年、新生・湖池屋を象徴する高品質のフラッグシップ商品として「KOIKEYA PRIDE POTATO」を発売しました。CI変更をロゴの刷新だけで終わらせず、商品を通じて新しい企業像を体験できる状態へつなげています。この事例からは、CIを企業の見た目だけでなく、商品や事業活動まで一貫して反映させる重要性がはっきり分かります。

[ 出典 ] 湖池屋公式「原点に立ち、未来へ踏み出す。新生 湖池屋 新CIロゴマークを採用」より

MercariのCI(コーポレート・アイデンティティ)変更事例

Mercari|成長したサービスのブランド像を再定義

メルカリは2018年、サービスの成長に合わせてロゴとブランド表現を刷新しました。従来から持つ「わくわく感」を残しながら、新たに「フラットさ」と「公平さ」をブランドの軸として設定。サービスの拡大に合わせて、より幅広い利用者へ開かれた印象を持つブランド表現へ進化させました。利用者との接点全体で、ブランドらしさをより明確に伝える設計へ更新しました。

さらに2019年にはDesign Systemを整備し、ロゴやカラーなどの視覚要素だけでなく、UIやコミュニケーションまで一貫したブランド体験へ発展させています。この事例からは、ロゴの刷新を起点に、サービス全体の接点へブランドの考え方を広げ、継続的に運用できる仕組みへ育てていく重要性が分かります。運用まで含めてブランドを設計した点が特徴です。

[ 出典 ] Mercari公式mercari careers Mercanより

■ CI変更を依頼する会社は、どう選ぶべきなのか?

CI変更を依頼する会社の選び方

CI変更の依頼先は、ロゴやWEBサイトの制作実績だけで選ぶべきではありません。経営課題の整理、ブランド戦略、言語化、VI開発、ガイドライン、公開後の運用まで一貫して対応できるかを見ます。何を作れるかより、何を残し、何を変えるべきか判断できる会社を選びます。

経営課題から整理できるか

CI変更の背景には、事業転換、事業承継、M&A、採用、海外展開などの経営課題があります。依頼先が最初からロゴやWEBサイトの話だけをするのではなく、なぜ変更するのか、どの課題を解決したいのかまで丁寧に掘り下げられるかを確認することが実務面でも特に重要です。

ブランド戦略と言語化まで対応できるか

CIは視覚表現だけでは成立しません。企業の存在意義、提供価値、ブランドコンセプト、メッセージなどを整理し、その内容をロゴ、カラー、フォントなどのVIへ適切につなげられることが実務上でも重要です。戦略と言葉、デザインを一つの考え方で設計できるかを確認します。

CIとVIを一貫して開発できるか

戦略と言葉は別会社、ロゴは別会社、WEBサイトも別会社という体制では、企業像が分断される場合があります。複数のパートナーを活用する場合でも、全体を統括し、戦略から表現、各媒体への展開まで、一つのブランドとして判断できる体制があるかを十分に見極め確認します。

➤ 詳細記事:CIとVIの違いについて詳しく知る

ガイドラインと公開後の運用まで考えられるか

CIは公開後に多くの社員や外部パートナーが使用します。そのため、ブランドガイドライン、ロゴデータの管理、各媒体への展開、社内説明など、公開後の運用まで見据えて支援できるかを確認します。制作して終わりではなく、継続してブランドを管理できる体制も特に重要です。

実際のCI変更事例を確認できるか

完成したロゴだけでなく、どのような課題があり、どのような考え方で解決し、どこまで変更したのかが分かる事例を確認します。見た目の好みだけで判断せず、課題整理、戦略、言語化、デザイン、展開までのプロセスから、その会社の考え方や実務力まで見極めることが重要です。

CHIBICOでは、最初から制作範囲を決めるのではなく、経営や事業の背景を伺い、現在のブランドにどのようなズレがあるかを整理するところからCI変更のご相談をお受けしています。

FAQ-よくある質問

■ CI変更に関するよくある質問

CI変更では、見直すタイミングや変更範囲、ロゴや社名の扱い、進め方、期間など検討段階で多くの疑問が生まれます。ここでは企業からよく寄せられる質問を取り上げ、一般論だけでなく、実務で判断できる基準と考え方を示しながら、CI変更の疑問をわかりやすく整理します。

Q1. CIは何年ごとに変更すべきですか?

CIを変更する年数に決まりはありません。5年、10年といった期間ではなく、事業内容、社会からの認識、これから目指す企業像にズレが生じているかで判断します。長く使われていても、企業の実態と未来に合い、社内外で機能しているCIなら、変更する必要はありません。

Q2. ロゴだけを変更することもできますか?

ロゴだけを変更することは可能です。ただし、見た目を新しくすることを目的にせず、なぜ変更が必要なのかを先に整理します。企業理念や事業方針に問題がなく、視覚表現だけが現在の環境や媒体に合わない場合は、VIを中心に必要な範囲だけ見直す方法が実務上でも適切です。

Q3. 社名変更なしでCI変更になりますか?

社名を変えなくてもCI変更になります。CIは社名だけでなく、企業理念、ブランドメッセージ、行動指針、ロゴやカラーなどを含む企業のアイデンティティです。培った社名の認知や信頼を残しながら、必要な要素を見直し、現在と未来に合う企業像へと整えることができます。

Q4. ロゴやカラーを残すことはできますか?

ロゴやブランドカラーは、未来にも価値があるなら残すべきです。長年の使用で蓄積した認知や信頼は重要なブランド資産であり、古いという理由だけで捨てる必要はありません。事業や将来像との整合性を必ず十分に確認し、残す、変える、加える、なくすの4分類で判断します。

Q5. CI変更には誰が参加すべきですか?

CI変更には、経営層を中心に、広報、営業、採用、マーケティングなど必要な部門が参加します。重要なのは人数を増やすことではなく、経営の意思と現場の実感を把握できる体制をつくることです。意見は広く集めても、最終の意思決定者と判断基準は必ず明確にして進めます。

Q6. CI変更の期間は、どのくらいですか?

CI変更の期間は、変更範囲によって異なります。VIを調整する場合と、企業理念、社名、ブランド体系まで再構築する場合では、調査、合意形成、開発、移行の工程が変わります。公開日だけを優先して工程を削らず、戦略整理から運用準備まで逆算して進めることが重要です。

checklist-チェックリスト

■ CI変更を検討するためのチェックリスト

CI変更を検討する際は、現在の事業とCI、経営方針、社会からの認識、社内の共通理解、ブランド資産、各接点の一貫性を見ます。項目の数だけで変更を決めるのではなく、どこにどの程度のズレがあり、それが企業の成長や信頼にどう影響しているかを判断することが重要です。

⬜︎ 現在の事業と社名・イメージが合っているか
⬜︎ 事業がCI制定時から大きく変わっていないか
⬜︎ 経営方針やビジョンとCIが一致しているか
⬜︎ 顧客から自社が期待通りに認識されているか
⬜︎ 競合との違いを明確に説明できるか
⬜︎ 経営者と社員で認識が一致しているか
⬜︎ 現在のCIで残すべき資産を把握しているか
⬜︎ 社内外のブランド表現が一貫しているか

記事のまとめ

■ まとめ

CI変更の目的は、企業を新しく見せることではありません。事業や経営方針の変化によって生まれた、現在の企業像とCI、これから目指す姿とのズレを整理し、企業の実態と未来像をつなぎ直すことです。これにより、社内外に伝わる企業像を整え、ブランドの一貫性を高めます。

事業内容とCIが合わない、経営方針やビジョンが変わった、M&Aや事業統合が行われた、社外の認識と実態にズレがある、社内でも共通認識を持てない。こうした状態は、企業の変化にCIが追いついていないサインであり、CIを見直すべき重要なタイミングといえるでしょう。

ただし、CI変更だからといって、企業理念や社名、ロゴを必ず変える必要はありません。大切なのは、これまで蓄積してきたブランド資産を確認し、その価値を見極めたうえで、何を残し、何を変え、何を新たに加えるのかを判断することです。その判断がCI変更の質を決めます。

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

chibicoロゴ

【 CI変更についてご相談ください 】

CI変更は、全て決まってから相談する必要はありません。
経営や事業の背景を伺いながら、企業理念、ブランド戦略、
ブランドガイドラインなど、必要な領域を整理してご提案しています。

ご相談お問合せボタン

■ おすすめ関連記事

CI変更をさらに理解するには、CIそのものの意味や目的、CIとVIの違い、リブランディングの進め方、社名変更など、関連テーマを合わせて確認することが効果的です。自社の課題に近い記事から読み進めることで、変更の必要性や範囲、進め方をより具体的に判断できます。

CIそのものについて詳しく知りたい方

CI(コーポレート・アイデンティティ)の意味や目的と開発とは

[ おすすめ記事 ] CI(コーポレート・アイデンティティ)の意味や目的と開発とは

CIとVIの違いを知りたい方

CIとVIの違いや目的と成功事例

[ おすすめ記事 ] CIとVIの違いや目的と成功事例

企業ブランド全体を見直したい方

リブランディングを成功させる6つのポイント

[ おすすめ記事 ] リブランディングを成功させる6つのポイント|失敗を防ぐ進め方と実例

社名変更について検討している方

会社名を変える理由とその効果

[ おすすめ記事 ] 今こそ考えるべき社名変更:理由や効果を徹底解説

関連記事

  • CATEGORY

  • 日々の暮らしの中の愛用品や街で見かけた気になるデザイン
    弊社のデザイン実績などをご紹介させていただきます。
    ブランディングを語る際に使用する用語集です。
    分からない用語が出てきた場合などにご活用ください。