[ ブランド戦略 ]
ブランディングは誰にどう頼めばいいのか?
ブランディングは、企業や製品の価値を的確に伝え、競争市場での差別化を図るための重要な戦略です。しかし、「ブランディングを誰に頼むべきか?」という疑問を持つ企業も多いでしょう。ブランディングを成功させるためには、自社のビジョンやターゲットに合った専門家やパートナーを選ぶことが大切です。広告代理店、ブランドコンサルティングファーム、デザイン会社、さらには社内のマーケティングチームなど、選択肢はさまざまです。それぞれの専門性や強みに応じて依頼先を見極めることが、ブランディング成功のカギとなります。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、ブランディングを依頼する際のポイントや、それぞれの依頼先の特徴、適切な選び方について解説し、最適なパートナーの選定方法について詳しく解説します。
■ ブランディングを検討する5つの理由
1. 競合との差別化
競合との差別化は、市場での生き残りにとって非常に重要です。同業他社が増える中で、製品やサービス自体が似通っている場合、ブランディングが最も重要な競争要因となることがあります。ブランド戦略を構築することで、顧客に自社の独自性をアピールできます。顧客は、特定のブランドに価値を見出し、そのブランドを選択することがあります。例えば、高級ブランド品は高価であっても、ブランド名の信頼性や品質に対する認識が高いため、市場において高い価値を持つことがあります。競合との差別化に成功することで、ブランドの強化やビジネスの成長に繋がることがあります。
2. ロイヤルティの向上
ブランディングによって、企業のブランドイメージを向上させることができます。その結果、顧客にとって魅力的なブランドになり、顧客のロイヤルティを高めることができます。ロイヤルティが高い顧客は、リピート率が高く、長期的な収益につながります。また、顧客の口コミや評判も向上し、新規顧客の獲得にもつながります。さらに、ロイヤルティが高い顧客は競合他社の攻勢に対しても、より忠誠心を持って企業を支持し続ける傾向があります。これにより、競合他社との競争力を強化することができます。そのため、ブランディングは企業の長期的な成長と利益にとって重要な役割を果たしています。
3. 新規顧客の獲得
魅力的なブランディングは、企業にとって新規顧客を獲得する上で非常に重要です。ブランド戦略を用いることで、より広い層のターゲットにアプローチすることが可能になります。例えば、若い世代をターゲットにしたい場合、SNSやインフルエンサーを活用して、魅力的なブランドイメージを伝えることが効果的です。また、新しい商品やサービスを発表する際には、ブランド戦略を活用してその魅力をアピールすることで、新規顧客を獲得することができます。ブランドイメージが強い企業は、新規顧客を獲得しやすく、競争優位性を獲得することができます。
4. 企業イメージの向上
企業のイメージは、その企業の製品やサービスに対する消費者の評価や知名度、信頼度などを総合的に表します。良好なイメージを持つ企業は、顧客からの信頼や支持を得やすく、消費者が企業の製品やサービスを選ぶ際にも有利な立場にあります。ブランディングを通じて企業のイメージを向上させることができます。例えば、企業が社会的責任を果たす姿勢をアピールすることで、消費者からの支持を得ることができます。また、ブランディングを通じて企業が持つ独自性や強みを強調することで、企業の存在感を高めることができます。企業イメージの向上によって、企業の信頼性や認知度を高めることができ、顧客に対する影響力を向上させることができます。
5. 販売促進
ブランディングは、企業の製品やサービスを顧客にアピールする上で非常に重要な役割を担っています。顧客は、魅力的で信頼性の高いブランドを選好する傾向があります。そのため、ブランド戦略を活用することで、商品やサービスの販売促進につなげることができます。例えば、知名度が高く、信頼性があるブランドを持つ企業は、新商品の発売やプロモーションキャンペーンを行う際に、より多くの注目や支持を得ることができます。また、ブランド力が高いと、商品やサービスをより高価格で販売することも可能になります。つまり、ブランド力の高い企業は、同じ商品やサービスを提供している企業よりも高い価格で販売することができ、利益を最大化することができます。
■ ブランディングの依頼先を選ぶ際のポイント
【 実績や評判をチェックする 】
実績や評判をチェックする場合、過去のブランディングの実績や顧客満足度、受賞歴などを確認することが重要です。特に、同業他社や業種が異なる企業の実績を参考にすることで、より幅広い視野で判断することができます。また、過去の案件の事例や成功事例、失敗事例を知ることで、その企業の能力やアプローチについて理解することができます。評判については、口コミサイトやSNS、業界専門誌などから情報を収集することができます。過去の顧客のコメントやレビューを読むことで、その企業の信頼性やクオリティについての参考になります。ただし、評判や口コミについては、正確性には限界があるため、複数の情報源を総合的に判断することが大切です。
【 コミュニケーションのスタイルを確認する 】
ブランディングにおいて、コミュニケーションは非常に重要な要素です。そのため、ブランディングを依頼する際には、コミュニケーションのスタイルを確認することも重要です。具体的には、ブランディングを担当するチームとのミーティングやメールのやりとりなどを通じて、そのチームがどのようなコミュニケーションスタイルをとっているのかを確認することができます。例えば、コミュニケーションのスタイルがフレンドリーで親しみやすい場合は、依頼主のニーズや要望を理解しやすくなります。また、コミュニケーションのスタイルが堅苦しくフォーマルな場合は、依頼内容に対して真摯に向き合っている印象を与えます。こういったコミュニケーションスタイルによって、ブランディングの成果にも影響が出ることがあります。
【 オリジナリティと創造性を重視する 】
オリジナリティと創造性を重視する場合、ブランドコンサルティングファームやデザインファームが適しています。これらの企業は、顧客の独自性やブランドの特徴を理解し、その特徴を生かしてブランド戦略やデザインを提案することが得意です。例えば、新しい商品やサービスを展開する場合、競合との差別化や独自性が重要となります。このような場合、オリジナリティあふれるデザインや独自のブランドストーリーを提案することが求められます。ブランドコンサルティングファームやデザインファームは、クライアントと共にブランドの特徴を見つけ出し、それを表現するための戦略やデザインを提供します。また、オリジナリティと創造性を重視する場合、ブランドコンサルティングファームやデザインファームの実績や評判をチェックすることも重要です。
■ ブランディングを依頼する際のステップ
1. ブランディングの目的を明確にする
自社がどのような印象を持たれたいか、どのようなターゲットに訴求したいか、どのような価値を提供したいかなどを考え、ブランディングに求めるものを明確にします。
2. ブランディングプロセスの選定
次に、ブランディングプロセスを選定します。自社で行うのか、外部の専門家に依頼するのかを決めます。外部に依頼する場合は、どのような専門家に依頼するのかを検討します。
3. 提案書の受領と選定
外部の専門家にブランディングを依頼する場合は、複数の提案書を受領します。その中から、自社に最も適した提案を選定します。選定の際には、価格だけでなく、提案内容や実績なども考慮します。
4. ブランディングの設計
ブランディングの設計を行います。ブランドコンセプトの策定、ロゴやキャッチコピーの作成、ブランドカラーやフォントの選定などが含まれます。
5. ブランディングの実装
設計が終了したら、ブランディングの実装を行います。ロゴやキャッチコピーを掲載する広告や看板、Webサイトのデザインなど、実際にブランドを表現するものを制作します。
6. ブランディングの評価
ブランディングを実施した後は、その効果を評価します。自社の目的を達成できているかどうかを確認し、必要に応じて修正や改善を行います。
以上が、ブランディングを依頼する際のステップになります。必ずしもこの順番に従う必要はありませんが、スムーズなプロセスのためには、しっかりと計画を立てて進めることが大切です。
■ ブランディングを依頼する相手
ブランディングは、企業のイメージを形成し、顧客や社会に対する価値観を伝えるために欠かせないものです。しかし、ブランディングを依頼する相手はどこに頼めば良いのでしょうか?以下に、広告代理店、デザイン事務所、コンサルティングファームとの比較をまとめました。
【 広告代理店の場合 】
広告代理店は、主に広告キャンペーンの企画や実施を担当し、ブランディングに関するサービスを提供することもあります。広告代理店は、企業やブランドのメッセージを消費者に伝えるために、広告キャンペーンのストーリー、コンセプト、デザイン、メディアプランなどを設計し、実行することが求められます。これにより、企業やブランドは、より効果的な広告戦略を立て、顧客の心をつかみ、競合他社との差別化を図ることができます。広告代理店は、クリエイティブなアイデアを提供し、企業やブランドのブランディングを支援することで、成功を収めることができます。
[ 比較ポイント ]
⚫︎ 広告制作やマーケティングに特化している
⚫︎ TVCMや広告の制作実績が豊富
⚫︎ 企業イメージ向上のための広告戦略を提供可能
⚫︎ 比較的高額な制作費が必要になる場合がある
⚫︎ ブランディングの専門性が低い場合がある
[ 代表的な広告代理店 ]
【 ブランドコンサルティングファームの場合 】
ブランドコンサルティングファームは、ブランドストラテジーの策定やブランドポジショニングの決定、ブランドアイデンティティの設計などを専門的に行う企業です。広告代理店とは異なり、広告制作そのものに関わることは少なく、ブランド戦略に関する戦略立案や、ブランド価値向上のためのプロセスの整備、顧客体験の改善などを主に行います。ブランドコンサルティングファームは、経営戦略、マーケティング、ブランディングなどの専門的なノウハウを持つコンサルタントが多数在籍しており、高度な知識と技術に基づいたブランド戦略の策定やブランドマネジメントを行うことができます。また、企業戦略やマーケティング戦略との一体的な視点からブランドストラテジーを策定することができるため、広告代理店とは異なる価値を提供しています。
[ 比較ポイント ]
⚫︎ 戦略立案や業務プロセス改善に特化している
⚫︎ 幅広い知識と経験を持つコンサルタントが在籍している
⚫︎ ポジショニングやブランド戦略の立案など、戦略的な提案が期待できる
⚫︎ 比較的高額なコンサルティング料が必要になる場合がある
⚫︎ クリエイティブな面や制作には限界がある
[ 代表的なブランドコンサルティングファーム ]
【 デザイン会社の場合 】
デザイン会社は、主にブランドや製品のデザインに特化した専門家集団で、グラフィックデザイン、パッケージデザイン、商品デザイン、空間デザインなど、様々な分野のデザインを手掛けています。ブランドイメージにおいては、ロゴやアイコン、パッケージのデザイン、広告素材の制作など、視覚的な要素を中心に扱います。また、商品のデザインや空間デザインでは、顧客の体験を重視して、商品や店舗の使いやすさや快適性を追求することが求められます。デザインファームは、顧客の要望や目的に応じて、クリエイティブなアプローチでデザインを行うことが特徴です。
[ 比較ポイント ]
⚫︎ グラフィックデザインやプロダクトデザインに特化している
⚫︎ ロゴやパッケージデザインなどの視覚的要素を得意としている
⚫︎ ブランディングのクリエイティブ面を提供可能
⚫︎ 比較的手軽な制作費で依頼ができる場合がある
⚫︎ マーケティング戦略や広告制作などの分野では専門性が低い場合がある
[ 代表的なデザインファーム ]
以上のように、広告代理店、デザイン事務所、コンサルティングファームは、それぞれ得意とする領域が異なります。ブランディングの目的や戦略に応じて、最適な依頼先を選択することが重要です。
■ まとめ
ブランディングを依頼する理由として、自社の強みや特徴をアピールするためや顧客のニーズに合わせたブランディングを行うためが挙げられます。ブランディングを依頼する際には、実績や評判をチェックし、ビジネスモデルや事業戦略に合わせた提案をしてくれるか確認し、コミュニケーション能力が高いか確認することが重要です。また、ブランディングを依頼する際のステップとして、ヒアリングを行い自社の現状や目的を共有し、提案書やプレゼンテーションを受け取り、検討し、契約内容や納期、価格などを決定することが挙げられます。ブランディングを依頼した後は、ブランドイメージの定着度や効果測定の実施、ブランドアップの提案や改善点の報告、継続的なコミュニケーションの確保などが重要です。最後に、ブランディングを依頼する際には、実績や評判をチェックし、コミュニケーションのスタイルを確認し、オリジナリティと創造性を重視することがポイントとなります。
株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。
【 株式会社チビコ 】
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