
[ ブランド戦略 ]
ブランディングにおけるオウンドメデイアの重要性と成功事例
オウンドメディアは、企業が自ら運営する情報発信の場で、WEBサイトやブログ、SNSなどを通じて、ブランドのメッセージや価値を直接届けるプラットフォームです。ブランディングにおいては、企業のアイデンティティを形づくり、消費者との信頼関係を少しずつ積み重ねていく役割があります。広告や第三者メディアに頼らず、自社の価値観やストーリーを発信できるため、独自の世界観を自然に伝えやすく、読者との距離も縮めやすいのが特徴です。また、SEOやコンテンツマーケティングとの相性も良く、認知向上やリード獲得にもつながります。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、オウンドメディアの重要性と、より効果的に活用するための考え方について詳しく解説します。
CONTENTS | 目次
■ ブランディングとは何か?

ブランディングとは、企業や商品・サービスに対して、どんなイメージや価値観を持ってほしいのかを整理し、それを消費者に正しく伝えていくための取り組み全般を指します。ロゴや色づかい、コピーといったビジュアル面の設計だけでなく、広告・PR、社内での共有やコミュニケーションなど、幅広い活動が含まれます。ブランディングを進めることで、消費者にとって魅力が伝わりやすくなり、競合との差別化や顧客ロイヤルティの向上につながります。また、単なるマーケティング施策ではなく、企業が大切にしている価値観や存在意義を明確にし、それを軸に行動していくための重要なプロセスでもあります。
■ オウンドメディアとは何か?

オウンドメディアとは、企業やブランドが自分たちで運営するウェブサイトやSNS、ブログ、メールマガジンなどのメディアのことを指します。広告や宣伝だけに頼らず、自社で情報を発信することで顧客との接点を増やし、信頼を築いていくことを目的としています。企業の考え方や価値観を伝える場としても役立ち、商品やサービスの紹介だけでなく、業界のニュースやトピックスを提供することで読者との理解が深まります。また、SEO対策やマーケティングにも効果的で、自社サイトやSNSからの集客につながるため、企業にとって重要な戦略のひとつになっています。さらに、継続的に育てることで長期的な資産にもなります。
1. 自社所有のメディア
オウンドメディアは、企業が自分たちで運営・管理する情報発信の場です。公式サイトやブランドサイト、ブログなどが代表的で、他社のルールやアルゴリズムの影響を受けず、自分たちの方針で発信できるのが特長です。デザインや言葉のトーンに統一感を持たせることで、ブランドの世界観をそのまま表現できます。広告やSNSと違って、自社のペースで更新や改善を重ねていける点も魅力です。
[ ポイント ]
● 自社の方針で自由に発信できる
● 他社ルールに左右されない安定した運用
● 長期的に育つブランド資産になる
2. ブランド価値の発信拠点
オウンドメディアは、ブランドの想いや理念、世界観を伝えるための重要な場所です。商品の説明だけでなく、「なぜそれを届けたいのか」という背景やストーリーを丁寧に伝えることで、ブランドへの理解や共感が深まります。デザインや言葉をそろえることで、訪れた人がブランドの個性を自然に感じ取れる場にもなります。ブランドを落ち着いて“語る”場所として、信頼を積み重ねていく役割を持ちます。
[ ポイント ]
● 想いや背景をストーリーとして伝えられる
● 世界観を体験できる場所になる
● 信頼と共感を積み重ねる拠点
3. 長期的な関係構築
オウンドメディアは、短いスパンで売上を狙うよりも、長く信頼を育てるためのメディアです。役立つ情報や読みたくなるコンテンツを定期的に届けることで、読者は「このブランドは信用できる」と感じ、ファンになっていきます。コメントやSNSでの反応を通じて、双方向のコミュニケーションも生まれやすく、ゆっくりと関係を深めていくイメージです。こうした積み重ねが、ブランドの継続的な成長につながります。
[ ポイント ]
● 継続発信で信頼を積み上げる
● 読者にとって価値ある内容を届ける
● 双方向の関係づくりがファン化につながる
4. SEO・集客効果
オウンドメディアは、検索を通して新しい顧客に出会うきっかけにもなります。役立つ記事を継続的に発信することで検索順位が上がり、広告費をかけずに集客につながります。大切なのは、キーワードよりも“読者に本当に役立つ情報”を届けること。信頼が生まれ、結果的に認知も広がります。長期的には、広告に依存しない安定した集客の土台になります。継続するほど成果が積み重なる点も魅力です。
[ ポイント ]
● 検索経由で新規顧客と出会える
● 広告費を抑えた自然な集客が可能
● 信頼と認知向上を同時に実現
5. メディアミックスの中心
オウンドメディアは、SNS・広告・PRなど他の発信をつなぐ“中心”として機能します。SNSで興味を持った人に、オウンドメディアで詳しい内容を見てもらう流れがつくれるため、ブランド理解が深まりやすくなります。広告やキャンペーンで得た注目を、オウンドメディアで丁寧に受け止めることで、発信全体に一貫性が生まれます。情報を整理し、信頼できる“公式の場所”として活用するのが理想的です。
[ ポイント ]
● SNSや広告とつながるハブとして機能
● 情報を整理し信頼を高める場所になる
● 一貫性のあるブランド発信を支える
■ ブランディングとオウンドメディアの関係

オウンドメディアとブランディングは、とても近い関係にあります。オウンドメディアはブランドが自ら所有して運営するメディアで、ブランドのストーリーや価値観を伝える場として活用されます。つまり、オウンドメディアはブランディングの一部であり、ブランドイメージを形づくる重要な要素のひとつです。ブランディングは、顧客に対してブランドの考え方やイメージをわかりやすく伝え、そのブランドがどのような存在なのかを明確にする取り組みです。オウンドメディアは、その目的を支える手段として機能し、ブランドの背景にある想いや姿勢を丁寧に届ける役割を持っています。結果として、ブランドのアイデンティティをより伝わりやすくし、消費者の理解を深める助けになります。
また、オウンドメディアは、ブランドと消費者の関係を強めるうえでも効果的です。ブランドが提供する情報やコンテンツが読み手にとって役立つものであれば、消費者はブランドに対して自然と親近感を持ち、ファンへと育っていきます。そのため、オウンドメディアは、関係構築の面でも重要な役割を担います。一方で、発信する内容によってはブランドイメージを損ねてしまう可能性もあるため、適切な方針と運用が欠かせません。ブランドに合った情報を丁寧に管理しながら発信することが大切です。さらに、読者の反応を踏まえて改善を続けることで、メディア自体の質が高まり、より長く信頼される発信基盤へ育てていくことができます。継続性と真摯な姿勢が大きな支えになります。
■ オウンドメディアがブランディングに与える4つの影響

オウンドメディアを活用することで、企業は自らのビジョンや理念、サービスの特徴などを発信することができ、顧客とのコミュニケーションを深めることができます。また、自社のメディアを通じて、情報を提供することで、ブランドの認知度を高めることもできます。オウンドメディアは、ブランディングにおいて非常に有効なツールなのです。さらに、継続的に育てることで大きな効果を発揮します。
1. ブランド認知度の向上
オウンドメディアは、自社が主体的に情報を発信できるプラットフォームとして、ブランド認知度を高めるうえで頼りになる存在です。検索エンジン最適化(SEO)によって潜在顧客の検索行動に自然に触れられ、広告とは異なる「自発的な発見」につながります。継続して有益な情報を発信することで、ユーザーがブランド名を何度も目にし、信頼とともに記憶にも残りやすくなります。さらに、SNSと連動させれば情報が広がりやすく、多方面から認知が高まります。こうした積み重ねが大きな成果を生みます。
2. ブランドイメージの向上
オウンドメディアは、ブランドが「何を大切にしているのか」を伝える場所として、イメージづくりに直結します。商品説明にとどまらず、理念や世界観、社会的な姿勢などをストーリーとして紹介することで、ブランドの人格や特徴がより明確に伝わります。たとえば、環境配慮の取り組みや職人のこだわりを記事や動画で紹介すれば、読み手の共感につながります。自社発信だからこそ、意図した文脈で価値を届けられる点も大きなメリットです。こうした積極的な発信が信頼形成にもつながります。
3. ブランドロイヤルティの向上
顧客がブランドに親しみを感じ続けるためには、購入後も関係を育てることが欠かせません。オウンドメディアは、その継続的な接点を生む場として役立ちます。使い方のヒントや開発の裏側、スタッフの想いなどを定期的に発信することで、顧客は「このブランドをもっと知れる」という体験を得られます。これが心理的距離の縮まりにつながり、信頼や共感を育てるきっかけになります。また、コメント欄やSNSとの連動など、双方向の交流が生まれやすい点もポイントです。こうした積み重ねが長期的な関係をつくります。
4. コンテンツマーケティングの促進
オウンドメディアは、コンテンツマーケティングの中心となるプラットフォームです。自社の専門性や価値観を体系的に発信することで、見込み顧客を自然に育てながら、信頼関係をつくり、購買行動へとつなげていきます。単発の広告とは異なり、コンテンツは蓄積され、検索経由で継続的な流入を生む資産として機能します。また、記事や動画がSNS・メールマーケティングと連動することで、潜在層からファン層まで一貫したコミュニケーションを構築できます。継続運用が大きな力になります。
➤ 詳細記事:コンテンツマーケティングとSEOの違いと共通点とは
■ ブランディングにおけるオウンドメデイアの重要性

【 ブランドを自由に伝えられる 】
オウンドメディアは、ブランドが自分たちの言葉で表現できる貴重な場です。広告ほどの制約がなく、企業の思想・価値観・背景などをじっくり伝えられます。自社のトーンで物語を描けるため、感情的な共感が生まれやすく、ブランドの人格づくりにもつながります。特に、ストーリーテリングを通してブランドの本質を伝えることで、単なる情報発信にとどまらない“ブランド体験”を届けることができます。
[ ポイント ]
● 自社の世界観をそのまま表現できる
● 広告に縛られず自由に発信できる
● 感情的なつながりを育てやすい
【 ブランドのコントロールがしやすい 】
オウンドメディアでは、情報の発信源を自社で管理できます。SNSや報道のように外部の解釈に左右されにくく、ブランドが伝えたい意図をそのまま届けやすいのが特徴です。また、内容やタイミング、トーンを自分たちで設計できるため、危機管理の面でも役立ちます。外部要因による誤解を減らし、長期的に一貫したブランドストーリーを保ちやすくなります。こうした柔軟さが大きな強みになります。
[ ポイント ]
● メッセージの一貫性を持たせやすい
● 外部メディアに依存しない
● ブランドの信頼を守りやすい
【 コンテンツマーケティングの強力な支えになる 】
オウンドメディアは、コンテンツマーケティングを進めるうえで中心的な役割を果たします。顧客が求める情報を継続して届けることで、信頼や好感が積み上がり、ブランドへの理解も深まります。検索を通じて新規顧客と出会える点や、リード獲得に直結しやすい点も強みです。さらに、一度作ったコンテンツが資産として残り続け、長期的な集客基盤にもなります。継続するほど価値が積み重なっていきます。
[ ポイント ]
● 顧客の関心を惹く情報を届けられる
● 信頼関係を築きやすい
● 継続的な流入・リード獲得につながる
【 コスト削減にもつながる 】
オウンドメディアは、長期的に見ると広告費を大きく抑えられる効率的な取り組みです。広告のように都度費用がかからず、一度作ったコンテンツが長く効果を発揮してくれます。SEOによる自然流入やSNSでの拡散が起こることで、追加コストなしで新規顧客が増えることもあります。また、既存顧客への情報提供も自社メディア内で完結できるため、CRMコストの削減にもつながります。
[ ポイント ]
● 広告費を抑えながら集客できる
● コンテンツが資産として残り続ける
● 長期的に高いROIを見込みやすい
■ ブランディングを意識したオウンドメディアの作り方

1. ブランドの核を定義する
ブランドの核は、企業が何を信じ、何を提供し、何を大切にしないのかといった“揺るがない理由”を指します。ここが曖昧だと、オウンドメディアは単なる情報発信の場になり、読者の心に届きにくくなります。まず「どんな世界観を実現したいのか」「どんな価値観を大切にしているのか」「顧客にどんな変化を届けたいのか」を言語化することが重要です。この核は、コンテンツの方向性やビジュアル、語り口といったあらゆる判断の基準になります。明確にするほど一貫した発信につながります。
[ ポイント ]
● 世界観・価値観・提供価値を明確化
● “語るべきこと/語らないこと”を整理
● 編集判断の基準として機能させる
2. 目的を1つに絞る
オウンドメディアのつまずきは、多くの場合「全部を狙う」ことから始まります。認知拡大、リード獲得、顧客育成、採用など目的は複数ありそうに見えますが、設計段階では主目的を1つに絞ることが大切です。目的が曖昧だと、記事の方向性や深度が揺れ、読者の期待に応えにくくなります。目的を決めたら、「必要な読者行動」「求められるコンテンツ群」「どんな指標で成果を見るか」を整理しましょう。目的が明確であれば、「何のためのメディアか」が読者にも伝わりやすくなります。
[ ポイント ]
● 主目的を1つに設定
● 読者行動から逆算して必要な内容を整理
● 指標も目的に合わせて一貫させる
3. ターゲットを具体化する
ターゲット設定で大切なのは、属性ではなく“思考の解像度”です。年齢や性別だけでなく、「どんな悩みがあり、何に価値を感じ、何を避けたいのか」まで踏み込みます。思考や行動、判断プロセスが理解できると、文章の深さや切り口、事例選びが自然と鋭くなります。また、「どんな状態の人がどこに向かいたいのか」といった前後の関係性を描くことで、コンテンツの導線も整っていきます。具体化されていないターゲットは、結果的に誰にも届きにくいメディアを生むため、丁寧な設定が欠かせません。
[ ポイント ]
● 属性だけでなく“思考”まで描く
● 悩み・価値観・避けたいことを深掘り
● Before→After の導線を明確に
4. ブランド視点の編集方針を作る
編集方針は、ただの“運用ルール”ではなく、ブランドの人柄や世界観を読者に伝えるための設計書です。扱うテーマ、語り口、文章の温度感、NGトーン、引用情報のレベルなどをまとめておくと、誰が執筆しても世界観がぶれにくくなります。特に大切なのは「ブランドならではの視点」を定めること。同じテーマでも、切り口が変わればブランドらしさが立ち上がります。編集方針は、メディア全体の統一感や信頼感を支える土台になります。しっかり設計しておくことで運用も安定します。
[ ポイント ]
● テーマ・語り口・NGトーンを明文化
● “ブランド固有の視点”を設計
● 複数人で書いても世界観が保持される
5. コンテンツの深度を揃える
オウンドメディアは、点在する記事の集まりではなく、読者の成長段階に沿った“体験の流れ”をつくることが理想です。初心者・中級者・上級者向けの深度を揃えて体系的に構築すると、読者は迷わず次に進むことができます。深度のばらつきが大きいと、メディア全体が不安定に見え、離脱の原因にもなります。また、深度は単なる難易度ではなく、ブランドの哲学や解釈の濃度でもあります。論理構造と深度が整っているメディアは、ブランドの信頼性を高めます。こうした整合性が読者の安心感にもつながります。
[ ポイント ]
● 初級〜上級まで体系的に配置
● 深度の統一が信頼感につながる
● 哲学・解釈の濃度も合わせる
6. ビジュアル言語を統一する
ビジュアルは、文章よりも先にブランドの印象を伝える強い要素です。色、余白、図解のスタイル、写真の雰囲気、アイコンの形などを揃えることで、どの記事を見ても同じ世界観を感じ取れるようになります。視覚の一貫性は、情報理解を助けるだけでなく、ブランド記憶の定着にもつながります。特にオウンドメディアは情報量が多くなりがちなため、ビジュアルが統一されていないと雑然とした印象になりやすいです。統一したビジュアル設計は、メディア全体の価値を底上げします。
[ ポイント ]
● 色・余白・図解スタイルの統一
● “見ただけでブランド”と分かる世界観
● 視覚の一貫性が信頼と記憶を支える
➤ 詳細記事:VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは何か?効果と成功事例
➤ 詳細記事:ブランディングデザインとは?目的や重要性を成功事例で解説
■ オウンドメディアを活用したブランディングの成功事例
オウンドメディアを活用したブランディングの事例としては、自社の価値やコンセプトを伝える記事やコンテンツを発信する企業が増えています。オウンドメディアを通じて、ブランドの特徴や魅力を丁寧に伝えられるため、顧客との関係性が深まり、結果的にブランド価値の向上にもつながります。さらに、制作の背景や担当者の思い、開発のストーリーなどを共有することで、ブランドに対する理解や共感が生まれやすくなり、ファン層の形成にも役立ちます。また、検索からの新規流入やSNSとの連動による広がりも期待でき、長期的な集客の基盤として機能します。

【 LUSH Times | オウンドメディアによるブランディング成功事例 】
「LUSH Times」は、自然派コスメブランドLUSH(ラッシュ)が運営するオウンドメディアで、商品紹介だけでなくブランドの哲学を生活者に伝える場として機能しています。環境保護、動物実験反対、フェアトレードといった理念を、記事やインタビュー、ドキュメンタリー形式などを通してわかりやすく発信しています。読者は商品そのものだけでなく、“LUSHがなぜそれを作るのか”といった背景に触れることができ、ブランドへの理解が深まります。このメディアを通じて、LUSHは社会的な姿勢を持つブランドとしての存在感を高め、共感を軸としたファンを着実に増やしています。
[ ポイント ]
● ブランドの理念や姿勢を物語として紹介
● 商品よりも「思想」を中心にした編集方針
● 社会的メッセージで共感を育てる構成
[ 出典 ] LUSH Timesより

【 Nike News | オウンドメディアによるブランディング成功事例 】
「Nike News」は、ナイキが自社のストーリーや理念を直接発信するオウンドメディアで、製品情報の紹介にとどまらず “スポーツを通じた社会変革” というブランドミッションをわかりやすく伝えています。アスリートの挑戦、テクノロジー開発の背景、社会的取り組み(ダイバーシティ、サステナビリティなど)を多面的に取り上げることで、ナイキの価値観を読者が自然に理解できる構成になっています。また、広告ではなくストーリーとして届けることで、共感や信頼が生まれやすく、ブランドの革新性や社会性をより柔らかく印象づけています。こうした姿勢が長期的な支持にもつながっています。
[ ポイント ]
● 製品より「理念」と「人」に焦点を当てた構成
● 多様性や環境への姿勢を具体的に紹介
● ストーリーテリングでブランドの革新性を伝える
[ 出典 ] Nike Newsより

【 Red Bull Media House | オウンドメディアによるブランディング成功事例 】
「Red Bull Media House」は、エナジードリンクという枠を越えて、ライフスタイルやカルチャーを発信するために設立された Red Bull のオウンドメディアです。スポーツ、音楽、アート、冒険といったテーマを軸に、動画・記事・イベントなど多様なコンテンツを展開しています。製品を前面に押し出すのではなく、「挑戦」や「限界に挑む姿勢」といったブランドスピリットを表現することで、Red Bull の価値観が自然に伝わる構成になっています。この取り組みにより、Red Bull は“飲み物のブランド”以上の存在として認識され、カルチャーを作り続けるブランドへと位置づけが広がりました。メディアそのものがブランド体験になっている点が大きな特徴です。こうした積み重ねが強い支持を生んでいます。
[ ポイント ]
● スポーツや音楽を通して「挑戦する姿勢」を発信
● 製品ではなくカルチャーの魅力を中心に紹介
● コンテンツ全体でブランドの世界観を表現
[ 出典 ] Red Bull Media Houseより

【 北欧、暮らしの道具店 | オウンドメディアによるブランディング成功事例 】
「北欧、暮らしの道具店」は、ECサイトでありながら、ストーリーテリングを中心にしたオウンドメディア型のブランディングを丁寧に実践している事例です。単なる商品紹介ではなく、「丁寧な暮らし」や「心地よい日常」といった価値観を物語として伝えることで、ユーザーが“ブランドの世界観をまとって暮らす”ような体験を得られる構成になっています。記事、動画、ポッドキャスト、ドラマなど、多様なメディアを活用しながら生活者の共感を深めている点も特徴です。結果として、広告に大きく頼らずともファンコミュニティが育ち、自然と購買行動につながる流れが生まれています。
[ ポイント ]
●「暮らしの物語」を軸に世界観を届ける
● メディアとECを掛け合わせた独自モデル
● 共感を起点にファンとの長い関係を育てる
[ 出典 ] 北欧暮らしの道具店より

【 土屋鞄製造所 | オウンドメディアによるブランディング成功事例 】
「土屋鞄製造所」は、オウンドメディアを通じて“ものづくりの哲学”や“手仕事の美しさ”を丁寧に伝えるブランディングを行っています。公式サイト内の「TSUCHIYA JOURNAL」では、職人の姿勢や製造の背景、革という素材へのこだわりをドキュメンタリーのような形で紹介しています。単なる製品説明ではなく、ブランドが大切にしている価値観や美意識が伝わる構成になっており、読む人に“長く使うことの豊かさ”を自然に感じさせます。こうした発信によって、ブランドへの信頼や愛着が育まれ、“高品質な革製品ブランド”から“暮らしに寄り添う文化的なブランド”へと印象が広がっています。
[ ポイント ]
● 職人の想いや制作背景をストーリーとして紹介
● 製品そのものより「哲学」と「美意識」を中心に発信
● 長く続く信頼関係を育てるブランディングを実現
[ 出典 ] 土屋鞄製造所より

■ オウンドメデイアに関するよくある質問
オウンドメディアは多くの企業が取り組む一方で、仕組みや役割があいまいになりやすい領域です。ここでは、よく寄せられる疑問を整理しながら、運営のポイントを分かりやすくまとめています。
Q :オウンドメディアって具体的に何を指すのですか?
A :企業が自ら所有・運営するメディアの総称。Webサイトやブログ、メールマガジン、パンフレットなども含まれますが、マーケティング文脈では自社ブログや情報サイトを指すことが多いです。
[ よくある質問② ]
Q :オウンドメディアとコーポレートサイトの違いは?
A :コーポレートサイトは会社の名刺代わり。オウンドメディアは継続発信を前提に、ブランディングや集客、関係構築を目的とした動的なメディアです。
[ よくある質問③ ]
Q :オウンドメディアだけで十分ですか?SNSや広告も必要?
A :オウンドメディアは蓄積・検索流入に強いが、広告やSNSによる拡散(アーンド)と組み合わせることで、接触や影響力が飛躍的に高まります。
[ よくある質問④ ]
Q :オウンドメディア運営で陥りがちな失敗って何?
A :主な罠は「目的不明確」「社内理解不足」「更新を続けられない」「評価指標がない」「自社や競合理解が浅い」などです。
[ よくある質問⑤ ]
Q :ブランディング強化につながるオウンドメディア運営のコツは?
A :一貫した発信スタイルでオリジナリティを打ち出し、競合と差をつけ、ブランドファンを獲得するコンテンツを積み重ねることです。目的・ターゲット設定も不可欠。

■ オウンドメデイアに関するチェックリスト
オウンドメディアを効果的に育てるには、戦略・運営・ブランド統合・改善の4つをバランスよく整えることが欠かせません。チェックリストとして重要なポイントをまとめました。
[ 戦略設計のチェック ]
⬜︎ オウンドメディアの目的(ブランディング・リード獲得・採用など)が明確か?
⬜︎ ターゲットとなるペルソナが具体的に定義されているか?
⬜︎ 競合との差別化ポイントがコンテンツ戦略に反映されているか?
[ コンテンツ企画・運営のチェック ]
⬜︎ ブランドの世界観に沿ったトーン&マナーが統一されているか?
⬜︎ 読者にとって価値のある情報を定期的に発信できているか?
⬜︎ 検索エンジン最適化(SEO)が考慮された記事設計になっているか?
[ ブランド統合のチェック ]
⬜︎ コーポレートサイトやSNSとの役割分担が明確になっているか?
⬜︎ ロゴ・カラー・デザインなどビジュアル面の一貫性が保たれているか?
⬜︎ ブランドストーリーがコンテンツ全体に反映されているか?
[ 効果測定・改善のチェック ]
⬜︎ KPI(PV・CV・リード数など)が設定され、定期的にモニタリングされているか?
⬜︎ ユーザー行動データを分析し、改善サイクルを回しているか?
⬜︎ 運用体制やリソース配分が現状に適しているか?

■ まとめ
オウンドメディアは、自社のメディアを通してブランドのイメージづくりや顧客とのコミュニケーションを進めるうえで欠かせない存在です。ブランドの価値観やメッセージを丁寧に伝えることで、イメージを定着させる役割も果たします。また、顧客と直接つながれるため、関係を深めやすい点も大きな強みです。ただし、コンテンツの質や更新ペースの維持など、運営にはいくつかの課題もあります。こうしたポイントを押さえながら活用することで、ブランディング戦略の中でより効果的に機能します。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 ご質問、お打合せ希望など、お気軽にお問合わせください。】
– ブランド戦略からデザイン開発まで –
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