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行動指針を浸透させるコツとは?

[ ブランド戦略 ]

行動指針を浸透させるポイントとは?

行動指針は、企業のビジョンやミッションを日常業務に反映させ、全社員が一貫した行動を取るための重要なガイドラインです。しかし、行動指針を策定するだけでは十分ではなく、それを社員全員にしっかりと浸透させ、実際の行動に結びつけることが大切です。行動指針が浸透すれば、企業文化が強化され、社員の意思決定や業務の質が向上し、組織全体のパフォーマンスが高まります。浸透させるためのポイントには、シンプルでわかりやすいメッセージの設定、継続的なコミュニケーション、研修や評価制度への取り入れなどが含まれます。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、行動指針を社内に効果的に浸透させるための具体的なステップや方法について解説し成功に導くための秘訣について詳しく解説します。


■ 行動指針の重要性

行動指針の重要性

【 なぜ行動指針が必要なのか 】

行動指針は、組織が何を目指し、どのように業務を遂行していくべきかを明確にする道しるべです。組織のメンバー全員が同じ方向を向いて行動することで、無駄な混乱を避け、一貫した成果を生み出すことができます。特に、企業が成長するにつれ、多様な背景を持つ社員が増える中で、統一された行動指針は組織全体の協調性を高める重要な役割を果たします。

【 行動指針がもたらす効果とは 】

行動指針は単なる理念に留まらず、具体的な業務プロセスにも影響を与えます。適切な行動指針が浸透している組織では、社員の判断力が向上し、業務の効率が高まります。また、個々の社員が自らの行動に対して自信を持ち、顧客やパートナーとの信頼関係が強化されます。これにより、組織全体のパフォーマンスが向上し、競争力を維持・強化できるのです。

【 組織文化への影響とは 】

行動指針が適切に浸透している企業では、社員一人ひとりが共通の価値観に基づいて行動するため、強固な組織文化が形成されます。この文化が根付くことで、組織の安定性と持続的成長が促進され、長期的な成功を支える基盤となります。特に、社員のエンゲージメントが高まり、離職率の低下にも寄与します。

■ 行動指針を浸透させる3つのステップ

行動指針を浸透させる3つのステップ

【 明確でシンプルな指針の策定 】

行動指針を浸透させるための第一歩は、その指針を明確かつシンプルに策定することです。複雑で理解しにくい指針ではなく、誰でも共感でき、すぐに実行に移せる内容が重要です。また、指針の背後にある理念や目的を社員にしっかりと伝えることで、その指針が単なるスローガンではなく、実際の行動に繋がることを強調しましょう。

【 コミュニケーションを工夫する 】

行動指針を策定しても、それを全員に効果的に伝える手段がなければ浸透は難しいです。社員が指針を理解し、共感できるように、定期的なミーティングや社内イベントを通じて、指針の重要性を繰り返し強調することが大切です。また、社内コミュニケーションツールを活用して、全員がいつでもアクセスできるようにし、リマインダーや成功事例の共有を行うことで、指針を日常業務に浸透させます。

【 実践を促す仕組みを導入する 】

行動指針を浸透させるためには、社員が実際にその指針に基づいた行動を取る環境を整えることが欠かせません。たとえば、指針に沿った行動を評価・報奨する仕組みを導入し、優れた実践例を共有する文化を醸成することが有効です。また、各チームが具体的な業務目標を指針に結びつけることで、日常的な行動に反映されやすくなります。

浸透のためのリーダーの役割

浸透のためのリーダーの役割

【 トップダウンでの指針共有 】

行動指針を効果的に浸透させるためには、リーダーシップが極めて重要です。トップマネジメントが指針を率先して共有し、徹底することで、組織全体に対してその重要性を示すことができます。特に、リーダー自身が指針に基づいた行動を取ることが、社員にとって大きな影響を与えます。

【 モデルとなる行動を示す 】

リーダーが指針に基づいて行動する姿勢を見せることで、社員に対して具体的なモデルを提供することができます。リーダーが模範的な行動を示すことで、他の社員もその行動を見習い、指針に沿った行動を取るようになります。これにより、指針が単なる理念から現実の行動へと変わるのです。

【 継続的なサポートとフィードバック 】

行動指針の浸透は一度で完結するものではなく、継続的なサポートが必要です。定期的なフィードバックを通じて、指針に沿った行動が促進されると同時に、改善が必要なポイントをリーダーが適切にフォローアップすることで、組織全体のパフォーマンスを高めることができます。

■ 行動指針の具体的な参考事例

トヨタ自動車_行動指針

【 トヨタ自動車 | 行動指針 】

トヨタ自動車の行動指針は、企業理念である「トヨタウェイ(Toyota Way)」に基づいており、長年にわたりトヨタの成長と成功を支えてきました。この行動指針は、世界中の従業員が共有する価値観と行動の原則を示しています。トヨタウェイの主な要素は以下の5つです。

挑戦(Challenge)
トヨタは常に高い目標を設定し、現状に満足せずに挑戦を続けることを重要視しています。従業員には、変化の激しい環境でも柔軟に対応し、新しいことに積極的に挑む姿勢が求められています。長期的な視点を持って物事に取り組むことが重要です。

改善(Kaizen)
トヨタの代表的な概念である「改善(カイゼン)」は、業務やプロセスを常に向上させることを意味します。大きな改善だけでなく、小さな改善を積み重ねることで効率化を図り、全体的な生産性を向上させる文化が根付いています。従業員全員が日々の業務において改善を意識し、無駄を削減していく姿勢が求められます。

現地現物(Genchi Genbutsu)
現地現物とは、実際の現場に足を運び、現実を直接確認し、問題を解決するという考え方です。現場で起きていることを深く理解し、迅速かつ適切な対応を行うことがトヨタのモノづくりの基本とされています。この原則は、品質向上や効率的な問題解決につながる重要な要素です。

尊重(Respect)
トヨタは、すべての人々を尊重し、協力し合うことを強調しています。従業員同士の協力、パートナーや取引先との信頼関係を築くことで、持続可能な成長を実現します。従業員に対しても、個々の多様性を尊重しながら、公正で透明な扱いを提供することを大切にしています。

チームワーク(Teamwork)
トヨタはチームワークを重視し、全ての従業員が共通の目標に向かって協力することを奨励しています。個々の強みを活かし、協力し合うことで、より大きな成果を生み出すことができると考えています。これは、トヨタの現場主義やカイゼンを実現するために不可欠な要素です。

[ 出典 ] トヨタ自動車株式会社公式企業サイトより
[ 出典 ] トヨタ行動指針より

日本ガイシ_行動指針

【 日本ガイシ | 行動指針 】

日本ガイシ(NGK Insulators Ltd.)の行動指針は、企業の理念や経営方針を支える基本的な指針として掲げられています。具体的な内容は、持続可能な発展や環境への配慮、社会への貢献、そして従業員が正直で誠実な行動を取ることを重視しています。以下は、日本ガイシの行動指針の主な要素です。

持続可能な社会の実現
社会に資する商品やサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、持続可能な社会の実現に取り組みます。

人権尊重
人権に関する国際規範を遵守し、人々の多様性を尊重します。

安全・快適な職場環境の提供
環境保全を企業の責務とし、製造プロセスや製品開発において環境負荷を最小限に抑えることに取り組んでいます。環境に優しい技術や製品の開発を通じて、持続可能な発展に寄与することが求められています。

誠実な事業活動
国際規範や各国および地域の法令を遵守し、公正かつ透明で誠実な事業活動を行います。

企業情報の開示と説明
積極的な情報の開示とステークホルダーとの対話を通じて経営の健全性と透明性を高めます。

サプライチェーンへの社会的責任の浸透
取引先をはじめとするサプライチェーン全体で、社会的責任を果たす取り組みを推進します。

地球・宇宙環境の保全
地球・宇宙環境の保全と問題の解決に取り組みます。

地域、社会との協調
良き企業市民として地域、社会の発展に貢献します。

[ 出典 ] NGKグループ公式サイトより

武田薬品工業_価値観タケダイズム

【 武田薬品工業 | 価値観タケダイズム 】

武田薬品工業の行動指針は、「武田イズム(Takeda-ism)」に基づいています。これは、創業以来の価値観と、グローバル企業としての責任を融合させたもので、企業活動全体において従業員が従うべき行動原則を示しています。武田イズムは、「誠実」「公平」「正直」「不屈」の4つの基本価値と、それを支える「患者さん中心」の理念に基づいています。

誠実(Integrity)
武田薬品工業では、誠実さが最も重要な価値観として掲げられています。医薬品の開発から販売に至るまで、常に誠実な行動を取ることが求められています。これは、倫理的なビジネス慣行や法令遵守を徹底し、患者さんや医療関係者、取引先、社会全体との信頼関係を築くことを意味します。

公平(Fairness)
武田薬品工業は、公平で透明性のある企業活動を重視しています。全てのステークホルダーに対して公正に接し、ビジネスの意思決定や行動において透明性を確保します。また、差別や偏見のない働き方を推進し、多様性を尊重した企業文化の実現に努めています。

正直(Honesty)
正直な行動は、武田薬品工業の信頼性を支える根本です。正確な情報提供や透明なコミュニケーションを行い、患者さんや社会に対して誠実に向き合うことが期待されています。内部においても、上司や同僚、部下に対してオープンな意見交換が推奨されています。

不屈(Perseverance)
医薬品の研究開発は長期にわたり、困難を伴うことが多いですが、武田薬品工業では、不屈の精神で問題に立ち向かい、最良の成果を追求する姿勢が求められます。困難な状況にも耐え抜き、患者さんに価値ある治療法を提供するために、革新と挑戦を続けることが重要です。

患者さん中心の考え方
武田薬品工業の行動指針の中核にあるのが「患者さん中心」の理念です。すべての事業活動において、最も重要なのは患者さんの健康と生活の質を向上させることであり、医薬品の開発や提供においては、常に患者さんの利益を最優先に考える姿勢が徹底されています。この理念は、武田がグローバル医薬品メーカーとして高く評価されている理由の一つでもあります。

[ 出典 ] 武田薬品工業公式サイトより

ファーストリテイリング_行動規範

【 ファーストリテイリング | 行動規範 】

ファーストリテイリング(ユニクロの親会社)の行動規範は、グローバルにビジネスを展開する中で従業員が従うべき基本的なルールや価値観を示しており、社会的責任や倫理的な行動を重視しています。行動規範は「ファーストリテイリンググループ行動規範」として明文化され、企業の使命である「服を通じて、より豊かな社会を実現する」という理念に基づいています。以下がその主要なポイントです。

お客様のために
ファーストリテイリングの行動規範の中心にあるのは「お客様のために」という姿勢です。常に顧客視点に立ち、期待を超える商品やサービスを提供することが求められています。商品品質の向上、リーズナブルな価格設定、優れた顧客サービスを通じて、顧客満足を追求しています。

倫理的なビジネス行動
ファーストリテイリングは、全てのビジネスにおいて倫理的な行動を徹底し、法令遵守を徹底しています。これは、社内外に対して透明性を保つこと、贈収賄や不正行為の排除、知的財産や個人情報の保護など、多岐にわたる領域をカバーしています。グローバル企業としての信頼性を保つために、高い倫理基準を守ることが求められています。

多様性とインクルージョン
ファーストリテイリングは、多様性を尊重し、全ての従業員が活躍できる環境を作ることに努めています。性別、国籍、宗教、年齢、障害の有無などに関わらず、多様なバックグラウンドを持つ人々が公平に働ける職場を提供し、グローバルでのチームワークを強化しています。

持続可能な社会への貢献
環境保護や持続可能なビジネスモデルの構築は、ファーストリテイリングの重要な行動規範の一つです。商品開発や生産、販売において、環境への影響を最小限に抑える努力を続け、資源の効率的な使用やリサイクルを推進しています。また、気候変動対策にも積極的に取り組んでおり、サステナブルな社会を目指す行動を求められています。

労働環境の向上
ファーストリテイリングは、従業員の労働環境の改善に注力しています。公正な待遇や適正な労働条件を提供し、安全で快適な職場環境を整備することが求められます。さらに、従業員の成長を促す教育機会を提供し、個々の能力を最大限に引き出すことを目指しています。

サプライチェーンの透明性
企業活動がグローバルに広がる中で、サプライチェーン全体の透明性と責任が重視されています。取引先や生産パートナーに対しても、労働条件の改善や環境への配慮を徹底させ、サステナブルなビジネスを支える行動が求められています。サプライチェーンにおける不正行為の排除や、労働者の権利保護にも積極的に取り組んでいます。

[ 出典 ] 株式会社ファーストリテイリング公式サイトより

ブリヂストン_行動指針

【 ブリヂストン | 行動指針 】

ブリヂストンの行動指針は、企業理念である「使命」と「価値観」を基礎に構築されており、これを実現するための「グローバルCSR憲章」が定められています。ブリヂストンは、社会的責任を果たしながら持続可能な成長を実現するため、環境、社会、そして経済に貢献することを重視しています。以下が主な行動指針です。

最高の品質を追求
ブリヂストンは「最高の品質」を提供することを企業使命として掲げています。これは単に製品の品質だけでなく、サービスや企業としての信頼性、そして顧客満足度を高めるすべての面で品質の向上を追求することを意味します。安全で信頼性の高い製品を提供することで、顧客に対する責任を果たします。

環境保護と持続可能な社会の実現
ブリヂストンは、事業活動が環境に与える影響を最小限に抑え、持続可能な社会の実現を目指しています。製品のライフサイクル全体で環境負荷の低減に取り組み、特にタイヤやゴム製品におけるリサイクル技術や燃費効率の向上、CO2削減に力を入れています。また、環境保護活動への積極的な参加を推奨しています。

安全の確保
「すべての道を安全に」という使命に基づき、ブリヂストンは交通安全や労働環境の安全性を最優先に考えています。高品質なタイヤやゴム製品の開発を通じて、ドライバーや歩行者の安全を守ることに努めています。また、社内における安全な労働環境の確保にも注力し、従業員が安心して働ける環境作りを進めています。

企業倫理と法令遵守
ブリヂストンは、すべてのビジネス活動において高い倫理基準を持ち、法令遵守を徹底しています。従業員は透明性のある行動を心がけ、公正で誠実な企業活動を行うことが求められています。また、贈収賄や不正行為の排除、情報管理の徹底などを通じて、社会からの信頼を維持し続ける姿勢が強調されています。

社会への貢献
ブリヂストンは、地域社会との調和を大切にし、事業活動を通じて社会貢献を果たすことを重視しています。CSR活動の一環として、環境保護や教育支援、地域社会との連携を推進し、地域や社会全体に対する責任を果たす姿勢を示しています。また、スポーツ支援活動や災害支援などの取り組みを通じて、広く社会に貢献しています。

[ 出典 ] 株式会社ブリヂストン企業サイトより

■ まとめ

行動指針を浸透させることは、組織の一体感を高め、社員一人ひとりの行動を正しい方向へ導く強力な手段です。明確でシンプルな指針を策定し、リーダーシップのもとで実践を促す仕組みを導入することで、組織全体に行動指針が深く浸透し、持続的な成長を実現できるでしょう。

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

株式会社チビコ

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