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ブランドスローガンを開発し成功する方法

[ ブランディングデザイン ]

ブランドスローガンを開発し成功する方法

ブランドスローガンは、企業の理念や価値を短いフレーズで表現し、消費者に強く印象付ける重要な要素です。成功するスローガンは、単なるキャッチコピーではなく、企業の個性や使命を反映し、消費者との感情的なつながりを深める役割を果たします。スローガンが変わると、企業イメージも変わる可能性があり、刷新されたメッセージを通じて新たな顧客層にアプローチすることができます。また、スローガンはブランディング戦略の一環として、競合との差別化や企業の再成長を支える力にもなります。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、ブランドスローガンが企業イメージにどのような影響を与えるか、そしてスローガンを通じて企業イメージを変えるためのポイントと具体的な事例について詳しく解説します。


■ ブランドスローガンの重要性

ブランドスローガンの重要性

【 ブランドスローガンとは何か? 】

ブランドスローガンとは、企業やブランドが顧客に伝えたいメッセージや価値観を凝縮した一言のキャッチフレーズです。単なる広告のコピーではなく、企業の理念や独自の強みを象徴する言葉として、消費者に印象を与え、記憶に残る役割を果たします。スローガンは、企業が何を大切にしているのか、どのような価値を提供しているのかを一瞬で伝えるためのもので、企業と消費者をつなぐ重要なブリッジと言えます。例えば、ナイキの「Just Do It.」は、単に運動を促すメッセージにとどまらず、挑戦や自己成長を応援するブランドの哲学を伝えています。このように、ブランドスローガンは消費者に感情的な共感を引き起こし、商品やサービスへの信頼や好感を形成する要素になります。また、短く覚えやすいスローガンは、広告やマーケティング施策の一環として広く展開され、企業イメージを強化する重要な役割を担います。

【 企業イメージへの影響とは? 】

ブランドスローガンは、企業イメージに大きな影響を与えます。効果的なスローガンは、消費者の記憶に強く残り、企業を思い出すきっかけとなります。企業が提供する価値や理念を端的に表現するスローガンは、短い言葉の中にブランドの本質を凝縮し、消費者との感情的なつながりを築きます。これにより、企業に対する信頼感や親近感が生まれ、ブランドの認知度やファンを増やすことが可能です。逆に、スローガンが不適切であったり、企業の実態と乖離している場合、消費者に誤解を与え、企業イメージを損なうリスクもあります。例えば、過剰な約束を含んだスローガンが実現できなければ、信頼を失い、ブランド価値が低下することも考えられます。したがって、スローガンは企業の価値やビジョンに一致し、誠実なメッセージである必要があります。成功したブランドスローガンは、企業と消費者の間で共通認識を形成し、長期的なブランドの成長を支える重要な要素となります。

■ ブランドスローガン開発のステップ

ブランドスローガン開発のステップ

1. ターゲット層の明確化

ブランドスローガンを効果的にするには、ターゲット層の明確化が不可欠です。誰に向けたメッセージなのかを明確にしなければ、スローガンが響かない可能性があります。まず、ターゲットとなる顧客層を年齢、性別、職業、ライフスタイルなどのデモグラフィック情報を基に分析します。また、心理的な要素も重要で、ターゲット層が何を求め、どのような価値観を持っているかを理解することが求められます。例えば、高級ブランドであれば、品質やステータスを重視する層にアピールするメッセージが必要です。

2. ブランドの強みを表現したメッセージ

企業が他社と違う点、つまり独自の強みをスローガンに盛り込むことが重要です。スローガンは、顧客が感じるブランドの魅力を一言で表現し、印象的に伝える役割を果たします。例えば、テスラのスローガン「Accelerating the World’s Transition to Sustainable Energy」は、環境に優しい革新技術で未来を創造するというビジョンを強調しています。テスラは電気自動車の分野での技術力だけでなく、持続可能なエネルギーへの移行という社会的使命を打ち出し、消費者に対して単なる車メーカーではなく「未来を変える存在」としての印象を強く与えています。

3. 短くシンプルで記憶に残る表現

ブランドスローガンが効果的であるためには、短くシンプルで記憶に残る表現が不可欠です。日常的に多くの情報に触れる消費者に対して、簡潔でわかりやすいメッセージが心に残りやすいからです。複雑なスローガンは覚えにくく、印象に残りづらいため、数語にブランドの本質を凝縮させることが重要です。例えば、ナイキの「Just Do It」はわずか3語でありながら、強烈なメッセージ性を持ち、世界中の消費者に深く浸透しています。このスローガンは、挑戦や行動を促す強い意志を表現しており、ナイキのスポーツブランドとしてのアイデンティティを一瞬で伝えます。また、マクドナルドの「I’m Lovin’ It」は、シンプルながらも顧客にポジティブな感情を喚起し、グローバルに広く親しまれています。

■ ブランドスローガンの活用方法

ブランドスローガンの活用方法

【 マーケティング戦略との連携 】

スローガンは、ただ作るだけでは意味がありません。マーケティング戦略の中心にスローガンを据え、広告やキャンペーンに一貫して使用することが必要です。これにより、顧客に対して強力なメッセージが伝わり、ブランドイメージが統一されます。

【 社内文化への発信浸透 】

スローガンは、外部だけでなく社内文化にも大きな影響を与えることができます。社員一人ひとりがスローガンの意味を理解し、自社の価値観として共有することで、組織全体のモチベーションや一体感が向上します。これにより、企業が掲げるメッセージが内外に一致し、強力なブランディングが実現します。

【 ソーシャルメディアや広告での展開 】

現代のデジタル時代では、ソーシャルメディアや広告を通じてスローガンを効果的に広めることが可能です。消費者の目に触れる場面を増やし、インパクトを与えることで、スローガンの認知度を高めることができます。特にSNSでは、スローガンを使ったキャンペーンやハッシュタグなどを活用することで、拡散効果を狙うことができます。

ブランドスローガン開発の成功事例

ホンダのブランドスローガン

【 HONDA(ホンダ)ブランドスローガン成功事例

The Power of Dreams

ホンダの「The Power of Dreams」というスローガンは、企業の創業当時から続く革新と挑戦の精神を象徴しています。ホンダは、単なる自動車メーカーにとどまらず、夢を原動力に技術革新を追求する企業であることをこの一言で伝えています。このスローガンは、自動車やバイクだけでなく、航空機やロボティクス分野など、多岐にわたる製品開発への情熱を表現しています。ホンダは、夢を抱き、それを実現するために行動することを企業理念として掲げており、消費者に「夢を追いかける勇気」を鼓舞します。また、CMや広告キャンペーンでは、スローガンに沿った物語を通して、夢の力が新しい可能性を切り開くことを視覚的に表現しています。このメッセージが消費者に響き、ホンダは技術革新や品質への信頼感を高め、夢を形にするブランドとしての地位を確立しています。

[ 出典 ] 本田技研工業株式会社公式サイトより
[ 出典 ] Webike plusサイトより

日産のブランドスローガン

【 NISSAN(日産自動車)ブランドスローガン成功事例

SHIFT_

日産の「SHIFT_」は、変革や進化を象徴するスローガンであり、自動車業界の新たな基準を打ち立てるという意志を込めたものです。SHIFTは「変える」ことを意味し、従来の常識にとらわれない挑戦精神を表現しています。このスローガンは、日産が技術革新を通じて自動車業界をリードし続ける姿勢を示し、電気自動車「リーフ」や自動運転技術など、未来のモビリティに向けた取り組みを強調しています。また、日産は広告やマーケティングでこのスローガンを効果的に活用し、消費者に対して「SHIFT_」が単なる製品の変革だけでなく、未来のライフスタイルそのものを変えていくというメッセージを発信しています。このように、日産は革新的な技術と未来志向の姿勢を「SHIFT_」で訴え、企業の先進性をアピールしています。

[ 出典 ] 日産自動車株式会社公式サイトより

サントリーのブランドスローガン

【 SUNTORY(サントリー)ブランドスローガン成功事例

水と生きる

サントリーのスローガン「水と生きる」は、自然環境への深い関心と責任を表現しています。水はサントリーの主力製品である飲料の根幹であり、サントリーは水資源の保護と持続可能な社会の実現に向けた取り組みをスローガンを通してアピールしています。このスローガンは、製品の品質だけでなく、企業としての社会的責任を強調し、消費者に「環境に配慮したブランド」という印象を与えています。特に「天然水」や「ウーロン茶」の広告では、清らかな自然の映像とともにスローガンを訴求し、環境保全活動や水資源保護への取り組みを広く伝えています。サントリーはこのスローガンを通じて、企業としての使命感や持続可能な未来への貢献を強調し、環境意識の高い消費者の共感を得ています。

[ 出典 ] サントリーホールディングス公式サイトより

アサヒビールのブランドスローガン

【 ASAHI(アサヒビール)ブランドスローガン成功事例

すべてのお客様に、最高の明日を。

アサヒビールのスローガン「すべてのお客様に、最高の明日を。」は、製品を通じて消費者にポジティブな影響を与えることを目指しています。ビールや飲料が提供するのは一時の楽しさだけでなく、次の日に向けた活力や前向きな気持ちです。このスローガンは、アサヒビールがただの飲料メーカーではなく、消費者の生活に寄り添い、より良い明日を提供するブランドであることを強調しています。友人や家族と楽しむ乾杯のシーンを通じて、飲む瞬間だけでなく、その後の満足感や明日への活力を伝える演出がされています。このメッセージにより、アサヒビールは顧客との感情的なつながりを築き、信頼と共感を深めています。

[ 出典 ] アサヒビール公式サイトより

ファミリーマートのブランドスローガン

【 ファミリーマートブランドスローガン成功事例

あなたと、コンビに、ファミリーマート

ファミリーマートのスローガン「あなたと、コンビに、ファミリーマート」は、消費者に寄り添う存在であることを表現しています。この「コンビに」という言葉には、「コンビニエンス」と「コンビ(仲間)」という2つの意味が込められており、日常生活のパートナーとしての役割を強調しています。ファミリーマートは、このスローガンを通じて、単なるコンビニエンスストア以上に、消費者の生活に密着し、必要なときに頼れる存在であることを訴求しています。特にCMや広告では、地域や家庭に密着したシーンが描かれ、ファミリーマートが生活の一部であることを強調しています。このスローガンは、消費者との近しい関係性を構築し、親しみやすさを高める重要な役割を果たしています。

[ 出典 ] ファミリーマート公式サイトより
[ 出典 ] Keynote Sharpサイトより

日清食品のブランドスローガン

【 NISSIN(日清食品)ブランドスローガン成功事例

おいしい、の その先へ。

日清食品のスローガン「おいしい、の その先へ。」は、単なる「おいしさ」を超えて、消費者に新たな価値や体験を提供するという理念を表しています。インスタントラーメンの先駆者として、常に革新を追求する日清食品は、味だけでなく、健康志向や環境への配慮、そして食を通じた楽しさなど、さまざまな要素を提供し続けています。広告やプロモーションでは、未来を見据えた革新的な商品開発や、新しい食体験を訴求することで、消費者に「おいしさのその先」にある新しい価値を感じてもらうことを目指しています。このスローガンにより、日清食品は業界をリードするブランドとしてのポジションをさらに強化しています。

[ 出典 ] 日清食品グループ公式サイトより
[ 出典 ] NISSIN CUP NOODLE CM 「寒い日はとくにうまい」より

ゼクシィのブランドスローガン

【 ゼクシィブランドスローガン成功事例

幸せが、動き出したら

ゼクシィのスローガン「幸せが、動き出したら」は、結婚という人生の大きな節目に向けて、具体的な一歩を踏み出す瞬間を表現しています。このスローガンは、結婚を決めたカップルがゼクシィを手に取ることで、幸せな未来が本格的に始まるという期待感を持たせます。広告やCMでは、結婚準備が始まり、夢が現実へと変わる感動の瞬間を描き、視聴者に共感を呼びます。ゼクシィは、結婚に関する全ての情報を提供するだけでなく、カップルの幸せな未来を支えるパートナーとして、結婚生活の第一歩を応援する存在であることを、このスローガンで強調しています。

[ 出典 ] ゼクシィ公式サイトより

JALのブランドスローガン

【 JAL(日本航空)ブランドスローガン成功事例

明日の翼へ

JALのスローガン「明日の翼へ」は、未来に向けた飛躍と挑戦を象徴しています。このスローガンは、航空業界の革新と安全性を両立させながら、常に消費者の期待を超えるサービスを提供し続けるというJALの意志を表現しています。また、JALが持つグローバルな視点と日本の伝統やホスピタリティを融合させ、未来の空の旅をより快適で安全なものにするというメッセージを強く訴えています。広告やキャンペーンでは、最新の航空技術やサービス改善への取り組みが紹介され、スローガンとともに「未来へ飛び立つ」イメージが強調されています。このスローガンにより、JALは信頼性と革新性を兼ね備えた航空会社としてのポジションを確立しています。

[ 出典 ] JAL企業公式サイトより
[ 出典 ] 日本新聞協会公式サイトより

JTのブランドスローガン

【 JT(日本たばこ産業)ブランドスローガン成功事例

ひとのときを、想う。

JTのスローガン「ひとのときを、想う。」は、たばこ事業だけでなく、食品や医薬品事業を含む幅広い活動を通じて「人の時間や生活を大切にする」という企業の哲学を反映しています。たばこ事業においても、喫煙者と非喫煙者が共存する社会を目指し、分煙や新しいたばこの開発など、人々の生活を尊重する姿勢を打ち出しています。また、広告キャンペーンでは、人々の暮らしや大切な時間をテーマに、心温まるストーリーが描かれることが多く、このスローガンが消費者に共感を呼びます。JTはこのスローガンを通じて、社会的責任を果たす企業としての姿勢をアピールし、信頼感を高めています。

[ 出典 ] JT(日本たばこ産業株式会社)公式サイトより
[ 出典 ] JTそれぞれのときを、想う。おつかれさま篇より

■ まとめ

ブランドスローガンは、企業イメージを大きく左右する強力なツールです。ターゲット層に刺さるメッセージを短く、シンプルに表現し、それを企業全体で活用することで、強力なブランディングが実現します。成功するためには、単なるキャッチコピーではなく、企業の価値観や強みを反映させ、消費者に響く一言を見つけることが不可欠です。企業の成長を後押しするスローガンを作り、より強いブランドイメージを築き上げましょう。

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

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