
[ ブランディングデザイン ]
ブランドスローガンとは?意味や作り方と成功事例を徹底解説
ブランドスローガンは、企業や製品・サービスのメッセージを短い言葉で伝え、消費者に強く印象づけるためのものです。ブランドスローガンは単なるキャッチコピーではなく、理念や価値観、ブランドの方向性を凝縮し、ターゲットとなる消費者に共感を呼び起こす役割があります。ブランドスローガンを掲げる目的は、ブランド認知度を高め、競合との差別化を図り、顧客に対してブランドの本質を明確に伝えることです。また、一貫性のあるブランドスローガンは、顧客ロイヤルティの強化にもなります。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、ブランドスローガンを掲げる意味や目的について成功事例を紹介しながら、効果的なスローガンの作り方について詳しく解説します。
CONTENTS | 目次
■ ブランドスローガンとは?

ブランドスローガンとは、企業やブランドの考え方や価値観を、短く端的に表現した言葉です。単なる宣伝のためのコピーではなく、ブランドがどのような存在でありたいか、何を大切にしているかを示す指針のようなものです。社外に向けては、ブランドの個性や立ち位置をわかりやすく伝える役割を持ち、社内にとっては判断や行動の軸となります。良いスローガンは、誰にとっても理解しやすく、覚えやすいだけでなく、その言葉を通してブランドの姿勢や想いが自然と伝わります。つまり、ブランドスローガンは「企業が社会にどう関わり、何を約束するか」を表す、ブランドの核となるメッセージです。
■ ブランドスローガンとキャッチコピーの違い
| 項目 | ブランドスローガン | キャッチコピー |
|---|---|---|
| 目的 | ブランドの理念や価値観を表明する | 商品・キャンペーンの訴求、販売促進 |
| 対象範囲 | 企業全体・ブランド全体 | 特定の商品・期間限定の広告 |
| 使用期間 | 中長期(数年〜十年以上) | 短期(広告期間に依存) |
| 例 | 「NO MUSIC, NO LIFE.」(タワーレコード) | 「今だけ、送料無料!」(通販広告) |
ブランドスローガンとキャッチコピーは似ていますが、目的と役割が異なります。ブランドスローガンは「ブランドの理念や約束」を伝えるもので、長く使われる言葉として企業やブランドの方向性を示します。社員の行動指針にもなり、社内外に一貫したメッセージを届ける役割があります。一方でキャッチコピーは「商品の魅力を短期間で伝える表現」であり、広告やキャンペーンの内容に合わせて変化します。ブランドスローガンがブランドの“軸”だとすれば、キャッチコピーは伝えるための“手段”です。ブランドスローガンは理念や価値観といった普遍的な内容を重視し、キャッチコピーはその時々の注目や感情を動かすことを目的としています。つまり、ブランドスローガンはブランドの「信念」を語り、キャッチコピーは「今この瞬間の共感」を生むための言葉なのです。どちらもブランドにとって欠かせない表現のかたちです。
■ ブランドスローガンに必要な7つの条件

1. シンプルで覚えやすいこと
ブランドスローガンは短く、覚えやすいことが大切です。消費者の記憶に残るように、できるだけシンプルな言葉でブランドの魅力を伝えることが求められます。たとえば、「Just Do It」(Nike)や「I’m Lovin’ It」(McDonald’s)のように、短い言葉でブランドの世界観をまっすぐに表現している例はわかりやすいです。長いフレーズや難しい言い回しは印象に残りにくいため、なるべく短く、伝わりやすい表現にすることがポイントです。シンプルなブランドスローガンは、広告や製品パッケージ、SNSなど、どんな場面でも使いやすく、自然とブランドの存在を感じさせる効果があります。
➤ 詳細記事:Krows Digital「Nike’s ‘Just Do It’ Campaign 」
2. ブランドの本質や価値観を反映していること
ブランドスローガンには、ブランドが大切にしている価値や考え方が込められていることが大切です。ブランドスローガンは単なるキャッチフレーズではなく、ブランドの信念や、企業が消費者にどんな価値を届けたいのかを明確に示すものです。たとえば、Appleの「Think Different」は革新を大切にする姿勢を表しており、その独自性を自然に伝えています。ブランドが何を大事にしているのか、どんな想いで製品やサービスをつくっているのかを、短い言葉で伝えられるブランドスローガンは強い印象を残します。言葉を通じてブランドの姿勢が感じられることで、消費者との信頼や共感が生まれます。
➤ 詳細記事:MBA Knowledge Base「Think Different Branding Campaign 」
3. メッセージが強く印象的であること
強く印象に残るブランドスローガンは、消費者の心に深く刻まれ、ブランドの象徴として認識されやすくなります。ブランドスローガンには、ブランドの本質や独自性を簡潔に表し、顧客にインパクトを与える言葉選びが必要です。たとえば、「Impossible is Nothing」(adidas)は挑戦と達成への意欲を感じさせ、顧客の行動や感情に訴えかけます。消費者に強いメッセージを伝えることで、ブランドへの共感が生まれます。さらに、こうしたスローガンはブランドの価値を長く記憶に残す力を持ち、時代を超えて多くの人の心に響き続ける存在になります。その言葉がブランドの精神を象徴するものになるのです。
4. ポジティブで前向きな印象を与えること
ブランドスローガンは、消費者に前向きで明るい印象を与えることが大切です。ポジティブなメッセージを持つブランドスローガンは、自然とブランドへの好感や信頼を高める効果があります。たとえば、その言葉を通して「使うと気分が上がる」「自分の生活が少し良くなる」といったイメージを想起させることで、ブランドに対する印象がより親しみやすくなります。前向きなスローガンは、単に明るい雰囲気をつくるだけでなく、日常の中で小さな勇気や元気を与える存在にもなります。その積み重ねが、ブランドと消費者との関係を深め、長く愛される理由につながっていきます。
5. ブランドの差別化を示すこと
ブランドスローガンには、ブランドならではの強みや特長をわかりやすく伝える役割があります。他社とは違う魅力を感じてもらうことで、ブランドの個性が際立ち、自然と差別化につながります。たとえば、L’Oréalの「Because You’re Worth It」は、使う人の価値を肯定するメッセージとして共感を呼び、他の美容ブランドとは違った立ち位置を築いています。このように、ブランドスローガンを通してブランドの考え方や独自の魅力を伝えることで、消費者の心に残りやすくなります。結果として、ブランドが「自分にとって特別な存在」として認識されるきっかけになり、長く愛される関係づくりにつながっていきます。
➤ 詳細記事:L’Oréal Paris「BECAUSE YOU’RE WORTH IT 」
6. 普遍性があり時代に流されにくいこと
ブランドスローガンは、できるだけ長く使い続けられることが理想です。流行や時代の変化に左右されない普遍的なメッセージは、ブランドの安定感や信頼感を育てます。ブランドスローガンを一貫して使うことで、消費者の記憶に残りやすくなり、自然と親しみや信頼が生まれていきます。たとえば、Coca-Colaの「Taste the Feeling」は、どの時代の人にもポジティブな感情や体験を思い起こさせる言葉として知られています。こうしたブランドスローガンは、短い言葉でありながらブランドの想いをずっと伝え続ける力を持ち、世代を超えて愛される存在づくりに貢献します。
➤ 詳細記事:Coca-Cola「History of Coca‑Cola Advertising Slogans 」
7. ターゲット層に響く言葉やトーンであること
ブランドスローガンは、ターゲットとなる顧客に合わせた言葉やトーンを選ぶことが大切です。顧客のライフスタイルや価値観、普段使う言葉に寄り添うことで、より自然に共感されるブランドスローガンになります。たとえば、若い世代を対象にするブランドなら軽やかで前向きな言葉が合いますし、大人向けの高級ブランドであれば、落ち着いたトーンや余白のある表現が効果的です。伝えたい相手の感覚に合った言葉を選ぶことで、ブランドスローガンがより身近に感じられ、ブランドとのつながりも深まります。ターゲットの心に響くブランドスローガンは、共感を生み、長く愛されるブランドづくりにつながっていきます。
■ ブランドスローガン開発の3つのポイント

1. ターゲットが明確であること
ブランドスローガンを考えるうえで、誰に向けた言葉なのかをはっきりさせることは欠かせません。ターゲットが曖昧なままだと、メッセージが広く浅くなり、誰の心にも届きにくくなります。年齢層や価値観、ライフスタイルなど、理想とする顧客像を具体的に思い描くことで、言葉の選び方やトーンが自然と定まります。伝えたい相手の“日常のリアル”を理解し、その人が思わず共感するような言葉を見つけることが、ブランドスローガンづくりの第一歩になります。相手を深く理解する姿勢が、言葉に説得力を与えます。
[ ポイント ]
● 誰に伝えるかを明確にする
● ターゲットの価値観や生活を理解する
● 相手の心に届く言葉を選ぶ
2. ユーザー目線であること
ブランドスローガンは、企業が伝えたいことよりも、ユーザーがどう感じるかを中心に考えることが大切です。自分たちの主張を押しつけるのではなく、生活者の気持ちや体験に寄り添う言葉を選ぶことで、ブランドが身近に感じられます。ユーザー目線のブランドスローガンは、共感や信頼を育てると同時に、「自分ごと」として受け取られるきっかけになります。ブランドの想いを、相手の立場で言い換える意識が求められます。その積み重ねが、長く愛されるブランドを育てる力になります。
[ ポイント ]
● 企業の主張よりもユーザーの感情を重視する
● 生活者の体験や価値観に寄り添う
● 共感を生む“自分ごと化”を意識する
3. 理念やビジョンがイメージできること
ブランドスローガンには、ブランドがどんな想いで存在し、どんな未来を描いているのかが感じられることが大切です。理念をそのまま説明するのではなく、聞いた人がイメージできるような表現にすることで、記憶に残りやすくなります。ブランドスローガンは短い言葉の中に、企業の信念や文化をにじませることで、社内外の方向性を示す羅針盤のような役割を果たします。そして、その言葉が長く愛されるブランドの象徴になっていきます。スローガンには、企業の未来への姿勢と誠実な想いが映し出されるのです。
[ ポイント ]
● 理念やビジョンを感じさせる言葉にする
● 説明ではなく、イメージで伝える
● 社内外の共通の指針として機能させる
■ ブランドスローガンが果たすブランド認知の役割

1. ブランドの理念を一言で伝える
ブランドスローガンの役割は、ブランドの理念や存在意義をシンプルに伝えることです。「ひと言」でそのブランドが何を大切にしているかを示すことで、考え方や価値観を感じてもらえます。理念を言葉にしたスローガンは、ブランドの“軸”としてコミュニケーションの中心にあり続けます。社員にとっては行動や判断のよりどころになり、顧客にとっては信頼や共感のきっかけになります。また、広告や採用、商品開発など、あらゆる表現に一貫性をもたらす基盤にもなります。
[ ポイント ]
● 理念の可視化: 企業が何を信じ、どんな価値を届けたいかを明確にする。
● 方向性の統一: 社員や関係者が同じ目的やビジョンを共有できるようにする。
● 発信の一貫性: すべての発信や行動に統一感を生み出す。
2. 記憶に残るフレーズで想起を促す
ブランドスローガンは、ブランドを思い出してもらう“きっかけ”のような役割を持ちます。短く印象的な言葉は、消費者の記憶の中でブランド体験や感情と結びつき、強い印象を残します。広告が終わった後もスローガンだけが心に残り、ブランドの存在を思い出させることもあります。また、その言葉が共感や憧れを呼び起こすことで、ブランドとの心理的な距離が近づきます。スローガンは、単なる言葉ではなく、ブランドと人をつなぐ“感情のサイン”のような存在です。
[ ポイント ]
● 反復による定着: 何度も触れることで自然と記憶に残る。
● 感情への訴求: 感情を動かす言葉が共感や好意を生む。
● 一貫した印象形成: どんな場面でも同じ印象を伝え、ブランドのイメージを強める。
3. 差別化を明確にする
ブランドスローガンは、競合が多い中で自社の個性をはっきりと示すための手段です。どのブランドにも「何を信じ、どんな価値を届けるのか」という違いがありますが、それをひと言で伝えるのがスローガンの役割です。顧客はその言葉から、他にはないブランドの魅力を直感的に感じ取ります。スローガンは、企業の世界観や信頼性を短い言葉で伝えるシンボルでもあります。明確な個性を言葉で表すことで、ブランドの印象はより鮮明に、そして強く残ります。
[ ポイント ]
● 独自視点の表現: 業界の枠を超える考え方や哲学を打ち出す。
● 選ばれる理由の提示: 「なぜこのブランドなのか」をわかりやすく伝える。
● ポジションの確立: 言葉を通してブランドの立ち位置を明確にする。
■ ブランドスローガンの成功事例

【 タワーレコード | NO MUSIC,NO LIFE? 】
タワーレコードのブランドスローガン「NO MUSIC, NO LIFE.」は、音楽を愛する人々の気持ちをまっすぐに言葉にした名フレーズです。このブランドスローガンは、単に音楽販売を促すためのコピーではなく、「音楽のある人生の豊かさ」を伝えるブランドの姿勢を表しています。1990年代の誕生以来、広告やポスターだけでなく、カルチャーや世代を超えて広く浸透しました。その背景には、音楽を“商品”としてではなく“生きる喜び”として捉える、タワーレコードのブランド哲学があります。短くシンプルでありながら、音楽を愛する人なら誰もが共感できる普遍的なメッセージとして機能している点が特徴です。また、この言葉は企業の広告活動を超え、アーティストやファンをつなぐ象徴的な存在となりました。「NO MUSIC, NO LIFE.」は、理念や価値観を体現し、文化として根づくことができる好例と言えます。
[ ブランドスローガンの成功ポイント ]
● シンプルで覚えやすい
短いフレーズで構成されており、言葉自体も簡単で覚えやすいのが特徴です。誰もが一度聞けば記憶に残りやすく、メッセージが自然と広まります。
● 音楽ファンに刺さる強い共感性
音楽が生活の一部になっている人々に向けて、「音楽なしでは生きられない」という共感を呼び起こすフレーズで、強いメッセージ性を持ちます。
● ユーザー目線のメッセージ
「NO MUSIC, NO LIFE?」は、消費者自身が感じる音楽への愛を代弁する形になっており、自分ごととして感じやすいユーザー目線のメッセージです。
● 生活スタイルに寄り添ったフレーズ
音楽が日常やライフスタイルに欠かせない存在であると訴えかけ、音楽が生活に溶け込んでいることを示唆することで、タワーレコードのブランドを支持する理由を増やしています。
● 普遍性があり時代に左右されない
時代や流行に左右されることなく、常に新鮮なメッセージとして機能し続けます。音楽への普遍的な愛を表現しており、長期間にわたって多くの人に響き続けています。
● 多様な展開が可能な柔軟性
キャンペーンや広告、店頭ディスプレイ、グッズなど、様々な形で展開されてもスローガンの意図が失われず、ブランドの一貫性を保ちながら柔軟に活用できるメッセージです。
● ブランドの個性や文化を象徴
「NO MUSIC, NO LIFE?」というスローガンは、タワーレコードが音楽文化の発信者であることを象徴し、音楽業界の中で強い個性を打ち出しています。
[ 出典 ] TOEWR RECORD ONLINEより

【 資生堂 | 一瞬も一生も美しく 】
資生堂のブランドスローガン「一瞬も一生も美しく」は、美しさを「今この瞬間」と「人生全体」の両方で捉える姿勢を表しています。この言葉には、化粧品メーカーとしての機能的な価値だけでなく、人の生き方や感情に寄り添うような哲学が込められています。美しさを外見だけでなく、時間を超えて続く人の在り方として捉えることで、資生堂は単なるコスメブランドではなく“美の文化”を支える存在としての立ち位置を築きました。スローガンとしての強さは、詩的でありながらも日常に自然に溶け込む点にあります。誰にでも通じる普遍性がありながら、ブランド独自の美意識をしっかりと感じさせる言葉です。また、このフレーズは社員にとっても、自分たちの仕事の意味や使命を再確認させる軸になっています。「一瞬も一生も美しく」は、ブランドの理念と顧客の感情を結びつけ、長く愛されるブランドスローガンです。
[ ブランドスローガンの成功ポイント ]
● 短く、印象的で覚えやすい
シンプルな言葉の組み合わせでありながら、非常に印象的で覚えやすく、見た人に強い印象を残します。短いフレーズながらも、美しさに対する深いメッセージが込められています。
● ユーザーの生活に寄り添ったメッセージ
日々の一瞬から人生を通しての「美しさ」を提案することで、ユーザーの生活や価値観に寄り添い、共感を呼び起こします。
● 美しさに対する普遍的な価値観を表現
「一瞬も一生も」というフレーズを使うことで、特別な日だけでなく日常の瞬間にも美しさがあるという普遍的な価値観を伝えています。流行や時代に左右されない、長期的に使えるスローガンです。
● 人生の豊かさを感じさせる表現
日常の一瞬も人生の一生も共に美しくありたいという願いが込められており、美しさが人生を豊かにする要素であることを消費者に訴えかけます。
● ブランドの上品で高級なイメージを強調
「美しさ」というキーワードにより、品の良さや上質さを連想させ、ブランドの高級感や信頼感が伝わる内容になっています。
● 日常と特別な瞬間を両立させる
日常と人生の特別な瞬間、どちらも大切にするという姿勢が表現され、ユーザーが日々の美しさを実感しながら、人生の特別な瞬間にもブランドが関与することを訴求しています。
● 感情に訴えることでブランドロイヤルティを高める
日々の美しさや人生の大切さに言及することで、消費者の心に響く感動を与え、ブランドへの愛着や忠誠心を高める効果があります。
[ 出典 ] SHISEIDO GROUP公式サイトより

【 サントリー | 水と生きる 】
サントリーのブランドスローガン「水と生きる」は、企業の存在意義そのものを端的に表した言葉です。飲料メーカーとして水を扱う企業であるだけでなく、“自然と共に生きる姿勢”を表現しています。このブランドスローガンには、水を原点とした製品づくりだけでなく、環境保全や社会との共生といった広い視点が込められています。単なる宣伝文句ではなく、企業活動全体を貫く理念として機能している点が特徴です。また、社員にとっても「水を守り、水に生かされる」という意識を持つ指針となっており、事業活動やブランドメッセージの一貫性を支えています。言葉自体は非常にシンプルですが、その中に自然への敬意、人の営みとのつながり、未来への責任といった多層的な意味が感じられます。「水と生きる」は、サントリーがどのように社会と関わり、どんな価値を届けたいのかを静かに語る、持続性のあるブランドスローガンです。
[ ブランドスローガンの成功ポイント ]
● 短くて覚えやすい
シンプルな言葉で構成され、消費者の記憶に残りやすく、広く浸透しやすいです。短いながらも、ブランドが伝えたいメッセージが端的に表現されています。
● ブランドの根本的な価値を表現
「水」を扱う企業として、主力商品が生活に欠かせないものであることを伝えています。「生きる」という言葉と組み合わせることで、生活必需品としての水の重要性を印象づけます。
● 環境意識やサステナビリティを暗示
「水と生きる」という表現から、自然や環境保護への配慮が感じられます。消費者に企業が環境への責任を意識していることを伝え、サステナビリティへの取り組みを想起させます。
● 普遍的で時代を超えるメッセージ
水は人間にとって必要不可欠であり、いつの時代にも欠かせない要素です。この普遍的なテーマにより、流行に左右されず、長期間にわたって使用できるスローガンとなっています。
● 消費者の生活に密着したメッセージ
「水と生きる」は、生活において水がどれだけ重要かを強調し、消費者にとっての「水のある日常」を感じさせます。水のある生活を支える存在として、親しみやすいブランドイメージを醸成しています。
● 自然との調和と人々の生活を表現
水という自然の要素とともに生活する、というコンセプトは、自然と共に生きる暮らしの大切さを伝えており、消費者の共感を得やすいメッセージになっています。
● シンプルながら深いメッセージ性
「水と生きる」というスローガンは短いですが、そこには多くの解釈が含まれており、消費者の心に強い印象を与えます。シンプルさの中に奥深さがあり、ブランドに対する理解と共感が高まります。
[ 出典 ] サントリー公式サイトより

【 LION | 今日を愛する。】
LIONのブランドスローガン「今日を愛する。」は、生活者の日常に寄り添う企業姿勢を端的に表した言葉です。このブランドスローガンには、「特別な日ではなく、毎日の小さな瞬間を大切にする」という考え方が込められています。LIONは長年、生活用品を通して人々の健康や快適さを支えてきましたが、この言葉はそうした企業の役割をより感情的なレベルで表現しています。機能的価値だけでなく、日々の暮らしを前向きにする“こころの価値”を伝えることで、ブランドと生活者との心理的な距離を縮めています。ブランドスローガンの柔らかい語感や余白のある表現も、LIONらしい優しさと誠実さを感じさせます。また、社員にとっても「生活者の今日を少しでも良くする」という使命を意識する原点となっています。「今日を愛する。」は、生活者の視点に立ったブランドの思いや姿勢をシンプルに伝えています。
[ ブランドスローガンの成功ポイント ]
● 短く印象的で覚えやすい
「今日を愛する。」はシンプルで短く、消費者にとって覚えやすいフレーズです。簡潔で心に残りやすいため、自然とブランドに対する認知度が高まります。
● ポジティブで前向きなメッセージ
「今日を愛する」という言葉にはポジティブな感情が込められており、消費者に前向きな気持ちを抱かせます。毎日を大切にする姿勢がブランドと共鳴し、好意的な印象を与えます。
● 普遍的で共感を得やすい
「今日を愛する」は日常を大切にする普遍的なテーマであり、多くの人に共感されやすいメッセージです。特別なイベントや状況に限らず、誰もが共感できる内容なので、広い層に受け入れられます。
● ブランドの価値観と一致
日々の小さな喜びや生活の充実を大切にするブランドの価値観をよく表しています。このスローガンにより、ブランドが大切にしている姿勢や理念が顧客に伝わりやすくなっています。
● 消費者の日常生活に寄り添った表現
「今日」という言葉は、日常の中でどんな瞬間にもブランドが寄り添っていることを表現しています。ブランドが消費者の日々の暮らしをサポートしているという親しみやすい印象を与えます。
● シンプルで深いメッセージ性
「今日を愛する」という言葉には、一瞬一瞬を大切にすることの重要性や、生活の豊かさへの思いが込められています。シンプルな表現の中に豊かな意味を含ませることで、心に響くスローガンとなっています。
● 幸福感と充実感を喚起
「愛する」という表現を通じて、消費者に生活の幸福感や充実感を感じさせます。日常を大切にすることが自分自身の幸せにつながるというメッセージが込められ、ブランドの好感度を高めます。
[ 出典 ] ライオン公式サイトより

【 HONDA | The Power of Dreams 】
HONDAのブランドスローガン「The Power of Dreams」は、創業時から続く“夢を原動力に挑戦を続ける”という精神を表しています。この言葉は、単に情熱的なフレーズではなく、技術開発や製品づくり、そして企業文化そのものを支える理念として位置づけられています。夢を持つことが人を動かし、その力が社会を前進させるという考え方が根底にあります。自動車やバイクといった製品だけでなく、ロボティクスや航空事業など新たな領域への挑戦も、このブランドスローガンの延長線上にあります。また、この言葉は社員一人ひとりにとっても、“自らの夢を起点に行動する”という意識を促すものです。シンプルながら、ポジティブで普遍的なメッセージ性を持ち、国や文化を超えて共感を得られる点も特徴です。「The Power of Dreams」は、挑戦を恐れず、可能性を信じるというHONDAらしさが息づいています。
[ ブランドスローガンの成功ポイント ]
● 夢や希望を感じさせる前向きなメッセージ
「The Power of Dreams(夢の力)」は、ポジティブな感情を喚起し、挑戦や希望を連想させます。夢や目標に向かって進む力を表現しており、消費者に勇気とモチベーションを与えます。
● ブランドの理念と強く一致
「The Power of Dreams」は、挑戦し続ける姿勢を大切にするホンダの理念と直結しています。新しい技術や未来への挑戦という企業の価値観を端的に表しており、ブランドの一貫性を高めています。
● 普遍的で世代を超えた共感を得やすい
夢や希望は、どの世代や文化においても共通のテーマであり、幅広い層に訴求する力があります。時代やトレンドに左右されず、長期間使用できる普遍的なスローガンです。
● グローバルに通用するシンプルさ
英語のシンプルなフレーズであり、どの国や地域でも理解しやすいです。夢の力というメッセージは、文化を超えて共感を呼ぶため、ホンダのグローバルなブランド展開にも適しています。
● 強いインパクトと記憶に残る表現
短いフレーズながらも、「Power」と「Dreams」という印象的なキーワードが使われており、消費者の記憶に残りやすいスローガンです。シンプルな構成でありながら、感情に訴えかける力を持っています。
● ブランドの革新性と挑戦精神を象徴
「The Power of Dreams」というスローガンには、ホンダが新しい技術や未来に向けて挑戦し続ける姿勢が反映されています。ブランドが常に成長し、革新を追求する企業であることを消費者に伝えます。
● 消費者の夢や目標とリンクする内容
消費者が持つ夢や目標に「ホンダ」というブランドが寄り添っていると感じさせます。ホンダの製品が日常の移動手段を超えて、消費者の夢や希望をサポートする存在であることを示唆しています。
[ 出典 ] ホンダ公式サイトより
■ ブランドスローガンの弊社開発実績
株式会社チビコでは、ブランドの想いを伝えるためのブランドスローガン開発を行っています。言葉を通してブランドの本質を明確にし、その魅力をわかりやすく表現。ブランド戦略とデザイン開発の視点から、ブランドのらしさを言葉にするお手伝いをしています。

【 R.T.HEMMA 】
「 毎日を自分らしく、心地よく 〜 Your room, Your Life 〜 」をブランドビジョンに掲げ、インテリアデザインを通して、毎日をより自分らしく、楽しく、心地よいものにしていく企業ブランド。機能、デザイン、低価格、サステナビリティを兼ね備えたサービスをBtoB、BtoCに向けて幅広く展開。
[ 詳細 ] chobico WORKS | R.T.Hemmaより

【 INSIGHT FACTORY 】
「いかにして本音を集めるか」「集めた本音に何を見るか」を独自の知見によって提案し、クライアントと共に、来たる未来を推し量り、切り拓くこと掲げるリサーチ会社のリブランディング。ブランドシンボルは、社名の頭文字である「I」と「F」をモチーフに「どう見るか。なにを見るか。」をデザインで表現。
[ 詳細 ] chobico WORKS | INSIGHT FACTORYより

【 I’ROM GROUP 】
希望と安⼼に満ちた健やかな未来を、すべての⼈へ。アイロムグループは「憂いなき未来のために。」のブランドプロミスのもと、人々の未来が希望と安心そして健康で満ちあふれたものとなるように先端医療事業、SMO事業、CRO事業、メディカルサポート事業の4つの事業でブランドを展開しています。
[ 詳細 ] chobico WORKS | I’ROM GROUPより

【 RENEWABLE JAPAN 】
すべての人を、エネルギーの主人公に。「主人公」という言葉には、同じ時代を生きる一人ひとりにエネルギーづくりの主体となって活躍していただける社会を実現したいというブランドの想いを込めています。そして、共にエネルギーについて考え行動し社会の創生に寄与していく企業の姿勢を表しています。
[ 詳細 ] chobico WORKS | RENEWABLE JAPANより

■ ブランドスローガンに関するよくある質問
ブランドスローガン開発のご相談をいただく中で、よく聞かれる質問があります。現場で実際に感じた疑問や気づきをもとに、ブランドスローガン開発について分かりやすくまとめました。
【 よくある質問① 】
Q :ブランドスローガンとキャッチコピーの違いは何ですか?
A :ブランドスローガンは、ブランド全体の理念や価値観を長期的に伝える一貫性のある言葉で、ブランドの骨格となる役割を果たします。キャッチコピーは特定の商品やキャンペーン向けに短期間使用され、販売促進や広告訴求を目的とします。
【 よくある質問② 】
Q :ブランドスローガンを開発する際、まず何に注目すべきですか?
A :最初に「ターゲットが明確であること」が重要です。誰に向けたメッセージかがはっきりしていることで、刺さる言葉選びができます。
【 よくある質問③ 】
Q :スローガンをつくる際、ユーザー目線とは具体的にどういう意味ですか?
A :ユーザー視点というのは、消費者がすぐに自分ごととして共感できる言葉であるということ。自分の気持ちを代弁してくれているように感じることが共感を生む鍵です。
【 よくある質問④ 】
Q :いつの時代でも通用する普遍的なスローガンとは、どんな特徴がありますか?
A :流行やトレンドに左右されず、長期的に使えるもの。“Taste the Feeling”(Coca‑Cola)など、時代を超えて共有される感覚や価値を言語化したものが例です。
【 よくある質問⑤ 】
Q :ブランドスローガンが成功するための条件は?
A :シンプルで覚えやすく、ブランドの本質や価値観を反映し、印象的で、ポジティブかつ差別化されていて、ターゲットに響く言葉であること。

■ ブランドスローガン開発をする前のチェックリスト
多くのブランドスローガン開発の中で、「作る前の整理」が結果を左右すると実感しています。現場での経験から、確認すべきポイントをチェックリストにまとめました。
【 メッセージの明確性のチェック 】
⬜︎ ターゲットが明確になっているか?
⬜︎ ブランドの本質や価値観が言葉に込められているか?
⬜︎ メッセージがユーザーの心に届いているか?
【 表現の訴求力のチェック 】
⬜︎ シンプルかつ覚えやすい言葉になっているか?
⬜︎ インパクトがあり印象に残るか?
⬜︎ ポジティブで前向きな印象を与える表現か?
【 時代・競合との適応性のチェック 】
⬜︎ 流行に左右されにくく、長期的に使える言葉か?
⬜︎ 他社との差別化が明確になっているか?
【 発プロセスの実効性のチェック 】
⬜︎ 経営層を含めた関係者の合意形成が取れているか?
⬜︎ スローガンの背景や意図が社内で共有されているか?
⬜︎ 他社事例や市場分析を踏まえて検討されているか?

■ まとめ
企業がブランドスローガンを掲げる意味や目的と具体的な事例について書いてきましたが、その中でも最も大切なことは、企業がブランドスローガンが顧客に与えるインパクトの大切さを理解し、魅力的なブランドスローガンを作らなければならないことです。ブランドスローガンを安易に考え何となく作ってしまうと、効果を期待できないだけではなく、逆にブランドイメージを低下させてしまいます。企業は、ブランドのビジョンや理念を伝えることのできるブランドスローガンをしっかりと考え掲げていくことが重要なのです。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 ご質問、お打合せ希望など、お気軽にお問合わせください。】
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