
[ ブランド戦略 ]
企業ブランドと商品ブランドの関係性がもたらす効果とは?
ブランド戦略を考える上で、企業ブランドと商品ブランドの関係は大きな意味を持っています。企業ブランドには、その組織が持つ価値観や信頼性、目指す未来が込められています。一方の商品ブランドは、それぞれの製品やサービスならではの特長やメリットを、お客様に分かりやすく伝える役割を担っています。これら2つのブランドが相乗効果を生むと、企業の信頼性や知名度が商品の価値を高め、商品の成功につながります。また、ヒット商品が生まれることで、企業全体の評価も上がり、お客様との絆も深まっていくのです。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、企業ブランドと商品ブランドがどのように影響し合い、会社の成長を後押ししているのかについてついて詳しく解説します。
CONTENTS | 目次
■ 企業ブランドと商品ブランドの関係性

企業ブランドと商品ブランドは、それぞれ異なる意味合いと役割を担っています。企業ブランドは、会社そのものが持つイメージ、大切にしている考え方、築き上げてきた信頼感を表現します。商品ブランドは、その企業が作り出す製品やサービスを分かりやすく示すためのものです。お客様は企業ブランドを通じて会社全体への印象を形づくり、その企業の信頼性や価値観を基準に商品選びをすることができます。また、商品ブランドによって、提供される製品やサービスへの具体的なイメージが生まれ、購入を決める際の重要な判断材料となっているのです。
【 企業ブランドが商品ブランドを補強する 】
強力な企業ブランドは、個々の商品ブランドに信頼性という大きな後ろ盾を与えます。例えば、ソニーという企業ブランドが長年培ってきた技術力や品質の高さは、新しいウォークマンやプレイステーションが登場した際、顧客の安心感や期待感を高めます。
● 信頼性の付与:企業ブランドの信用が、新商品の品質保証につながる。
● 認知の加速:知名度の高い企業ブランドは、新商品の市場投入時の認知度を高める。
● 顧客の安心感:企業に対する信頼が、購買のハードルを下げ、安心感を提供する。
【 商品ブランドが企業ブランドを強化する 】
個々の商品ブランドの成功は、企業全体の評価や知名度を押し上げます。iPhoneが大ヒットしたことで、Appleの「革新的で洗練された企業」というブランドイメージは、より強固なものとなりました。ヒット商品が生むポジティブな評判は、企業の求心力やブランド価値を向上させ、他の事業にも好影響を与えます。
● 企業評価の向上:ヒット商品が企業の技術力や市場競争力の証明となる。
● 知名度の拡大:特定の商品の成功が、企業全体の知名度アップに貢献する。
● ブランドイメージの具体化:商品が提供する独自の価値が、企業理念を具体的に示す。
■ 企業ブランドが商品ブランドに与える5つの効果

1. 品質や信頼性を高める
強固な企業ブランドが築かれていると、その会社から生み出される商品やサービスへの評価も自然と高まっていきます。例えば、トヨタやソニーのように、常に高い品質の製品を市場に送り出してきた企業では、新しい商品ブランドを展開する際も、自然と「品質が良い」「安心できる」といった評価が受け継がれていきます。このため、お客様は新商品を選ぶ時も安心感を持って購入を決めることができ、企業ブランドが持つ信頼性が、商品選びの重要な判断基準として機能するのです。
2. ブランドイメージを共有する
企業ブランドが持つ独自のイメージは、その会社が市場に送り出すすべての商品ブランドに自然と浸透していきます。例えば、Appleという企業が持つ「革新的」「洗練された美しさ」といった特徴は、iPhoneやMacといった個々の商品にも確実に受け継がれ、お客様の心の中で一貫したイメージとして定着します。このように企業と商品が同じ価値観を共有することで、企業全体への信頼感が深まり、新たな商品のブランド構築にも良い影響をもたらすのです。
3. 競合との差別化を図る
企業ブランドは、他社との明確な違いを作り出す重要な要素となっています。たとえば、ナイキの「Just Do It」というメッセージや、レッドブルが表現する「エネルギー」という世界観は、それぞれの商品にも深く根付いており、競合他社との違いを鮮明に打ち出しています。お客様は商品の中にその企業らしさを感じ取るため、強い企業ブランドを持つ会社は、似たような商品が多く並ぶ市場でも、自社製品を選んでもらいやすい優位性を確保できるのです。
4. 商品ラインナップの拡大を促進する
確固たる企業ブランドを持つ会社は、新商品を生み出す際も、そのブランドが築いてきた信頼感や大切にしている価値観を活かすことができ、より幅広い商品展開が可能になります。例えば、ディズニーは映画からテーマパーク、おもちゃまで、様々な形で商品やサービスを広げながら、お客様が望む新しい体験や商品を次々と生み出しています。このような展開が成功を収めることで、企業ブランドそのものも、より豊かな広がりを見せていくのです。
5. マーケティング効果を高める
強い企業ブランドを持っているほど、商品ブランドの宣伝活動もより効果的になります。企業が築き上げてきた知名度やイメージは、個々の商品の広告やプロモーションにも自然と活かされ、効率的な宣伝活動を実現できます。たとえば、ユニクロのヒートテックやエアリズムは、ユニクロというブランドへの信頼感や確かな品質というイメージに支えられて、お客様の心に深く浸透しています。これは企業ブランドの力が、商品の市場での成功に直接つながった良い例と言えます。
■ 商品ブランドが企業ブランドに与える5つの効果

1. 企業ブランドの価値向上
ヒット商品が生まれると、その商品が持つ魅力は企業全体のブランド価値も高めていきます。例えば、iPhoneの圧倒的な支持がAppleという企業の価値をさらに引き上げたように、個々の商品ブランドへの評価は、その企業自体への信頼にもつながっていくのです。商品が持つユニークな価値は、やがて企業全体の強みとして認められるようになり、他社との違いをより鮮明に打ち出せるようになります。これにより、企業はさらに価値の高いブランドを築き上げることができるのです。
2. 企業ブランドのイメージ形成
商品ブランドが持つイメージは、その企業全体のブランドイメージづくりにも大きく影響します。具体例として、トヨタの「プリウス」が象徴する環境への高い意識は、トヨタという企業自体にも「環境を大切にする会社」というイメージをもたらしています。このように、個々の商品が持つ独特の魅力や特徴は、その企業の個性や目指す方向性を表現する要素として、お客様の心に響きます。そのため、企業全体のイメージがより分かりやすく、身近に感じられるものになっていきます。
▶︎ 詳細記事:ブランドイメージを高めるためのデザインとは?
3. 企業ブランドの信頼性向上
商品の品質が高く、信頼できると評価されることは、その企業そのものへの信頼も深めていきます。例えば、パナソニックの家電製品が持つ確かな信頼性は、パナソニックという会社全体への信頼感をより強固なものにしています。このように、商品がお客様の期待に応え続けることで、その企業全体が「安心して任せられるブランド」として認識されるようになり、新しく発売される製品やサービスにも、自然と期待が集まるようになります。
4. 企業ブランドの認知度向上
人気商品のブランド認知が広がることは、その企業全体の知名度アップにもつながっていきます。例えば、ナイキのスニーカーが多くの注目を集めることで、ナイキという会社自体の存在感や企業としてのイメージも一層高まっています。こうして商品ブランドが世界中で親しまれるようになると、企業名も自然とお客様の目に触れる機会が増えていき、会社としての認知度が向上します。これが、さらなる企業成長への重要な足がかりとなります。
5. 企業ブランドの支持者増加
個々の商品が多くのお客様から愛されることは、その企業全体のファンを増やすことにもつながります。例えば、コカ・コーラの飲料製品が広く親しまれていることで、コカ・コーラという会社そのものへの支持も広がり、ブランドへの深い信頼関係も築かれています。このように、商品を通じてお客様との絆を深めることで、企業は長く支持され続けることができ、新商品の開発や事業の拡大にも積極的に挑戦できる基盤が整います。
■ 企業ブランドと商品ブランドの関係性を考慮した戦略の重要性

【 企業ブランドと商品ブランドの統合戦略 】
企業ブランドと商品ブランドの統合戦略とは、企業が持つ複数の商品ブランドを、一つの企業ブランドの下に統合することで、統一感を出し、ブランド価値を高める戦略のことを指します。例えば、アップルは、iPhone、iPad、Macなどの商品ブランドを、アップルの企業ブランドの下で統合し、一つのアップルの世界観を作り出しました。企業ブランドと商品ブランドを統合することで、商品ブランドが相互に補完し合い、顧客が企業ブランドに対して抱く信頼感が高まり、ブランドイメージを一層向上させることができます。また、商品ブランドを統合することで、企業ブランドのイメージが広がり、多様な商品を提供できる企業イメージを構築することができます。
これにより、新しい商品を投入する際にも、既存の商品ブランドから独立した新しいブランドを作る必要がなく、企業ブランドの下に位置づけることで、商品開発にかかる費用を抑えることができます。しかし、企業ブランドと商品ブランドの統合は、失敗することもあります。商品ブランド同士が重複している場合や、消費者の嗜好に合わない商品ブランドを含んでいる場合、企業ブランドの信頼感を損なうことがあります。また、商品ブランドが強い個性を持っている場合、統合することでその個性を失い、消費者からの支持を失う可能性があります。企業ブランドと商品ブランドを統合する場合は、企業のビジョンや戦略、商品ラインナップを考慮し、統合のメリットとデメリットをよく分析し適切な戦略を立てることが重要です。

【 企業ブランドと商品ブランドの分離戦略 】
企業ブランドと商品ブランドの分離戦略とは、企業が商品ブランドと企業ブランドを切り離し、それぞれを独立したブランドとして扱う戦略のことです。つまり、企業が複数の商品ブランドを所有している場合に、それらの商品ブランドを個別のブランドとして独立させ、企業ブランドとは別にマーケティングを行うことを指します。分離戦略は、企業ブランドが商品ブランドに与える影響を最小限に抑えることができます。企業ブランドが商品ブランドのイメージを乗っ取ってしまうと、商品ブランドが独自のブランドイメージを確立することが難しくなります。
このため、商品ブランドが独自のブランドイメージを構築し、消費者から認知されやすくするために、分離戦略が採用されることがあります。一方で、分離戦略によって、企業ブランドと商品ブランドのシナジー効果が低下するという問題があります。企業ブランドと商品ブランドが同じ名前であれば、企業ブランドの知名度が高いことが商品ブランドにもプラスに働くことがあります。また、商品ブランドの成功によって、企業ブランドにも良い影響が及ぶことがあります。このため、分離戦略を採用する場合は、注意が必要です。
■ 企業ブランドと商品ブランドの成功事例

【 TOYOTA|企業ブランドと商品ブランド 】
トヨタ自動車は、企業ブランドとして「品質、信頼性、革新性、環境保全」を掲げ、製品ブランドとして「カローラ」「プリウス」「レクサス」など多様な車種を展開し、自動車業界で高い成功を収めています。長年にわたり品質を重視した企業ブランド戦略により、「故障が少なく信頼性が高い」というイメージを確立しました。また、エコカー開発にも積極的で、燃費性能に優れた「プリウス」や水素燃料電池車「ミライ」など、環境に配慮した商品ブランドを展開することで、環境保護に取り組む企業としての評価を強化しています。さらに、高級車ブランド「レクサス」を立ち上げ、洗練されたデザインと高品質を両立させることで高級車市場にも進出し、グローバルでの地位を確立しました。企業ブランドと製品ブランドの両方に注力することで、トヨタは世界的な自動車メーカーとしての成功を実現しています。
[ 商品ブランド・一部抜粋 ]
● CROWN
● COROLLA
● PRIUS
● LAND CRUISER
[ 企業ブランドと商品ブランドの成功ポイント ]
● 信頼性と品質の一貫性
トヨタは長年にわたり高品質な製品を提供し続け、消費者の信頼を築いています。特に「トヨタ生産方式」に代表される効率的な生産と品質管理により、世界中で信頼されるブランドとしての地位を確立しています。この品質へのこだわりが、ブランドの信頼性を高め、顧客満足度の向上につながっています。
● 革新と技術力の強化
トヨタはハイブリッド技術や電気自動車など、環境に配慮した技術革新を積極的に進めています。特に「プリウス」や「MIRAI」などの車両は、先進的な技術を具現化した製品として高い評価を受けています。これにより、革新的で持続可能な企業としてのブランドイメージが強化されています。
● グローバルブランド戦略
トヨタは各地域ごとのニーズに対応した商品展開を行い、ローカライズされたマーケティング戦略を採用しています。これにより、各国・地域の消費者に密着した製品を提供し、ブランド力を高めています。
● 企業の社会的責任(CSR)活動
トヨタは環境保護や地域社会への貢献を重視し、CSR活動に積極的に取り組んでいます。これにより、企業の社会的責任を果たすブランドとして評価を高め、企業イメージをさらに向上させています。
[ 出典 ] TOYOTAグローバルサイトより

【 SAMSUNG|企業ブランドと商品ブランド 】
Samsungは、韓国を代表する多国籍企業であり、電子製品、家電製品、半導体、通信機器など幅広い分野で事業を展開しています。同社は企業ブランドと製品ブランドの両面で成功を収めた代表例です。企業ブランドとしては「Innovation(革新)」をブランド価値に掲げ、常に最新技術を追求し、業界をリードしてきました。この価値は、スマートフォン、テレビ、タブレットなど多様な製品ラインナップを通じて体現されています。さらに、製品ブランド戦略も巧みに展開しており、スマートフォンの「Galaxy」、タブレットの「Galaxy Tab」、テレビの「QLED」「OLED」など、製品ごとにブランドを設定。これにより消費者が製品を識別しやすくなり、各ブランドで差別化された価値を訴求することが可能となっています。Samsungは、企業ブランドで革新性を示しつつ、製品ブランドで明確なポジションを構築することで、世界的なブランド力を確立しています。
[ 商品ブランド・一部抜粋 ]
● GALAXY
● GALAXY NOTE
● GALAXY BOOK
● SMART THINGS
[ 企業ブランドと商品ブランドの成功ポイント ]
● 革新技術と多様な製品展開
SAMSUNGは、スマートフォン、家電、半導体など多岐にわたる製品を提供し、技術革新を通じてブランド価値を高めています。特に「Galaxy」シリーズなどのハイエンドスマートフォンで市場を牽引し、最新技術の採用による差別化を図っています。
● グローバル市場でのプレゼンス
SAMSUNGは世界中で強力なプレゼンスを確立しており、各国のニーズに合わせた製品を展開。地域ごとのマーケティング戦略も取り入れることで、幅広い顧客層にリーチしています。
● ブランド認知度の強化
積極的なマーケティングキャンペーンや広告投資により、SAMSUNGは強力なブランド認知度を構築。特にスポーツイベントへのスポンサーシップやコラボレーションにより、消費者との接点を増やし、親近感を醸成しています。
● エコフレンドリーな取り組み
環境への配慮も重視しており、持続可能な製品やリサイクル技術を採用。これにより、サステナビリティの観点でも信頼されるブランドとして評価されています。
[ 出典 ] SAMSUNG公式サイトより

【 Procter & Gamble|企業ブランドと商品ブランド 】
Procter & Gamble(P&G)は、世界中の家庭で利用される多くの生活用品を展開するグローバル企業であり、企業ブランドと商品ブランドを巧みに統合することで強力なブランドポートフォリオを構築しています。P&Gは企業ブランド「Procter & Gamble」の下で、Tide、Pampers、Gillette、Crest、Bountyなど有名な商品ブランドを展開し、それぞれが高いブランドロイヤルティを誇ります。P&Gは商品ブランドごとに異なるマーケティング戦略を採用し、消費者に製品の独自価値を明確に訴求しています。また、企業ブランドの信頼性と品質を背景に、各商品ブランドが安心感を提供できるよう設計されています。さらに、Pampersは「子育てへの情熱」、Tideは「洗濯への情熱」というように、商品ごとに異なる価値観を強調することで、消費者との強い共感を獲得。結果として、商品ブランドの成功が企業ブランドの強化につながり、顧客ロイヤルティの向上と市場シェア拡大を実現しています。
[ 商品ブランド・一部抜粋 ]
● DOWNY
● FEBREZE
● GILLETTE
● PAMPERS
[ 企業ブランドと商品ブランドの成功ポイント ]
● 製品品質と信頼性の維持
P&Gは、消費者に信頼される高品質な製品を長年提供してきました。洗剤やヘアケア製品などの消費財を中心に、優れた効果を実感できる製品を開発することで、強力なブランドロイヤルティを築いています。
● 複数ブランドによる市場シェアの確保
P&Gは多様な商品ブランドを展開し、複数の市場セグメントに対応しています。これにより、消費者のニーズに幅広く応え、各ブランドが異なる顧客層にリーチすることで、競争力を強化しています。
● 革新的なマーケティング戦略
P&Gは、積極的に広告やプロモーションを行い、消費者とのエンゲージメントを高めています。デジタルマーケティングやインフルエンサーとの協力を通じて、現代の消費者に訴求しやすい戦略を採用しています。
● サステナビリティの推進
P&Gは環境保護を重視し、サステナブルな商品開発に注力しています。再生可能な材料の使用やエネルギー効率の高い製造プロセスを取り入れることで、持続可能なブランドとしての地位を確立しています。
[ 出典 ] Procter & Gambleグローバルサイトより

【 NESTLE|企業ブランドと商品ブランド 】
ネスレ(Nestlé)は、スイスに本社を置く総合食品・飲料メーカーで、コーヒー、水、チョコレート、乳製品、健康食品など多様な製品を展開しています。同社のブランド戦略は、強力な企業ブランドと多彩な商品ブランドの統合により成り立っています。企業ブランドは「高品質・信頼性・安全性」の象徴として認知されており、この価値を高めることで多数の商品ブランドの信頼性を確立しています。一方、商品ブランド戦略では、カテゴリーや市場ごとに特化したマーケティングを展開し、地域ごとのニーズに対応した製品を提供しています。また、商品ブランドのポートフォリオを定期的に見直し、市場変化に柔軟に対応。日本市場では「キッズモード」や「ネスカフェ デカフェ」など、健康志向に応える製品ラインを拡充しました。企業ブランド価値を基盤に商品ブランドを展開し、地域密着型の戦略を推進することで、ネスレは高い顧客信頼と市場競争力を維持しています。
[ 商品ブランド・一部抜粋 ]
● KITKAT
● NESCAFE
● AERO
● Häagen-Dazs
[ 企業ブランドと商品ブランドの成功ポイント ]
● 多様な製品ラインナップと革新
Nestleは、食品・飲料からヘルスケアまで多様な製品ラインを展開し、消費者の幅広いニーズに応えています。新しい製品の導入や既存製品の改良を通じ、消費者に常に新しい価値を提供し、ブランドの革新性を維持しています。
● グローバルブランド戦略とローカライゼーション
Nestleは世界中でブランドの認知度を高めるため、各地域の文化やニーズに合わせた商品展開を行っています。現地市場に合わせたマーケティング戦略と製品開発により、グローバル市場で成功しています。
● サステナビリティへの取り組み
Nestleは、持続可能な発展を目指し、環境保護や社会貢献に積極的に取り組んでいます。原材料の調達から製品パッケージングに至るまで、エコフレンドリーなプロセスを取り入れることで、消費者に責任あるブランドとしてのイメージを強くアピールしています。
● 消費者とのエンゲージメント強化
Nestleは、デジタルマーケティングやSNSを活用し、消費者との双方向コミュニケーションを強化しています。これにより、消費者のフィードバックを取り入れ、ブランド体験を向上させると同時に、長期的なブランドロイヤルティを築いています。
[ 出典 ] NESTLEグローバルサイトより

【 UNILEVER|企業ブランドと商品ブランド 】
Unileverは、世界中で多数のブランドを展開し、数十億人の消費者に製品を提供するグローバル企業です。同社は、企業ブランドと商品ブランドを柔軟に使い分ける戦略で成功を収めています。代表的な商品ブランド「Dove」では、2017年に「Dove Real Beauty」キャンペーンを開始し、多様なボディタイプや肌の色、年齢の女性を起用して“多様性を受け入れる美”を提唱。大きな話題を呼び、ブランド価値を高めました。また、Unileverは企業名を活用し、「Unilever Dove」のように企業ブランドと商品ブランドを統合するケースもあります。一方で、「Knorr」ブランドでは分離戦略を採用し、個々の商品ごとに独自のマーケティングを展開。異なるバリュープロポジションを提供することで、多様な消費者ニーズに対応しています。統合と分離を状況に応じて使い分ける柔軟なブランド戦略が、Unileverの世界市場での競争力を支えています。
[ 商品ブランド・一部抜粋 ]
[ 企業ブランドと商品ブランドの成功ポイント ]
● 多様なブランドポートフォリオ
Unileverは、消費財市場において幅広いブランドを展開し、それぞれ異なるターゲット層にアプローチしています。食品から日用品、パーソナルケア製品まで、多彩な商品ポートフォリオを持つことで、様々なニーズに応えると同時に、各ブランドがユニークな価値を提供することが可能です。
● サステナビリティと社会的責任の強調
Unileverは、企業としての社会的責任を重要視しており、サステナビリティに力を入れたブランド活動を展開しています。「持続可能なビジネスの成長」というビジョンを掲げ、環境保護やコミュニティ支援に取り組むことで、消費者に信頼されるブランドイメージを構築しています。
● ブランドイノベーション
Unileverは、消費者の変化するニーズに対応するため、絶えずイノベーションを行っています。新しい製品ラインの投入や、既存ブランドの再定義を通じて、ブランド価値を向上させ、マーケットでの競争力を強化しています。
● デジタルマーケティングと消費者のエンゲージメント強化
Unileverは、デジタルチャネルを駆使し、消費者との関係性を強化しています。SNSやオンライン広告を活用してターゲット層にアプローチし、ブランドのメッセージを効果的に伝えることで、ブランドロイヤルティの向上を図っています。
[ 出典 ] Unileverグローバルサイトより
■ 弊社の企業ブランド実績
[ LANDPIA ]
LANDPIAは、不動産の有効利用を通じて活力ある経済社会の実現に貢献するブランドです。日本には、まだまだ未開拓の土地や、価値を見出されていない土地が多く残されています。それらを発見、有効活用することで、社会全体が潤う仕組みを作ることを掲げています。
[ 詳細 ] chobico WORKS | LANDPIAより
[ NIHONN MOBILITY SERVICE ]
NIHONN OIL SERVICEからNIHONN MOBILITY SERVICEへの社名変更に伴うコーポレートアイディンティティ開発。新ブランドのコンセプトは、「新しい移動と技術の進化。モノを超えたサービスとしてのあり方。」モビリティには無限の可能性があることを表現しています。
[ 詳細 ] chobico WORKS | NIHONN MOBILITY SERVICEより
[ RENEWABLE JAPAN ]
すべての人を、エネルギーの主人公に。「主人公」という言葉には、同じ時代を生きる一人ひとりにエネルギーづくりの主体となって活躍していただける社会を実現したいというブランドの想いを込めています。そして、共にエネルギーについて考え行動し社会の創生に寄与していく企業の姿勢を表しています。
[ 詳細 ] chobico | RENEWABLE JAPANより
■ 弊社の商品ブランド実績

[ MERSSAGE ]
メルサージュは、新しい口腔衛生文化の確立により、生活者の口腔を健やかにするとともに歯科医療のさらなる振興を実現するためのブランドです。生活者の歯科医療に対する価値を一新し歯科衛生士や歯科医院と生活者のより深く長い結びつきを創出することを目指しています。
[ 詳細 ] chobico WORKS | MERSSAGEより

[ DOME NUTRITION SYSTEM ]
DNSは、アスリートがアスリートのために開発した真のスポーツサプリメントブランドです。高品質のサプリメントを適正価格で提供し、さらには最新技術を駆使し極上の飲みやすさを実現しました。そして、「日本のスポーツを世界レベルに引き上げるために」をスローガンに掲げブランド展開しています。
[ 詳細 ] chobico WORKS | DOME NUTRITION SYSTEMより

[ CLARTE ]
Clarteとは、フランス語で光、輝きを意味する言葉です。いつも感謝すること。楽しみとユーモアをみつけること。身近な人たちの幸せを願うこと。この3つのコンセプトから生まれたブランドです。ショップの5周年を記念しプレゼントとしてアロマキャンドルにメッセージカードを添えて配布いたしました。
[ 詳細 ] chobico WORKS | CLARTEより

[ AIRQUIN ]
業界初のビニール製マネキンは「空間に新たなドラマを提供する」という高き使命を果たすべく、高次元な演出によるハイパフォーマンスを可能とした革新的な商品です。AIRQUINブランドを通じて、世の中に存在しないビジネスをクリエイトし、常識を超越した全く新しいソリューションを提供し続けます。

■ 企業ブランドと商品ブランドに関するよくある質問
[ よくある質問① ]
Q :企業ブランドと商品ブランドの違いは何ですか?
A :企業ブランドは企業が持つ価値観や信頼性、目指す未来を象徴し、商品ブランドはそれぞれの商品が持つ特長やメリットを顧客にわかりやすく伝える役割があります。
[ よくある質問② ]
Q :企業ブランドと商品ブランドが連携すると、どんな効果がありますか?
A :商品ブランドが成功すると企業ブランドの評価や信頼性が高まり、逆に企業ブランドが確立すると商品ブランドが売れやすくなるという、相乗効果が期待できます。
[ よくある質問③ ]
Q :実際にこの相乗効果はどういう流れで起きるのですか?
A :たとえばヒット商品が生まれることで企業の知名度や評価が上がり、その後に発売される他の商品にも良い印象が波及していきます。
[ よくある質問④ ]
Q :ブランディング戦略では、どのように両者を統合すれば効果がありますか?
A :企業ブランドと商品ブランドの戦略を連動させて設計し、それぞれの役割を明確化したうえで、一貫したブランド体験として展開することが重要です。
[ よくある質問⑤ ]
Q :この2つのブランドを統合するときの落とし穴はありますか?
A :企業ブランドと商品ブランドが整合していないと、一貫性のないメッセージとなり、顧客に混乱を与えたり、ブランドの信頼を損ねる可能性があります。

■ 企業ブランドと商品ブランド開発のためのチェックリスト
[ 役割設計のチェック ]
⬜︎ 企業ブランド(企業文化・ビジョン・信頼性)は明確に言語化できているか?
⬜︎ 商品ブランド(個々の商品やサービスの特長・メリット)は明確に伝えられているか?
[ 相乗効果の設計チェック ]
⬜︎ 企業ブランドの信頼性や知名度を商品ブランドが活用できる設計か?
⬜︎ 商品が成功した際、企業ブランドもその成果を受けて評価が上がる仕組みになっているか?
[ 一貫性と整合性チェック ]
⬜︎ 企業ブランドと商品ブランド間で、メッセージや価値観に整合性が取れているか?
⬜︎ 両ブランドがブランド体験として一貫した印象を提供できるか?
[ 成長促進設計のチェック ]
⬜︎ 商品ブランドが強まることで、企業ブランド全体の認知や信頼につながっているか?
⬜︎ 企業ブランドが整備されていることで、新商品受け入れのハードルが下がるようになっているか?

■ まとめ
企業ブランドと商品ブランドは、それぞれ異なる役割を担いながらも、相互に影響し合うことで強力なブランド力を形成します。企業ブランドは信頼性や理念、目指す未来といった「会社の核心」を体現し、一方で商品ブランドは具体的な特徴やメリットを顧客に伝える役割を果たします。この両者が連携すると、企業ブランドの信頼が商品の価値を高め、結果として商品が成功すれば企業評価や顧客との信頼関係も強化されるという好循環が生まれます。つまり、商品が持つ魅力が企業全体のブランド価値を底上げし、企業の信用が商品の魅力度を支える構造です。こうした相乗効果を意識しながら、企業ブランドと商品ブランドの関係性を戦略的に設計することが、持続的な成長につながります。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 ご質問、お打合せ希望など、お気軽にお問合わせください。】
– ブランド戦略からデザイン開発まで –
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