
[ ブランディングデザイン ]
VI(ビジュアル・アイデンティティ)の進化とトレンド
VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、企業やブランドの個性を視覚的に伝えるための重要な手段であり、その役割は時代とともに変化してきました。消費者の価値観やデジタル技術の発展に合わせて、ブランドは新しい表現方法やデザイン要素を取り入れ、市場の変化に対応しています。シンプルでミニマルな潮流から、感情的なつながりを重視したビジュアルまで、VIの進化はブランド戦略と密接に関わっています。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、VIの進化の背景を探り、最新のトレンドを解説するとともに、企業がどのように時代に合わせて進化させているかについて詳しく解説します。
CONTENTS | 目次
■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の基本概念

【 VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは何か? 】
VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは、ブブランドの理念や価値を“視覚的に伝えるための仕組み”を指します。ロゴ、カラー、フォント、写真、グラフィックスタイルなど、ブランドを形づくる視覚要素を統一し、個性と一貫性を表現します。単なるデザインではなく、ブランドの人格を視覚化したものと言えます。VIはブランドの“顔”として機能し、第一印象をつくる大切な存在です。企業の世界観を視覚的に届けることで、無意識のレベルでブランドを記憶に残しやすくなり、長期的な価値形成にもつながります。
[ ポイント ]
● ロゴ・カラー・書体など主要な視覚要素を統一する
● どの媒体でも同じ印象を保ち、信頼性を高める
● ブランドの思想や価値観を“見える形”にする
➤ 詳細記事:VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは何か?
【 ブランドにおけるVI(ビジュアル・アイデンティティ)の役割 】
VIは、ブランドの理念や価値を社会にわかりやすく伝えるための“視覚言語”です。ロゴやカラー、写真のトーンが統一されていれば、見る人は瞬時にブランドを認識しやすくなり、安心感や信頼にもつながります。VIはブランドの人格を「視覚」で表現することで、理念やストーリーを補い、企業の存在を印象づける役割があります。デザインにとどまらず、ブランド戦略の一部として機能し、言葉より早く本質を伝える手段となり、長期的な価値形成にも寄与します。こうした積み重ねがブランド力を確かなものにします。
[ ポイント ]
● ブランドの理念や価値を視覚的に伝える役割を持つ
● どの接点でも統一された印象をつくり、信頼を高める
● 社内外の認識をそろえ、ブランド運用の基盤になる
【 成功するVI(ビジュアル・アイデンティティ)の要素 】
成功するVIは、見た目の美しさやトレンドだけでなく、“ブランドらしさ”と“戦略性”が両立しています。ひと目見ただけでブランドの価値観や世界観が伝わることが理想です。そのためには、理念やターゲット、提供価値とのつながりを丁寧に整理し、デザインに反映させることが欠かせません。しっかり設計されたVIは、ブランドを視覚的に覚えてもらう仕組みとして働き、言葉を使わずに理念を届ける力を持っています。こうした積み重ねが、長く支持されるブランドを育てる基盤にもなっていきます。
[ ポイント ]
● 理念、ビジョン、価値に沿って設計されている
● ロゴ、カラー、フォントに一貫性と独自性がある
● Webや広告、店舗など、あらゆる接点で機能している
[ 出典 ] Uber公式サイトより
■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の進化

1. ロゴだけの時代から「ブランドの世界観を見せる」時代へ
ブランドはかつてロゴで認識させることが中心でしたが、今は企業の考え方や感じてほしい価値、その背景まで含めて伝えることが求められています。色や形だけでなく、写真、映像、言葉、音、さらには態度や文化など、世界観そのものを体験してもらうことでブランドが理解されます。ブランドの“個性が生きる場”を広げることが、より大事になっています。それが人の心に根づき、選ばれ続ける理由となっていきます。
[ ポイント ]
● ロゴ=ブランドの全てではなくなった
● 世界観を感じる設計が重要になった
● 体験を通して理解される時代になった
➤ 詳細記事:ブランドロゴデザインのポイントと開発プロセス
2. 固定デザインから、状況や媒体で変化する柔軟なデザインへ
以前は一つの決まった形を守ることがブランドらしさとされていました。ですが今は、デジタルやSNS、イベント、動画などタッチポイントが増え、文脈によって表し方を変えるほうが深く届きます。ブランドが一貫しながらも変化できる仕組みを作ることで、状況に合わせた伝わり方が実現し、ブランドの魅力が立体的になります。その柔軟性が、ブランドを時代に適応させ生きた存在へと育てます。
[ ポイント ]
● ひとつの形に縛られる必要がなくなった
● 文脈や媒体に応じて変わるデザインが増えた
● 変化の中に一貫性を持たせることが鍵
➤ 詳細記事:デジタル時代のブランド戦略の重要性と成功事例7選
3. 企業の都合で作る時代から、人や社会との“共感”で育てる時代へ
ブランドは企業のアピール道具ではなく、生活者や社会との関係性で育つ存在になっています。ブランドが語りたいことではなく、人が共感し、参加したくなる価値を示すことが求められます。VIも一方的に見せるだけでなく、「自分と関係がある」と思わせる距離感が大切です。使われ、共有され、語られて初めて力を持ちます。そのためには、役に立ち、誇りを持てる存在であることが欠かせません。
[ ポイント ]
● 企業都合だけの表現は通じなくなった
● 共感や参加がブランド成長の源になった
● VIは人と繋がるための表現になった
4. ルールで縛るだけでなく、一貫性の中で遊びや余白を持たせる時代へ
昔のVIは厳密な規定で統一を保つ流れが強くありましたが、今は一貫性を保ちながら、柔らかさや余白を設ける方がブランドらしさにつながっています。多様な場面や文化に触れる現代では、表現が固定すると硬直化し、魅力が失われます。一貫性と自由度のバランスを設計することで、ブランドは生きた存在として感じられます。それが継続的な成長と共感を生む土壌となり、ブランドの未来を開き、さらに深化させます。
[ ポイント ]
● 厳格すぎるルールは機能しなくなった
● 一貫性と自由度の両立が必要になった
● 余白がブランドらしさを育てる
5. 紙や看板中心から、デジタル・空間・SNSなど多面で表現する時代へ
ブランドは紙面や広告だけで存在するものではなく、SNS、アプリ、店舗、動画、イベントなど生活のあらゆる場面で触れられるようになりました。そのため、同じアイデンティティでも媒体ごとに最適な表現が求められます。世界観をどう展開し、どう体験させるかまで考えることで、ブランドが多面的に生きてきます。その体験価値の積み重ねが信頼を育て、ブランドを不可欠な存在へと押し上げます。
[ ポイント ]
● VIは紙や広告の話ではなくなった
● 多様なタッチポイントで表現が必要になった
● 体験設計まで含めてVIが求められる
6. デザインの領域から、経営・ブランド戦略と結びつく時代へ
VIは見た目の仕事ではなく、ブランド戦略や企業の意思と結びつくものになっています。企業が何者で、何を目指すかが表現に反映されるため、経営の方向性と切り離せなくなりました。デザインは結果であり、意志の翻訳です。だからこそ、企業の根っこから考えられたVIほど、長く機能し、ブランドを支える力になります。それは単なる装飾ではなく、変化の指針となり、組織の文化や行動をも導き続けます。
[ ポイント ]
● VIは経営や戦略と直結するようになった
● 見た目だけの仕事ではなくなった
● 意志の翻訳として機能することが重要
7. 見た目の象徴から、体験の入口=コミュニケーション装置として機能する時代へ
VIはただの印象づけではなく、人とブランドをつなぐ接点として機能するようになりました。触れた瞬間に「何を大切にしているか」や「自分にどんな意味があるか」が伝わることが重要です。体験の入口としての役割が強まり、ブランドの態度や価値観を感じさせる案内役になっています。触れる人の行動や感情を動かす役割がVIに期待されています。その働きがブランドへの共感と選択の理由を確かなものにします。
[ ポイント ]
● VIは象徴から“つながる装置”へ変わった
● 体験を導く入口として機能している
● 感情や行動を動かす役割が増えた
➤ 詳細記事:エモーショナルブランディングとは?[ 感情に訴えかける手法 ]
➤ 詳細記事:ブランドエクスペリエンスの重要性と成功事例
■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の進化:過去から現在まで

1. 伝統的なVI(ビジュアル・アイデンティティ)の変遷
伝統的なVIは、企業の“統一感”と“信頼感”を視覚的に伝えるために発展してきました。1950〜1980年代はロゴ、コーポレートカラー、タイポグラフィを中心に「企業の顔」を確立することが重視されていた時代です。IBMやNASAといった企業が象徴するように、正確さと一貫性が求められ、マニュアル化されたデザインシステムが広く使われていました。これはグローバル化が進む中で信頼を生み出す手段でもあり、この頃のVIは“変化よりも秩序”を大切にし、安定したブランドイメージを支える役割を担っていました。
[ ポイント ]
● ロゴ・カラー・書体を厳密に統一する「CI時代」の確立
● 企業の信頼・権威・一貫性を視覚的に支える仕組み
● 紙媒体中心の“静的なデザイン”が主流
2. デジタル時代におけるVI(ビジュアル・アイデンティティ)革新
デジタル化が進むにつれ、VIは“固定されたロゴ”から“動きのある体験”へと変化しました。Web、SNS、アプリなどタッチポイントが増えたことで、柔軟性や適応力がより重要になっています。ブランドは「見るもの」から「触れて感じるもの」へと進化し、ユーザーとの関わりの中で認識される方向へ向かっています。現在のVIは、表面的な統一だけではなく、「一貫した世界観が伝わる体験」を重視する流れにあります。こうした背景から、ブランドごとの独自性をより自然に表現できる設計が求められています。
[ ポイント ]
● スクリーンやモーションに対応した“動くVI”の登場
● カラーやロゴを状況に応じて変化させる“ダイナミック・アイデンティティ”の普及
● ユーザー体験全体でブランドを感じてもらう設計へシフト
3. 近年のVI(ビジュアル・アイデンティティ)と事例
最近のVIは、“ブランドの人格”を多面的に伝える方向へ広がっています。AppleやGoogle、Airbnbなどはミニマルで柔軟なデザインシステムを採用し、どんな国や媒体でも成立するグローバルなVIを構築しています。また、環境配慮や多様性といった企業姿勢を視覚表現に落とし込むケースも増え、VIはロゴだけではなく“社会的価値と感情を伝えるプラットフォーム”へと進化しています。加えて、ユーザー体験全体を通じて一貫性を生み出す役割も強まり、ブランドの存在意義を視覚で伝える時代になっています。
[ ポイント ]
● Apple:無駄を削ぎ落とした設計で“シンプル=革新”を表現
● Google:モーションや色を使い“遊び心と知性”を両立
● Airbnb:人のつながりを象徴するBéloマークを採用
■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)のトレンド

【 TOYOTA|VI(ビジュアル・アイデンティティ) 】
現在のVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、シンプルでミニマルな表現、デジタルファーストの考え方、そして持続可能性を意識したデザインが主流になっています。こうした流れは、ブランドをわかりやすく届けるだけでなく、デジタル環境やグローバル市場での認知向上にもつながっています。また、消費者の価値観の変化を受け、ブランドの社会的姿勢をデザインに反映させる取り組みも増えています。
● Visual Identity System
トヨタのビジュアル・アイデンティティ・システム(VIS)は、ブランドと製品のコミュニケーションを一貫した形で展開するための包括的な仕組みです。各デザイン要素についての情報や活用方法が整理されており、どこでも同じ印象で発信できるように設計されています。
● 一貫性を通じて認識を構築する
統一感のあるブランド表現を維持することで、トヨタらしさが伝わりやすくなり、認知度やブランドへの信頼が高まります。その積み重ねが、製品やサービスを選んでもらう後押しにもなり、長期的なブランド価値の向上にもつながっていきます。さらに、市場での存在感を安定して築く力にもなります。
● デザインの構成要素
VISの中心にはTOYOTAロゴがあり、プラットフォームに配置することで視認性が向上し、ブランドと製品をつなぐ役割を果たします。タイポグラフィには可読性を高め、モバイルでも使いやすいよう設計された「トヨタ・タイプ」を採用。親しみやすさと技術的な精度を両立した、現代的なサンセリフ体です。
[ 出典 ] TOYOTA公式サイトより
■ 未来のビジュアル・アイデンティティ(VI)トレンド

未来のVI(ビジュアル・アイデンティティ)は、技術の進化と社会の変化にあわせて、よりインタラクティブな体験へと広がっていくと考えられます。AIやAR、VRといった技術が一般化することで、VIは静的なデザインから動きのある体験型の表現へシフトしていくでしょう。また、持続可能性やエシカルデザインへの関心が高まる中、環境に配慮したデザインは標準化されていくはずです。加えて、グローバル市場では多様性と包摂性が重視され、文化的な背景に柔軟に対応できるVIが求められるようになります。
【 ミニマリズムからポストモダンへ 】
これからのVIは、長らく続いてきたミニマルデザインの流れを踏まえつつも、より自由で個性を許容するポストモダン的な方向に広がると見られます。従来のルールにとらわれない、大胆で遊び心のある表現が、ブランドの独自性を示す手段として注目されそうです。こうした動きは今後さらに加速していくでしょう。
【 インタラクティブなVIとデジタルエクスペリエンス 】
今後のVIでは、ユーザーがロゴやグラフィックに触れたり動かしたりできるような、インタラクティブな体験が増えていくと予測されます。ロゴが状況に応じて変化したり、ブランドと対話するような仕組みが一般化すれば、より強い没入感が生まれ、ブランドとのつながりも深まりやすくなります。
【 AIとデータドリブンなVIデザイン 】
AIの進化により、VIもデータに基づいて設計されるケースが増えていくでしょう。顧客の嗜好や行動データを分析し、個々に最適化されたデザインを生成するような仕組みも現実味を帯びています。こうしたパーソナライズされたVIは、ブランド体験の質を高め、競争環境の中でも確かな差別化につながるはずです。
■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の進化

【 Netflix | VI(ビジュアル・アイデンティティ)進化 】
ストリーミングサービスとして急成長する中で、NetflixのVIも段階的に進化してきました。象徴的なロゴや洗練されたデザインは、企業の成長やサービス内容の変化に合わせてアップデートされ、グローバルな視認性とデジタル環境での使いやすさを一段と高めています。
● 初期のロゴ(1997年〜2000年代前半)
[ レンタルサービス時代 ]
1997年、NetflixはDVD宅配レンタルサービスとしてスタートしました。当時のロゴは映画フィルムを思わせる要素やレトロな雰囲気を取り入れ、映画という体験を強調するものでした。
[ ビジュアルの特徴 ]
映画フィルムを示すパーツが使われるなど視覚的な意図は明確でしたが、全体的にはやや複雑で、時代感が強いデザインでした。そのため現在の基準では少し重たく見える面もありました。
● 初期ストリーミング時代(2007年〜2014年)
[ ストリーミングサービスの導入 ]
2007年のストリーミング開始を機に、NetflixのVIは大きく方向転換。デジタルサービスに合うように、シンプルでフラットなデザインへとシフトしました。
[ 新しいロゴ ]
映画フィルムの要素を排除し、タイポグラフィのみで構成したロゴに刷新。これにより、ブランドのデジタル化を視覚的にも明確に示しています。
● グローバル拡大とデザインの洗練(2014年〜2016年)
[ グローバル市場への進出 ]
Netflixが世界進出を加速させる中、ロゴはさらに簡潔で視認性の高いスタイルに更新されました。太めのフォントとフラットなデザインによって、世界中どこでも認識されやすいアイデンティティが整いました。
[ 2014年のロゴ改訂 ]
赤背景に白文字のシンプルな構成により、力強くわかりやすいブランドイメージが定着しました。その結果、どの国やデバイスでも即座に認識される視覚的一貫性が生まれました。
● Nアイコンの導入と現在のVI(ビジュアル・アイデンティティ)(2016年〜現在)
[ Nアイコン ]
2016年には「N」アイコンが登場。モバイルやSNSでの使用を想定し、小さな表示領域でも存在感を保てるよう設計されています。折り重なる線で“深さ”を出す表現が特徴で、シンプルで強い印象を残します。
[ デジタルファースト ]
このアイコンは、小さな画面でも視認性が高く、グローバルでの利用にも適しています。Netflixのデジタル時代への適応を象徴する要素です。
● 現在のVI(ビジュアル・アイデンティティ)と未来への展望
[ 一貫性と柔軟性 ]
今のNetflixのVIは、シンプルで統一されていながら、さまざまな媒体に柔軟に展開できるデザインになっています。この安定した基盤が、世界で広く愛されるブランドの一因となっています。
[ 没入型デザイン ]
Netflixは今後、視覚的なエクスペリエンスをさらに強化し、ユーザーがコンテンツにより深く没入できるようなデザイン要素を取り入れていく可能性があります。
[ 引用 ] Ntetflix-Aboutより

【 Patagonia | VI(ビジュアル・アイデンティティ)進化 】
Patagoniaは、環境保護とサステナビリティを軸にしたアウトドアブランドとして知られています。PatagoniaのVIは、この価値観をわかりやすく反映した設計になっています。ロゴ、カラー、フォント、製品デザインなど、すべての視覚要素が自然との調和や持続可能性を意識したトーンで構成されています。環境負荷を抑えるためにリサイクル素材の採用やエコフレンドリーなデザインを取り入れており、VIはブランド認知を支えるだけでなく、環境への姿勢を伝える手段として重要な役割を果たしています。
● 創業期のVIと自然へのリスペクト(1970年代〜1980年代)
[ 創業の背景 ]
Patagoniaは1973年に創業。スタート当初から自然保護を重視した姿勢を明確にしていました。初期のVIには、自然とのつながりを意識した素朴でナチュラルなデザインが多く用いられていました。
[ ロゴの誕生 ]
ブランドを象徴するロゴは、アンデス山脈のフィッツロイ山をモチーフにしたものです。アウトドアへの敬意と自然へのまなざしを表したデザインは、冒険心と環境意識を語るシンボルとして受け入れられました。
● サステナビリティへのシフト(1990年代〜2000年代)
[ 環境への取り組み ]
1990年代以降、Patagoniaは環境保護への取り組みを広げ、VIにもその姿勢が反映され始めました。オーガニックコットンやリサイクル素材の使用が増え、製品にもサステナブルな価値観が盛り込まれました。
[ カタログと広告 ]
ブランドは広告やカタログを通じ、環境問題に対するメッセージを積極的に発信。VIもその文脈を視覚的に支える役割を担い、エシカルな姿勢を評価するユーザーの共感を集めました。
● リサイクルとサステナブルデザインの推進(2000年代〜2010年代)
[ リサイクル素材の使用 ]
Patagoniaはリサイクルポリエステルなどの素材開発を進め、環境負荷の軽減に取り組みました。VI全体も“環境に配慮したデザイン”という軸がより強く意識されるようになりました。
[ エシカルなVI(ビジュアル・アイデンティティ) ]
広告やパッケージには、環境への姿勢をストレートに伝えるデザインが使われています。これにより、VIはブランド認識のためだけでなく、企業の姿勢を表す視覚言語として機能するようになりました。
● Worn Wearプログラムと循環型デザイン(2010年代〜現在)
[ Worn Wearプログラム ]
「Worn Wear」は製品の長寿命化とリサイクルを促すプログラムで、そのビジュアルも“使い続ける価値”を伝えるトーンが採用されています。暮らし方にもサステナブルな選択を促すことが強調されています。
[ 循環型デザイン ]
循環型経済の発想を取り入れたVIは、製品の再利用や修理を前提とした姿勢を視覚的に示します。これにより、ブランドの環境配慮イメージがさらに明確になり、ユーザーの行動変容にもつながっています。
● 未来への展望
[ サステナブルなビジュアル・アイデンティティ(VI)の進化 ]
今後も環境負荷を抑える素材や技術が増えることで、PatagoniaのVIはさらに環境に寄り添った方向へ進化すると考えられます。こうした取り組みがブランド価値の深化にもつながっていきます。
[ グローバル展開と文化的配慮 ]
市場が広がるにつれ、地域ごとの文化背景にも配慮した柔軟なデザインが求められます。Patagoniaは、世界中の価値観に寄り添いながらブランドの一貫性を保つ方向でVIを発展させていくでしょう。
[ 引用 ] Patagonia公式サイトより
[ 引用 ] BUSINESS INSIDERより
■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の弊社開発実績
株式会社チビコは、企業やブランドの“らしさ”を視覚的に伝えるVI(ビジュアル・アイデンティティ)づくりを数多く支援してきました。理念の整理からデザイン設計、ガイドライン整備まで一貫して行い、業種や規模を問わず、それぞれに合ったVIを開発しています。
[ JAPANITURE ]
日本発の家具ブランド「JAPANITURE」の海外展開」。JAPANITUREとは、JAPANとFURNITUREの造語に由来し、ブランドコンセプトは「日出ずる国の家具」。日本の伝統と革新的でモダンなデザイン家具を海外に広く発信し新規マーケットを開拓することを目的とするブランドです。
[ 詳細 ] chobico WORKS | JAPANITUREより
[ MONOCOTO ]
MONOCOTOは、リアルソーシングを特徴とするソーシャルマニュファクチュアリングサービスです。モノが溢れ余る社会において「モノの先にあるコトの価値」が求められています。単にモノを作るという発想から、その先にあるモノを使う楽しみや経験、人とのコミュニケーションを提案するブランドです。
[ 詳細 ] chobico WORKS | MONOCOTOより
[ ASBO STAY HOTEL ]
ASBO STAY HOTELは、沖縄県金武町の豊かな自然が残る東海岸に佇む、全室オーシャンビューのリゾートホテル。澄みわたった空気と、清らかな海辺。五感のすべてに響いてくるのは、大自然からのメッセージ。精神と身体を解放することの素晴らしさを知ることのできるホテルです。
[ 詳細 ] chobico WORKS | ASBO STAY HOTELより
[ DOME ATHLETE HOUSE ]
ドームアスリートハウスは、最新の専門的かつ科学的な情報を提供し、日本のトップアスリートをソフト面から支える、世界最高水準のパフォーマンス開発機関です。日本のスポーツ全体を世界トップレベルへと引き上げ、活性化させることで豊かで活気のある社会づくりに貢献していくことを掲げるブランドです。
[ 詳細 ] chobico WORKS |DOME ATHLETE HOUSEより

■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)開発に関するよくある質問
VI開発では、時代の変化に合わせた考え方やデザイン手法が求められます。ここでは、よくいただく質問をもとに、最新トレンドや成功事例、今後の方向性についてわかりやすくまとめています。
[ よくある質問① ]
Q :今、VIにおいて重視されるトレンドは何ですか?
A :ミニマリズムでシンプルかつクリーンなデザイン、デジタル・ファーストへの対応、持続可能性を意識した表現が主流になっています。
[ よくある質問② ]
Q :デジタル時代に対応するVIとはどんなものですか?
A :アニメーションやインタラクティブ要素を取り入れ、WebやSNS、モバイルに自然に適応する柔軟なVIデザインが求められます。
[ よくある質問③ ]
Q :企業はどこまでVIを未来の方向に進化させるべきですか?
A :インタラクティブ体験やAR/VR、AIによるパーソナライズなど、動的で没入感あるVIへの進化が今後の主流です。
[ よくある質問④ ]
Q :成功事例としてどんなブランドのVIが参考になりますか?
A :トヨタはVIS(ビジュアル・アイデンティティ・システム)で統一と視認性を高め、Netflixは時代とともにVIを洗練させました。
[ よくある質問⑤ ]
Q :サステナブルなVIとはどのような取り組みですか?
A :Patagoniaは自然配慮とエシカルな価値観をVIに反映し、循環型デザインやリサイクル素材を通じたブランド表現を実践しています。

■ VI(ビジュアル・アイデンティティ)の進化とトレンドに関するチェックリスト
VIの進化は速く、企業は時代に合わせたアップデートが欠かせません。ここでは最新トレンドからサステナビリティ、ブランドの“らしさ”を守る視点まで、見直しに役立つチェックポイントをまとめています。
[ 進化に応じた戦略のチェック ]
⬜︎ 現代のVIトレンド(ミニマリズム、クリーンな表現、デジタルファースト、持続可能性)を踏まえたデザインになっているか?
⬜︎ インタラクティブな要素(アニメーション、動的ロゴなど)を取り入れることで、デジタル接点での訴求力を強めているか?
⬜︎ サステナビリティやエシカルデザインの視点をVIに積極的に反映しているか?
⬜︎ デザインにポストモダン的な大胆さや創造性を取り入れ、ブランドの独自性を際立たせているか?
[ 成長企業に応じた進化のチェック ]
⬜︎ Netflixのようにフェーズに応じたロゴ刷新で、ブランド進化を視覚的に表現しているか?
⬜︎ Patagoniaのようにブランドの価値観と連動した表現になっているか?
[ ブランドイメージの持続性のチェック ]
⬜︎ トレンドを取り入れすぎて、ブランドの「らしさ」や認知ベースがブレていないか?
⬜︎ グローバル市場や多文化環境に配慮し、ローカライズや多様な適応性を持ったVIになっているか?

■ まとめ
VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、ロゴ・カラー・フォント・レイアウトなどの視覚要素を通じて、ブランドの個性や理念をわかりやすく伝えるための仕組みです。歴史的には、印刷物中心のロゴ・スローガン重視から始まり、デジタル化の進展に合わせて、Web・モバイル・SNSなど多様な接点に対応できる設計へと発展してきました。現在は、シンプルでミニマルな表現、デジタルに最適化されたレスポンシブデザイン、そして社会的価値を意識したサステナブルなビジュアルが主流になっています。実際には、トヨタのVISによる一貫した視覚体験、Netflixのロゴ刷新やNアイコン導入、Patagoniaの自然との調和を示す継続的なデザインなどが良い参考例です。今後は、AR・VR・AIを活用したインタラクティブでパーソナライズされた表現や、より自由で大胆なポストモダン寄りのデザインも増えていきそうです。変化する価値観や技術に合わせて進化し続けるVIは、ブランドの魅力と競争力を長く支える大切な基盤と言えます。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 ご質問、お打合せ希望など、お気軽にお問合わせください。】
– ブランド戦略からデザイン開発まで –

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