[ ブランド戦略 ]
一貫性のあるブランドメッセージの作り方
一貫性のあるブランドメッセージは、消費者に対して強い信頼感と共感を築くために欠かせない要素です。どのチャネルを通じても同じメッセージや価値観を伝えることで、ブランドが消費者にとってブレのない存在として認識されます。これにより、顧客との長期的な関係を構築し、ブランドロイヤルティの向上につながります。逆に、メッセージに一貫性が欠けると、消費者に混乱や不信感を抱かせる可能性があります。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、ブランドメッセージを一貫して伝えるための具体的なヒントや戦略、そしてメッセージが消費者に響くための重要な要素について詳しく解説します。
■ ブランドメッセージとは
【 ブランドメッセージとは? 】
ブランドメッセージとは、企業が顧客に伝えるべき最も重要な価値や理念を一言で表現したものです。これは、広告やマーケティングキャンペーン、顧客との対話、製品デザインなど、あらゆるコミュニケーションにおいて一貫して使用されるべきものです。ブランドメッセージは、企業の方向性を示す「北極星」として機能します。
【 ブランドメッセージに一貫性が求められる理由 】
一貫性のあるブランドメッセージは、顧客に信頼感を与え、ブランドロイヤルティを高める役割を果たします。メッセージが矛盾していると、顧客はブランドに対して混乱や不信感を抱く可能性があります。特にデジタル化が進んだ現代では、顧客は複数のチャネルを通じてブランドと接触するため、すべての接点で一貫したメッセージを伝えることが重要です。
■ 一貫性のあるブランドメッセージの作り方
1. ブランドのコアバリューの明確化
一貫性のあるブランドメッセージを作成するための第一歩は、ブランドのコアバリュー(核心的価値)を明確にすることです。企業が何を大切にし、何を目指しているのかを明確に定義することで、全てのメッセージングに一貫性を持たせることが可能になります。このステップでは、ブランドの歴史や文化、ミッションステートメントを再確認し、それらを基にメッセージを構築します。
2. ターゲットオーディエンスの理解
ブランドメッセージを効果的に伝えるためには、ターゲットオーディエンスを深く理解することが不可欠です。顧客のニーズや価値観、行動パターンを分析し、それに合ったメッセージを作成します。ターゲットが誰で、どのような言葉や表現が響くのかを理解することで、一貫したメッセージングが可能になります。
3. ブランドボイスの確立
ブランドメッセージを一貫して伝えるためには、ブランドボイス(ブランドの声)の確立が重要です。これは、ブランドがどのようなトーンやスタイルでコミュニケーションを行うかを決定するものです。たとえば、親しみやすいカジュアルなトーン、もしくは専門的でフォーマルなトーンなど、ブランドの性格に合ったボイスを設定します。
■ 成功するブランドメッセージの条件
成功するブランドメッセージにはいくつかの共通点があります。まず、シンプルであること。顧客がすぐに理解できる短く明確なメッセージが求められます。また、顧客の感情に訴えかけるものであることも重要です。最後に、企業の価値観やビジョンをしっかりと反映している必要があります。
⚫︎シンプルで覚えやすいこと
ブランドメッセージは、簡潔で覚えやすい表現が重要です。長すぎたり複雑すぎるメッセージは、消費者の記憶に残りにくく、印象も薄れがちです。Nikeの「Just Do It」やAppleの「Think Different」のような短いフレーズは、記憶に残りやすく、幅広い層に響きます。言葉の少ないシンプルなメッセージは、様々なメディアでの展開が容易で、消費者に自然と受け入れられやすくなります。
⚫︎ブランドの価値観やビジョンを反映していること
ブランドメッセージは、その企業や製品が大切にする価値観やビジョンを反映する必要があります。消費者はメッセージを通してブランドの考え方や本質を理解し、信頼感や共感を抱きます。例えば、環境保護に取り組むブランドなら、サステナビリティを意識したメッセージを発信することで、消費者とのつながりが深まります。
⚫︎ターゲットに共感を与えること
メッセージは、消費者の生活や価値観に合う内容であることが理想です。消費者が「自分のためのブランド」と感じることで、ブランドに対する好感度や忠誠心が増します。例えば、若年層をターゲットとするブランドなら、共感されやすいトレンドやライフスタイルに沿ったメッセージが響きます。
⚫︎ポジティブでインスピレーションを与えること
ブランドメッセージはポジティブであることで、消費者の心を明るくし、ブランドへの好感を抱かせます。行動を促すメッセージは、やる気や勇気を与え、ブランドを応援したいという気持ちを高めます。ポジティブな言葉は記憶に残りやすく、ブランドと顧客の強い関係性を築く要素になります。
⚫︎ブランドの独自性を強調すること
成功するブランドメッセージには、競合との差別化が不可欠です。ブランド独自の価値や個性を伝えることで、消費者にとって唯一無二の存在として認識されやすくなります。競合と異なる視点や個性を強調することで、消費者の記憶に残るだけでなく、選ばれるブランドになる可能性が高まります。
⚫︎普遍性と長期的な視点があること
ブランドメッセージは、時代を超えて価値があるものが理想です。流行に左右されない普遍的なテーマは、消費者にとっても受け入れやすく、ブランドの一貫性を保つ役割を果たします。長期的に使えるメッセージは、ブランドに対する信頼感を強化し、消費者が安心して共感し続ける基盤となります。
⚫︎多様性と包括性への配慮があること
現代社会では、消費者の多様性を尊重するブランドメッセージが求められます。性別、人種、年齢、価値観の違いを意識し、多くの人に共感される内容にすることで、ブランドは幅広い支持を得られます。これにより、様々な層がブランドを自分ごととして捉え、親しみを感じやすくなります。
⚫︎視覚要素との一貫性があること
ブランドメッセージは、ロゴやカラー、ビジュアル要素と一致していることが重要です。一貫性があることで、ブランドイメージが強化され、消費者にとってわかりやすく、記憶に残りやすくなります。メッセージとビジュアルが融合することで、消費者はブランドの価値観を直感的に理解でき、印象が深まります。
⚫︎アクションを促す要素があること
メッセージが消費者に行動を促す内容であると、ブランドへの関心や購買意欲が高まります。例えば、「Just Do It」のように、行動を呼びかける言葉は、顧客に直接的なインパクトを与えます。アクションを促すメッセージは、顧客にとって実行しやすく、親しみやすさも高まります。
⚫︎ストーリーテリングが含まれていること
物語性を取り入れたメッセージは、消費者の心に残りやすく、ブランドに対する感情的なつながりを強化します。ストーリーテリングを通じてブランドの理念や価値観を表現すると、消費者がブランドとの共通の物語に惹きつけられ、愛着が増します。
■ ブランドメッセージの効果的な戦略
1. ストーリーテリングを活用する
効果的なブランドメッセージ戦略においてストーリーテリングを活用することは、顧客との深いつながりを築くために非常に有効です。ストーリーテリングはブランドの歴史、価値観、ビジョンを物語形式で伝えることで、感情的な共感を呼び起こします。これにより、ブランドは単なる製品やサービス以上の存在として認識され、顧客にとって意味のある存在となります。物語を通じてブランドの価値を具体的に示すことで、消費者はブランドに対してより強い信頼感と愛着を抱くようになります。さらに、ストーリーテリングは複雑なメッセージを簡潔で理解しやすい形で伝えることができ、ブランドの記憶に残る効果も高めます。
2. ビジュアルとメッセージの統一
効果的なブランドメッセージ戦略において、ビジュアルとメッセージを統一することは、ブランドの一貫性と認知度を高めるために非常に重要です。ビジュアルとメッセージが統一されることで、顧客に対してブランドの価値やアイデンティティが明確に伝わり、強い印象を与えることができます。この統一感があると、広告、パッケージ、ウェブサイトなど、すべてのタッチポイントでブランドのメッセージが同じ方向性を持ち、消費者にとって一貫した体験を提供できます。結果として、ブランドに対する信頼感が強まり、顧客のロイヤルティが向上します。ビジュアルとメッセージの統一は、ブランドの個性を際立たせ、競合他社との差別化を図るための効果的な戦略です。
3. 社内外のコミュニケーションの整合性
効果的なブランドメッセージ戦略において、社内外のコミュニケーションの整合性を保つことは、ブランドの信頼性と一貫性を維持するために不可欠です。社内で共有されるビジョンやミッションが明確であれば、従業員はブランドの価値観を理解し、外部へのメッセージ発信時に一貫性を保つことができます。これにより、顧客やパートナーとのコミュニケーションでも、ブランドのメッセージがブレることなく伝わり、強固なブランドイメージが構築されます。整合性が取れていることで、ブランドは内部と外部の両方で信頼を築き、企業全体の目標達成にも寄与します。ブランドメッセージが一貫して伝わることで、消費者の信頼とロイヤルティが向上し、長期的な成功を支える基盤となります。
■ ブランドメッセージの具体的な事例
【 Red Bullのブランドメッセージ 】
Red Bull Gives You Wings
「Red Bull Gives You Wings」は、レッドブルが展開するブランドメッセージで、同社のエナジードリンクが消費者に活力を与え、精神的・肉体的な限界を超えるサポートをすることを象徴しています。このメッセージは、レッドブルの製品が単なる飲料以上のものであり、挑戦的でアクティブなライフスタイルを推進するものであることを強調しています。「Red Bull Gives You Wings」は、アクションスポーツや冒険的な活動、クリエイティブな挑戦など、さまざまなイベントやスポンサー活動と連携して展開されています。これにより、レッドブルはエナジードリンク市場での差別化に成功し、ブランドイメージを確立しました。このスローガンは、消費者に強力でポジティブな印象を与え、レッドブルがエネルギー補給を超えたライフスタイルの象徴であることを示しています。
[ ブランドメッセージの特徴 ]
⚫︎活力とエネルギーを象徴
「Red Bull Gives You Wings(レッドブルは翼をさずける)」というキャッチフレーズで、活力やエネルギーを象徴し、消費者に元気とやる気を与えるブランドイメージを強調しています。
⚫︎挑戦と冒険心を後押し
エクストリームスポーツや冒険に関連したメッセージを通じて、リスクや挑戦を楽しむ心を促進。常に限界を超えようとする人々を応援する姿勢がメッセージに反映されています。
⚫︎ユーモアとインパクトのある表現
広告やプロモーションでユーモアを交えた表現を多用し、消費者に印象的なインパクトを与えます。軽快でわかりやすいメッセージで幅広い層に共感されやすいのも特徴です。
⚫︎若者をターゲットとしたダイナミックなビジュアル
広告やメディアを通じてエネルギッシュな活動を視覚的に伝え、特に若者層に向けたアクティブでダイナミックなブランドイメージを確立しています。
⚫︎スポーツと音楽など多方面での展開
スポーツイベントや音楽フェスティバルなど、多様な分野でメッセージを発信し、アクティブで行動的なライフスタイルを支持する姿勢を示しています。
⚫︎ポジティブな自己成長を促進
消費者が「限界を超え、より高みを目指す」というポジティブな変化を感じられるようなメッセージで、自己成長を促す姿勢を打ち出しています。
⚫︎グローバルで普遍的なメッセージ
地域や文化に関係なく、誰もが共感できる「エネルギー」「挑戦」「活力」の普遍的なメッセージを使用し、国際的にブランドイメージを統一しています。
[ 出典 ] Red Bull公式サイトより
[ 出典 ] Startup Talkyより
[ 出典 ] Wikipediaより
【 コカ・コーラのブランドメッセージ 】
Open Happiness
「Open Happiness」は、コカ・コーラが2009年に展開したブランドメッセージで、コカ・コーラを飲むことで得られる「幸福」や「喜び」をテーマにしています。このメッセージは、日常の中で感じるささやかな幸せや、家族や友人と共有する特別な瞬間を象徴しています。キャンペーンでは、テレビ広告やイベント、ソーシャルメディアを通じて、コカ・コーラが提供するポジティブな体験を強調しました。例えば、自動販売機から無料でドリンクを提供し、人々に笑顔をもたらす活動などが行われました。このメッセージは、コカ・コーラが単なる飲み物ではなく、幸福を開くきっかけであることを消費者に伝えました。「Open Happiness」は、コカ・コーラのグローバルなブランド認知度をさらに高め、消費者との感情的なつながりを強化するうえで大きな役割を果たしました。
[ ブランドメッセージの特徴 ]
⚫︎幸福感と共有を促すメッセージ
「Taste the Feeling」や「Open Happiness」といったスローガンで、飲むことで得られる幸福感やポジティブな気持ちを共有することを重視しています。
⚫︎日常の楽しさや喜びを強調
コカ・コーラの広告は、特別なイベントではなく日常生活の中の小さな楽しみや喜びに焦点を当て、日常に寄り添ったポジティブな瞬間を強調しています。
⚫︎どの世代にも共感される普遍性
コカ・コーラは、人々が一緒に過ごす瞬間や特別なイベントでの「つながり」を訴求し、家族や友人との絆を深める飲み物としての位置づけを強化しています。
⚫︎親しみやすさとシンプルなメッセージ
シンプルで分かりやすい言葉を使い、誰もが理解しやすいメッセージで、飲むだけで心が明るくなる親しみやすさを演出しています。
⚫︎季節やイベントに合わせた柔軟な展開
季節やイベントに合わせて、クリスマスや夏などのテーマでメッセージを発信し、常に新鮮さと親近感を与えています。
⚫︎エモーショナルなストーリーテリング
広告には感情を揺さぶるストーリーテリングを取り入れ、消費者が個人的な体験と重ね合わせられるような感動的な瞬間を表現しています。
⚫︎グローバルで一貫したブランドイメージ
世界中で展開する際も、「幸福」や「共有」といったメッセージが一貫しており、どの国でも同じブランドイメージを感じられるようになっています。
[ 出典 ] Marketing Magより
[ 出典 ] PREDGEより
【 MasterCardのブランドメッセージ 】
MasterCardのお金では買えない価値
「MasterCardのお金では買えない価値」(”There are some things money can’t buy. For everything else, there’s MasterCard.”)は、MasterCardが1997年に始めた広告キャンペーンの中心的なメッセージです。このキャンペーンは、MasterCardの利用を通じて得られる感動的で心温まる瞬間を強調し、お金では買えない「価値ある体験」を訴求しました。広告では、商品やサービスに支払った金額を具体的に示した後、最終的に「お金では買えない価値」を表現する場面が描かれます。例えば、家族や友人と過ごす特別な時間や、子供の成長を見守る瞬間などが紹介され、これらの経験が何にも代え難いものであることが強調されます。このメッセージは、消費者に対してMasterCardが単なる支払い手段以上の価値を提供していることを示し、ブランドに対する感情的なつながりを強化しました。結果として、MasterCardは単なるクレジットカード以上のライフスタイルブランドとして認識されるようになりました。
[ ブランドメッセージの特徴 ]
⚫︎「Priceless」キャンペーンによる価値重視のメッセージ
「Priceless(お金では買えない価値がある)」というスローガンで、お金では測れない経験や瞬間の価値を強調しています。消費者が体験するかけがえのない瞬間をサポートするブランドとしての位置づけを確立しています。
⚫︎エモーショナルな体験を訴求
MasterCardのメッセージは単なる決済手段ではなく、旅行、家族の時間、食事などを通じた特別な体験や感動に焦点を当てており、消費者の心に響く感情的なつながりを重視しています。
⚫︎グローバルな一貫性
「Priceless」というメッセージは、どの国や文化においても共感される普遍的なテーマで、グローバルな消費者に一貫したブランドイメージを提供しています。
⚫︎生活の充実感をサポートするブランドイメージ
支払いが可能になるだけでなく、MasterCardがあることで充実した生活や価値ある体験をサポートするパートナーとしての印象を消費者に与えています。
⚫︎消費者との感情的なつながりを構築
「Priceless」キャンペーンでは、消費者が日常生活の中で体験する価値ある瞬間をテーマにし、個人の生活に寄り添うことで、ブランドへの親しみや信頼感を醸成しています。
⚫︎あらゆる年齢層やライフステージに対応
人生の様々なシーンにおいて価値ある瞬間を創出するブランドとして、若年層から高齢者まで幅広い層の顧客に対して共感を得るメッセージになっています。
⚫︎サステナブルでポジティブな価値観の発信
持続可能な未来や社会貢献に関するメッセージを取り入れることで、社会や環境への配慮もブランドの一部とし、現代の価値観に寄り添う姿勢を示しています。
[ 出典 ] Master Card公式サイトより
[ 出典 ] Slidegeniusより
【 The North Faceのブランドメッセージ 】
Never Stop Exploring
「Never Stop Exploring」は、アウトドアブランドThe North Faceが掲げるブランドメッセージで、冒険心と探求心を鼓舞するスローガンです。このメッセージは、同社の製品が単なるアウトドアギアにとどまらず、自然や未知の領域を探求するライフスタイル全体をサポートすることを強調しています。「Never Stop Exploring」は、登山家や冒険家だけでなく、日常生活の中で新しい挑戦や発見を求めるすべての人々に向けられています。このメッセージを通じて、The North Faceは製品が持つ機能性や耐久性を訴求しつつ、ユーザーの冒険心を後押しするブランドとしてのポジションを確立しました。広告キャンペーンやイベント、スポンサーシップを通じて、このスローガンは一貫して発信され、ブランドのアイデンティティを強化しています。結果として、The North Faceはアウトドア愛好者から高い支持を得るだけでなく、都市部のファッション市場でも成功を収め、ブランドの幅広い魅力を確立しました。
[ ブランドメッセージの特徴 ]
⚫︎「Never Stop Exploring」という挑戦と探求心のメッセージ
「Never Stop Exploring(探求をやめるな)」というスローガンで、冒険や挑戦を恐れない姿勢を表現し、アウトドアや探検を愛する消費者に強く響くメッセージを発信しています。
⚫︎自然と調和するサステナビリティ重視の姿勢
環境保護や持続可能な製品づくりに対する意識を持ち、エコフレンドリーなブランドとしての価値を示すことで、環境への配慮を求める消費者に共感を呼びます。
⚫︎高品質と耐久性の象徴
厳しい環境でも耐えられる高品質な製品づくりにこだわり、「信頼性」「耐久性」というブランド価値をメッセージを通じて消費者に訴求しています。
⚫︎アウトドアの精神とライフスタイルの提案
単なるアウトドア用品を提供するだけでなく、自然とのふれあいを通じたライフスタイルを提案し、日常でも使えるデザインと実用性をアピールしています。
⚫︎挑戦する人々をサポートするブランドとしての姿勢
山岳探検家やアスリートをサポートする姿勢を通じて、ブランドの使命感や挑戦者へのリスペクトを示し、ブランドが探検や冒険を共にするパートナーであることを伝えています。
⚫︎若者層にも支持されるトレンド性
機能性とスタイルを融合させ、アウトドアウェアが日常のファッションアイテムとしても楽しめるデザインを提供することで、若年層にも高い支持を得ています。
⚫︎「限界を超える」という感動体験の喚起
消費者に「冒険を通じて新しい自分に出会う」という経験を提供するメッセージを掲げ、アウトドアを通じて自己成長や新たな挑戦の楽しさを伝えています。
[ 出典 ] The North Face公式サイトより
[ 出典 ] atmos公式サイトより
【 Nikeのブランドメッセージ 】
Just Do It
「Just Do It」は、Nikeが1988年に展開した、スポーツブランドとしての象徴的なスローガンです。このメッセージは、行動を促し、どんな困難にも立ち向かう精神を強調するもので、プロのアスリートだけでなく、日常生活で自分の限界に挑戦するすべての人々に向けられています。「Just Do It」は、シンプルで力強い言葉ながら、幅広い解釈が可能で、どのような目標や夢に対しても「今すぐ行動を起こす」というメッセージを伝えています。このスローガンは、広告キャンペーンを通じて、さまざまなスポーツシーンやライフスタイルに適用され、Nikeのブランドイメージを世界的に確立しました。さらに、「Just Do It」は、Nikeがスポーツを超えて「挑戦する精神」そのものを象徴するブランドであることを示し、消費者に強い共感とインスピレーションを与えました。このメッセージは、Nikeの成功に大きく貢献し、ブランドを単なるスポーツ用品メーカーから、グローバルな文化的アイコンへと押し上げました。
[ ブランドメッセージの特徴 ]
⚫︎「Just Do It」による行動を促すメッセージ
「Just Do It」はシンプルかつ強力なスローガンで、挑戦への第一歩を後押しするメッセージとして、世界中の人々に行動を促しています。
⚫︎個人の可能性と自己成長を重視
Nikeのメッセージは、誰もが自分の限界に挑戦し、成長できることを強調しています。アスリートだけでなく、全ての人が持つ潜在能力を信じ、前向きに取り組むことをサポートします。
⚫︎多様性と包括性の尊重
スポーツを通じて性別、人種、年齢、体型を超えた多様性や包括性を強く支持するメッセージを発信しています。広告キャンペーンにもさまざまな背景を持つアスリートを起用し、多様性の尊重を表現しています。
⚫︎挑戦と競争の精神を推奨
Nikeは、挑戦や競争を通じて自己を高める「スポーツマンシップ」や「競争心」を支持しており、常に向上しようとする姿勢をメッセージで伝えています。
⚫︎ブランドの象徴としてのヒーローアスリート
著名なアスリートを広告に起用し、そのストーリーや成功体験を通じて、Nikeのメッセージが現実のものとして伝わるようにしています。これにより、アスリートの精神がブランドの一部として感じられます。
⚫︎社会的メッセージや正義への取り組み
Nikeは多様な社会的問題についても積極的にメッセージを発信し、社会正義や平等の実現に向けた姿勢をブランドとしてサポートしています。これは「Just Do It」を社会運動のモットーとしても応用することが多いです。
⚫︎スポーツを超えたライフスタイルブランドとしての地位
Nikeはスポーツブランドであるだけでなく、日常のファッションやライフスタイルにも影響を与える存在です。「Just Do It」は人生全般に応用できるメッセージとして広がりを持っています。
[ 出典 ] NIKE公式サイトより
[ 出典 ] brandsvietnamより
■ まとめ
一貫性のあるブランドメッセージを作成することはブランドの成功に直結します。ブランドの価値を明確にしターゲットオーディエンスを理解し、全てのコミュニケーションチャネルで一貫したメッセージを発信することが重要です。また、ストーリーテリングやビジュアル要素との統一、社内外のコミュニケーションの整合性も意識することで、より効果的なブランドメッセージを作成できます。ブランドメッセージの一貫性を保ち顧客との信頼関係を築き上げることで、ブランドの価値を最大限に引き出すことができるでしょう。
株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。
【 ご質問、お打合せ希望など、お気軽にお問合わせください。】
– ブランド戦略からデザイン開発まで –
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