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テクノロジーブランドで選ばれる会社になる方法

[ ブランド戦略 ]

テクノロジーブランドで選ばれる会社になる方法

テクノロジー業界は、日々新しい技術が生まれるスピード競争の世界です。しかし、技術力だけで長く「選ばれ続ける」ことはできません。多くの企業が似たような技術やソリューションを提供する中で、いま問われているのは「ブランド力」です。選ばれる企業には共通して、社会的な信頼、顧客への共感、明確なメッセージ、そしてブランド体験を通じた差別化があります。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、単なる技術屋ではなく、信頼され選ばれ続ける“ブランド”になるための考え方や戦略ついて解説いたします。


■ テクノロジーブランドとは?

テクノロジーブランドとは、単に優れた技術や製品を提供する企業ではなく、技術を通じて人々の生活や社会に新しい価値を生み出し、共感や信頼を得られるブランドを指します。今では、技術力だけで差別化することが難しくなり、顧客がその企業を「選びたくなる理由」が求められています。そのため、テクノロジーブランドには、製品やサービスの品質だけでなく、ブランドが掲げるビジョンや社会課題への向き合い方、顧客体験など、総合的なブランド力が欠かせません。AppleやTeslaのように、「技術を使って何を実現し、誰のどんな課題を解決するのか」を明確に示し、技術の先にある価値や体験を提供し続けることが、テクノロジーブランドとして選ばれ続けるための鍵になります。

■ テクノロジーブランドの多様性

テクノロジーブランドの多様性

1. 消費者向けハードウェア(スマートフォン、PCなど)

スマートフォンやPCといったハードウェアのブランドは、生活の中で直接触れる体験を通じて価値を築いています。性能やデザインだけでなく、ユーザー体験をどのように設計するかがブランドの印象を左右します。特にAppleやSamsungのようにエコシステムを構築することで、製品を超えたつながりやロイヤルティが生まれ、日常の中に自然と溶け込む存在になり、人々の暮らしを支えています。

生活に密着したユーザー体験を提供する
デザイン性と使いやすさがブランド力を高める
エコシステムで長期的な関係を築く

2. ソフトウェア(OS、ビジネスアプリケーションなど)

ソフトウェアブランドは、日々の業務や生活に欠かせない存在として機能しています。MicrosoftのWindowsやOffice、AdobeのCreative Cloudなどは、信頼性と生産性を支えることで確かな地位を築いてきました。継続的なアップデートや新機能の追加によって進化を続け、ユーザーに安心感を与えています。さらに、環境や働き方の変化に柔軟に対応することで、より深い信頼関係を築いています。

日常や業務に欠かせない存在になる
信頼性と生産性の向上がブランド価値を支える
継続的な進化がユーザーとの関係を深める

3. クラウドサービス(AWS、Azureなど)

クラウドサービスブランドは、インターネットを通じて企業のデジタル基盤を支えています。AWSやAzureは柔軟性や拡張性、安定性を強みに、さまざまな規模の企業に利用されています。信頼できる基盤と先進的な機能提供によって、長期的なパートナーとしての信頼を獲得しています。さらに、データ活用やAI導入を後押しすることで、企業の成長と変革を支える重要な存在になっています。

柔軟で拡張性の高い基盤を提供する
安定性と信頼性がブランドの基盤となる
先進的な機能で顧客の成長を支援する

4. 半導体(NVIDIA、TSMCなど)

半導体ブランドは、テクノロジー産業を支える重要な存在です。NVIDIAはGPUを通じてAIやゲーム分野の発展を牽引し、TSMCは製造技術の高さで世界をリードしています。消費者が直接触れることは少なくても、その技術力と革新性が産業全体に影響を与え、強いブランド価値を生み出しています。さらに、次世代技術の実現を支える中核として、世界のイノベーションを陰で支え続けています。

産業全体を支える基盤技術を提供する
技術革新がブランドを強くする
消費者には見えにくいが不可欠な存在である

5. 自動車(Teslaなど)

自動車分野のテクノロジーブランドは、従来の「モノづくり」を超えて、ソフトウェアやAIを活用した新しい移動体験を生み出しています。Teslaは電動化と自動運転を軸に、自動車を単なる移動手段から「体験のプラットフォーム」へと進化させました。技術の進化がブランドの物語そのものを形づくっています。さらに、環境への配慮やサステナビリティの視点も取り入れ、社会全体の価値観の変化にも応えています。

移動手段を超えたテクノロジー体験を提供する
電動化や自動運転で新しい価値を創出する
技術革新そのものをブランドの核とする

■ テクノロジーブランドで選ばれる条件

テクノロジーブランドで選ばれる条件

1. コアバリュー・提供価値

テクノロジーブランドにとって大切なのは、「何を提供するか」だけでなく「なぜ存在するのか」というコアバリューです。革新的な機能や利便性はもちろん重要ですが、その背景にある理念や使命こそがブランドの軸になります。ユーザーは単に製品の性能を選んでいるのではなく、ブランドが描く世界観や未来への姿勢に共感して選んでいます。だからこそ、テクノロジーを通じて社会や生活にどんな変化をもたらしたいのかを明確にすることが、長く選ばれ続けるための大切な鍵になります。

革新性:常に新しいテクノロジーや体験を提供する。
利便性・効率性:生活やビジネスをより良くする実用性。
信頼性:安定した性能と高いセキュリティ。

詳細記事:ブランド価値とは?高める方法と活用方法

2. ブランド体験

ユーザーがブランドに触れるすべての瞬間が「ブランド体験」をつくります。優れたUX/UIはもちろん、購入前後のコミュニケーションやサポートなど、あらゆる接点がブランドの印象を左右します。シンプルで直感的に使えることは基本ですが、そこに「心地よさ」や「期待を超える瞬間」を生み出すことで、単なるツールから「愛着のある存在」へと育っていきます。ブランド体験は機能以上に記憶に残り、ファンを生み出す大きな要素となり、ブランドの信頼を育てていく重要な基盤になります。

直感的なユーザー体験(UX/UI):わかりやすく、迷わず使える。
エモーショナル・コネクション:感情に寄り添う体験を提供。
一貫したブランドコミュニケーション:ビジュアルやメッセージの統一。

詳細記事:ブランドエクスペリエンスの重要性と成功事例

3. 社会的文脈・文化的影響

テクノロジーは単独で存在するものではなく、社会や文化とつながることでより深い意味を持ちます。環境問題、倫理観、多様性などのテーマにどう向き合うかは、ブランドへの信頼に直結します。また、地域文化や生活者の価値観に寄り添う姿勢も重要です。便利さを提供するだけでなく、社会にポジティブな影響を与えるブランドは、支持を超えて「信頼される存在」へと成長していきます。さらに、企業としての姿勢や発信が共感を呼び、ブランドの持続的な価値を高めていくことで、長期的な信頼基盤を築いていきます。

コミュニティ形成:ユーザーや開発者が関わるエコシステム。
社会的信頼:透明性、倫理観、持続可能性への配慮。
文化的適合性:市場ごとの価値観やトレンドとの調和。

4. 市場での立ち位置

競争が激しい市場で選ばれるためには、明確なポジショニングが欠かせません。何が他ブランドと違うのか、なぜ自社が選ばれるべきなのかを一言で伝えられることが理想です。価格、機能、デザイン、社会的意義など、複数の軸がある中で、自社らしい強みを整理し、一本の「旗」を立てることが大切です。さらに、グローバル展開においては地域ごとの文化やニーズに合わせた柔軟さも求められます。加えて、市場の変化を敏感に捉え、ポジションを進化させ続ける姿勢も欠かせません。

差別化されたポジショニング:他社と明確に違いを打ち出す。
グローバルでの適応力:地域に合わせた最適な戦略。
価格と価値のバランス:納得感のある価値を提供する。

■ テクノロジーブランドに求められる3つの価値

 テクノロジーブランドに求められる3つの価値

1. 技術力だけではない武器

「良い技術があれば売れる」という時代は、すでに過去のものになりつつあります。特にBtoB領域では、スペックや機能だけでなく、企業の信頼性やサポート体制、社会的なイメージまで含めて評価されるようになりました。競合も同じように技術を磨いている今、「どう違うのか」「なぜ自社なのか」を伝えられなければ選ばれません。技術をビジネス価値に変え、顧客に伝わるメッセージとして設計することが欠かせません。技術力を活かすためには、ブランドというもうひとつの武器が必要です。

詳細記事:技術ブランディングの目的と成功事例

2. 顧客体験によるブランド力

テクノロジーは専門的で難しく見えがちなもの。だからこそ、顧客が「理解しやすい」「使いやすい」「相談しやすい」と感じられる体験を設計することが大切です。問い合わせ対応、ウェブサイト、営業など、あらゆる接点で「その企業らしさ」が一貫して伝わることが、ブランド力の土台になります。顧客の不安や疑問を丁寧に解消し、期待を少しでも上回る体験を届けることが、信頼を育て、“選ばれる理由”をつくっていきます。こうした積み重ねが、長期的な関係性とブランドの強さを生み出します。

詳細記事:ブランドエクスペリエンスの重要性とは?

3. 社会的価値・ビジョンの明確化

テクノロジーが社会課題の解決や未来づくりに欠かせない存在となった今、企業の「存在意義」や「社会的ビジョン」も選ばれる理由のひとつになっています。単に技術を提供するだけでなく、社会にどう貢献するのかを明確に示すことで、顧客やパートナー、求職者から共感を得やすくなります。SDGs、脱炭素、ウェルビーイングなどの社会的テーマに、どのような姿勢で取り組むか。そのスタンスが、ブランドの信頼と価値を左右する時代です。さらに、一貫した姿勢が社会とのつながりを深め存在価値を高めていきます。

詳細記事:ブランドビジョン開発のポイントとは?

■ 競争を勝ち抜くためのブランド戦略

競争を勝ち抜くためのブランド戦略

1. 市場ポジションを明確にするメッセージ設計

「どんな会社なのか?」「誰に何を提供し、どんな価値を生み出しているのか?」この問いに明確に答えられることが、ブランド戦略の出発点になります。市場での立ち位置があいまいだと、価格や機能だけの比較に埋もれてしまいがちです。自社ならではの強みや独自性を言葉にして整理し、わかりやすいメッセージとして伝えることが大切です。競合分析や顧客インタビューなどを通じて、狙うべきポジションを明確にし、「なぜ自社が選ばれるのか」を一貫して発信していくことが重要です。

詳細記事:ブランドポジションから始めるブランディング

2. ビジュアルとストーリーで“らしさ”を伝える

ブランドはロゴやデザインだけで成り立つものではありませんが、ビジュアルが与える第一印象は想像以上に大きな影響を持ちます。WEBサイトやパンフレット、展示会ブースなど、あらゆる接点で「自社らしさ」を視覚的に表現することが大切です。また、技術や実績をただ並べるだけではなく、そこに込めた想いや背景、顧客との関係性など、ストーリーとして発信することで、より深い共感や信頼を育てることができます。さらに、そうした一貫した表現がブランドの世界観を強く印象づけます。

詳細記事:VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは何か?

3. 顧客・社員を巻き込むブランディング活動

ブランディングは、外に向けた発信だけでなく、社内から育てていくことも重要です。社員一人ひとりがブランドメッセージを理解し、日々の行動で体現していくことで、ブランドはより信頼される存在になります。また、顧客やパートナーとともにブランドを育てる姿勢も欠かせません。共創イベントやSNSでの対話、アンバサダープログラムなど、双方向の取り組みを通じて関係性を深めていくことで、ブランドは自然と強く、広がっていきます。そして、その広がりが新たな価値を生み出します。

詳細記事:インナーブランディングとは?その目的と進め方と成功事例

■ テクノロジーブランドが持つメリット

テクノロジーブランドが持つメリット

【 ビジネス面のメリット

テクノロジーブランドは、革新性と信頼性を両立することで市場での強みを築くことができます。新しい技術やソリューションを提供する力は、高価格帯でも選ばれる「価格プレミアム」を生み出し、収益性の向上につながります。また、投資家やパートナーに対して成長性や将来性を示しやすく、資金調達や提携の面でもプラスに働きます。さらに、グローバル市場への展開にも強く、ブランドと技術が一体となって広がることで、国境を越えたビジネス拡大を後押しします。こうした連動が成長基盤をつくり出します。

高い収益性:革新性とブランド力が価格プレミアムを生み出す。
市場での優位性:差別化によって価格競争に巻き込まれにくくなる。
投資家・パートナーからの信頼:成長性や将来性が評価され、提携が進みやすい。
グローバル展開の加速:技術とブランドが連動し、海外市場にも浸透しやすい。

【 顧客との関係性のメリット

テクノロジーブランドは、単なる製品やサービスの提供にとどまらず、「顧客の生活やビジネスの一部」として根付く力を持っています。直感的なUXや安定した性能は信頼を生み、長期的なロイヤリティにつながります。また、エコシステムやコミュニティを育てることで、顧客同士が価値を共有し、ブランドの広がりに自然と貢献していきます。さらに、ユーザーからのフィードバックが次の進化を促すサイクルをつくり、ブランドと顧客が一緒に成長できる関係性を築ける点も魅力です。

高いブランドロイヤリティ:信頼を得ることで長く選ばれやすくなる。
ユーザー体験の深化:製品利用を超えて「生活やビジネスの一部」として根付く。
エコシステムの形成:コミュニティを通じてユーザーがブランドを広げる。
顧客からのフィードバックが資産化:改善のサイクルが速まり、競争力が続く。

【 社会的なメリット

テクノロジーブランドは、社会にプラスの影響をもたらす存在として認識されやすい特長があります。環境、医療、教育、働き方といった分野で課題解決に貢献することで、企業としての存在意義をより明確にできます。また、倫理性や透明性を大切にする姿勢は社会的信頼を高め、ブランドを持続可能な形で育てることにつながります。さらに、新しい生活様式や文化的価値を生み出す力を持つことで、社会とのつながりを深めていくことができます。そして、それが企業の長期的な信頼と評価を支えていきます。

社会課題解決への貢献:技術を通じて環境・医療・教育などに貢献する。
ブランドの信頼性向上:誠実な姿勢や透明性が社会的評価を高める。
文化的影響力:テクノロジーが新しい価値観やライフスタイルを生み出す。

■ テクノロジーブランドの成功事例

Appleテクノロジーブランドの成功事例

【 Apple | テクノロジーブランドの成功事例 】

Appleは、テクノロジーブランドとして世界的に成功を収めた代表的な企業です。その理由は、単なる製品スペックではなく「体験」に重点を置いたブランド戦略にあります。デザイン、操作性、店舗体験、広告まで、すべての要素が一貫して“シンプルで洗練された世界観”をつくり出しています。また、製品やサービスを通じて描く未来像を明確にし、ユーザーに共感や期待を感じさせる点も特徴的です。結果としてAppleは、機能の優劣ではなく「価値観で選ばれるブランド」へと成長し、強いブランドロイヤルティを築いてきました。選ばれるテクノロジーブランドに共通するのは、製品そのものを超えた「意味づけ」と「一貫した体験設計」であることを、Appleは示しています。

【 戦略・特徴 】

技術説明より「使いやすさ」「デザイン」「ライフスタイル」の訴求を重視
Apple Storeを通じた体験型の販売チャネルでブランド体験を提供
製品、OS、アプリ、サポートまで統一されたブランド体験を設計

【 成果 】

世界的ブランド価値ランキング(Interbrandなど)で常に上位に位置
熱心なファンによる口コミや共感的な拡散が継続的に発生
価格競争に依存せず、「選ばれ続けるブランド」として確立

[ 出典 ] アップル公式サイトより

TESLAテクノロジーブランドの成功事例

【 Tesla | テクノロジーブランドの成功事例 】

Teslaは、従来の自動車業界の常識を塗り替え、“選ばれるテクノロジーブランド”として急速に成長した企業です。単なるEVメーカーにとどまらず、ソフトウェアを軸にしたユーザー体験や、OTAアップデートによる継続的な進化、自動運転技術など「未来を感じさせる体験」を提供することでブランド価値を築いてきました。また、イーロン・マスクという象徴的なリーダーの存在も、革新や挑戦といったブランドのストーリーをより印象づけています。Teslaは、機能面だけでなく“変化への共感”を生み出すことで強い支持を得ており、テクノロジーブランドが選ばれるためには、技術とビジョンの両輪が重要であることを示しています。

【 戦略・特徴 】

EVを「エコ」ではなく「最先端」「スタイリッシュ」「新しい体験」として訴求
ソフトウェアアップデートや自動運転など、テクノロジー主導のブランド体験を設計
イーロン・マスクの発信力と挑戦的な姿勢がブランドの個性を強化

【 成果 】

世界のEV市場で高いシェアを確立
オーナー同士のつながりによる活発なコミュニティ形成
環境意識とプレミアム体験の両立に成功

[ 出典 ] テスラ公式サイトより

ZOOMテクノロジーブランドの成功事例

【 Zoom | テクノロジーブランドの成功事例 】

Zoomは、パンデミックをきっかけに世界中で広く利用されるようになったテクノロジーブランドです。その成長の背景には、圧倒的な「使いやすさ」と「信頼性」があります。競合が多機能化を進める中で、Zoomは“つながること”にフォーカスし、シンプルなUIと安定した通信品質を徹底。ユーザーが迷わず快適に使える体験を最優先に設計してきました。また、無料プランの提供により利用のハードルを下げ、ビジネスだけでなく教育機関や個人にも一気に広がりました。Zoomの事例は、技術力に加えて「誰でも直感的に使えるわかりやすさ」と「柔軟に広がる拡張性」が、ブランドを選ぶ理由になることを示しています。テクノロジーブランドにとって、“複雑さをそぎ落とすこと”が大きな強みになり得ます。

【 戦略・特徴 】

「誰でも簡単に使えるビデオ会議ツール」という明確なポジショニング
軽量・シンプル・高画質・高音質といった快適な使用体験を追求
無料プランで利用を促し、ユーザーの“体験からの納得”を重視

【 成果 】

「ズームする」と一般名詞化するほどの高い認知度を獲得
世界中のビジネスや教育現場に導入が拡大
競合(Teams、Google Meetなど)との差別化に成功

[ 出典 ] ZOOM公式サイトより

Spotifyテクノロジーブランドの成功事例

【 Spotify | テクノロジーブランドの成功事例 】

Spotifyは、音楽の聴き方そのものを変え、“選ばれるテクノロジーブランド”として世界的な存在感を確立しました。その成長を支えたのは、ユーザー一人ひとりの嗜好に寄り添うレコメンド機能と、直感的で洗練されたUI設計です。さらに、プレイリスト文化を広めたり、「Spotify Wrapped」などのソーシャル共有機能を通じて、音楽体験をよりパーソナルで共感的なものへと発展させました。加えて、アーティストとの直接的なつながりやポッドキャストへの展開により、音声コンテンツのプラットフォームとしての幅を広げています。Spotifyは、単なる配信サービスではなく、「音楽と日常をつなぐ存在」へと進化しており、選ばれる理由はその体験設計の巧みさにあります。

【 戦略・特徴 】

「定額聴き放題」モデルをグローバルに展開し、音楽の楽しみ方を再定義
プレイリストやレコメンドなど、UX(ユーザー体験)を中心に設計
音楽だけでなく、ポッドキャストやオーディオ広告へ事業を拡張

【 成果 】

世界最大規模の音楽ストリーミングプラットフォームへ成長
若年層を中心に「音楽を聴く=Spotify」という認知を確立
アーティスト・リスナー・広告主が共に価値を得る仕組みを構築

[ 出典 ] Spotify公式サイトより

salesforceテクノロジーブランドの成功事例

【 Salesforce | テクノロジーブランドの成功事例 】

Salesforceは、CRM(顧客関係管理)の分野でグローバルに高い評価を得ているテクノロジーブランドです。その成長を支えたのは、「顧客との関係をより良くする」という明確なビジョンと、クラウドベースで柔軟に拡張できるプラットフォーム設計です。多様な業種や規模の企業が自社に合わせて活用できるカスタマイズ性を持ち、デジタル変革を後押ししてきました。また、「Trailblazer」というユーザーコミュニティを通じて、学び合いと共創の文化を育んでいる点も特徴的です。Salesforceの事例は、テクノロジーを提供するだけでなく、「顧客との関係をどう深めるか」を軸にブランドを築くことの重要性を示しています。テクノロジーブランドにとって、“共に成長する姿勢”が信頼の源になることを教えてくれます。

【 戦略・特徴 】

「顧客との関係性強化」を軸にした明確なブランドビジョン
Trailblazerコミュニティを中心とした共創型マーケティング
社会課題やサステナビリティへの積極的な取り組み

【 成果 】

CRM分野で世界トップクラスのシェアを確立
顧客ロイヤリティと長期的な信頼を獲得
コミュニティ起点のブランド拡張に成功

[ 出典 ] Salesforce公式サイトより

FAQ-よくある質問

■ テクノロジーブランドに関するよくある質問

テクノロジーブランドに関してよく寄せられる疑問をまとめました。ここでは、技術力だけではなく「なぜ選ばれるのか」を形づくる考え方や実践のポイントをわかりやすく解説します。

[ よくある質問① ]

Q :テクノロジーブランドって何ですか?
A :単に技術力で選ばれるんじゃなく、「技術を通じて社会や顧客に価値を届け、信頼と共感を獲得するブランド」のことです。技術の背後にあるビジョンや体験が評価される時代です。

[ よくある質問② ]

Q :技術がいくら優れていても選ばれないのはなぜですか?
A :スペックだけでは響かず、顧客が「なぜ自社なのか」を理解できないからです。技術を“ビジネス価値”に翻訳し、届けるメッセージ設計が不可欠です。

[ よくある質問③ ]

Q :顧客体験がブランド力にどう影響するんですか?
A :顧客は「理解しやすさ」「使いやすさ」「相談しやすさ」で企業を評価します。各接点での一貫した体験が信頼を生み、「選ばれる理由」になります。

[ よくある質問④ ]

Q :ブランドを強化するために意識すべきポイントは何ですか?
A :技術ではなく、「技術によって何を実現し、誰の課題を解決するのか」をカギに設計することです。メッセージの明確化と一貫性が、選ばれるブランドへと導きます。

[ よくある質問⑤ ]

Q :AppleやTeslaのように“選ばれるテクノロジーブランド”に近づくには、どうすればいいですか?
A :B技術の先にある価値や目的、社会課題への貢献を明確に示し、顧客体験を徹底的に設計してください。これがブランドの信頼と差別化を生みます。

checklist-チェックリスト

■ テクノロジーブランドのチェックリスト

テクノロジーブランドを強化するためのチェックリストです。目的やメッセージの整理から体験設計、ビジュアル表現まで、ブランドを客観的に見直すためのポイントをまとめました。

[ 目的・メッセージの明確化のチェック ]

⬜︎ 技術をブランド化する目的は明文化されているか?
⬜︎ 技術が「スペック以上の意味や価値」として言語化されているか?
⬜︎ 技術の背景やストーリーが語れるか?顧客に共感を与える仕掛けになっているか?

[ ターゲット・ポジショニングのチェック ]

⬜︎ 技術を届けたい「ターゲット(誰に届くのか)」は明確か?
⬜︎ 他社と比較した自社技術の“差別性”や“独自性(ポジショニング)”は明確か?
⬜︎ 顧客目線で見た「この技術がもたらすソリューションや価値」は整理されているか?

[ 顧客体験・ブランド体験のチェック ]

⬜︎ Webサイト、営業などで「理解しやすさ・使いやすさ・相談しやすさ」が担保されているか?
⬜︎ あらゆるタッチポイントで「一貫した自社らしさ」が伝わる体験設計がなされているか?
⬜︎ 顧客の期待を超えるような体験(驚きや安心感など)を提供できているか?

[ ビジュアル・ストーリー表現のチェック ]

⬜︎ Webサイトやパンフレット、展示会など、すべてのビジュアルで“らしさ”が視覚的に伝わっているか?
⬜︎ 技術だけでなく、ストーリーやブランドの想いを情緒的に伝える表現があるか?
⬜︎ 顧客の心を動かす“共感の演出”がビジュアルやコピーに組み込まれているか?

記事のまとめ

■ まとめ

どんなに優れた技術を持っていても、「誰に、どう役立つのか」を伝えきれなければ選ばれ続けることは難しくなります。選ばれるテクノロジーブランドになるためには、技術力を「体験」「メッセージ」「社会的価値」へとつなげるブランディングが欠かせません。市場での立ち位置を明確にし、ビジュアルやストーリーで“自社らしさ”を伝え、顧客や社員とともにブランドを育てていくこと。その積み重ねが、これからのテクノロジー企業が信頼を得て成長していくための鍵になります。

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

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