CHIBICO BLOG

地方企業のためのブランディング成功事例と実践ステップ

[ ブランド戦略 ]

地方企業のためのブランディング|成功事例と実践ステップ

品質や価格だけでは選ばれにくくなった今、注目されているのが「地域発のブランド」です。とりわけ中小・地方企業にとっては、大手と同じ土俵で戦わず、独自の価値を明確にし、視覚的に表現することで競争力を高める必要があります。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者が、地方企業がやるべき「売れるブランド」のつくり方について、戦略から実践、成功事例までをわかりやすく解説します。


■ なぜ、地方企業にブランディングが必要なのか?

なぜ、地方企業にブランドが必要なのか?

【 市場環境の変化への対応 】

地方では人口減少と高齢化が進み、既存市場が縮小する中で、これまでの価格競争だけでは生き残りが難しくなっています。さらに、オンライン化により都市部や海外企業との競争も激化。こうした環境変化に対応するには、ブランド力による差別化が不可欠です。「選ばれる理由」を明確化し、自社の価値を市場に伝えることで、顧客の支持を継続的に得られる体制を整える必要があります。

人口減少・市場縮小:地方は特に人口減少が顕著で、市場規模が縮小傾向にあるため。
競合の増加:オンライン販売やSNSの普及で、都市部や海外の企業とも競合する時代になった。
価格競争の限界:低価格では利益率が低下しやすく、ブランド価値で差別化しないと生き残りにくい。

【 地域内外からの認知獲得 】

地方では人口減少と高齢化が進み、既存市場が縮小する中で、これまでの価格競争だけでは生き残りが難しくなっています。さらに、オンライン化により都市部や海外企業との競争も激化。こうした環境変化に対応するには、ブランド力による差別化が不可欠です。「選ばれる理由」を明確化し、自社の価値を市場に伝えることで、顧客の支持を継続的に得られる体制を整える必要があります。

地域外の顧客への訴求:他地域からの顧客を獲得するためにはブランド認知が不可欠。
地元住民からの支持強化:ブランドとして認知されることで、地元住民からの信頼を得やすくなる。
観光・移住・産業連携への波及効果:自治体や他企業との連携がしやすく補助金の機会も増える。

【 採用・人材確保 】

地方では若手人材の都市部流出が続き、企業の人材確保は深刻な課題です。ブランド力の高い企業は「働きたい会社」として認知されやすく、採用効率を大きく高められます。また、魅力的なブランドは社員の帰属意識を高め、離職率の低下にもつながります。ブランディングは、単なる採用活動ではなく、企業文化や理念を可視化し、人材に選ばれる企業となるための重要な投資です。

若手人材の流出防止:人材が都市部へ流出しやすく、「働きたい会社」として認知される必要がある。
採用コスト削減:ブランドが確立されていると求人媒体に頼らず、自然と応募が集まりやすい。
社員エンゲージメント向上:社員が自社ブランドを誇れることでモチベーション向上につながる。

【 商品・サービスの価値向上 】

価格競争に頼らず、ブランド価値で選ばれる状態を作ることが重要です。ブランディングによって、自社の強みや独自の提供価値を明確化し、他社との差別化を図れます。顧客に「なぜこの商品を選ぶべきか」を一貫したメッセージで伝えることで、付加価値の高い商品・サービスとして認知されやすくなり、結果的に価格以外の理由で選ばれるビジネスモデルを確立できます。

価格競争からの脱却:「安さ」ではなく「ブランド価値」で選ばれる状態を作れる。
付加価値の明確化:ブランディングにより、自社の強みや独自性を顧客に伝えやすくなる。
長期的な信頼構築:ブランドが確立されると、顧客は価格変動や競合の出現にも動じにくくなる。

【 経営基盤の強化 】

ブランディングは見た目のデザインや広告施策ではなく、経営戦略そのものです。明確なブランドコンセプトを持つことで、マーケティング・営業・採用など、あらゆる活動の一貫性が生まれます。また、ブランド価値の向上は企業評価にも直結し、補助金獲得、事業承継、M&Aなどの場面でも有利に働きます。長期的な視点で企業の安定と成長を支える基盤となるのが、戦略的ブランディングです。

戦略の一貫性:ブランドを明確にすることで、マーケティング・営業など一貫性あるものにできる。
投資対効果の向上:広告や販促に使う予算も、ブランド戦略に基づけば効率的に運用できる。
事業承継やM&A時の評価向上:強いブランドは企業価値を高め、承継・売却時にも有利に働く。

地方企業だからこその強み

地方企業だからこその強みがある

【 地域との強い結びつき 】

地方企業は、地域住民・行政・地場産業との強固なネットワークを活かせる点が大きな強みです。地元コミュニティとの関係性が深いため、顧客のリアルな声を迅速に商品やサービスへ反映できます。また、地域の歴史や文化に根付いたストーリーをブランドに組み込むことで、地元からの支持を得やすく、他地域との差別化にもつながります。地域との信頼関係は、地方企業ならではの大きな資産です。

地元住民・行政・地場産業とのネットワークが強く、信頼関係を活かした事業展開がしやすい
顧客との距離が近いため、リアルな声を商品・サービス改善に反映しやすい
地域文化や歴史に根差したブランドストーリーを構築できる

【 独自性と差別化のしやすさ 】

地方企業は、大都市圏に比べ競合が少ない環境にあるため、独自のポジションを築きやすいという強みがあります。地域資源や伝統技術、特産品などを活かした商品開発が可能で、「ここにしかない価値」をブランドとして打ち出せます。また、大手企業が参入しづらいニッチ市場を狙うことで、競争優位性を高められます。地域性をブランド戦略に取り込むことで、全国的な差別化も実現しやすくなります。

大都市圏に比べ競合が少なく、独自ポジションを確立しやすい
地元資源(食材・工芸・観光資源など)を活かしたオリジナル商品やサービスを打ち出せる
「地域ならでは」の背景をブランドに取り込みやすい

【 顧客との距離の近さ 】

地方企業は顧客との接点が密接で、直接的な関係を築きやすいことが特徴です。日常的に顧客と接する機会が多く、ニーズや不満をリアルタイムで把握できるため、サービス改善や商品開発に反映しやすい環境です。また、口コミや紹介による評判形成も早く、信頼関係をベースにしたリピーター獲得が可能です。この顧客との近さを活かせば、大手企業には真似できないきめ細かいサービスが実現できます。

対面での接点が多く、顧客のニーズや不満を直接ヒアリング可能
長年の取引関係や口コミによる評判形成がしやすい
高度なパーソナル対応や小回りの利くサービスで差別化できる

【 コスト構造の柔軟性 】

地方企業は都市部に比べて地価や人件費が低く、固定費を抑えた経営が可能です。そのため、利益率を確保しやすく、戦略的なブランディング投資に資金を回しやすいという強みがあります。また、組織規模が小さい場合が多いため、意思決定が早く市場環境の変化にも柔軟に対応できます。広告宣伝費に依存するより、ブランド価値を高める施策に集中することで、効率的かつ持続的な成長が実現可能です。

地価・人件費・固定費が都市部より低く、利益率を確保しやすい
小規模だからこそ意思決定が早く、柔軟に戦略を転換できる
広告宣伝費よりも、ブランディング投資による効率的な集客が可能

【 地方発ブランドとしての価値 】

「地方発」であること自体がブランドの強力な武器になります。都市部や海外市場では、地域特有の文化やストーリー、素材を活かした商品は高い魅力を持ちます。また、観光需要やふるさと納税など、地方ならではの販路拡大のチャンスも豊富です。さらに、国や自治体の補助金や地域振興施策を活用することで、ブランド強化に必要なリソースを確保しやすい点も強みです。地方発信ならではの価値創造が可能です。

地域発の独自性は、都市部の消費者や海外市場にとって魅力的なストーリーになる
観光需要やふるさと納税など、地方ブランドを活かした新たな販路を開拓しやすい
国や自治体の補助金・支援策を活用してブランド価値を高める余地が大きい

ブランドは「売らなくても売れる」しくみ

ブランドは「売らなくても売れる」しくみ

ブランドは経営の最大の武器

ブランドとは、「比較されずに選ばれる状態」をつくる戦略です。広告や販促に頼らずとも指名される仕組みを持てば、利益率も安定し、継続的な成長が見込めます。地方企業にとっては、規模よりも“意味”で勝負する時代。価格や機能ではなく、共感や信頼で選ばれる仕組みこそが最大の資産となります。ブランディングは一過性のマーケティング施策ではなく、長期的な経営の核なのです。

地方から“選ばれる会社”を目指す

都市部だけでなく、地方発でも「指名買い」されるブランドは存在します。その鍵は、“地方らしさ”をブランドに昇華させること。商品やサービスの背景にある物語や理念を、丁寧に発信し続けることで、地域内外から支持を得られます。地方に根ざしながらも、外の視点でブランドを捉える柔軟性が求められます。「地元で選ばれ、全国で支持される」企業づくりこそ、これからの地方ブランディングの理想です。

■ ブランディングの実践ステップ

売れるブランドのつくり方

1. ブランドのコンセプトを決める

誰に、何を、どう伝えるかを明確にする

ブランド構築の出発点は、ターゲットと提供価値、そして伝え方の明確化です。「誰に」「何を」「どう伝えるか」という3つの視点を整理することで、ブランドの方向性がブレなくなります。特に地方企業の場合、地域性や関係性を加味したペルソナ設計が有効です。たとえば地元住民への安心感か、都市部消費者への共感か。価値と届け方が一致して初めて、ブランドは機能しはじめます。

差別化のカギは“想い”と“ストーリー”

ブランドを単なる商品説明で終わらせないために必要なのが、「想い」と「ストーリー」です。創業時の背景、地域との関係性、企業が大切にしてきた哲学などは、他社にマネできない価値を生み出します。これらをきちんと構造化し、ブランドメッセージとして発信することで、共感を呼ぶブランドに進化します。顧客は、単なる情報ではなく“物語に感動する”ことで、購入を決めているのです。

▶︎ 関連記事:ブランディングの基本と成功への第一歩

2. ビジュアルとメッセージを統一する

ロゴ・カラー・フォントの基本設計

視覚的な印象は、ブランドの“顔”を形づくります。ロゴ、カラー、フォントといった要素は、第1印象を決め、覚えてもらうことができます。ここで重要なのは、見た目を整えるだけでなく、「自社らしさ」や「提供する価値」が視覚から伝わるようにデザインすることです。特に地方企業は、親しみや信頼感を与えるデザインが効果的です。デザインを統一することは、ブランドの“らしさ”になります。

一貫したブランドストーリー

ビジュアルだけではブランドになりません。そこに一貫したストーリーやメッセージがなければ、ユーザーには伝わりません。Webサイト、名刺、SNS投稿、パッケージなど、あらゆる接点で「この会社らしい」と思わせるトーンを貫くことが重要です。伝える言葉、写真の選び方、文章のテンポまで、世界観を統一することで、ブランドは初めて“記憶に残る存在”になります。

▶︎ 関連記事:VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは何か?

3. 社員・関係者を味方にする

社員がブランドの“伝道師”になる

どれだけ外向けに魅力的なブランドを作っても、社員がその価値を理解し、語れなければ機能しません。ブランドとは、社員一人ひとりが“語れるようになること”で初めて力を持ちます。理念やビジョンを共有し、それを日々の仕事にどう落とし込むかが重要です。たとえば朝礼での共有やワークショップを通じて、ブランドを“自分ごと化”する取り組みが必要です。

「外向き」より先に「内向き」のブランディング

ブランディングというと外部への発信を重視しがちですが、まず整えるべきは社内です。社員がブランドの意図や世界観を理解していなければ、表面的な発信になり、信頼感を損ないます。社内の共通言語としてブランドを育てることで、社外への発信も一貫性を持てます。社内から始まるブランド戦略こそ、地方企業が持続可能な成長を目指す上での基盤となります。

▶︎ 関連記事:インナーブランディングとは?その目的と効果

4. ブランド体感できる仕組みをつくる

店舗・Webなど、タッチポイントの最適化

ブランドは各接点で体感されます。店舗の雰囲気、接客の仕方、Webサイトの言葉遣いや導線。すべてがブランドの「顔」です。地方企業にとっては、地元らしさや温もりを感じさせる接点が重要です。すべてのタッチポイントにブランドの一貫性を持たせることで、顧客はどこに触れても同じ印象を受け、信頼感が増します。体験をデザインする視点が、今後ますます重要になります。

⚫︎ 買って終わりではない価値の設計

優れたブランドは、購入後の体験にも価値を感じさせます。アフターサービス、リピート特典、ファンコミュニティなど、商品を通じた「継続的な関係性」を設計することで、顧客のロイヤルティは高まります。地方企業でも、顧客にとって“付き合いたくなる会社”を目指すことがブランド戦略です。「また買いたい」「人に勧めたい」と思わせる工夫が、売上以上の資産になります。

▶︎ 関連記事:ブランドエクスペリエンスの重要性とは?

■ 地方企業のブランディング成功事例

ヤッホーブルーイング _長野県軽井沢町

【 ヤッホーブルーイング (長野県軽井沢町) 】

ヤッホーブルーイングは、クラフトビール「よなよなエール」で一躍有名になった長野県の地ビールメーカーです。日本のビール業界は、大手4社が寡占する極めて厳しい市場環境ですが、同社は“個性”を軸にしたブランディング戦略で存在感を発揮しました。最大の特長は、「よなよなエール」や「インドの青鬼」といった印象的なネーミングやパッケージ。さらに、ブランドコンセプトに“ファンとの対話”を据えており、ユーザーとの双方向コミュニケーションを徹底しています。毎年開催される「超宴」と呼ばれるビールイベントは、ファンの熱狂と参加体験がブランドへの帰属意識を醸成しています。

[ ブランディングの成功ポイント ]

⚫︎ 商品名・パッケージが圧倒的にユニークで記憶に残る
⚫︎ ファンとの直接交流(リアルイベント・SNS)がブランド力を強化
⚫︎ 自社ECでの販売強化による顧客体験の管理
⚫︎ 社員一人ひとりがブランドの“顔”になる組織文化

[ 出典 ] ヤッホーブルーイングサイトより

旭山動物園 _北海道旭川市

【 旭山動物園 (北海道旭川市) 】

旭山動物園は、かつて入園者数が激減し、閉園も検討されていた地方動物園です。そこから一転して、日本一の来園者数を誇るまでに復活した奇跡のブランディング成功例として知られています。転機となったのが「行動展示」という展示手法の導入でした。これは、動物の自然な行動や生態を観察できる工夫を施したもので、「泳ぐペンギン」「飛ぶカワウソ」など、動物の“生きた姿”をリアルに体感できるようになっています。この展示手法は来園者の心をつかみ、「命の尊さを伝える動物園」としての価値を確立しました。

[ ブランディングの成功ポイント ]

⚫︎ “行動展示”という他園にはない展示体験の創出
⚫︎ 飼育員が主役となる情報発信(手書きPOP、トークショーなど)
⚫︎ 地元市民との信頼関係構築と共創型マーケティング
⚫︎ 単なる娯楽施設でなく“教育機関”としての位置づけ強化

[ 出典 ] 旭山動物園公式サイトより

三幸製菓株式会社 _新潟県新潟市

【 三幸製菓株式会社 (新潟県新潟市) 】

三幸製菓は、米どころ新潟を代表する米菓メーカーです。おかきやせんべいという“昔ながら”の商品を扱いながらも、時代に合わせたブランド刷新を行い、特に近年は「採用ブランディング」で大きな成果を上げました。従来は商品中心だった広報戦略を、企業の“人と価値観”にシフト。若年層への訴求力を高めるため、社員の声を軸にしたストーリー設計や、SNS・動画を駆使した情報発信に注力。結果として、新卒採用の応募数は大幅に増加し、若手の定着率も改善しています。

[ ブランディングの成功ポイント ]

⚫︎ 採用を「ブランディングの起点」として再構築
⚫︎ 社員のストーリーが企業の魅力を体現するPRへ
⚫︎ 商品ブランドと企業ブランドの一体化
⚫︎ 地元で働く誇りをテーマにした地域密着型メッセージ設計

[ 出典 ] 三幸製菓株式会社公式サイトより

杉山フルーツ _静岡県富士市

【 杉山フルーツ (静岡県富士市) 】

杉山フルーツは、静岡県の小さな果物店からスタートした個人経営の企業です。地方の一小売業者でありながら、同社の“フルーツゼリー”は現在、全国的な知名度を持ち、百貨店などでも人気商品となっています。その鍵は徹底したビジュアルブランディングと高品質へのこだわりです。ゼリーは見た目の美しさが特徴で、まるで宝石のような色彩とフォルム。インスタ映えするビジュアルはSNS上で拡散され、自然と認知が広がりました。さらに、大切なのは品質。果物の選定から製造まで一切の妥協がなく、高単価でも顧客満足度が非常に高いブランドとして支持を得ています。

[ ブランディングの成功ポイント ]

⚫︎ 商品自体を“広告媒体”にするほど美しく仕上げたパッケージ
⚫︎ SNSでの「自走型拡散」を狙ったビジュアル戦略
⚫︎ 高価格でも「納得感」を得られる品質設計
⚫︎ 地方から全国、海外にまで広がるブランドの力

[ 出典 ] 杉山フルーツ公式サイトより

伊那食品工業 _長野県伊那市

【 伊那食品工業 (長野県伊那市) 】

伊那食品工業は、寒天のリーディングカンパニーとして知られていますが、それ以上に「社員第一主義」「年輪経営」で注目を浴びる企業です。業績を追いすぎず、社員の幸せや地域社会との共生を最優先する姿勢が、多くの共感を呼び、企業そのものが“ブランド”化しています。経営理念は「いい会社をつくりましょう」。この言葉を実行し続けた結果、離職率は極端に低く、社員が誇りを持ってブランドの顔となっています。CSR的な取り組みではなく、経営の根幹に“人を大事にすること”を据えたことが、長期的なブランド価値へと繋がっています。

[ ブランディングの成功ポイント ]

⚫︎ 短期利益を追わない“年輪経営”で信頼構築
⚫︎ 働く人の幸福を最優先した「社員が語りたくなる」企業文化
⚫︎ 地域社会との深い関係性が“共感型ブランド”を形成
⚫︎ メディアにも多数取り上げられ、知名度・好感度ともに上昇

[ 出典 ] 伊那食品工業公式サイトより

マウンテンディアー_群馬県太田市

【 マウンテンディアー (群馬県太田市) 】

マウンテンディアーは、繊維業が地場産業である群馬県太田市を拠点に活動する企業で、衰退が進んでいた地域のニット産業を再び輝かせるべく、地域ブランド「OTA KNIT(太田ニット)」を立ち上げました。ブランド化の中心に据えたのは、“産地の誇り”を取り戻すという強いミッションです。このプロジェクトは単なる製品開発ではなく、太田市の職人たちや地元工場との連携により、地域全体で価値を共創する「産地再生型ブランディング」の好例といえます。ニット製品の品質はもちろん、ブランドストーリーやクラフトマンシップを強く打ち出すことで、大量生産・低価格とは一線を画す「プレミアムな地域ブランド」として確立されました。

[ ブランディングの成功ポイント ]

⚫︎ 地場産業を再定義し直した「地域×ブランド」戦略
⚫︎ 地元の職人と工場が連携した“共創型ものづくり”
⚫︎ 首都圏マーケットを意識した洗練されたビジュアルとストーリー設計
⚫︎ 大量生産に頼らない高付加価値ブランドの確立

[ 出典 ] 株式会社マウンテンディアー公式サイトより

■ 地方企業ブランディングの弊社実績

弊社では、多様な業種・規模のクライアント様に対して、ブランド戦略、ロゴデザイン開発、ブランドステートメント策定、名刺・封筒・Webサイトなどのデザイン開発を一貫して手がけています。ネーミングやパッケージ、サインデザインなども包括的に開発しブランドの統一感と差別化を実現しています。

▶︎ 詳細記事 : 株式会社チビコ・ブランディング実績一覧

[ MIZUNO @三重県 ]
廃棄物のリスクから社会を守るコンサルティング会社として、最適なソリューションを追求し提供するブランドとしてリブランディングを実施。新たに生まれ変わるためのブランドコンセプト、事業戦略、サービス内容、ターゲティング&ポジショニング、人事、採用、各種アプリケーションデザイン開発を行いました。

[ 詳細 ] chobico WORKS | MIZUNOより

[ YUMEJIN @沖縄県 ]
ブランドビジョンである「今帰仁に撒く。今帰仁で育む。今帰仁で創る。」を掲げ、古くから受け継がれてきた地域の文化や知恵を大切にし、創意と工夫の原点と、新しい考え方や技術を取り入れ、商品とサービスを提供。お客さまの声にも真摯に向き合い期待に応える企業ブランドを再構築。

[ 詳細 ] chobico WORKS | YUMEJINより

[ CLARTE @栃木県 ]
Clarteとは、フランス語で「光」「輝き」を意味する言葉です。いつも感謝すること。楽しみとユーモアをみつけること。身近な人たちの幸せを願うこと。この3つのコンセプトから生まれたブランドです。ショップ5周年を記念しプレゼントとしてアロマキャンドルにメッセージカードを添えて配布しました。

[ 詳細 ] chobico WORKS | CLARTEより

[ ASBO STAY HOTEL @沖縄県 ]
ASBO STAY HOTELは、沖縄県金武町の豊かな自然が残る東海岸に佇む、全室オーシャンビューのリゾートホテル。澄みわたった空気と、清らかな海辺。五感のすべてに響いてくるのは、大自然からのメッセージ。精神と身体を解放することの素晴らしさを知ることのできるホテルです。

[ 詳細 ] chobico WORKS | ASBO STAY HOTELより

[ MONOCOTO @奈良県 ]
MONOCOTOは、リアルソーシングを特徴とするソーシャルマニュファクチュアリングサービスです。モノが溢れ余る社会において「モノの先にあるコトの価値」が求められています。単にモノを作るという発想から、その先にあるモノを使う楽しみや経験、人とのコミュニケーションを提案するブランドです。

[ 詳細 ] chobico WORKS | MONOCOTOより

FAQ-よくある質問

地方企業のブランディングに関するよくある質問

[ よくある質問① ]

Q :地方企業こそブランディングが必要な理由は何ですか?
A :品質や価格だけでは差別化が難しく、地域ならではの物語や背景を伝える「選ばれる理由」をつくるために、ブランド力が不可欠です。共感や記憶に残る体験を創ることが競争力になります。

[ よくある質問② ]

Q :ブランド構築のステップはどのように進めればいいですか?
A :「誰に、何を、どう伝えるか」を明確にし、ストーリーと想いを乗せたコンセプトを設計。これをビジュアルとメッセージに統一して展開し、社内浸透と顧客体験の設計まで進めるのが基本ステップです。

[ よくある質問③ ]

Q :成功している地方企業の事例にはどんな要素がありますか?
A :例えば、ヤッホーブルーイングは個性的なネーミング・パッケージとファンとの対話で強固なブランドを形成。旭山動物園は“行動展示”という体験型展示で来園者の共感を獲得するなど、一貫した体験設計が鍵となっています。

[ よくある質問④ ]

Q :社員や地元関係者をブランドの担い手にするには?
A :社員がブランドを「自分ごと化」する仕組みが重要です。ブランドの価値を共有し、語れる状態にする社内ワークショップや文化醸成が、外部への発信の一貫性を担保します。

[ よくある質問⑤ ]

Q :商品・サービスだけでなく企業そのものをブランド化するには?
A :働く人の幸せや地域社会との共生を価値に据える企業文化の発信が、ブランド化への布石になります。たとえば「年輪経営」や社員視点のストーリーを通じて、企業全体がブランドとして体現される状態を目指します。

checklist-チェックリスト

地方企業がブランディングを始める前のチェックリスト

[ 独自価値の明確化チェック ]

⬜︎ 対象となる地域や業界の中で、自社独自の価値が明確になっているか?
⬜︎ ブランドが地域資源や地域文化を活かしたストーリーになっているか?

[ ブランド戦略の基盤構築チェック ]

⬜︎ ブランドミッション(社会的な役割や目指す姿)が具体的に定められているか?
⬜︎ ブランドメッセージやコンセプトが地域の顧客に響くように設計されているか?

[ 顧客との接点設計チェック ]

⬜︎ 地元のイベントやコミュニティへの参加、体験設計などを通じたブランド接点を検討できているか?
⬜︎ ブランドを地域住民や顧客に「自分ごと化」してもらう施策が検討されているか?

[ 社内共有・文化醸成チェック ]

⬜︎ 社員がブランドストーリーや価値を「語れる」状態になっているか?
⬜︎ ブランドを担う文化として、社内に定着させる仕組みがあるか?

[ ビジュアル・コミュニケーションのチェック 】

⬜︎ ロゴやビジュアルが地域性とブランド価値を統一して伝えるデザインになっているか?
⬜︎ すべての発信でブランドメッセージやビジュアルの一貫性が確保できる設計になっているか?

記事のまとめ

■ まとめ

地方企業こそ、ブランディングの力で“選ばれる会社”になれます。地域に根ざした文化や人とのつながり、歴史的背景は、都市部にはない独自の資産です。それを言語化・可視化し、一貫性をもって体現することで、商品やサービスだけでなく“会社そのもの”が選ばれるブランドになります。重要なのは、社員や地域と価値を共有しながら、長期的にブランドを育てる視点。地道に積み重ねた“らしさ”こそが、これからの時代における競争力の源泉です。

株式会社チビコ今田佳司ブランディングディレクター

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

chibicoロゴ

【 ご質問、お打合せ希望など、お気軽にお問合わせください。】
– ブランド戦略からデザイン開発まで –

お問合せボタン

■ おすすめ関連記事

中小企業こそブランディングに取り組むべき理由

[ おすすめ記事 ] [必読] 中小企業こそブランディングが必要な理由とは

ブランディングでよくある課題と解決方法

[ おすすめ記事 ] [中小企業必見] ブランディングでよくある課題と解決方法

関連記事

  • CATEGORY

  • 日々の暮らしの中の愛用品や街で見かけた気になるデザイン
    弊社のデザイン実績などをご紹介させていただきます。
    ブランディングを語る際に使用する用語集です。
    分からない用語が出てきた場合などにご活用ください。