
[ ブランド戦略 ]
今すぐ見直すべき「リブランディング」5つのケースと実行手順
リブランディングは、企業や製品、サービスが市場での競争力を保ち、成長を持続させるための戦略です。市場環境や消費者ニーズが変化する中、ブランドが古びた印象を与えたり、メッセージが時代に合わなくなったりすると、リブランディングが必要になります。また、新たなターゲットや市場の開拓や、企業のビジョン・ミッションの転換に合わせてブランドを刷新することも重要です。適切なタイミングでリブランディングを行うことで、ブランドの価値を再定義し、顧客の信頼を取り戻すことができます。本記事では、株式会社チビコでブランディングディレクターをしている筆者がリブランディングが必要になる理由やそのタイミング、そして成功させるための具体的な手順について詳しく解説します。
■ なぜ今、リブランディングが必要なのか?

【 市場も消費者も、ブランドに求めるものが大きく変わっている 】
ブランドは、かつては「商品やサービスを見分けるための目印」でしかありませんでした。しかし今やブランドは「その企業がどんな価値観を持ち、社会にどう貢献しているのか」を体現する存在として捉えられています。消費者は単なるスペックや価格以上に、企業の姿勢や社会的意義をブランド選定の重要な判断基準として意識するようになっています。
⚫︎ 情報過多と選択肢の増大
消費者は常に膨大な情報にさらされ、従来の認知だけでは選ばれません。
ブランドの「意味」や「共感」が重視される時代になっています。
⚫︎ 購買行動の進化
デジタル化によって購買プロセスはより自律的かつ比較的に行われ、
ブランドの一貫したストーリーと体験が求められています。
⚫︎ 価値観の多様化
SDGs・ダイバーシティ・地域社会との関係など、
単なる機能や価格以上の価値提供がブランド選定の基準となっています。
【 実際、多くの企業が以下のような兆候に直面しています 】
このような時こそ、「リブランディング」という選択肢が重要になります。単なる見た目の刷新ではなく、ブランドの存在意義そのものを見つめ直し、未来に向けて進化させる機会になるのです。適切なリブランディングは、企業の強みや独自性を再定義し、新たな顧客層との接点を生み出します。さらに、社員のブランド理解とエンゲージメントを高め、内外から一貫性あるブランド体験を築く原動力にもなります。
⚫︎ ブランドイメージが古く感じられる
⚫︎ 競合との差別化が曖昧になっている
⚫︎ 顧客との接点がズレ始めている
⚫︎ 新たなターゲット層にうまく響いていない
■ リブランディングが必要な5つのケース

ブランドは一度構築して終わりではありません。市場環境・顧客ニーズ・事業フェーズの変化に応じて進化させていくものです。しかし、どのタイミングでリブランディングが必要なのか、明確な基準を持っている企業は意外と少ないのが現状です。ここでは、実際に多くの企業がリブランディングに取り組むことになる典型的な5つのケースをご紹介します。自社が該当するものがないか、ぜひチェックしてみてください。
1. 市場変化に対応する必要がある時
市場は常に変化しています。新しい競合の登場、価値観の変化、業界全体の成熟などにより、従来のブランドポジションが機能しなくなる瞬間が訪れます。たとえば、従来のマス広告中心からデジタルファーストな消費行動へと移行した市場では、ブランドメッセージや表現方法も見直す必要があります。時代遅れなブランドと認識されてしまうリスクが高まるため、市場変化はリブランディングの重要なサインとなります。
2. 競合との差別化が曖昧になった時
新たな競合が台頭し、類似の商品やサービスが増えていく中で、自社のブランドが競合と見分けがつきにくくなっていないかは常に確認すべきポイントです。もし顧客が「どれも似たようなもの」と感じ始めたら、それはブランドの独自性が埋もれている証拠です。この場合、ブランドストーリーやビジュアル、トーン&マナーを再構築し、自社ならではの価値を明確に打ち出すことが求められます。リブランディングは「選ばれる理由」を再定義する絶好の機会になります。
3. ブランドイメージが古ぼけてきた時
創業時のブランドが長年使われている企業では、ロゴやカラー、Webサイト、広告表現などが時代にそぐわない印象になっているケースが多々あります。「レトロ」として愛される場合もありますが、多くの場合は信頼感や鮮度に影響を与えてしまいます。とくにデジタルネイティブ世代の顧客層をターゲットにするなら、古いイメージは大きな障壁になります。リブランディングによって「今の時代にフィットしたブランド体験」を再設計し、再びブランドへの期待感を高めることが重要です。
4. 事業成長や新製品導入など展開時期
新たな事業領域への進出や新製品の投入時期も、リブランディングを考える好機です。既存ブランドの枠組みでは新しい価値を十分に伝えきれなかったり、社内外の混乱を招く恐れもあります。特に多角化する企業やスタートアップが成長フェーズに入る段階では、ブランド全体の整合性を保つための再構築が求められます。リブランディングを通じて、統一感と柔軟性を兼ね備えたブランド体系を整えることで、今後の事業展開を円滑に進めることができます。
5. M&Aや組織変更・ビジョン転換時期
M&Aや組織再編、経営理念や中長期ビジョンの刷新といった企業の大きな転換期には、リブランディングは欠かせません。異なる企業文化の統合や、新しい企業としての方向性の明確化が求められるからです。そのまま旧ブランドを維持したままでは、社員や顧客の混乱や誤解を招きかねません。このタイミングではブランドの根幹を再定義し、全社一丸となって新たなブランドの旗印を掲げることが重要になります。これは単なる表層的な変更ではなく、企業文化や組織のあり方にも深く関わるプロセスです。
■ いつやるべき?リブランディングのタイミング

リブランディングは思いつきで行うものではありません。企業の成長ステージや外部環境の変化に応じて、適切なタイミングで実行することが重要です。タイミングを誤ると「早すぎて効果が出ない」あるいは「遅すぎて手遅れになる」といったリスクもあります。ここでは、多くの企業がリブランディングを成功させている典型的なタイミングとその理由をご紹介します。ぜひ、自社の現状と照らし合わせてみてください。
1. 事業拡大期
事業が拡大し、新たな市場や顧客層に進出するタイミングは、リブランディングの絶好の機会です。既存のブランドイメージが新市場にそぐわない場合、ブランドが成長の足かせになることがあります。事業規模や提供価値が進化する中で、ブランドのメッセージやビジュアル、トーンも一貫性と柔軟性を持って刷新する必要があります。新たな顧客層に対しても自社の独自性と魅力をしっかり届けるために、ブランドの再構築が求められます。
[ 理由 ]
⚫︎ 既存のブランドイメージが新市場に合っていない場合、ブランドが障害になり得ます。
⚫︎ ブランドの枠組みが成長スピードについてこれず、ブランド体験が一貫性を欠くリスクが高まります。
⚫︎ スケールに合わせてブランドアセットを再設計することで、社内外の共通認識を築きやすくなります。
[ 典型例 ]
⚫︎ 地域密着型だった企業が全国展開・海外進出するタイミング
⚫︎ 新たな製品ラインを追加し多角化を進めるタイミング
2. 組織再編・経営陣交代
組織再編や経営陣の交代は、企業のビジョンや方向性が大きく変わる局面であり、リブランディングが必要になることが多い場面です。新たな経営方針や価値観をブランドに反映させ、社内外へ明確に発信することが求められます。従来のブランドイメージのままでは、社員や顧客との間にギャップが生じ、エンゲージメント低下や混乱を招く恐れがあります。ブランドの再構築は、組織全体の一体感と新たな方向性の共有に不可欠なプロセスです。
[ 理由 ]
⚫︎ 新しいビジョンや価値観をブランドに反映させ、社内外へ明確に発信する必要がある。
⚫︎ 組織の変化にブランドが対応していないと、社員のエンゲージメントやブランド整合性が低下する
[ 典型例 ]
⚫︎ M&A後の統合ブランド策定
⚫︎ ファウンダー交代・新経営体制への移行時
3. 新市場展開
新たな市場(国・地域・セグメント)へ進出する際は、その市場特有の価値観や文化に合わせたブランド戦略が不可欠です。既存市場で成功したブランドが新市場でそのまま通用するとは限りません。言語や文化的背景、消費者の価値観に配慮し、ブランドの核を保ちながらも柔軟にローカライズする必要があります。適切なリブランディングを行うことで、新たな市場での受容性を高め、ブランドとしての一貫性と新鮮さの両立を図ることができます。
[ 理由 ]
⚫︎ 既存市場で成功したブランドが新市場では通用しないことは珍しくありません。
⚫︎ 文化的背景、言語、競争環境、消費者期待に対応した柔軟性のあるブランドが求められます。
[ 典型例 ]
⚫︎ 国内成功ブランドがアジア・欧米市場に進出する場合
⚫︎ BtoB企業がコンシューマー市場へ拡張する場合
4. 売上低迷・ブランド価値毀損の兆候が見えた時
売上の低迷やブランド調査でネガティブなフィードバックが増えてきた時は、ブランドの再評価が必要です。市場や顧客との間にズレが生じている可能性が高く、現状を放置するとブランドの信頼性や価値がさらに低下してしまいます。単なるプロモーション強化だけでは根本的な解決にはなりません。ブランドのポジショニングやメッセージ、ビジュアルの一貫性を見直し、時代や顧客ニーズに合った形へ進化させることが求められます。
[ 理由 ]
⚫︎ 市場との「ズレ」が蓄積され、ブランドが消費者との接点を失っている可能性が高い。
⚫︎ ネガティブなブランドイメージは放置すると回復が極めて困難になる。
[ 典型例 ]
⚫︎ 認知は高いが好意度・購入意向が低下している場合
⚫︎ SNS等でネガティブな言及が増加している場合
5. 社会環境・価値観の大きな変化
社会全体の価値観や規範が大きく変化する局面でも、リブランディングは重要な選択肢になります。SDGs、サステナビリティ、ダイバーシティなどのテーマが注目される中で、過去のブランドメッセージや表現が時代にそぐわなくなることもあります。企業としての姿勢や社会的責任がブランド評価に直結する今、ブランドの在り方を再定義し、新しい価値観に基づいた発信へと切り替えることが、信頼の維持と共感獲得につながります。
[ 理由 ]
⚫︎ サステナビリティ、ダイバーシティといった価値観が重視される。
⚫︎ 企業の社会的役割や存在意義を再定義し、発信していく必要がある。
[ 典型例 ]
⚫︎ SDGs対応をブランドの中核に据える場合
⚫︎ 時代遅れなジェンダー表現・広告手法を刷新する場合
■ リブランディングの実行手順

1. ブランドの調査・分析の実施
リブランディングを行う前に、自社の強みや弱み、顧客のニーズや競合などを分析し把握する必要があります。この分析・調査には、市場調査や顧客インタビュー、アンケート調査などが用いられます。このような調査を通じて、現状の問題点を明確にし、リブランディングの目的を明確にすることができます。
⚫︎ 競合分析:市場での競合ブランドのポジショニング、メッセージ、デザインのトレンドを確認する。
⚫︎ 顧客分析:既存顧客のブランド認知・イメージ・期待値を定性・定量の両面から把握する。
▶︎ 詳細記事:ブランディングにリサーチと分析が重要な理由とは?
2. ブランドストーリーの策定
ブランドストーリーは、企業や製品、サービスなどについてのストーリーであり、ブランドの方向性を示すものです。ブランドストーリーは、企業の理念やビジョン、ミッションなどを反映するものであり、リブランディングの成功には欠かせない要素の一つです。
⚫︎ビジョン:ブランドが目指す未来像
⚫︎ミッション:ブランドの社会的役割・使命
⚫︎USP(独自の価値提案):競合と明確に異なる提供価値
▶︎ 詳細記事:売れるブランドに共通する“ブランドストーリー”の作り方
3. ブランディングデザインの開発
ブランディングデザインは、ブランドの視覚的な表現です。ロゴやカラー、フォントなどのデザインを行い、ブランドのイメージを決定します。ブランディングデザインは、ブランドの認知度や信頼度を高めるためにも重要な役割を果たします。
⚫︎ロゴ:ブランドの象徴として機能するデザインを再設計
⚫︎カラー:ブランドの価値観やポジショニングを視覚的に伝える色設計
⚫︎トーン&マナー:広告・Webサイト・パッケージ・社内資料など、すべての表現で一貫性を持たせる
4. コミュニケーション戦略の策定
ブランドのイメージを顧客に伝えるためには、適切なコミュニケーション戦略が必要です。具体的には、広告やプロモーション、SNSやブログなどのデジタルマーケティングなどがあります。コミュニケーション戦略を立てる際には、ターゲット層に合わせたメッセージングや媒体の選定が必要です。
⚫︎社内浸透:ブランドブックの作成、ブランド教育、社内イベント
⚫︎外部コミュニケーション:広告、SNS、PR、オウンドメディアなど
■ リブランディングの成功事例

Instagram|インスタグラム
Instagramは2016年に大規模なリブランディングを行い、アイコンやインターフェースのデザインを一新しました。それまでのレトロなカメラのアイコンから、シンプルでカラフルなデザインに変更し、よりモダンで視覚的に洗練されたイメージを打ち出しました。このリブランディングの背景には、プラットフォームの進化があります。Instagramは当初、写真共有アプリとしてスタートしましたが、成長とともに動画やストーリー機能など、より多様なコンテンツを扱うプラットフォームへと変化しました。新しいロゴやデザインは、こうした機能の多様化を反映させ、より広範なユーザー層にアピールすることに成功しています。リブランディングにより、Instagramは現代的で活気あるブランドイメージを確立し、世界的なSNSプラットフォームとしての地位をさらに強化しました。
[ リブランディングが成功した理由 ]
⚫︎新しいアイデンティティで視覚的魅力を強化
Instagramのリブランディングでは、新しいロゴデザインとカラフルな背景を導入し、視覚的な魅力をさらに引き出しました。これにより、ユーザーの印象に残る一貫したビジュアルアイデンティティを確立し、アプリ全体の使いやすさと美的統一感を強化しています。
⚫︎シンプルさとインターフェースの改善
リブランディング時にシンプルでフラットなデザインを採用することで、直感的に操作しやすいインターフェースを提供しました。このシンプルさが幅広いユーザー層に好評で、機能が複雑化してもユーザーが使いやすいデザインに貢献しています。
⚫︎ブランドのモダンさを再定義
Instagramは新たなビジュアルで、モダンでシンプルなデザインを追求しました。このアプローチにより、デジタル世代にアピールし、若年層から支持を得ています。ブランドが時代に合わせて進化し続けていることを強調し、ユーザーに新鮮な印象を与えました。
⚫︎アイコンとビジュアルの一貫性
アイコンとアプリ全体のデザインを統一することで、Instagramのビジュアルアイデンティティがさらに強化されました。特に、アプリ内でのアイコンやカラーの一貫性はユーザーに視覚的な安定感を提供し、ブランドの信頼性を高める役割を果たしています。
⚫︎グローバルな魅力と認知の向上
リブランディング後、シンプルでわかりやすいデザインが国境を越えて受け入れられやすくなりました。このグローバル対応が、Instagramの認知度向上とユーザーの増加につながり、多国籍のユーザーに対応するための重要な要素となっています。
[ 画像出典 ] Meta公式サイト・Gingersauceより

Slack|スラック
Slackは、チームコミュニケーションツールとしての機能とユーザー体験を重視し、2019年にロゴを中心にリブランディングを行いました。それまでのマルチカラーのハッシュタグ型のロゴから、よりシンプルでモダンなデザインに変更され、柔軟性と視認性を高めました。このリブランディングの背景には、ブランドの成長と国際展開があり、複数の場面でロゴをより効果的に使用するため、シンプルで洗練されたデザインが求められたのです。結果として、Slackはビジュアル面での一貫性を強化し、テクノロジー企業としての信頼性と先進性を強調しました。このリブランディングは、ユーザーからも肯定的に受け入れられ、Slackの市場ポジションをより強固にすることに成功しました。
[ リブランディングが成功した理由 ]
⚫︎ブランドのシンプルなデザイン統一
Slackはリブランディングでシンプルで柔軟なデザインを採用し、さまざまなメディアやサイズに対応しやすくしました。これにより、視覚的な一貫性が保たれ、ブランドの認知が強化されました。
⚫︎アイコンデザインの再構築
旧ロゴの複雑なデザインを刷新し、よりモダンで認識しやすいアイコンに変更しました。新しいアイコンは、Slackの多様なツールと統一され、ユーザーに対して親しみやすさを向上させました。
⚫︎カラーパレットの改善
多彩な組み合わせを使っていたデザインを見直し、よりシンプルなカラーパレットに統一しました。これにより、ブランドイメージの視覚的な一貫性が確保され、よりプロフェッショナルな印象が強まりました。
⚫︎多用途に適したブランド要素の追加
さまざまなフォーマットで利用されるため、ロゴやシンボルが柔軟に適応できるよう設計。この柔軟性により、モバイルアプリやデスクトップアプリで一貫したブランド体験を提供しています。
⚫︎ブランドメッセージの再定義
リブランディングでシンプルかつ現代的なメッセージを伝えることを目指し、ユーザーが直感的にブランドの価値を理解できるようにしました。これにより、ブランドの魅力が伝わり、ユーザーの愛着がさらに強まりました。
[ 画像出典 ] Slack公式サイトより

LEGO|レゴ
LEGOは1990年代に経営危機に直面しましたが、ブランドの再定義を通じて驚異的な復活を遂げました。リブランディングの一環として、LEGOは伝統的なブロック遊びのブランドから、デジタルエンターテインメントや映画、テーマパークなど、多様なエンターテインメントに進出しました。ブランドメッセージも「遊びを通じて学ぶ」という理念にフォーカスし、創造性や教育的価値を強調しました。LEGOは、映画「LEGOムービー」の成功を通じて、新たな世代にアピールし、幅広い年齢層の支持を集めています。このリブランディングにより、LEGOは単なるおもちゃメーカーから、グローバルなエンターテインメントブランドへと進化し、業績を劇的に改善しました。
[ リブランディングが成功した理由 ]
⚫︎教育的価値と遊びの再強調
リブランディングでLEGOは「遊びながら学ぶ」価値を再定義しました。教育を軸にしたコンテンツが支持を集め、親や教育関係者の間でLEGOが学びのツールとして位置付けられています。
⚫︎ターゲット拡大と多世代の支持
子どもだけでなく大人をターゲットに含め、クリエイティブなプロジェクトやデザインシリーズを提供。多世代に支持されることで、ブランドの多様な顧客層が形成されました。
⚫︎デジタルコンテンツと連携
LEGOはゲームや動画配信などのデジタルコンテンツとの連携を進め、オンラインとオフラインの体験を融合。これによりブランド価値が強化され、デジタル世代にもアプローチしています。
⚫︎多様なキャラクターとのコラボレーション
LEGOは「スター・ウォーズ」や「ハリー・ポッター」とのコラボレーションでファン層を拡大。ブランドのアイコンであるブロックの世界を広げ、幅広いユーザーに愛される要素を増やしました。
⚫︎ブランドの持続可能性への取り組み
持続可能な素材の使用や環境に配慮した生産体制の導入により、ブランドの社会的責任が評価されています。この取り組みによって、LEGOはサステナブルなブランドとして支持を得ています。
[ 画像出典 ] Lego公式サイトより

McDonald’s|マクドナルド
McDonald’sは、健康志向の高まりやファストフード業界の競争激化を受け、2000年代にリブランディングを実施しました。それまでの「ジャンクフード」のイメージから脱却し、メニューにサラダや低カロリー商品を加えることで、より健康的なブランドイメージを強調しました。また、店舗デザインも大幅に改装し、居心地の良いカフェ風のインテリアを採用するなど、ファストフード店のイメージを刷新しました。このリブランディングにより、McDonald’sは新しい顧客層を取り込み、既存顧客にも再びアピールすることに成功しました。ニーズに対応したメニューと体験のアップデートが、世界的に高評価を得ています。
[ リブランディングが成功した理由 ]
⚫︎健康志向メニューの導入
消費者の健康意識の高まりに対応し、サラダや果物、低カロリーメニューなどを追加。これにより、ファストフードとしてのイメージを刷新し、健康志向の顧客層も取り込むことができました。
⚫︎店舗デザインの刷新
新たなデザインコンセプトで店舗内装を改装し、居心地の良いカフェ風の空間を演出。ファミリー層や若年層だけでなく、多様な層にリラックスして過ごしてもらえるようになりました。
⚫︎デジタル体験の強化
注文アプリやセルフオーダー端末を導入し、利便性を向上。デジタル体験を強化することで、効率的なサービスとともに、顧客の満足度を向上させることに成功しました。
⚫︎地域特化型メニューの展開
各地域に合わせた限定メニューを提供することで、地元の食文化に合わせた柔軟な戦略を実施。これにより、地域特有のニーズに応え、ローカルな顧客基盤を強化しました。
⚫︎持続可能性への取り組み
環境に配慮した包装材やリサイクル活動、食品ロス削減などの取り組みで企業の社会的責任を強化。環境問題に対する意識の高まりに対応し、持続可能なブランドとしての評価が向上しました。
[ 画像出典 ] Roman・McDonald’s Cyprusより

Nike|ナイキ
Nikeは、数十年にわたりリブランディングを重ねており、その中でも特筆すべきは「Just Do It」というスローガンを中心に据えた1980年代後半のリブランディングです。当時、Nikeは競合するReebokに市場シェアを奪われつつありましたが、このシンプルかつ力強いメッセージによって、全世代のアスリートに向けた普遍的なブランドイメージを確立しました。その後も、持続可能性や社会的責任を強調したキャンペーンを展開し、単なるスポーツブランドではなく、社会的メッセージを発信するグローバルブランドとしての地位を固めました。Nikeはこのリブランディングで、スポーツウェアの域を超えたブランド体験を提供し続けています。
[ リブランディングが成功した理由 ]
⚫︎強力なブランドメッセージ「Just Do It」
Nikeの「Just Do It」というスローガンは、挑戦や努力を促すメッセージとして世界中の消費者に広く認知されています。シンプルながら強いメッセージが多くの人々の心に響き、スポーツブランドとしてのイメージを確立しました。
⚫︎社会問題への積極的な取り組み
人種差別や平等といった社会問題への支援を行うことで、消費者の共感と支持を獲得。カーネル・カーペニックを起用した広告キャンペーンは議論を呼び、ブランドのアイデンティティを強化しました。
⚫︎デジタルプラットフォームの活用
Nikeは「Nike+」や「Nike Run Club」といったデジタルプラットフォームでユーザーと接点を持ち、個別の体験を提供。データに基づくパーソナライズ戦略が顧客のロイヤルティ向上に寄与しています。
⚫︎持続可能な商品開発への取り組み
Nikeはリサイクル素材やエコフレンドリーな製品開発に力を入れ、環境意識の高い消費者層にアピールしています。これにより、持続可能なブランドとしての認識が広がり、支持層を拡大しました。
⚫︎限定商品やコラボによる希少価値の提供
アーティストやスポーツ選手とのコラボレーションによる限定商品を展開し、希少性と新鮮さを常に提供。これにより、ファッション性も兼ね備えたスポーツブランドとしての地位を強固なものとしています。
■ 今すぐできるチェックリスト
【 ブランドイメージに関するチェック 】
□ 最後にブランドのロゴやビジュアルを見直したのは5年以上前である。
□ サイトや販促物のデザインが「古い」と社内外から言われたことがある。
□ ブランドのストーリーや理念が時代や顧客層とズレていると感じている。
【 ターゲットと市場の適合性に関するチェック 】
□ 創業当時と現在で主な顧客層が大きく変化している。
□ 顧客から「御社って何を一番得意としているの?」とよく聞かれる。
□ ブランドの伝えている価値が実際の顧客ニーズと合っていないと感じる。
【 競合との差別化に関するチェック 】
□ 自社と競合他社のWebサイトや広告の見た目・メッセージが似てきている。
□ 自社の強み・独自性を短く一言で説明できない。
□ 競合ブランドと比較されたときに「選ばれる理由」が曖昧になっている。
■ まとめ
リブランディングを成功させるためには、正確な分析・調査に基づいたブランドストーリーの策定や、ビジュアルアイデンティティのデザイン、コミュニケーション戦略の策定などの手順が必要です。リブランディングには、多大な労力と時間が必要であり、失敗する可能性もあるため、その必要性とタイミングの重要性を理解し、正確な分析・調査と専門知識を持ったプロの支援を受けることが重要です。最後に、リブランディングの必要性とタイミングの重要性を理解し、成功するために必要な手順の整理が重要であることを再度強調します。正しいリブランディングは、企業の成長と発展に不可欠な要素の1つであり、企業が未来に向けて繁栄するために不可欠です。

株式会社チビコ
今田 佳司 (ブランディング・ディレクター)
ブランド戦略とコミュニケーションデザインを掛け合わせることで、企業や商品などのブランド価値の向上や競争力強化に貢献。数多くのブランディングを手がける。

【 ブランディングを検討中のご担当者様はお気軽にお問い合わせください 】
– ブランド戦略からデザイン開発まで –
■ おすすめ関連記事

[ おすすめ記事 ] リブランディングでブランド価値を上げる方法
