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リブランディングの成功

[ ブランド戦略 ]

リブランディングを成功させる6つのポイント

リブランディングが現状から推測できる単なる未来ではなく、「理想のありたい姿へ到達するための戦略」です。では、リブランディングを成功させるためには具体的にどうすればいいのでしょうか?今回は、実際にリブランディングを遂行するうえで発生しがちな諸問題を挙げながら、その対処方法などについて考察していきたいと思います。リブランディングは決して簡単なものではありませんが、いくつかの注意点を踏まえながらプロジェクトを進め、リブランディングによる大きな成果をあげてください。


■ リブランディングの6つのポイント

1. 目先を追わず将来への投資ととらえること

リブランディングのポイント1

⚫︎ 費用ではなく未来への投資という発想

リブランディングに対してかかる費用について、大きく2通りの考え方があります。ひとつは、単に費用として捉える場合です。多くの企業が、「リブランディングにはお金がかかる」と思っています。この場合、リブランディングを取り組むことによって得られる売上のメリットやブランド認知度の向上、デザインの耐用年数などに関しては、まったく加味されていません。ただ発注時にかかる「費用」の「高い・安い」という判断をしているだけなのです。

リブランディングに成功している企業の多くは、次のようなことを考えています。

・ 新規顧客を獲得できる
・ 既存顧客に魅力を再度アピールできる
・ 社内の現状や課題を明確に把握できる
・ 将来的に魅力ある企業として継続できる

このように先を読むのです。つまり、ただの費用ではなく、未来への投資だと捉えているのです。しかも、このような企業は、ブランディングが一朝一夕にできるするものだとは考えていません。むしろ、事業を営む限りは永続的に取り組むべき課題であることと知っています。予想していた費用対効果が得られるかは、時代の流れや市場の変化によって変わりますが、リブランディングを「投資」と考えている企業ほど、長い目で見ると受注が増え、売上が上がっています。リブランディングを「費用」ととらえるか「投資」ととらえるか。どう捉えるかによって、企業の取り組みや結果に大きな差が出てくるのです。

2. 好調な時にリブランディングは実行すること

リブランディングのポイント2

⚫︎ 経営に余裕がなければ正しい判断はできない

スポーツの世界では「勝ち星が続くうちはレギュラーメンバーを動かさない」ことが定石とされていますが、こと、リブランディングのプロジェクトでは当てはまらないと言っていいでしょう。企業として好調なときほど、リブランディングを始める最適なタイミングはありません。そもそも企業のブランディング活動というものは、すぐに数字と結びつくものではありません。社歴を重ねた企業にしか発生しないリブランディングであれば尚更です。リブランディングのプロジェクトでは、将来のありたい姿の明確化や、未来へ向けた事業の展望、必要な技術の確立、優秀な人材の確保や配置など、実に様々な検討すべき要素があります。こうしたことは、直近の数字ばかりに追われている状況では適切な判断はできません。リブランディングは“勝ち星”が続いているときにこそ始めるべきなのです。もちろん困難な状況下においても、リブランディングで解決できることは数多くあります。しかし、制約が多くては対応できる範囲も限られるので期待した効果をなかなか上回ることができないことが多くありことも事実です。

3. 過去にとらわれず常に進化し続けていくこと

リブランディングのポイント3

⚫︎ 過去の資産だけではブランドは存続できない

独自の技術があり高品質な商品なのですが・・・

いいものを作れば売れるという時代はとっくに終わりました。世の中には高品位で高機能の製品が出回り、他社と差別化するため多種多様な製品が開発されています。その結果、世の中にはモノが溢れかえり、質の高い製品を簡単に入手できる時代になりました。さらに、価格競争も激化しているため「それなりの価格で質の高いもの」がたくさん出回っているのが現状です。安価でありながら良質な製品がたくさん生まれている現代では、消費者のニーズも刻一刻と変化しています。これまでの製品はすぐに飽きられるため、企業は次々と新しい製品を開発しなければなりません。目移りが激しい現代にあって、安定的に売上を維持するのはとても難しいことなのです。

歴史や伝統があり知名度や信頼感もあるのですが・・・

昔よりも価値観や人の生き方、働き方が多様化しています。そのため、自分にとって本当に必要でないモノ以外はいらないと感じる人が増えているのが現状です。企業がどれだけ最新トレンドや最新技術を広告で強調しても、消費者にとってみれば「無用の長物」となってしまっている場合が多々あるのです。現代の消費者は昔と比べて「所有する」ということに意義を持たなくなりました。「高級車や高級アクセサリーを持ちたい」という所有欲から「必要なときに利用したい」という欲望に変化しています。こうしたニーズを反映して「レンタカー」や「サブスク配信動画」のサービス利用者が増加しているのです。現代の消費者は所有するものを本当に厳選する時代になっているのです。

4. データや仮説よりもビジョンを重視すること

リブランディングのポイント4

⚫︎ マーケティングを鵜呑みにしない

リブランディングの結果を早く得たいと思うがために、自社の信念よりもマーケットの趨勢や顧客ニーズを優先させてしまいがちですが、これは避けなければなりません。大義のあるビジョンをたてることができれば、現状の評価が高いものではないとしても、いつか実を結ぶことでしょう。現状の評価が高くないというのは、むしろ“伸びしろ”が多いことの現れでもあります。明確なビジョンは、新しい市場をつくり、顧客を呼び込みます。妥協することなく、信念を貫き通すことが大切です。つまり、それに値するビジョンが見つかるまでは、徹底的に可能性を探ることが必要なのです。リブランディングが、スケジュールありきでは上手くいかない、リブランディングには相応の時間が必要となるというのは、こうした事情によるものです。そして、より信じられる道が見つかったときは、躊躇なく舵を切ることも大切です。リブランディングとは、ブランドを再生させることです。市場や顧客などの外的な要因に寄せていくリブランディングで、企業のブランドは再び輝きを取り戻せるのでしょうか?その答えが否であることは明白です。

5. 強いリーダーシップを発揮すること

リブランディングのポイント5

⚫︎ 多数決で決めるものではない

これはリブランディングだけではなく、企業ブランディング活動全般でも同じことが言えるのですが、採用する案の決定を多数決で行うと大抵の場合うまく行きません。社内への浸透を考えてか、できるだけ多くの従業員をプロジェクトメンバーとして迎え入れたいという経営トップの判断は理解できますが、ほとんどの場合逆効果になります。特に、最終案の決定で一般従業員を交えた決を採ることは避けなければなりません。その理由はいくつかありますが、まず一般の従業員にリブランディングの目的を本当の意味で理解してもらうのは難しいからです。次に、企業の将来のありたい姿に最短距離で到達するための戦略がリブランディングなのですが、企業のありたい姿について俯瞰的に検討できるのは経営ボードメンバーだけであり、それを欠落させた状態での投票では誤った選択をする危険性が大きくなります。さらに、リブランディングの発表前にそれらを目にするということは、正式な決定事項として発信されたときには既に鮮度がなく、当然のことながらインパクトもありません。リブランディングの決定は経営ボードメンバーの専権事項であり、トップの強いリーダーシップが必要なのです。

6. 目先の利益や表層ばかりを追わないこと

リブランディングのポイント6

⚫︎ 本質の探求にこそ真実はある

リブランディングには必ず、「行うべき理由」が存在します。リブランディングの目的やゴールの決定には、そうした物事の本質ともいうべき観点から逸脱するべきではありません。「個人的には〜」「私的には〜」とつく意見が出るようになったら要注意です。新しいブランドビジョンにつけ、スローガンにつけ、デザインにつけ、個人の“好き・嫌い”という尺度は持ち込むべきではないからです。大切なのは“リブランディングにおける課題”を解決するにはどの選択をするべきなのか、を徹底することだけです。言い回しを従来のものと揃えてほしい、このカラーは既に使っているので別の色を検討してほしい。こうした要望は実際のプロジェクトで生じ易いものの典型ですが、本質を外れてしまっている場合によくおこることでもあります。リブランディングの意味や目的を正確に捉え、信じる道を妥協せず歩み、ことの本質から外れた選択をしないことが、ブランディングの再構築を成功へと導く唯一の道なのです。

■ まとめ

一般論ではなく、実際の経験をもとにリブランディング成功のための、主に実務面で実行できる内容についてまとめました。成功例と言われているリブランディングの比較検討では見えてこないことが提起できていれば幸いです。現在のリブランディングは、住宅でいうところの「リフォーム」ではありません。「リノベーション」であった時代も既に終わりました。言うなれば、「建て直し」ということに近いのでしょう。ありたい姿を新しく設定し、そこへ到達するための術を探ることがリブランディングです。現状を一旦更地にするような大規模な工事です。小さな変革では小さな効果しか得られません。得るものを大きく定める以上、リブランディングにはドラスティンクな刷新が必要です。

参考サイト:https://smbiz.asahi.com/article/14559227

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