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商品ブランドと企業ブランドの関係とは?

[ ブランド戦略 ]

商品ブランドと企業ブランドの関係とは?

「商品名」と「商品ブランド」この言葉はよく混同して使われていますが、全く違った意味を持つ言葉なのです。「商品」が発売された段階では「名称」に過ぎません。その後、商品を使用し機能やサービスを経験した上で顧客がその商品に対するイメージや評価が蓄積されブランドが形成されるのです。消費者に好意的に捉えられればブランド価値が向上したこととなり、競合よりも多少高価格でも「この商品ブランドが良い」となるのです。商品ブランドを成立させる条件として、市場で競争力を発揮できる機能や品質といった「物性的価値」。さらには顧客にとっての体験と感情の積み重ねで「情緒的価値」を生むのです。


■ 商品ブランドと企業ブランドの関係性とは

PANASONIC|LUMIX

[ 出典 ] LUMIX公式サイトより引用

[ 出典 ] LEICA公式サイトより引用

SONY|CYBERSHOT×ZEISS

[ 出典 ] Cyber-shot公式ウェブサイトより引用

[ 出典 ] ZEISSジャパン公式サイトより引用

企業が扱っている製品や商品についている表記は、「商品名」でしょうか。それとも「商品ブランド」でしょうか。そもそも、その違いとは何なのでしょうか?たとえば、大人気のデジカメ。みなさんも1台は持っていると思います。家電大手のパナソニックは「LUMIX」を製造・販売していますが、LUMIXブランドのデジカメのラインナップには、ドイツ製カメラの「LEICA」のデジカメの機種があります。カタログを見るとスペックも一緒。実は、このライカのデジカメはパナソニックがOEM(他社ブランドの製品を製造すること)で製造しているのです。しかし、両社の製品価格を比較してみると、ライカのデジカメはパナソニックの製品に比べて2~3倍の価格で売られています。このことについて、あるインターネットの価格比較サイトで、盛んに議論がなされていました。パナソニック製のライカを買った消費者が、「ライカ製だと思っていたのに、がっかりした」という発言をしていました。一方、別の消費者は「ライカの基準をクリアしていれば、パナソニックがつくっていようがライカはライカだ」と発言。みなさんはこの議論についてどう思いますか?製造元は一緒なのに、表記が違うだけで値段は数倍も違うという現実。このとき、「がっかりした」と発言している消費者は、商品を表す表記(ブランド)そのものに価値があると感じているのでしょう「がっかりしない」と発言している消費者は、表記でなく商品そのものに価値があると考えているのではないでしょうか。パナソニックという社名は元々、グローバル化が進んだ松下電器産業という会社が、「松下」「ナショナル」「パナソニック」という企業ブランドをグローバルで統一するブランド戦略でした。

■ 商品ブランドに対する消費者の厳しい判断

商品ブランドのコモディティ化と社会環境断

最近、多くの商品が性能や品質、機能、そして見え方に違いが無くなってきたと感じていませんか?特に日本では、少子高齢化という言葉に代表される、人口や世帯構造の変化に伴う消費構造の変化や長く続いたデフレ環境下で市場の成熟化が進んだことも背景にあり、商品の差別化戦略が厳しさを増してきました。この様な環境の中で驚くべき出来事が日本や世界を代表する超優良ブランド(ソニー、資生堂、ホンダ、、、)の中でも起きているのです。それらの多くは世界的な経済や市場の環境変化に影響を受けたものですが、日本市場においても突然の業績の変動が多くの企業で起こりえないとは言えません。強い商品ブランドにも厳しい環境が生まれているのです。コモディティ化された市場の中で商品ブランドに対する消費者の目は厳しさを増しているのです。

■ 商品ブランドの優位性の確立

競合優位性に必要な付加価値とは

商品自体の価値と共に、競合商品には真似の出来ない商品イメージやブランドの価値をコミュニケーションすることが必要になってくるのです。これこそが、競合優位性の確立に絶対的な付加価値を与えてくれるものなのです。それでは、その中には、どの様な要素があるのでしょうか?

● 伝統や古い歴史がある
● グローバル企業の商品である
● 商品を使っている人が素敵である
● 商品を持っていると誇らしく思え他人に見せたくなる
● 商品を使っていると人から羨ましがられ褒められる
● 商品の製造技術は他社に真似の出来ないものである
● 商品ならではのロゴやデザインが好きである
● 友人や知人の間で評判が良い
● 本格的で本物の臭いがする
● 他の商品より高級でランクが上の感じがする

これらの他にも商品ブランドに応じて特有の領域や価値観があると思います。これらの項目の中には、消費者が第3者に商品の事を伝える時に言葉では十分に表現仕切れないものもありますが、定性調査(グループインタビュー/デプスインタビュー)などで消費者インサイトを深堀していくと分かってくる非常に重要な要素です。これらの要素を十分に考慮しながら商品ブランドを開発し育成していくことで競合の商品ブランドに侵されることのないユニークで差別化が計れるのです。消費者が特定の商品ブランドを愛用し続けてくれることはブランディングにおいてとても重要なのです。

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